ホテルに荷物を起き夕食に向かう。フミトはこの辺の地理に詳しいらしく、ビーチのそばにあるジャパニーズレストランに向かった。 「てんぷら」「すきやき」など日本の代表的料理の名が壁にデカデカとかかれているいかにもアメリカ的なジャパニーズレストランだ。しかし味は日本にある食堂そのものである。マサはあまりのなつかしい味に感動して涙が出そうになった。それは他の3人も同じようで、みんな「なつかしい、なつかしい」を連発していた。
フレズノにもジャパニーズレストランはあったがジャパニーズなのはレストランの名前とメニューくらいで料理そのものは醤油を使ったステーキという感じだった。しかもカウンター越しに調理しているコックがいきなり「ショータイム」と言って包丁をヌンチャクのように振り回したときには、椅子からずり落ちそうになった。
「これが本当のすき焼きだ」
フミトが興奮しながらジョーに訴えている。ジョーはかなりの食通でフレズノのジャパニーズレストランでは感動しっぱなしだった。特に大根下ろしのはいったソースが気に入ったらしい。もちろんここのレストランでも日本の料理を褒めちぎっていた。ジョーは最初、マサに強制されて箸を使って食べていたが、どうしても肉をつかむことができず、マサにお願いしてフォークとナイフに変えると、うれしそうに食べ始めた。
ウェイトレスは日本人のよう思えたが
「茶、もらえますか」
と言うマサの言葉をまるで理解できなかったみたいなので、たぶん中国人か韓国人だろう。
「Tea,please」
今度は言葉が通じたみたいでさっそくお茶を持ってきた。
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マサとフミトはジョーに一生懸命、日本料理の説明をしていた。
「日本人は箸でハエをつかむことができるんだぜ」
マサは調子に乗るとなんでも大げさに言ってしまう。そのたびにフミトにつっこまれていた。
フミとユーヤはどういう訳か仲良く話をしている。「女の気持ちはよくわからん」マサは呆れながらもほっとした。とにかく事態はいい方向に向かっている。ロスに来たのは間違いではなかったのだ。
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