Voodoo3の性能
3Dfx社の新しいソリューションとなったVoodoo3カードは発売前から
様々な噂が飛び交いました。
実際に手にしたユーザの声はVoodoo2発売時と比べても少なく、その
ポテンシャルを想像するには、情報不足であるように思われます。
そこでVoodoo3を実際に入手し、ゲーマの視点で評価してみようと思います。
なお、主観的評価を多く含むことをお断りしておきます。
<動作環境>
CPU : Pentium3 620MHz (FSB 124MHz / AGP 82.6MHz / PCI 41.3MHz)
VIDEO : Voodoo3 3000 AGP 16Mbytes SD-RAM
SOUND : SoundBlaster Live!
OS : Windows95 OSR2 / WindowsNT4 SP4
<ハードウェアについて>
Voodoo3 3000 AGPは2D/3DファンクションとRAMDACを内蔵した1チップ構成で、
バスにはSD-RAMが接続されます。
チップ内部のグラフィックスクロックは166MHzで、メモリ駆動クロックは
これに同期することにより、Voodoo2の実に1.5倍以上の駆動能力を持ちます。
消費電力はかなり大きいようで、その発熱量を放熱する為のヒートシンクは
ビデオカード用としてはかなり大きなものが取り付けられています。
実際にヒートシンクに触れるとかなりの温度に達していると感じました。
カードサイズは細身でコンパクトな印象を与えます。
<2D系について>
Voodoo3は2D系を含むビデオカードである為、2D系に問題があれば
その存在価値は小さいものになってしまいます。
そこで、2D系の性能について簡単に評価しました。
Voodoo3 3000 AGPは内蔵された350MHzのドットクロックをもつRAMDACで
出力されます。
この高クロックRAMDACと16Mバイトというビデオメモリの実装により
2046x1536x24bppという表示能力を持ちます。
また、中間解像度も豊富でディスプレイとのマッチングをより細かく
設定可能です。
常用解像度である1280x1024x32bppでは比較的シャープでリンギング
の少ない画質が得られました。
また、長時間運用による信号劣化も問題のないレベルであると感じます。
発色はやや派手でMATROX系に近く、ATI系やS3系とは異なる印象を与えます。
WindowsNT4 SP4での使用において、極まれにマウスカーソルの動作が停止する
問題が発生しています。
ドライバ自体の問題なのか、発熱による影響なのか判断の難しいところですが、
なんらかの不具合を含む可能性はあると思われます。
DOSベースの「DUKE NUKEM 3D」や「ShadowWarrior」を用いてSVGAファンクション
についても試験してみました。
全て1024x768で試験を行い、動きや描画を確認したところ
描画時に
「下部の数ライン分が正しく表示されていない」
ことが確認できました。
SVGAファンクション実装不具合であればBIOSのアップデートで対処される可能性
があります。
<3D系について>
Voodoo3に興味を示すゲーマーならVoodoo2との比較は重要な意味を持つと
思います。
「Voodoo2の限界」で試験した結果と比較できるようにQUAKE2をベースに
性能測定を行って見ました。
QUAKE2の環境設定などは「Voodoo2の限界」や「Voodoo2 SLI考察」と
同じようにしてあります。
Voodoo2 SLI
| 解像度 | Clock | HEAVY | LIGHT |
| 640 x 480 | 105 | 133.1 | 169.6 |
| 800 x 600 | 105 | 114.4 | 144.9 |
| 1024 x 768 | 105 | 78.4 | 95.5 |
Voodoo3 3000 AGP
| 解像度 | Clock | HEAVY | LIGHT |
| 640 x 480 | 166 | 140.2 | 172.9 |
| 800 x 600 | 166 | 118.8 | 141.9 |
| 1024 x 768 | 166 | 82.4 | 96.1 |
| 1152 x 864 | 166 | 67.2 | 78.1 |
| 1280 x 960 | 166 | 56.1 | 65.3 |
わずかですがVoodoo3 3000 AGPは、チューニングされたVoodoo2 SLIよりも
性能は良いようです。
しかし、驚く程の性能向上ではありません。
注目すべきは
「Voodoo2 SLIという大掛かりな構成と同等の性能が1チップ構成のVoodoo3 3000 AGP
によって実現できる」
ということです。
Voodoo3 3000 AGPはVSync同期を無効にする以外にはなにも行っていません。
もし、計測に用いたVoodoo2 SLIがチューニングされていなければ、その差は
もっと大きなものになったと想像します。
しかし、視点を変えると
「Voodoo2 SLIフルチューン環境を持つゲーマーにはVoodoo3 3000 AGP
を導入する意味は極めて小さい」
とも言えるかもしれません。
他のゲームでの計測も行って見ました。
Voodoo2 SLIでもあまり快適とはいえなかった「SiN」について計測したところ
興味深い結果が得られました。
Voodoo2 SLI
| 解像度 | Clock | フレームレート |
| 640 x 480 | 105 | 49.4 |
| 800 x 600 | 105 | 47.5 |
| 1024 x 768 | 105 | 41.6 |
Voodoo3 3000 AGP
| 解像度 | Clock | フレームレート |
| 640 x 480 | 166 | 68.5 |
| 800 x 600 | 166 | 66.4 |
| 1024 x 768 | 166 | 54.1 |
数値で見ても明らかなように、Voodoo3のほうが大変滑らかに動作していました。
「Voodoo3 3000 AGPはゲームタイトルによってはVoodoo2 SLIを凌駕する」
ポテンシャルがあることを示している良い例となりました。
これが、Voodoo3チップの性能であるのかメモリ16Mバイトが有効に働いている
効果なのかは不明ですが、Voodoo2 SLIより快適になることに違いはありません。
<互換性について>
VoodooRushやVoodooBansheeはVoodooGraphicsやVoodoo2よりも互換性に欠ける
問題がありました。
ゲーマーにとっては重大な問題であり、優れたハードウェアも対応するソフトウェア
が無ければ無意味な存在でしかありません。
対応するソフトウェアとはもちろん「ゲーム」です。
3Dfx社の提供するOpenGLのサブセット「MINI GL」を用いたゲームは問題なく動作
しました。
例えば、GL-QUAKEを筆頭にHalf-LifeやSiN,Heretic2等です。
しかし、UNREALのようなGlideAPIゲームは若干の不具合が発生しました。
パッチで対処可能ですが、GlideAPIゲームで動作しないタイトルがまだあると
想像できます。
Direct3DゲームについてはBlood2のみを試してみました。
しかし、強制終了してしまうことが頻繁に起こり、評価できる状況ではありません
でした。
LithTechエンジンの問題なのか不明ですが、無視できない問題であると考えます。
このDirect3D系を評価する為には、もっと多くのゲームタイトルで試験する
べきですが、手持ちにBlood2くらいしかありませんので「FinalReality」を実行
してみました。
VoodooBansheeでも話題になった、AGPを認識しないという疑問は本カードでも
同様です。
AGP EXECUTE MODEはゲームでは必要性が低いのは確かで、AGP EXECUTE MODE前提の
ゲーム(つまり、巨大なテクスチャや同時に多くのテキスチャを利用するゲーム)
は極めて少ないと思います。
参考までに計測結果を以下に示します。
「MATROX G200 AGP + 3Dfx Voodoo2 SLIの場合」
Benchmark results:
Radial blur, 5N, 57.67, rips, 7.976, Rmark
Chaos zoomer, 5N, 92.60, rips, 4.499, Rmark
25 Pixel, 5N, 402.06, kpps, 12.850, Rmark
Robots, 5N, 81.04, rips, 20.994, Rmark
Fillrate, 5N, 116.25, MPps, 25.161, Rmark
City scene, 5N, 112.93, rips, 28.022, Rmark
Video card bus transfer, 5N, 232.05, MBps, 7.388, Rmark
Direct3D bus transfer, 5N, 113.40, MBps, 9.693, Rmark
-----------------------------------------------------------------------------
Visual appearance, 100.00, percent
-----------------------------------------------------------------------------
Overall 3D, 5.484, Rmark
Overall 2D, 6.238, Rmark
Overall bus rate, 8.079, Rmark
-----------------------------------------------------------------------------
OVERALL SCORE, 6.100, Rmark
-----------------------------------------------------------------------------
1121415541
「3Dfx Voodoo3 3000 AGPの場合」
Benchmark results:
Radial blur, 5N, 58.31, rips, 8.065, Rmark
Chaos zoomer, 5N, 92.97, rips, 4.518, Rmark
25 Pixel, 5N, 469.81, kpps, 15.015, Rmark
Robots, 5N, 82.26, rips, 21.310, Rmark
Fillrate, 5N, 115.81, MPps, 25.067, Rmark
City scene, 5N, 114.76, rips, 28.476, Rmark
Video card bus transfer, 5N, 158.91, MBps, 5.059, Rmark
Direct3D bus transfer, 5N, 168.18, MBps, 14.375, Rmark
-----------------------------------------------------------------------------
Visual appearance, 100.00, percent
-----------------------------------------------------------------------------
Overall 3D, 5.556, Rmark
Overall 2D, 6.291, Rmark
Overall bus rate, 7.854, Rmark
-----------------------------------------------------------------------------
OVERALL SCORE, 6.121, Rmark
-----------------------------------------------------------------------------
1600134662
測定数値はMATORX G200 AGP + Voodoo2 SLIと同程度です。
2D/3D双方問題なく実行することができましたので、代表的なDirect3DAPIの
動作には問題がないのかもしれません。
しかし、随所で引っかかるような部分があり
「滑らかな動きとはいえません」でした。
Voodoo2 SLIでは滑らかに動作しますし、MATROX G200以下とも思える動きに
「Direct3D系の性能には期待外れな印象」
を与えます。
このことから、
「Direct3D系のドライバ熟成は急務である」
と考えます。
<総合評価>
2D系については及第点とも言えるのですが、互換性で示した「Direct3D系の問題」
は小さくありません。
2D系にみられたわずかな不具合も含めてドライバ熟成で解決できると想像できますが、
Voodoo2 SLIやRivaTNTから置き換えるにはリスクが大きいと思われます。
MINI GL系のゲームだけを考えれば購入の価値はあります。
但し、Voodoo2 SLI構成を持ち、特にPCIバス不足を感じないのであれば、
置き換えの必要性は小さくなります。
また、発熱量はMATROX G200を上回っています。
AGPバス付近はSlot1系CPUと近い位置にあり、Voodoo3 3000 AGPの熱が与える影響を
考えると、廃熱に悩むユーザには厳しいかもしれません。
なお、本カード自体は高熱であっても特に問題は発生していません。
現在はVoodoo3 3000 AGPとVoodoo2 SLIを共存させています。
Direct3Dは切り替え可能ですし、Glideもリブートすることなく切り替え
できる方法を見つけました(Win95/WinNT)。
メインはやはりVoodoo2 SLIにすることにしました。
総合的な主観評価は「現在でもVoodoo2 SLIは最高のゲーマーズデバイス」である
という結論です。
written by pentium