管理人の吉岡です。

検証実験 はたしてカポック繊維綿はダメなのか!?

カポック繊維は絶対に水は吸わない物質だからダメ!の文献理論派のみなさん。
お手元にある自動車用カポック綿で実際に吸水を実証していただいた橋本さん。
どちらも事実としてやっぱり譲れませんよねf(^.^;

高度に専門的なことは無理だけど、自分達の家庭や職場で簡易に可能な限り「素人だけど実践した事実の結果を分かち合う」プリント向上委員会の精神にもとづいて、管理人の吉岡が可能な範囲で行司を買って出てみました(^,^)

●着眼点=薬局にいくと「脱脂綿」売っていて、日常生活はみんなこれを普通の綿だと思っています。
 もちろん薬局や化粧用に売っている脱脂綿はいわゆる「もめん」の綿ですから、カポックとは全然別物で比較にすること自体がおかしいかもしれません。
 しかし、もしかしたらカポック綿の撥水性も、脂分であって、脱脂すれば水を吸うんじゃないのかな・・・?
 という素人ならではの発想で、駄目で元々うまくいけばおなぐさみ、の精神で脱脂に挑戦してみました。

 

 

●準備
 まずはカポックの入手ですが、これがなかなか困難をきわめました。

 最初は単純に「自動車用廃油処理箱」なら全部カポックだと思ってカー用品店へ直行しました。

わたしの町にある自動車用品店はオートバックスなのですが、 ここで売っているオイル処理箱(4.5リットル用)はエーモン というメーカーのポリプロピレン・ポリエステル・ポリエチレン の合繊になった吸収綿のものしかありませんでした。 しかし、キャノンやエプソンの純正綿も合繊の風合いでしたので 試しにこれがどの程度の性能か興味深いので買ってみました。 298円でした。

結果、合繊廃油処理綿は普通の綿や布と同様に気持ち良く水を吸い取ってくれました。
これは洋服などでおなじみの繊維ですから当り前なのかもしれませんね。

合成繊維オイル処理箱ならば、油も吸うし水もよく吸う、という一応の結論になりそうです。

さて、カポック綿製のオイル処理箱はないのか店員に聞いてみた のですが、オートバックスでは合繊のエーモン製品しか取扱いし ていないとのことで万事休す・・・
と諦めかけましたが、カポックの別名である、いわゆる「パンヤ」はぬいぐるみの中綿にも使われますので、手芸用品店ならあるかもしれない、と探してみました。

 

 

材質表示とメーカー名の記載欄

詳細写真

 

合成繊維不織布の様子

見た目はティッシュペーパーそっくりです。

触るとティッシュでないことがわかります。

最近は不織布もたくさんあちこちで見かけるようになりましたが、素性を知らずにいきなり出されたら、何だこれは? という感じの素材です。

不織布だよ、と言われてみれば、はあ、なるほどそうか…とやっとわかる感じです。

 

●やっと見つけました!

一般のおしゃれな手芸用品屋さんに聞いて回っても、このごろは化繊ばかりとのことでなかなか売っていません。非常に昔風なお店でようやく見つけました。

店番のおばあちゃんに「カポック綿のパンヤありますか」と言っても最初ポカンとした顔をされてしまいましたが、あら?これのことかしら?と奥の方から引っ張り出して来てくれたのがまさに 「純カポック綿100%」と表示された「天然パンヤわた」という商品名のものでした。(450g入り472円)

この分量で ちょうど枕にぴったりぐらいの綿量です。 店番のおばあちゃんに聞いても、これはほとんど売れないのでもうすっかり忘れていたとのこと。

売れない理由は、せっかくぬいぐるみやクッション等を作ってもカポックパンヤだと洗濯するとぺったんこにつぶれ てしまうので手芸の世界では評判が悪くすっかり売れなくなってしまったとの事でした。

手芸店には無縁な風体の男が、めったに売れない品物を指名買いに来て 怪訝な様子でしたので、これは「絶対水を吸わない綿で、大事故や戦争など救命胴衣が破れる心配のある兵隊さんなどにも使われてるらしいから確かめに買いに来ました」と告げると、へえそうなのねえ?と感心してました。

 

間違い無く純カポック使用100%と表示してあります。

日光にあてると復元力バツグン、というワンポイントアドバイスも大変勉強になりました。

布団でも天日干しするとふんわりしてくれますが、カポックの性質だと特別スゴイんでしょうか? 
これはまた後日確かめてみたいテーマを与えられた気がします。

製造元のケイテック株式会社さんには、売れない手芸商品も地道に供給し続けてくださる企業姿勢に感謝いたします。
(というか救命具や自動車用品には人気商品だからついでに…、でしょうか)

 

純カポック100%綿の様子

カメラの限界でこれ以上接写できなくて残念ですが、日常生活に使う木綿の脱脂綿にくらべると繊維質がどうも細いような感じがします。

淡褐色というか、肌色というか、濃いベージュのような色合いです。

綿畑で収穫する時からすでに白い木綿のワタとはずいぶん異なる印象です。

この「純カポック綿100%」をタマゴ大ぐらいの分量に取り分けました。

コップの水に入れました。

すぐにふくらんで最初の「タマゴ大」のサイズよりも広がっています。

 


コップに水を入れてみると、これはたしかに評判通り勢い良く浮き上がりました。


手で無理やり押しこめると ・・・


激しく抵抗して浮こうとします。
まったくもって「破れても大丈夫な救命胴衣」たるゆえんだと納得しました。


しかし、橋本さんの実験では問題なく吸水しているので、今度はギュッと綿を水中で絞ってみると、吸水してぺったんこになりました。
(つまり手芸店のおばあちゃんの「今ではすっか り売れなくなった理由の話」と見事に合致しました)

 


たしかに 吸水してペッタンコになるのですが、それでも脱脂綿とは違いびしょ濡れでも浮き上がろうとする抵抗力には驚きました。さすが救命胴衣!
※水面より下に沈んだ部分がほとんどない所に注目!

 


手芸屋の店番お婆ちゃんの話は「洗濯」で潰れる、という主旨でしたので、念のために石鹸でゴシゴシ洗ってみました。
確かにペッタンコに拍車がかかったようです。
それでも必死に石鹸水の中で浮いています。
写真は洗面所の中なので水面下の様子がわかりませんが、さすがに石鹸漬けになると、水面上の浮き部分と水面下の沈み部分がほぼ等分ぐらいにやっつけられた感じです。

ここまでの実験で、激しく抵抗はするものの、たしかに「洗濯」的な行為(水中で絞ったり石鹸につけたり)をおこなうと一応本当に吸水することがわかりました。

※水ではなく、肝心の主役であるプリンタ用インクの場合は違った結果かもしれないと思い、とりあえず手元にあるink77製造販売のつめかえ用染料インクで試したと ころ、乾燥した生の状態では水とほぼ同様に激しく抵抗する結果でした。

しかし、水中で一度ギュッと絞って「呼び水」のあるカポック綿は、インクをほどよく吸ってくれました。 (右写真)
(ただし通常の木綿の脱脂綿ほど「水を吸ってふんわり膨らむ」という形にはなりませんでした)
一度手で絞った形のまま、水分を追加しても形があまり変りませんでした。

■いよいよここから本題の、脱脂実験の開始です。

 

 

家庭で出来るレベルでは脱脂のキチンとした方法がなかなかわかりません・・・

そこでとりあえず、「激しく手荒れするもの」ならば脱脂になるかもしれない、と思いました。

・油汚れに強いという表示の台所洗剤の原液
・塩素系の洗濯用漂白剤の原液
・重曹(アルカリ)のすごく濃い溶液

上記三種類の液体で、同時に手芸用のカポック綿をひたして2,3日放置してみました。

アルカリだけでなく酸性でも試さないと不公平なので当初トイレの洗剤も試したのですが、ニオイが塩素洗剤よりも強烈でがまんできずに流してしまいました。
これは心残りですが、最終的にはなんとかこの三種類で一定の満足いく結果が得られました。


( 横から見た様子)


(上から見た様子)
※重曹のお皿に入った綿が青く見えるのは、先に洗濯実験で青インクを垂らした綿をそのまま使ったためです。
重曹によって色がついたわけではありません。

中央の漂白剤は、実験開始後どんどん「生成りの色」が落ちて白っぽくなっていきました。

その後約36時間ぐらい経過



実験開始の当日は抵抗気味だったカポック綿ですが、翌日以後に見てみると三種ともベットリ溶液を吸っていました。

脂が抜けてくれたからなのか、洗剤系の溶液は水ではないから吸ってくれて当然なのかこの段階ではまだわかりませんが、うまく行けば脱脂の成功かもしれません。

 ここでそれぞれの溶液から綿をとりだしました。

 さらにきれいに水洗いをしました。

 その後約24時間、乾燥させました。

ところで非常に面白いのは、塩素漂白剤にひたしたカポック綿だけが、異常に量が減って元の半分以下の大きさになってました。
洗濯に使う漂白剤ですから、繊維がそんなに溶けたりするかな?と疑問なのですが、もしかして抜けた脂分だけ繊維太さが縮まったのだろうか?
・・・ と結構興味深々です。

 


乾燥後の様子

漂白剤のお皿に入った綿だけが異常に小さくなっているのが見えるでしょうか?

※三種類の綿ともに、水洗い後に指でぎゅっと絞りました。
洗剤と重曹は放置しただけで乾燥と同時にふくらみました。

漂白剤の綿だけは絞ったクセが残ったままふくらみません。
それを考慮したとしても、絞る以前の分量から減少していた記憶です。
この辺はきちんと計量できるはかりがないので目分量でちぎってしか実験出来なかったのが悔やまれますが、おもしろい課題ができたと思います。

 

ふたたびお皿に水道水を入れた様子

台所洗剤に浸した綿は、完全に沈んで全面的に吸水しています。
(洗剤でカポック綿がうまく脱脂された)

重曹は多少吸水するものの浮いており、さして効果がありませんでした。
(もっと長時間、高濃度ならよかったのかもしれない?)

漂白剤も台所洗剤と同様に完全に水没しています。(脱脂された)
(あまりに小さく縮みすぎて写真ではほとんど見えませんが…)

沈んでいる様子、浮いている様子

側面図

※相変わらず漂白剤処理の綿は小さ過ぎて見えてませんが、平たい小片になって沈んでいます。

 この結果から推測すると、純粋な天然カポック綿は確かにインク吸収パッドの代用には向かないことがわかりそうです。

 しかし自動車用品として販売されているカポック綿は橋本さんの検証で吸水の事実が確認されていますので、適度に脱脂処理がされている可能性がありそうです。
 メーカーによって天然綿使用の製品と、脱脂綿使用の製品があるかもしれませんので、プリンタに詰める前に事前に吸水チェックはしたほうが無難かと思います。

 天然カポック綿でも悲観することなく、このように台所洗剤等で脱脂が可能です。
 (とても安いので脱脂の手間をかけても元が取れそうです。急いでいる人には向きませんが、気長にやれる場合は、ちょっとした理科実験気分が楽しめそうです。)

 手芸用品としてのカポック綿は今ではなかなか入手困難ですが、もし見つけたら面白半分の興味本位でも、結構楽しめますよ。

 洗剤にはいろいろな種類銘柄がありますので、一概にこの通り、とは言いがたいですが、この実験で使用した台所洗剤は、
 三協油脂株式会社製「手にやさしいオレンジオイル配合オレンジソフトコンパクト」
 という100円ショップにて購入したものです。
 蛇足ですがこれだけ強烈に脱脂されますので、「手に優しい」とはいえ原液には充分注意したほうがよさそうです。

 検証委員:吉岡

                      【 実験後日談 】

その後一週間ほど放置したところ、「ほとんど効果なし」で水面に浮いていた重曹漬けカポックが、沈んできました。

「速効性の吸水力」はなくても、じわりじわりと染みてくれることがわかりました。
プリンターのクリーニング消費インク、程度の吸収には、重曹での脱脂レベルでも間に合うので無いか、と希望が持てそうに思いました。


塩素で脱脂した分の写真が見にくかったので撮り直しました。

なにぶん目分量ですからアテにはなりませんが、「見た目でほぼ等量」にちぎり分けた3つの綿が、塩素の分だけこれだけ小さくなってしまった、という様子をご覧いただければ、と思います。

なぜ塩素漬けだけがこんなに小さくなってしまったのか?
という学問的な裏づけについてご存じの方がいらしてましたら、ぜひプリント向上委員会へお知らせ下さい。

 

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