最近発表された次世代ゲーム機について独断と偏見に満ちた解釈を行っている文書(ページ)です(笑) 内容に間違いがあっても責任は取りませんのであらかじめ御了承下さい。 "Dolphin" 〜 任天堂の次世代ゲーム機 初めに 5/12、任天堂と松下は次世代のゲーム機、及びデジタルプラットフォームの開発での提携を発表しました。 任天堂のグラフィック処理技術とコンテンツ、松下のDVDや著作権儀保護技術というそれぞれの強みを生かした次世代ゲーム機、デジタル家電を共同で開発する事が目的のようです。ゲーム機業界で現在トップを走っているSCEも東芝と提携していて、今後「家電+ゲーム機」という流れは大きな流れを作りそうです。 今回の提携に基づき開発されるのは任天堂の次世代ゲーム機「Dolphin」、松下のゲーム機と融合したデジタルAV機器「DVD Game Theater」、「Portable DVD Game Player」、新たなサービスを創出する(STB ?)デジタルプラットフォーム「X-21」の4種類です。この文書では「Dolphin」を中心に書きたいと思います。 今回発表された「Dolphin」はそれ自体仮称であり、今後変わる可能性もありますし、この文書で書かれている事は私の独断と偏見に基づいた意見なので、丸のみしないで下さい。何らかのクレームをつけられても責任は持ちませんのであしからず。 "Dolphin"のスペック 「Dolphin」にはDVDを採用する事が発表されています。現在のところその容量、速度は明らかにされていませんが、合意内容の中に「任天堂はDVDファミリーに参加し、DVD技術を採用する」というものがあるので、物理的なフォーマットは似た物だと思います。ただし、違法コピーの防止機能を盛り込むほか、UDFではなくゲーム機独自のフォーマットを採用する事も明らかにされていますのでまだ分かりません。発売当初は読み込み専用だと思いますが、任天堂の社長が「将来的には書き込み可能なDVDの採用も検討したい」と言っているので期待しましょう。 「Dolphin」の心臓部とも言えるCPUには米IBM製の「PowerPC」を拡張したカスタム製品を採用する事が明らかにされています。2ヶ月程前に「64の後継機用にIBMが128bitPowerPCを開発している」という噂がありましたから、これだと思います。チップそのものは「Gecko」(詳細は下の「"Gecko"について」を参照)という名前で開発が進められているようです。0.18マイクロメートルの設計ルールを採用し、動作クロックは400MHz、バスバンド幅3.2GB/sの高速DRAMを採用するそうです。 ベンチャーの半導体設計開発会社の米ArtX社と共同開発するグラフィックチップは詳しい性能は明らかにされていないものの、動作クロックが200MHzで、任天堂は「当然のことながら、発売時点で他社の家庭用ゲーム機よりも高い3次元グラフィックス描画性能を実現する」と言っていますからかなりの性能が期待できるはずです。SGIに特許侵害とか言われないか心配ですが…… 「Dolphin」には当然のようにネットワーク機能が搭載されるそうです、それがどのようなものになるかは知りませんが、ネットワークゲームなどがより簡単にできるんでしょうね……そしてNTTが儲かる(笑) "Gecko"について 米国のIBMと任天堂は「Dolphin」に関して複数年で総額10億ドルの契約を結んだそうです。IBMは「Dolphin」のCPUの開発と供給を行う事になります。 「Dolphin」に採用予定のCPU、開発コードネーム「Gecko(月光)」は米国のIBMが開発しているCPUです。IBMはパソコンだけでなくスパコンやワークステーションも開発していて、「Gecko」はワークステーション用の「Power」をベースにAppleやMotorolaと共同で開発した「PowerPC」の一種です。「PowerPC」にはいくつかの種類がありますが、パソコン(マック)の他にも組み込み機器にも使用されるなど、幅広く使われています。 噂によると、この「Gecko」は「PowerPC 750」(iMac等に採用されている)と同じデザインに基づいていて、256KBのセカンドキャッシュを内蔵し、$100以下で提供されるそうです。動作クロックは300〜500MHzの間のようです。このCPUは「PowerPC」として完全であり、(採用計画はないようですが)パソコンに搭載させる事も可能なようです。 最後に…… 「Dolphin」に必要なのはソフトです。他のゲーム機でもそうですがソフト開発は年々難しくなっていて、それなりの規模と資金、人的資源のある会社でないと製作できなくなっています。現在「Dolphin」のソフト開発を行うメーカーは任天堂とパートナー企業(企業名は不明)3社に限られるそうです。 "PlayStation2" 〜 SCEの次世代ゲーム機 初めに 3/2、SCE(SonyComputerEntertaiment)と東芝は次世代のプレイステーション、「プレステ2(仮称)」の開発で提携を発表しました。同時にソニーはこの次世代機をグループ全体で押す事も発表しています。ソニーの大きな柱という訳です。 「プレステ2(以下PS2)」はゲーム機としてだけでなく家庭用のSTBとしての機能・DVDプレーヤーとしての機能も持っているのが大きな特徴です。(素晴らしいグラフィック能力もいいけどこちらの方がすごいと思う)3つのCPUを搭載し、リアルタイムで「世界」を表現する事ができるように設計されています。 "PS2"のスペック 「PS2」のメディアにはDVDが採用されます。先日任天堂と松下が発表した「Dolphin」に比べて「PS2」はスッペク等がある程度公表されています。まず、メインCPUには「Emotion Engine」というMIPSベースのカスタムチップが採用されています。そしてグラフィックチップには「Graphic Synthesizer」、入出力を管理し、従来の「プレステ」ソフトを動かすための「I/Oプロセッサー」の3つのCPUが搭載されます。 「PS2」のメインCPU「Emotion Engine」は「情緒合成」を可能とするそうです。このチップはMIPSから不要な機能を取り除き、その上で必要となる新しい機能を付け加えた完全な128bitCPUです。マルチプロセッサ機能などは取り除かれたはずです。このCPUは整数演算より浮動小数点演算を重視して設計されていて、6.2GFLOPSという性能を叩き出します。この値は文字どおり「スパコン級」でインテル社の「PentiumIII」の数倍です。デモで行われた水面が波立つ様子も全て計算で求めているそうです。ダンスのシーンや髪の毛が揺れる様子などもリアルタイムで計算できるというのはすごい事です。 トランジスタ換算で1050万個と「PentiumIII」をものともしない大規模チップは300MHzで動作します。 開発に200億かかって、これを作るために専用の工場を立ち上げるのだから相当金がかかっているんだろうけど……いくらになるんでしょうか? 「PS2」でグラフィックを担当する「Graphic Synthesizer」は2560bitという「桁を一つ間違えているんじゃない?」と思わせるようなバス幅の持ち主です。このチップが行うのはひたすら座標演算し、テクスチャを張り、パーティクルを生成する事です。「PS2」のデモの中で火花が飛び散るシーンは10枚の画像を重ねて1枚のフレームにし、これを1秒間に60回行っているそうです。10枚の画像を重ねる事でモーションブラーの効果を出しているみたいです。 2560bitのバンド幅を持つ化物の様なこのプロセッサーは内部のリードとライトが1024bitずつ、テクスチャーは512bitで同一チップ上のDRAMセル(4MByte,150MHz)と接続されていて、メモリーの総バンド幅は45GByte/s、微少ポリゴンの場合最大7500万個/s、微少パーティクルの場合1億5000万個/sの描画が可能、zバッファ&テクスチャー&光源&半透明を適用した場合でも2000万個/s、 プレステ専用というのが残念、きっと内部は配線だらけなんだろうな。 「PS2」の縁の下の力持ちとも言えるのが「I/O Processor」です。高速なCPUを搭載する以上高速なバスが必要であり、高速なバスを採用すれば周辺機器の遅さがネックになる……という訳で使用されていると思います。米LSIロジックと共同で開発したこのチップはUSBとIEEE1394をサポートします。クロック周波数37.5MHzのI/Oプロセッサーモードの他、「プレステ互換モード(プレステのメインプロセッサと同じ)」を持っているそうです。 USBやIEEE1394を搭載している事からも「PS2」は単なるゲーム機とではなく、家庭用の情報端末になれる事を示しています。このハードの価格はまだ不明ですが、「プレステ」+DVDプレーヤーとして見た場合、そう高い値段ではないと思います。任天堂の「Dolphin」は完全にゲーム機として設計されるようですし、このへんに任天堂とソニーの思惑の違いが現れています。「PS2」は確かに性能も高く、先進的ないくつかの機能を持っていますが、唯一欠けているのがネットワーク機能です。USBがあるので機能の拡張は難しくないと思いますが、「DreamCast」や「Dolphin」、パソコンに比べると見劣りします。(ネットワークゲームは面白い!) "PS2"の開発環境 開発環境は専用のボードを接続したPC/AT互換機でOSにはLinux、開発ソフトにはカナダのMetrowerks社の「CodeWarrior」が選ばれたようです。ただし、現在の状況で「PS2」の性能を最大限に利用するにはアセンブラを使う必要があるようですが…… "Emotion Engine"について MIPSをベースにした完全な128bitCPUです。 コア : 128ビット RISC(MIPSのサブセット) 動作クロック : 300MHz 整数演算ユニット : 64ビット(2way・スーパスケーラ) マルチメディア拡張命令 : 107種類(命令語長128bit) GPR(整数レジスタ) : 128bit×32 TLB : 48ダブルエントリ 命令キャッシュ : 16KB(2way) データ・キャッシュ : 8KB(2way) スクラッチ・パッド : 16KB(デュアルポート) 主記憶 : 32Mバイト(Rambus DRAM×2チャネル、800MHz) メモリ・バスのバンド幅 : 3.2GB/秒DMA: 10チャネル コプロセッサ1 : FPU(FMAC×1、FDIV×1) コプロセッサ2 : VU0(FMAC×4、FDIV×1) ベクトル演算器 : VU1(FMAC×5、FDIV×2) 浮動小数点演算性能 : 6.2GFLOPS 座標変換+透視変換 : 6600万ポリゴン/s +光源計算 : 3800万ポリゴン/s +フォグ : 3600万 ポリゴン/s 曲面生成(ベジェ) : 1600万ポリゴン/s IPU : MPEG2マクロブロックレイヤの復号化器 画素生成速度 : 1億5000万画素/s ゲート長 : 0.18μm コア部の電源電圧 : 1.8V 消費電力 : 15W 金属配線層数 : 4層 総トランジスタ数 : 1050万トランジスタ ダイサイズ : 240mm2 パッケージ : 540ピン・プラスチックBGA"Graphic Synthesizer"について 2560bitの化け物みたいなグラフィックエンジンです。 コア : DRAM混載・並列描画プロセサ 動作クロック : 150MHz ピクセル・エンジン数 : 16個 混載DRAM容量 : 4MB(150MHz動作) 総メモリ・バンド幅 : 48GB/s 内部総データ・バス幅 : 2560bit うち読み出し用 : 1024bit うち書き込み用 : 1024bit うちテクスチャ用 : 512bit 最大表示色数 : 32bit(RGBA:各8bit) Zバッファ : 32bit 画像処理機能 : テクスチャ・マッピング/バンプ・マッピング フォギング、アルファ・ブレンディング バイまたはトライリニア・フィルタリング ミップマッピング、アンチエイリアシング マルチパス・レンダリング 描画性能 ピクセル・フィルレート : 24億ピクセル/s (Z,A) 12億ピクセル/s (Z,A,T) パーティクル描画性能 : 1億5000万個/s ポリゴン描画性能 : 7500万個/s(微小ポリゴン) 5000万個/秒(48画素の四角形,Z,A) 3000万個/秒(50画素の三角形,Z,A) 2500万個/秒(48画素の四角形,Z,A,T) スプライト描画性能 : 6600万ポリゴン/s 画像出力 フォーマット : NTSC/PAL、DTV、VESA(最大1280×1024ドット) プロセス : 0.25μm 総トランジスタ数 : 約4300万トランジスタ ダイサイズ : 279mm2 パッケージ : 384ピンBGA 最後に…… 開発環境は一応示されていますし、実際に動くテスト基板もあるのでゲームソフトの開発は可能だと思いますが……発売までに間に合うでしょうか?……本体のチップの生産だって結構大変だと思いますが…… 最後に…… 「Dolphin」と「PS2」、両方同じくらい書くつもりだっんですけど、情報量の違いというのが思いっきり出てますね……もっとも「PS2」の方は公表されているスペックシートを写しただけですけど…… 「Dolphin」は2000年末、「PS2」は1999年末〜2000年春に発売される予定です。 URL 任天堂 http://www.nintendo.co.jp/ SCE http://www.scei.co.jp/ps2/ |