1996年1月31日制定
1997年2月15日改正
1998年1月06日改正
1999年1月15日改正
2000年3月02日改正
第1条 論題
本大会の論題は、政策論題とします。
第2条 試合のフォーマット
本大会は以下のフォーマットで試合をします。
| 肯定側立論 | 6分 |
| 否定側準備時間 | 1分 |
| 否定側質疑 | 3分 |
| 否定側準備時間 | 1分 |
| 否定側立論 | 6分 |
| 肯定側準備時間 | 1分 |
| 肯定側質疑 | 3分 |
| 否定側準備時間 | 1分 |
| 否定側第1反駁 | 4分 |
| 肯定側準備時間 | 2分 |
| 肯定側第1反駁 | 4分 |
| 否定側準備時間 | 2分 |
| 否定側第2反駁 | 4分 |
| 肯定側準備時間 | 2分 |
| 肯定側第2反駁 | 4分 |
試合の各ステージ(立論・質疑・反駁)は、それぞれ担当チームの持ち時間です。この時間中に発言の中断がなされたり時間が余ったりすることがあっても、次のステージに進むことはありません。
第3条 試合の進行
試合は、司会者の指示によって進行します。ディベーター、聴衆は、司会者の指示に従わなくてはなりません。
各ステージの担当者は、定められた時間を越えてスピーチをすることはできません。定められた時間を越えてスピーチがなされた場合には、超過時間中に話された内容をすべて無効とします。なお、スピーチの順序や内容についての予告は、時間内に行うこととします。
第4条 各ステージの担当
1.本大会では、4名のディベーターが立論・質疑・第1反駁・第2反駁の各ステージをそれぞれ担当するものとし、質疑に対する応答は立論担当者が担当するものとします。急病などやむを得ない事情によってディベーターが欠けた場合は、主催者が対応措置を決定します。
第5条 コミュニケーションの責任を果たすこと
1. 各ディベーターは、発言内容を審判・聴衆・相手チームにわかりやすく伝える責任を負います。これをコミュニケーションの責任と呼びます。この責任を果たすため、各ディベーターは、明瞭な発音、適切な速度、十分な声量で、スピーチを行わなければなりません。
2.コミュニケーションの責任が十分に果たされていない場合には、発言内容がどんなに優れたものであっても、審判が発言内容を適切に理解できないので、判定に考慮されないことになります。
第6条 ナンバリング・ラベリングを適切に行うこと
1.ナンバリングとは、項目に番号を付けることです。ラベリングとは、項目にラベル(見出し)を付けることです。
2.各ディベーターは、各ステージでの発言内容をいくつかの項目に整理し、ナンバリング・ラベリングを適切に行って各項目の位置づけを明確にしなければなりません。
3.立論においては、定義・プラン・メリット(あるいはデメリット)などの要素がそれぞれ何点に分けられているのか、発言内容の中の各項目がどの要素の何点目に当たるのかを明示しなくてはなりません。
4.質疑においては、質問者は、どの要素の何点目についての質問を行うのかを明示しなくてはなりません。
5.反駁においては、述べる項目を明確に区分し、各項目がどの要素の何点目に関するものなのかを明示しなければなりません。
6.ナンバリング・ラベリングが適切に行われなかった場合には、発言の整理や位置づけは審判の解釈に委ねられることとなり、発言者の意図とは違った位置づけを与えられる恐れがありますので、十分な注意が必要です。
第7条 主張に根拠を伴わせること
1.ディベーターは、個々の主張を根拠によって立証する責任を負います。
2.主張を支える根拠を示す方法には、論理的理由づけを述べる方法と証拠資料を示す方法とがあります。
論理的理由づけとは、特に証拠資料などを挙げず、誰もが認める考えをつないで主張の裏づけとする根拠をさしています。証拠資料とは事実報告や統計資料、専門家の見解などを記してある文書のことです。
第8条 証拠資料はその条件を満たすこと
1.証拠資料として認められるものは、公刊された出版物で第三者が入手可能なもの、及び、政府の公表した報告書などこれに準ずるもののみとします。インターネット上の情報、独自のインタビューや調査結果などは、資料の性質に応じてその信憑性が判断されます。
2.証拠資料を示す際には、著者の肩書き・著者名・文献名・発行年を明示し、引用開始と引用終了を明らかにして、文章の改変をせずに読み上げなくてはなりません。また、著者の意図を曲げるような不適切な省略を行ってはなりません。
こうした条件が満たされていない場合には、証拠資料の信憑性がそれだけ低いものと判断されます。
3.審判あるいは相手チームから、それまでに読み上げた証拠資料の提示を求められたときには、証拠資料を提示しなくてはなりません。ただし、相手チームが証拠資料の提示を求めることができるのは、その相手チームの準備時間中のみであり、その準備時間の終了までに返却しなければなりません。
4.本大会では、図や表の掲示は認められません。なぜなら、本大会は口頭でのコミュニケーションを重視しているからです。
第9条 マナーに留意すること
ディベーターは、相手チーム、審判、司会者、聴衆に対し、不快な感じを与えないように、マナー(礼儀)をわきまえた言動をとるようにしなければなりません。
第10条 反則行為と処分
1.反則行為とは、以下の場合です。
1) 大会に出場者として登録されていない者が出場したとき
2)あらかじめ届けられた担当ステージと異なるステージを担当したとき。
3) 同一のディベーターが2つのステージを担当したとき。ただし、第4条第2項のやむを得ない事情によるものは除外する。
4)司会者の指示に従わず、試合の継続が困難と判断されるとき。
5)証拠資料をねつ造・改変したとき。
6)各チームのディベーターが、試合中にチームのディベーター以外の者と相談をしたり電話・パソコン等を使用して外部と通信したとき。
7)スピーチ中のディベーターに対して、他のディベーターが口頭でアドバイスを行ったとき。
8)著しくマナーに反する行為があったとき。
9) その他、ディベーター並びにチームの関係者が大会運営に重大な支障を生じさせたとき。
2.1.の反則行為のうち、1)、2)、3)、4)については、審判の判断で、該当チームをその試合は敗戦にします。
3.1.の反則行為のうち、5)、6)、7)、8)、9)については、主催者の判断で、該当チームを、その試合を敗戦またはその大会は失格にすることがあります。
第11条 立論
1.立論の役割と要素
肯定側立論では、論題を肯定すべきことを主張します。その際、必要な根拠はすべて提示しなければなりません。肯定側立論の要素は、1)定義、2)プラン、3)メリット、を原則とします。
否定側立論では、論題を否定すべきことを主張します。その際、必要な根拠はすべて提示しなければなりません。否定側立論の要素は、1)定義、2)プラン、3)デメリット、を原則とします。
2.定義
論題中の語句の定義は、原則として肯定側立論で述べられたものが採用されます。
ただし、否定側は、代替の定義を示すことができます。この場合、肯定側の定義が不当であり、かつ、否定側の定義が妥当であることが示されれば、否定側の定義が採用されます。
定義が示されなかった語句の意味は、審判が常識に従って判断します。
3.肯定側のプラン
肯定側立論におけるプランとは、論題で述べられた政策を実施する具体的な方法のことです。
プランは、論題の範囲の中になければなりません。プランの全体または一部がこの範囲に入っているかどうかは、試合中の議論に基づき審判が判断します。また、議論がなかった点については常識に従って審判が判断します。
プランの中に論題の範囲から外れる部分がある場合には、その部分は無効となり、その部分を根拠にした議論は判定の対象となりません。
プランにおいて不明な点は、審判が常識に従って判断します。
4.フィアット
政策論題に基づくディベートでは、プランを実行すべきかどうかを議論するのであって、現実の世界で実行主体がそのプランを実行することを証明する必要はありません。このように、ディベートの試合のなかでは、プランの実行主体がプランを実行すると仮定することを「フィアット」と呼びます。
5.否定側のプラン
本大会では、否定側は、現状維持の立場をとるものとし、肯定側と異なる別のプラン(対抗プラン)を出すことはできないものとします。なぜなら、対抗プランが出されると、個々の論点について十分な時間を割いて議論を行うことが困難になるからです。
仮に対抗プランが出されても、対抗プランは無効で、否定側は現状維持の立場をとるものとみなされます。この場合、混乱を避けるため、立論直後などに、審判が必要な説明を行うことがあります。
6.メリット
メリットとは、プランから発生する好ましい効果のことです。
肯定側は、個々のメリットについて、1)ラベル、2)発生過程、3)重要性、の3つを述べる必要があります。
「ラベル」は、メリットの内容を示す、凝縮された短い言葉で示します。
「発生過程」では、肯定側のプランからどのようにメリットが発生するかを順序よく述べます。
「重要性」では、ラベルで示されたメリットが、なぜ重要なのかを説明します。
「発生過程」と「重要性」は、内容などに応じて、どちらを先に述べてもかまいません。
これらの要素が明示的に述べられなかった場合には、審判が常識に従って判断します。
7.デメリット
デメリットとは、プランから発生する好ましくない影響のことです。
否定側は、個々のデメリットについて、1)ラベル、2)発生過程、3)深刻性、の3つを述べる必要があります。
「ラベル」は、デメリットの内容を示す、凝縮された短い言葉で示します。
「発生過程」では、肯定側のプランからどのようにデメリットが発生するかを順序よく述べます。
「深刻性」では、ラベルで示されたデメリットが、なぜ深刻なのかを説明します。
「発生過程」と「深刻性」は、内容などに応じて、どちらを先に述べてもかまいません。
これらの要素が明示的に述べられなかった場合には、審判が常識に従って判断します。
8.メリットとデメリットの数
本大会では、メリットとデメリットの数はそれぞれ2つまでとします。これは、個々のメリット(あるいはデメリット)について十分な議論を行うことを可能とするためです。 仮に立論において、3つ以上のメリット(あるいはデメリット)が出された場合には、3つ目以降は無効となり、判定の対象とはなりません。この場合、混乱を避けるため、立論終了後に、審判が必要な説明を行うことがあります。
ただし、肯定側が出したメリットが逆にデメリットとなることを否定側が示したり、否定側が出したデメリットが逆にメリットとなるということを肯定側が示したりすることは認められます。
第12条 質疑
質疑においては、立論の内容などについて質問を行い、一問一答形式で相手チームに応答してもらいます。質疑における主導権は、質問する側にあります。
質疑に対する応答は、立論の補足として扱われます。質疑で明らかにされた情報を議論に活かすためには、その後の、立論、あるいは、反駁で改めて述べる必要があります。
第13条 反駁
反駁においては、主に以下のことを行います。
・相手チームが主張するメリット(あるいはデメリット)に対する反論
・相手チームからの反論に対する再反論
・メリットとデメリットの大きさの比較
第14条 その他
1.新しい議論
立論で提出されず、反駁で新たに提出された主張・根拠は、「新しい議論」と呼ばれ、無効となり、判定の対象となりません。なぜなら、主張や根拠は、相手に反論の機会を十分に与えるため、立論で提示されなくてはならないからです。
ただし、相手の持ち出した主張・根拠に反論する必要から生じた主張・根拠は「新しい議論」とはみなされません。
2.遅すぎる反論
相手チームの主張・根拠に対する反論は、相手チームに再反論の機会を十分に与えるため、可能な限り早くなされなければなりません。すなわち、肯定側立論に対しては否定側第1反駁あるいは否定側立論で、否定側立論及び否定側第1反駁に対しては肯定側第1反駁で、肯定側第1反駁に対しては否定側第2反駁で、否定側第2反駁に対しては肯定側第2反駁で、それぞれ反論を行う必要があります。この条件を満たさない反論は、「遅すぎる反論」と呼ばれ、無効となり、判定の対象となりません。
3.アピール
第10条第1項の反則行為があったと考えられる場合、各チームのディベーターは試合中あるいは肯定側第2反駁直後に審判に向かってアピールを行うことができます。アピールは司会者の許可を得て行います。
第15条 審判
1.試合の判定は審判が行います。
2.審判が行う判定では、次の二つのことをします。
1)勝敗の決定をする。
2)コミュニケーション点を付ける。
第16条 勝敗の決定方法
1.基本的な考え方
肯定側のプランを実行した場合のメリットの全体がデメリットの全体よりも大きいかどうかによって決められます。すなわち、メリットの全体がデメリットの全体よりも大きい場合には肯定側の勝利、そうでない場合には否定側の勝利となります。
2.勝敗の決定
勝敗の決定は、基本的に、次のように行います。
1)個々の論点についての判断
2)個々のメリット(あるいはデメリット)の大きさの判断
3)メリットの全体とデメリットの全体の比較
3.個々の論点についての判断
個々の論点については、次の基準で判断します。
一方のチームが根拠を伴って主張した点について、相手チームが受け入れた場合、あるいは反論を行わなかった場合、根拠の信憑性をもとに審判がその主張の採否を判断します。
一方のチームの主張に対して相手チームから反論があった場合には、審判は両者の根拠を比較して主張の採否を決定します。すなわち、主張の根拠が反論の根拠よりもすぐれている場合には主張を採用し、そうでない場合には主張を却下します。この際、一般には次のような基準が考慮されます。
1)根拠を伴うものは、根拠を伴わないものより当然ながら有利になります。
2)論理的理由づけのうち、より緻密なものがそうでないものより有利になります。
3)証拠資料のうち、事実報告においては具体性・媒体の性質など、統計資料においては調査時点・調査方法など、専門家の見解においては理由づけの良さ・専門性の高さなどの観点で優れているものが有利になります。
4.個々のメリットあるいはデメリットの大きさの判断
審判は、個々の論点についての決定に基づき、次のように個々のメリットあるいはデメリットの大きさを判断します。
発生過程については、メリットあるいはデメリットとして述べられたことが、プランを導入した場合のみに確実に発生すると言えるかどうかを判断します。一部分のみ発生するという判断、あるいは逆の事態が発生するという判断もありえます。現状のままでも発生すると言える部分は、メリットあるいはデメリットから除外します。
重要性/深刻性については、発生すると判断された部分についてのみ、それがどれだけ重要か/深刻かを判断します。ここで判断された重要さ/深刻さの程度が、メリットあるいはデメリットの大きさとなります。メリットとして主張されていたことが実は深刻なデメリットであった、あるいはデメリットとして主張されていたことが実は重要なメリットであったという判断もありえます。
5.メリットの全体とデメリットの全体との比較
審判は、個々のメリットあるいはデメリットの大きさについての判断に基づき、メリットの全体とデメリットの全体のどちらが大きいかを決定します。なお、互いに類似した複数のメリットあるいはデメリットがある場合には、重複を排除して全体の大きさを判断します。
第17条 コミュニケーション点の付け方
コミュニケーション点とは、第5条に挙げられたコミュニケーションの責任を、ディベーターがどれだけ果たしていたかをマナーも加味して、次のように5段階評価するものです。
「5点」非常に優れている
「4点」優れている
「3点」普通
「2点」改善の必要がややある
「1点」改善の必要がかなりある