午後1時半頃、全ランナーの持ちタイムから算出した予想時間を10分上回る好ペースでバン1号の最終ランナー、ロイが中継所に現れた。ここからバン2号の第一走者リックにバトンタッチされる。リックの次が僕の出番だ。ロードレースのベテランリックは予想を上回るナパの猛暑もものともせず予定通りのペースで走りきった。ここから第8区、7.4マイル、僕の最初の区間が始まった。
気温はゆうに30度を越えていた。長距離に慣れていない僕にとってもっとも難しいのは一定のペースで走ること。学生時代400mを走っていた頃も、「前半200行けるだけ行ってしまえタイプ」だった僕は長距離をやらせてもやはり同じだった。前半強烈な坂を含む3マイルをほぼマイル7分ペースで駆け抜け見守るバン2号のメンバーを驚かせたまでは良かったがそこまでだった。暑さとオーバーペースに叩きのめされた後半4.4マイルは地獄のようだった。
ほぼジョギングレベルにまで落ちたペースではいくら走ってもゴールが見えない。本当にエンドレスに思われた。バトンを次の走者に渡せないんじゃないだろうか、と何度も思った。だがどんなにペースが落ちても立ち止まりはしなかった。一度止まったらもう絶対走り出せないと分かっていた。ストップウォッチはゆうに一時間を越えたが中継所は見えなかった。それでも止まらず走れたのはバン2号の皆の声援、他チームからの声援、そしてアスリートとしての自分の意地だったのだろう。
疲労がある一線を越えたとき、わずかながらペースが戻ってきた。ランナーズハイというやつだ。視線の先に中継所が、次を走るシェリーの姿が見えてきた。結局69分という予定をはるかに下回るタイムでシェリーにバトンを渡すと、足はガクガク、頭はフラフラだったが異様な達成感が体中にみなぎっていた。あの時飲んだゲータレ―ドのうまさは今でも忘れられない。