みんなハラペコだったので、市内に戻り日本でもお馴染みのレッドロブスターで食事をとることにする。時間は9時、かなり遅い夕食だ。じゅうぶん寝て元気がでたのか再びフミははしゃぎ始める。 実をいうとマサはレッド
ロブスターというところに入ったことがなかった。”レッドロブスター=高い”という偏見を持っていたのだ。確かに日本と同様、値段はほかのレストランに比べて高かったが、料理のボリュームは日本人の想像
をはるかに超えていた。貧乏性のマサはいつも量の多い料理を注文する傾向にあるが、ここの海老料理の量には正直言ってまいってしまった。しかも産地直送なのかどうかは知らないが、ご丁寧に砂入りである。それでも残さず全部食ってしまうのだから、筋金入りの貧乏性なのだろう。
宿を探して一安心したのかいろいろな話で盛り上がる。ここはアメリカだし、ジョーもいるのだから英語で話しているかと思いきや、みんな日本語なのだ。もちろんジョーは話についていけず、
「Only English」
を連発するがフミはそんな言葉もお構いなしに日本語でしゃべり続ける。しかたなくマサがジョーに英語で話しかけ、二人で話しはじめるのだが、結局、車内の時のように「マサとジョー」「フミとフミトとユーヤ」という二つのグループには線が引かれてしまう。マサはユーヤと話をするという絶好のチャンスを逃してしまったわけだ。彼の描いたユーヤとのステキなシナリオが実現から遠のいているというのに当人は話に夢中で気づきそうもない。実はこれが後々まで尾を引くことになるのに...
宿に戻ると、体調が絶好調になったフミの独演会が始まった。フミは目を光らせながらルームメイトの悪口を機関銃のごとくフミトとユーヤにぶつけていた。ジョーはそんな光景をみながら大声で笑っている。みんな疲れ果てているはずなのに本当にいい人たちばかりである。
そのうちフミは騒ぎ疲れたのか、その場に寝込んでしまった。
「この野郎、オレのベッドに寝るんじゃねぇ。さっさと部屋にかえれ!」
マサが怒鳴ったが、「オレのベッド」というのは間違いで、正確にはじゃんけんでジョーに負けたマサとフミトとの共用ベッドである。
「臭っさあい、臭っさあい、私の服臭っさあい」
フミは怒鳴られるのになれてしまったのか、訳の分からないことを言いマサを翻弄する作戦にでる。
そりゃ臭いだろ。今日一日中きてたんだから。マサはまた怒鳴ろうとしたが。
「クッサァイ、クッサァイ」
とジョーがフミのまねをしだしたので、みんなで大笑いしてしまった。さすがジョーは大人である。みんなが日本語でばかり話すのに一言も文句を言わず、日本語でギャグをいってくれるとは。
やっとのことでフミを追い出し、みんなは眠りに就くことができた。
いうまでもないが熟睡であった?
・・・深夜 レッドロブスターの海老が暴れだした・・・
深夜だというのに誰かがドアをノックしている。
ジョーがドアの外にでてみるとユーヤがたっていた。どうやらフミが腹痛を起こしたらしい。ノックの音で起きたのはジョーとフミトだけだった
が、マサも無理矢理起こされる。マサが胃腸薬とセイロガンを常備しているのはみんな知っていることだったのだ。
「マサ、ユーヤにセイロガンあげてよ」
寝ぼけているマサはフミトにいわれたとおりユーヤにセイロガンを渡した。ジョーとフミトは心配してユーヤといっしょにフミの看護にあたったが、たいしたことはなさそうなので部屋に戻ることにした。
部屋に入るとマサは睡眠を続行していた。
「マサは何のためにセイロガンや胃腸薬を持っているのだろう?」
問題の海老を人一倍たべながらも平然としているマサを見ながら、ジョーとフミトは思わず吹き出してしまった。