16-42
「侮辱罪の保護法益について、【@ア 侮辱罪の保護法益は名誉毀損罪と同じく(外部的名誉)である】とする見解と、【Aイ 侮辱罪の保護法益は、(名誉感情)であり、名誉毀損罪の保護法益は(外部的名誉)である】とする見解がある。侮辱罪に『公然と』という要件が設けられている理由については、【@ア 侮辱罪の保護法益は名誉毀損罪と同じく(外部的名誉)である】とする見解からは、【Bウ (名誉感情)は公然性がなくても害されるのであるから、侮辱罪が公然性を成立要件としているのは、(外部的名誉)を保護法益とするからにほかならない】との説明が可能であるが、【Aイ 侮辱罪の保護法益は、(名誉感情)であり、名誉毀損罪の保護法益は(外部的名誉)である】とする見解からは、【Cエ 侮辱行為が公然となされることにより(名誉感情)は著しく害されることから、法はこの場合のみを当罰的と考えたからである】との説明が可能である。侮辱罪における『事実を摘示しなくても』という文言については、【@ア 侮辱罪の保護法益は名誉毀損罪と同じく(外部的名誉)である】とする見解では、【Dク 事実を摘示しないで、という意味であり、事実を摘示した場合を含まない】と解して名誉毀損罪と区別するが、【Aイ 侮辱罪の保護法益は、(名誉感情)であり、名誉毀損罪の保護法益は(外部的名誉)である】とする見解では、【Eキ 事実を摘示してもしなくても、という意味である】と会することとなる。侮辱罪の客体となる『人』の範囲については、【@ア 侮辱罪の保護法益は名誉毀損罪と同じく(外部的名誉)である】とする見解からは、【Fカ (名誉感情)を持ち得ない幼児や法人等の団体も含まれる】と解することとなるが、【Aイ 侮辱罪の保護法益は、(名誉感情)であり、名誉毀損罪の保護法益は(外部的名誉)である】とする見解からは、【Gオ (名誉感情)を持ち得ない幼児や法人等の団体は除外される】と解することとなる。さらに、具体的事実を公然と摘示して人の外部的名誉と名誉感情とを共に毀損した場合、【@ア 侮辱罪の保護法益は名誉毀損罪と同じく(外部的名誉)である】とする見解からは、侮辱罪は成立しないことになるが、【Aイ 侮辱罪の保護法益は、(名誉感情)であり、名誉毀損罪の保護法益は(外部的名誉)である】とする見解からは、侮辱罪が成立すると考える余地がある。」

16-44
学生A 僕は、甲は処罰されると考える。【@イ 刑法第62条第1項の「正犯」は、基本的構成要件に該当する行為を行った者に限られず、修正された構成要件に該当する行為を行った者を含む】と考えるからだ。
学生B 僕も、甲は処罰されると考えるが、A君の【@イ 刑法第62条第1項の「正犯」は、基本的構成要件に該当する行為を行った者に限られず、修正された構成要件に該当する行為を行った者を含む】という見解とは異なり、【Aア 刑法第62条第1項の「正犯」は、基本的構成要件に該当する行為を行った者に限られる】と考える。A君の意見には、《aカ 「教唆の教唆」も「幇助の教唆」も刑法第61条第1項で処罰されることになるから、同条第2項、第62条第2項の固有の意義が失われる》という問題がある上、正犯概念の厳格な理解が困難となり、(@ク 「実行」という概念の統一的な解釈が困難となる)と思う。むしろ、【Bエ 刑法第62条第1項の「幇助」は、幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られず、直接幇助者を介在させた間接的な関与により正犯を幇助した場合を含む】と考えて甲の可罰性を認めていくべきだ。
学生C 僕は、甲は不可罰と考える。【Aア 刑法第62条第1項の「正犯」は、基本的構成要件に該当する行為を行った者に限られる】と考えることについてはB君に賛成だが、B君のように【Bエ 刑法第62条第1項の「幇助」は、幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られず、直接幇助者を介在させた間接的な関与により正犯を幇助した場合を含む】と考えると、《bオ 「幇助の教唆」も「幇助の幇助」も正犯の実行を容易にしたという点で同様であるから、刑法第62条第1項で処罰されることになり、同条第2項の固有の意義が失われる》という問題があり、また、(Aキ 幇助行為は定型性が緩やかであるので、処罰範囲が不当に拡大するおそれがある)と思う。そこで、僕は【Bエ 刑法第62条第1項の「幇助」は、幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られず、直接幇助者を介在させた間接的な関与により正犯を幇助した場合を含む】と考えるのではなく、【Cウ 刑法第62条第1項の「幇助」は、幇助者が直接的な関与により正犯を幇助した場合に限られる】と考えている。

16-45
学生AV 私は、偽造通貨の(@イ 交付)の意義について、特に(Aエ 情を知った者に渡す)場合に限る必然性はないと思うので、甲の行為は偽造通貨の(@イ 交付)とみるのが自然だと考える。
学生BU しかし、(Aエ 情を知ったものに渡す)場合と(Bウ 情を知らない者に渡す)場合とでは、通貨の真正に対する公共の信用が害される危険性の程度に明らかな差があるのではないか。
学生CT 私もそう思う。しかも、Aさんの見解を採ると,(@イ 交付)と(Cア 行使)の区別があいまいになってしまうので、妥当でないと考える。
学生AV そうは言っても、この事例で偽造通貨が(Dオ 甲から乙に渡る)時点では、通貨を流通に置いたとはいえないのではないだろうか。だから、甲の行為は偽造通貨の(@イ 交付)とみるべきだ。
学生BU (Dオ 甲から乙に渡る)時点で、通貨を流通に置いたとはいえないという点は、A君と同意見だ。私は、この事例で(Eカ 乙から丙に渡る)時点で(Cア 行使)の既遂になると考える。
学生CT しかし、偽造通貨が(Dオ 甲から乙に渡る)時点で、自動販売機に投入する場合と大差のない危険が現実化したといえると思う。したがって、私は、その時点で(Cア 行使)の既遂になると考える。

16-46
学生A 図利加害目的が認められるためには、自己若しくは第三者の利益になること又は本人に損害が発生することの@(a 確定的認識が必要である)と解すべきである。
学生B A君に反対だ。A君の意見では、【AU 「主として本人に損害を加える動機で任務違背行為を行ったが、それによって本人に損害が発生するかどうかについて確定的認識がなかった。」という事例】の場合、背任罪の成立がB(b 否定)されることになるが、その結論は私の立場からは支持できない。
学生C 僕はA君と違う意見だ。自己若しくは第三者の利益になること又は本人に損害が発生することのC(b 未必的認識があれば足りる)と解すべきである。
学生B C君に反対だ。C君の意見では、背任罪の故意が認められる場合、D(b 同時に)図利加害目的がE(a 肯定)されてしまう。
学生C B君は、僕らと違う観点から図利加害目的の有無を判断する意見だったね。
学生B そのとおりだ。僕は、主として本人の利益のために行ったのか、それとも、主として自己若しくは第三者の利益のため又は本人に損害を加えるために行ったのかという、任務違背行為の動機がどうだったかにより図利加害目的の有無を判断すべきだと思う。そこで、【FT 「主として本人の利益を図る動機で任務違背行為を行ったが、それによって本人に損害が発生するかもしれないと認識していた。」という事例】の場合、G(b C君)の意見では背任罪の成立が肯定される余地があり、僕の意見では背任罪の成立は当然にH(b 否定)されることになると思う。

16-50
学生A 財産的処分行為における被害者側の認識について、【@U 特定の財産又は財産上の利益を処分することの認識は不要である】とする見解では1項詐欺と窃盗とが区別できないと思う。
学生B 《aγ 甲が、食堂で飲食後に代金支払いを免れようと考え、店員に、「金を忘れた。家に帰ってすぐに金を取ってくる。」とうそを言い、店員をその旨誤信させて逃走した》という事例では、店員に(@カ 支払いを猶予すること)の認識が(Aウ ある)から、見解Tでも見解Uでも2項詐欺の成立が(Bア 肯定)され、この結論は妥当だと思う。しかし、《bα 甲が、食堂で飲食後に代金支払いを免れようと考え、店員に、「代金は支払ったよ。」とうそを言い、店員をその旨誤信させて逃走した》という事例では、店員に(Cオ 代金債権が存在すること)の認識が(Dエ ない)から、【AT 特定の財物又は財産上の利益を処分することの認識が必要である】とする見解によるとその成立が(Eイ 否定)されかねず、この結論は不当だと思う。
学生C 《cβ 甲が、食堂で飲食中に代金支払いを免れようと考え、店員に、「友達を迎えに行ってすぐに戻ってくる。」とうそを言い、店員をその旨誤信させて逃走した》という事例では、具体的な事実関係にもよるが、(@カ 支払いを猶予すること)の認識を認めることは困難だろうから、見解Tと見解Uでは異なった結論になると思う。

16-54