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2001.12.28
CPUガイド(2002年版)はじめにこのサイトにCPUガイドを最初に掲載してから3年間が経過しました。この間、随時新しいCPUの情報を追加してきましたが、最近このマーケットは一変しました。そこで、このガイドの最新版を作り直すことにしました。対象とするCPUは、エントリーレベルからハイエンドデスクトップPCとしました。 CPUマーケットの変遷ここ3年間で、CPUのコアスピードは約10倍になり、100MHz台からGHzゾーンになって来ました。一方で、CPUのサプライヤーはインテルとAMDに2極化しました。 インテルは、エントリーレベルをCeleron CPU、ミッドレンジからハイエンドをPentium 4 CPUで、AMDはそれに対応するマーケットをDuron CPUとAthlon CPUでカバーしています。インテルは最新コアTualatin Pentium CPUの発売を機に従来のPentium III CPUの対象マーケットを二つに分け256KB L2キャッシュのPentium III xxxEをCeleron CPUとし、512KB L2キャッシュを持つPentium III Tualatin CPUはSMP機能を残して、ハイエンドワークステーション、エントリーレベルサーバー用としました。従来のPentium III xxxEBがカバーしていたデスクトップマーケットはPentium 4 CPUに切り替えました。 そして、2002年の初めには、512KB L2キャッシュを持つ Northwood Pentium 4 CPUが発売されるでしょう。 AMDは、エントリーレベルをDuron CPU、その他をAthlon XP CPUでカバーしています。 そのほか、VIAはCyrixブランドを買収しCチップCPUとして発売していますが、パフォーマンス面でCeleron/Duron CPUにはるかに及ばず、今回のガイドには紹介しませんでした。 テスト環境このガイドのテスト環境とベンチマークは次の通りです。OSは、すべてのプラットフォームでWindows XP Professional英語版を使っています。英語版としたのは、Sysmark 2001の動作環境要求を満たすためです。 Pentium 4プラットフォーム1
Pentium 4プラットフォーム2
Athlon/Duronプラットフォーム
ベンチマークとその特性概要
ベンチマークCPUの表記
エントリー・ミッドレベルCPUこの分野では、Pentium 4/Athlon/Duron CPUはコアクロックに応じたパフォーマンスを示します。問題は、Celeron 1200です。Sandraで測定したCPU自体のパフォーマンスは悪くないのですが、実際のアプリケーションでは特異なパフォーマンスを示します。MP3オーディオエンコーディングでは、このグループでトップパフォーマンスであるのも拘わらず、OpenGLとMPEG4ビデオエンコーディングのパフォーマンスは最低です。当面の競争相手であるDuron 1200に完全に押さえられています。これら2つのCPUは、FSBは共に100MHzですが、L1/L2キャッシュアルゴリズムの違いが総合的なパフォーマンス差となって表れているものと思われます。 また、Pentium 4もハイコアクロックの割には、Athlonに比べて総体的にパフォーマンスは低い傾向が見られます。この辺りの議論については、次の節を参照ください。
ミッド・ハイエンドレベルCPUこの分野では、Sandra CPU整数演算とOpenGLパフォーマンスを除いて、同じクロックまたはPR表示されたCPUでは、Athlon XP CPUがPentium 4 CPUを押さえています。これは、Athlonが実コアクロックでなくPR (Pentium Rating)表示しているからです。整数演算ユニットは、実行パイプラインを持たずコアクロックがそのまま測定値に表れる結果このような値になります。 また、Pentium 4とAthlon(Duronも同じ)CPUとのアーキテクチャ上の最大の差はL1キャッシュサイズです。Pentium 4のL1キャッシュは、命令12k micro ops (Micro Operations)、データはわずか8KBです。一方、Athlon/Duronは命令、データ共に64KBです。L1キャッシュとCPUコア間のデータバス幅はPentium 4が256ビット、Athlon/Duronが64ビットです。パフォーマンスに関して、CPUアーキテクチャの観点からは、連続するCPUオペレーションサイクル間のデータ(命令を含む)変化が十分小さいときは、L1キャッシュとCPUコア間のデータ転送バンド幅が広い方が有利になります。ところが、このデータ変化が大きいときは、L1キャッシュサイズが大きい方が有利になります。どちらのアプローチを選択するかは、非常に難しい問題です。おそらく、Pentium 4 Netburstアーキテクチャは、比較的Operationサイクル間のデータ変化量が少ないマルチメディア性能を重視し、MMユニットパイプラインを強化することで、今後のCPUマーケットにフィットする製品を目指したのでしょう。AMD Athlonのパイプライン構造は、Alpha ChipやPower PC Chipと並んで端正です。AMD Athlon/Duronは、これに比較的大きなL2キャッシュを組み合わせてオールラウンダー製品を目指したのでしょう。その結果整数演算パフォーマンスを除いて、実際のCPUコアクロックでは25%も遅いにもかかわらずPentium 4 CPUと互角かそれ以上に戦える結果を得たのです。 下の図をよく見ると、比較のためとりあげたCPUのすべてのパフォーマンス偏差は30%以内に入っていることです。これは、これらのどのCPUを使っても体感速度に差は感じられないことを意味します。トップクロックCPUは単にユーザの見栄を満たすに過ぎない製品かもしれません。後述のコスト・パフォーマンスの節も参照ください。
パフォーマンスインデックス
上の絵は、今回とりあげたすべてのCPUについて、それらの固有の特性を無視して、各ベンチマークのパフォーマンスの最高値を1としたインデックスの単純平均値を比較したものです。前節の図を参照してわかるように、Athlon XP 2000+は整数演算とOpenGLでトップでないので0.99となります。インデックスの最高値を持つAthlon XP 2000+と、最低値を持つDuron 950との差は約40%です。この40%のためにCPU価格インデックスがどの程度違うのかは次の節で議論します。 コスト・パフォーマンスインデックス
日本語で一般に使われる「コスト・パフォーマンス」は、対象とする物のパフォーマンスをその価格で割った(Performance/Price)インデックスです。価格当りのパフォーマンスを示します。上の表は、今回とりあげたCPUの中でこのインデックスが最も優れているAMD Duron 950を1として、これらのインデックスを相対表示したものです。CPUの最新実勢価格情報はPC Watch 「CPU、HDD、メモリ相場情報(秋葉原 '01/12 第4週)」から引用しました。(この調査に含まれていない P4 1.4GHz および Athlon XP2000+の価格は、それぞれ、15,000円、50,000円と想定) 最初は何から以上、種々のCPUの特性を議論してきました。それでは、将来の拡張を見込んで最初に何を選んでおくべきなのでしょうか。 Celeron/Pentium III系CPUインテルは、Tualatin系CPUを256KB L2キャッシュ、100MHz FSBのCeleronと512KB L2キャッシュ、133MHz FSBのPentium III CPUとして位置付け、従来のCoppermine Pentium III xxxE/EBに対応する製品を廃止する方向です。このガイドにPentium IIIをとりあげなかったのはそのような理由によります。Tualatin Celeron/Pentium CPUの動作するプラットフォームでは、Coppermine Celeron/Pentium IIIはじめすべてのソケット370 CPUが動作します。初期コストを安くするには、Celeron 1200から始めるのがいいでしょう。また、中古や新中古のPentium III/Celeronが入手できればそれを使うのも一つの方法です。 なお、Celeron/Pentium III系CPUはマルティメディア命令セットSSE2をサポートしていませんし、その計画もありません。マルティメディア指向のPCを計画するなら、次に述べるPentium 4 CPUを選択した方が有利です。 Pentium 4系CPUこの分野でも、インテルはソケット互換性のない二種類のCPU、ソケット423とソケット478を同時に発売してマーケットを混乱させています。ソケット423は元々AMD Athlonに対抗するため急遽発売された製品で、ソケット478が本命の製品です。本命の中から適切なスピードのCPUを選択すべきです。 Duron/Athlon系CPU幸いなことに、現在発売されているAMD Duron/Athlon系CPUはほとんどのプラットフォームに互換性があります。かつて、ハイコアクロックのAthlon ThunderbirdソケットA CPUが世の中にはほとんど存在しないAMD 750プラットフォームでしか動作しないなどの不都合はありません。最近は、CPUステッピングが上がっても、ほとんどBIOSの更新で対応できるようになってきました。エントリーCPUとしてはコスト・パフォーマンスの良いDuron 950〜1200を使えば問題はありません。ただ、Athlon CPUは発熱量が大きいので、アップグレードに際しては、冷却システムの変更が必要になるかもしれません。XP系CPUにはサーマルブレークダウンを防止するサーマルヒューズが内蔵されていますが、これが適正に動作しないらしいのです。 しかし、この問題はやがて発売されるであろう0.13ミクロンプロセスのコアを使った製品では解決されるでしょう。 Athlon CPUの拡張マルティメディア命令セット3Dnow!+は、インテルSSE2に対効するために開発されたのですが、未だ多くのアプリケーションが、これをサポートしていません。これは、主としてAMDの市場戦略の欠陥が誘発したものと思われます。XPではSSE命令セットが追加サポートされています。インテルPentium III用に開発されたアプリケーションは同等のパフォーマンスで動作します。X86 CPUアーキテクチャのインプリメンテーションとソケット非互換性でインテルから離れたAMDですが、ことマルティメディア命令セットについてはインテル互換性を保たざるをえない状況になったのでしょう。 このような事情を理解して、Duron/Athlon CPUを使わなければ、思わぬ失望を感じることになるかもしれません。 おわりにこのサイトでは、CPUはじめ話題の新製品が発売される度に、その評価情報をできるだけ速く提供してきました。このCPUガイドは、最近掲載したこれらの情報をまとめたものです。何かの参考になれば幸いです。 (Created on Dec. 28, 2001)
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