沖縄旅行記 4

 福島駅行きの新幹線に乗車した。 座席が4:2にわかれ、福島で何をするかという論議に突入した。

 「4側」に位置する人達の楽しそうな声は、 意外だと思われるかもしれないが「2側」の人達には苦痛に感じる。 ていうか、おれだけかもしれないけど。

 「おがた君」はおれと同じく「2側」になってしまった。 やはり「通路」という壁は厚いらしく、 おれよりも皆との関係が強いにもかかわらず 「コミュニケーションを取る」という行動に早くも見切りをつけたようだった。 いつものおれも多分そうしただろうが、 今日のおれは、明らかに違っていた。 今気がついたが、「おがた君」と「おかだ君」、濁点違いですな。

 この旅行が始まってから、 この1年半の間 絶え間なく「意識的」な孤立感と「無意識的」な孤独感を味わわせてくれた 「会社」という束縛枠を、ほんの少し崩せたような気がしていた。 metaphysicalの 内側から。

 そんなおれを「まだ子供だ」という人がたまにいるが、 精神的「大人と子供」と 精神の「成長と老化」の理解がごちゃ混ぜになっているようだ。 ということは、まだおれの精神は成長してるって事だろうか。

 福島駅より前の「郡山駅」で降車して レンタカーで動くという事や福島での大体の行動が決まり、 緩やかな時間が流れた。 郡山駅までの新幹線内の空気は わりと軽く、 さくさくっと進んだ。 3本のビール缶が あっという間に空き缶になる程に。

 駅に着くなりレンタカーを探す。 が、駅レンタカーにはもう車は無かった。 そこで駅からちょっと離れた所で レンタカーゲット。 勢い良く乗り出し、絵に描いたように道に迷う などの小気味良いリズムで旅が進んだ。 そう、この連休は「旅」以外なにでもない。

 新幹線から降りてから予約した 猪苗代湖のペンションに向かって車を走らせる。 途中猪苗代湖を通りすぎた。 おれが「スワンに乗る」といったら「相模湖のスワンにでも乗れ」といわれた。 おれはなんていい仲間達と一緒にいるのだろうと、 自分自身をうらやましく思った。

 午後4時に差し掛かり、 昼飯抜きの日が多いおれは平気だが回りの連中がごねだした。 そんな中「うまいで有名」な蕎麦屋に着く。 営業していないようだ。 納得がいかず、後部座席に座っていながら 雨が降っているにもかかわらずに 必至に車から出て 何があったのか見に行こうとするねーさん。 「売り切れ」の文字が見えたときのその姿が、 いつも元気なおねーさんから想像もできないくらいに ガックリしたオーラを放っていた。

 そんなごとうさんを見てかわいそうだと思ったのか かんださん 「このままだと 夕食は米沢牛じゃなくってウィンナーかなあ?」 の一言。 おかげで皆笑顔になった。 おれも面白いと思ったが、誰もが「もしかしたら」と思ったに違いない。 何しろここにいる事自体、もしかしたらを超えたものだから。 このまま「もしかしたら」の軌跡を描きつづけるのか? 「そんなことはさせない」と おれは明日からではなく今から変える術を模索したが、 「心の持ちようだろ」の一言で片付けられる程に そんなにやな感じの空気を長続きさせるような連中ではなかった。 そしてそれは、この連休が変わり始めたと感じさせる瞬間でもあった。


1999年10月20日作成
1999年10月27日更新
何か一言いただけるなら こちらへ[nyacki@geocities.co.jp]