西暦199X年
この物語は、1994年2月6日にNIFTYの某フォーラムで発表したものです。いわゆるサイバースペースの将来をふと考えていっきに書き上げました。特にHabitatIIのアバターのかたにはうけるかもしれません。:-)
ある日曜日の夜、俺はいつものようにパソコンのスイッチを入れた。さて、今日はどこに行こうかな。そうだ、秋葉原にでも行ってみるか。マシンが立上りパソコンに接続されたデジタル回線で、自動的にセンタに接続する。無事接続が完了し見慣れた風景が表示された。ここはどこだろう。地面をHELPしてみる。
ああ、俺の会社の本社だ。この前の出張で来たままだったな。マウスを操作して、正門から会社を出る。取りあえず駅に行こう。道をどんどん進む。途中で何人かのアバタが声をかけてくる。
「どこに行くんですか?」
「ちょっと、秋葉原まで。」
会話はデジタル合成された声だ。ちゃんとその人の声で聞こえる。アバタの顔は好きな顔にアレンジできるが、俺は最初から自分の本当の顔で通している。
駅についた。さて切符売場は。あったあった、マウスで右側を見たら、自動販売機がある。自動販売機をクリックすると、画面が変わり行き先選択のメニューになる。
「秋葉原まで29トークンか。」
自動販売機にトークンを入れ、行き先を指定すると、画面がパッと消え、しばらくしたら、秋葉原駅前の風景が表示された。ここはいつもアバタが多い。道の真ん中でメモを配っているアバタもいる。あれは実際に小遣いを稼いでいるのだそうだ。
今日はカーステレオを見よう。最近はGPS付が当たり前になっているらしいから、俺もそんなのを買ってみたいな。取りあえず、カーステレオが並んでいる店の前に立ち止まった。
店の中から、店員のアバタがでてくる。
「お客さん、何をお探しですか。」
「うーん、最近流行のGPS付のカーステが欲しいんですが。」
「それなら、これなんかどうですか?」
いきなり画面が変わって商品のカタログが表示された。もちろん店員との会話はそのまま続けられるので、細かいところを聞くことができる。カタログはマウスでクリックして拡大したり、次のページを見たりできる。
「機能的にはいいんだけどいくらするの?」
「59,800円だよ。お客さんならもう少しまけてもいいかな。」
ここではトークンは通用しない、円である。つまり、実際に口座から自分のお金が引かれるのだ。
「ちょっと、高いなあ。」
「じゃあ、これなんかどうかな。」
次の品物のカタログを見る。
「これなら、44,000円だよ。」
「うーん。もう少し歩いてから来るね。」
「待ってるよ。お客さん。」
店員の人はメモを手渡してくれた。これは名刺である。お店の実際の住所と電話番号とIDが書かれている。これで、実際に電話をかけて品物を注文することもできるのだ。便利になったものである。
もう少し、散策してみるか。俺は大通りのほうへ向かって歩きだした。今日はいい天気なので歩行者天国になっている。まわりからいろいろな声や音が聞こえてくる。本当に秋葉原にいるような錯覚を覚える。
ぐるりと回って、銀行が見える。そうだ、口座の残高をチェックしておくか。銀行の入口へ向かう。銀行に入ると、画面がATMの画面に切り替わる。残高照会をマウスでクリックする。暗証番号を聞いてくるので、キーボードから入力する。
「ふむふむ、結構あるな。思い切ってさっきのカーステを買うか。」
銀行をでて、さっきのお店に向かう。さっきの店員が待っていましたとばかりに、
「お客さん。決まりました? お安くしておきますよ。」
「じゃあ、さっきの安いほうのカーステをください。」
「どうもありがとうございます。じゃあ、これをお願いします。」
店員からメモを渡される。これは購入契約書なのだ。自分のプライベート情報を入力し、店員に渡す。これで、買い物は完了だ。購入契約書のコピーは自分のパソコンの中にも保存される。
「お届けは2日後ですので。毎度ありがとうございました。」
店員がペコリとおじぎをした。俺もつられておじぎをしてしまった。
さて、買い物も済んだし、帰るかなと思った時に本屋が見えた。
「そう言えば、今日はおれの好きなマンガの発売日じゃないか。」
マウスで操作して、いそいそと本屋に入る。マンガコーナへ行き本棚を探す。
「あった、あった。あれはどうなったかなぁ。」
GETすると、本が開き、画面いっぱい表示され、マウスでパラパラめくることができる。しかし、本屋では立ち読み禁止のため20秒以上本が持てない。
「よしよし、これを買おう。」
GETして、店員に手渡すと先ほどのような購入契約書を渡されるので、また記入して店員に返す。本の場合は購入するとパソコンで読める形式で、自動的にダウンロードされる。もし、実際の紙の本が欲しい場合はそちらも送ってくれる。ちょっと、追加料金が必要だが。俺は紙は嫌いなので、ダウンロードのみを選んだ。受信中というメッセージが表示され俺のパソコンの中にマンガのコピーが入った。
今日はちょっと買い物をしすぎたかな。パソコンのメニューをえらび、終了を選択する。カチッと回線の切れる音がして、現実社会に戻ってきた。
しかし、便利な世の中になったものだ。こんな片田舎なのに、回線1本で東京で買い物ができるんだもんな。
#この話はフィクションです。:-)
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Last Update 14, Sep 1997.
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