57-45「〔1or4傷害罪〕と〔1or4殺人罪〕とは、殺意の有無という主観的な面に差異があるだけで、その余の〔3犯罪構成要件要素〕はいずれも同一であるから、暴行を共謀した甲ら5名のうちの乙がAに対して未必の故意をもって〔4殺人罪〕を犯した場合には、〔4殺人罪〕の故意のなかった甲ら4名については、〔4殺人罪〕の〔5共同正犯〕と〔2傷害致死罪〕の〔5共同正犯〕の構成要件が重なり合う限度で軽い〔2傷害致死罪〕の〔5共同正犯〕が成立するものと解すべきである。

58-36 「共謀共同正犯が成立するには、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、〔1共同意思〕の下に一体となって互いに〔5他人の行為〕を利用し、〔2各自の意思〕を実行に移すことを内容とする謀議をなし、よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。したがって右のような関係において共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しないものでも、〔5他人の行為〕をいわば〔3自己の手段〕として犯罪を行ったという意味において、その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。」

58-45 「〔3犯罪の客体〕とそれぞれの〔1刑罰法規〕における〔5保護の客体〕とは、別個の観念である。〔5保護の客体〕は、〔1刑罰法規〕によって保護されている利益・価値であるのに対して、〔3犯罪の客体〕は、通常〔4行為〕の向けられる有形的な物又は人である。虚偽公文書作成罪を例にとると、〔2犯罪の主体〕は公務員であり、〔3犯罪の客体〕は公文書であり、〔5保護の客体〕は公文書の信用性である。一般には〔5保護の客体〕が何であるかは法文自体からは出てこず、〔1刑罰法規〕の解釈によってはじめて明らかになるものである。

58-60 保留

59-27 保留

59-45 「刑法第36条が正当防衛について〔(エ)侵害の急迫性〕を要件としているのは、〔(イ)予期された侵害〕を避けるべき義務を課す趣旨ではないから当然にほとんど確実に侵害が予期されたとしても、そのことからただちに〔(エ)侵害の急迫性〕が失われるわけではないと解する…。しかし、同条が〔(エ)侵害の急迫性〕を要件としている趣旨から考えて、短に〔A(イ)予期された侵害〕を避けなかったというにとどまらず、その機会を利用し積極的に相手に対し加害行為をする意志で侵害に臨んだときは、もはや〔(エ)侵害の急迫性〕の要件を満たさないものと解するのが相当である。そうして、原判決によると、被告人甲は、相手の攻撃を当然に予想しながら、単なる〔(ア)防衛の意図〕ではなく、積極的攻撃、闘争、加害の意図をもって臨んだというのであるから、これを前提とするかぎり、〔B(エ)侵害の急迫性〕の要件を満たさないものというべきであって……。

59-51 「具体的な錯誤における客体の錯誤と因果関係の錯誤とは、錯誤論の固有の領域における問題ではなしに、まさに故意論自体の領域における問題として把握することができるという点に根拠を求めることができよう。まず、〔A2客体の錯誤についていえば、確かに行為者自身の動機と現実の行動との間に食い違いは存在する〕。しかし、〔B5法は現実の行動自体を評価するにとどまる。現実の行動は行為者が対象とした眼前の人間を殺そうとして殺したということに他ならない〕。したがって、〔C1ビンディングの述べるように、行為者の犯意の点においてまったく錯誤は存在しないし、また犯意の実現の点でもまったく変更は存在しない〕。あえて、〔D〕3錯誤として展開するまでもなく、故意の一要素そしての結果の予見の幅の問題として考察することは可能であろう。ことさらに、〔E4錯誤論を展開するまでもなく、故意論の枠内において解決することができる。因果関係の錯誤についても同様である〕。」

59-72 「安楽死は不治の病いの患者の苦痛の除去をこそ動機として主眼とする。これに比べ、植物人間の場合にはもはや苦痛の感覚もないことが多いのではなかろうか。だとすれば、植物人間に対して〔4安楽死の必要はない〕というtことになろう。また、今日の安楽死は患者本人の意思に基づく任意的なものであることを看板としている。ところが、植物人間の場合にはまったく〔5意思表明ができない〕状態にある。さらに、安楽死は積極的に〔1死を招致する〕ものであるが、植物人間の場合は、生命維持装置を取り外すことにより、受動的に〔1死を招致する〕点で異なっている。もう一つ付け加えるなら、安楽死は、ある行為によって死を引き起こすものであるが、植物人間の場合には、ある行為によって〔2死を許容する〕ものである点で違うとされている。この議論の背後には〔自然的死の〕考えがあり、安楽死にあってはそれに先立って死を招致し、植物人間にあってはそれを通り過ぎて人工的に生きていることを止めることである、と考えられる。」

60-3 「死刑制度を存置する現行法制の下では、