3.電離平衡
◎弱酸の電離平衡
弱酸としておなじみ酢酸は水溶液中で以下のように電離します。
CH3COOH + H2O ⇔ CH3COO- + H3O+
ここで、x molの酢酸を水に溶かしてx Mの酢酸溶液を作った時のCH3COO-とH3O+について考えてみましょう。二つのイオンは同時に等量できるので、両方とも、
酢酸を水に入れた瞬間:0 [M]
電離平衡に達したあと:xα [M]
となります。αは電離度で、「電離した分子数/元の分子数」です。つまり、電離度0だったら電離しない。0.5だったら半分電離している。1だったら全部電離。ということです。
次に、CH3COOHの濃度は次の様になります。
酢酸を水に入れた瞬間:x [M]
電離平衡に達したあと:x - xα [M]
普通、平衡に達した状態で物事を考えるので、知っていたい濃度は電離平衡に達したあとの、
[CH3COOH] = x - xα [M]
[CH3COO-H3O+] = [H3O+] = xα [M]
です。
◎電離定数
さて、酢酸の電離を素直に質量作用の法則にあてはめてみましょう。CH3COOH + H2O ⇔ CH3COO- + H3O+だから、
Kc={[CH3COO-][H3O+]}/{[CH3COOH][H2O]}
Kcは濃度定数と呼ばれ、温度一定ならば一定の値です。
水の濃度は一定と考えて差し支えないので、定数扱いします。両辺に[H2O]をかけて、
Kc[H2O] = {[CH3COO-][H3O+]}/[CH3COOH]
ここで新しい定数、Ka = Kc[H2O]を定義します。Kaは電離定数と呼ばれています(多分、酸の電離定数というのが正確な言い方だと思うのだが、そういう言い方はされないようです。)。書き直すと、
Ka = {[CH3COO-][H3O+]}/[CH3COOH]
ここに、濃度を当てはめると、
Ka = {(xα)(xα)}/{x - xα}
すなわち、
Ka = {1/(1 - α)}xα2
ところで、弱酸っていうのは弱い酸、要するにあまり電離していない酸ですよね?だから、αというのはすごく小さな値、0.1-1.0 mol/lで0.01くらいらしいんです。だから、{1/(1 - α)}=1/0.99≒1として、
Ka = xα2
αについて解くと、
α = √(Ka/x)
更に、[H+] = xαだから、
[H+] = √(xKa)
即ち、
pH = -log √(xKa)
ゆえに、
pH = -1/2(log x + log Ka)
と、この様に、いろいろなことがわかるわけです。
◎強酸の場合
代表的な強酸HClについて考えてみましょう。HClは水溶液中で完全に電離しているので、
HCl → H+ + Cl -
x Mの塩酸なら、H+の濃度はx M。つまり、pH = -log x
んー。簡単。
◎弱塩基、強塩基の場合
酸と逆の事をすればOK。違いは、電離定数はKbと書かれることです。