「フミ一人だと退屈するだろうから、いっしょにどうだい。たまには旅行するのも悪くないよ」
「最後で授業でマサの言った一言が忘れられないんだよ。友人を作るためにアメリカに来たんだってね。いつもは嘘ばっかりだけど、あれは本心だったと思うよ」
「彼らは君を誤解している。君が彼らをそう思ってるようにね」
「あなたは本当に男の子を好きになったことがないのよ。だからそう冷静に考えれるのよ。本当に人を好きになったら冷静になんか考えられないわ」
「夏になったらまた戻ってくるからさ、ちゃんと空港に迎えに来いよな」
「絶対いくわよ。だから絶対戻って来てね」
頭の中をさまざまな言葉が交錯する。
これは、夢なのか現実なのか...
これまでに経験したことのない不思議な朝だった。
昨夜の飲みすぎがたたり、少し頭が痛い。
呆然としながらもあたりを見渡してみる。
ベッドに横たわっているフミ、
食べ掛けのチョコレート、
つけっぱなしのテレビ、
ごみ箱を埋め尽くすほどのビールの空缶、
徐々に現実がのみ込めてきた。マサとジョーは部屋に戻ったらしい。
フミはグロッキー状態のようだ。飲めない酒を無理矢理飲まされたからであろう。さすがのフミも今日一日はおとなしいに違いない。
ジョーは無事に部屋に戻れたのだろうか、昨夜のジョーの錯乱ぶりを目の当たりにしただけに、ちょっとだけ心配になった。 しかし、ジョーには感謝しなければならない。
「確かに、たまには旅行するのも悪くはないかも」
ユーヤはそう思い始めていた。