マサたちは今日の宿探しをする事にした。昨日の失敗を生かし早めにモーテルを探すことにしたのだ。
それにしても今回の旅行は次から次へ問題がとでてくる。マサたちはアメリカでの生活でトラブルにはなれていたが、こうも頻繁にトラブルがあると、いい加減嫌気が差してくる。
時間が早いのとサンディエゴ市内ということで宿は簡単に見つけることができた。場所も海のそばだし部屋も広かったのでだれも文句を言うもはいなかった。
モーテルに荷物をおいて夕飯に向かう
珍しくジョーが行きたい場所があると自己主張を始めた。行きたい場所があったのなら、こんな夕飯時ではなくて昼に言えばよかったのに、と思ってもジョーはいい奴なのだ。そんなことはしない。もちろんがジョーが行きたいと言えば誰も反対するものはいない。全員一致でそこで夕食を取ることになった。
「ジョーが行きたい場所ってどこだろうね?」
フミトが好奇心ありげにマサに尋ねた。
「どうせビーチだろ。ジョーは海とか湖とか水関係が好きだからな」
マサはビーチなんてどこも同じようなもんだと思っているような性格だったから、ジョーの行き場所に興味を示さなかった。もちろんそれに対して不平を言うつもりもなかったから、要はなにも考えてないってことですね。
マサの予想通りジョーはピーチへ向かって車を走らせていた。
そしてそのビーチで一番はしゃいでいたのが、なぜかというかやっぱりマサだった。
「フミト、フミト!
見てみろよ、軍艦だよ、グンカン!」
ここのビーチには、現役を退いた空母や戦艦などが海の上に浮かんでいた。そうジョーはビーチではなくこれを目当てにきたのだ。ジョーはしきりにシャッターを押していたが、ことごとくマサに妨害される。
「Japanese say , GUNKAN」
「You know GUNKAN MARCH ?」
マサは軍艦を指差しながら、ジョーにパチンコでもおなじみの軍艦マーチを教えていた。永世中立国のスイス人に向かって軍艦マーチなんて...そりゃあユーやにも嫌われるって。
苦笑いをしているフミトはまだいいほうで、ユーヤとフミにいたっては恥ずかしさのあまりその場から立ち去ってしまった。
こういう状況を回復するのがフミトの役目だ。やっとの思いでマサをジョーから引き離し、いつものように説教を始めた。
「また、日本を勘違いされるようなこと言っただろ。この前はオレッグに向かって北方領土を返せなんていうし、マジ洒落なんないって」
「そんな深刻なるなよ、ジョーだって喜んでたしさ、面白けりゃいいんだよ」
マサはこんなことを本気でいう奴である。本人は面白いかもしれないが、世話役のフミトにしてみればいい迷惑だ。
「マサが変なことするからユーヤとフミが消えちゃったじゃないかよ。マサが責任もって捜してくれよな」
「あいつら軍艦に興味ないのかなぁ」
って言ってるぐらいだからマサは二人を捜そうなんて気は毛頭なかった。それでも、二入は少しだけユーヤとフミを捜す努力はしてみた。が、すぐにあきらめた。まあこういうことは日常茶飯事だし、いざとなればジョーがいる場所を目印にみんな集まってくるだろうと思ったからだ。
開き直った二入は軍艦のよく見えるベンチに腰掛け、ひとつ前のビーチでの反省会をすることにした。
「さっきはフミといい雰囲気になってたじゃん。たしか抱きあってたよな。よくやるよ」
「とんでもないよ、あいつ勘違いしてるんじゃないのか」
「勘違いしてるだろうな...」
二人はため息を吐いた。所詮、フミにこの旅行だけで我慢しろと言う方が無理だったのだ。
「そういうマサはどうなんだよ。ユーヤとは仲直りできた?」
「まさか、あんなひねくれ女と誰が仲直りできるんだよ」
「マサが思ってるほど嫌な女じゃないよ」
「フミトだからだよ。オレとあいつはどうやったって合いっこないんだよ」
「マサらしくないな、なんでも前向きに考えろっていつもオレに言ってたくせに、本当は仲直りしたいんだろ、だからこの旅行にユーヤがくることを拒まなかったんじゃないのか」
「最初はな、でもあいつはダメだ」
「もっと素直になった方がいいよ」
どこかで聞いたようなセリフだった...
ユーヤとフミがジョーの所へ戻ってきたので、5人は夕食を取ることにした。軍艦の見えるカフェレストランだ。今回ばかりはジョーが会話の進行役なので、必然的にみんな英語で話していた。身振り手振りや「ダダダーン」などの擬音が多いマサの会話に目をつぶれば、それなりに会話がなりたっている。やればできるじゃんという感じである。
ただ悲しいかな。s英語だと感情が伝わりにくく、ここにいる個性の強い日本の人たちにとってはマイナス面が多かった。みんないい子になってしまって、今までに起こっているトラブルのことなど誰も話したがらなかったからだ。本当はジョーにすべてを解決してもらうのが一番ベストなのだが、残念ながらそこまでの英語力や判断力は今の彼らにはなかった。
夕食を取りおわった仲良し5人組は心の中にモヤモヤしたものを感じながらもモーテルに向かった。そして、当然のことながらこのモヤモヤはその後に爆発することになる。
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