辞書を調べていて、適当刺激という言葉があることを知った。

自然の状態で感覚器官が受ける刺激のことらしい。

また、その反語として不適当刺激という言葉もあり、こちらは

不自然な刺激をそう呼ぶとのこと。なるほど、勉強になる。

しかし、どうもピンとこない。

字義どおりに解釈するなら、目が光を受けるのは適当刺激、

目に異物が入るなどして起こるのは不適当刺激ということになる。

では、コンタクトレンズを常用している人はどうなのだろう。

一度入れると外すのが面倒くさくて一週間や二週間は平気で

入れっぱなし(本当は10時間程度で外さなくてはならない)の私の目に

とっては、異物による刺激はすでに自然な状態である。

まあ、本来光を受け取るべき器官が擦過による刺激を受けた時点で

不自然と見なされるのだろうが、ここで言いたいのは

刺激を受けた当の本人がそれをどう思うか、ということだ。

対象を一器官ではなく、拡大して考えてみる。

私たちが本を読んだり、映画を観たり、あるいは音楽を聴いたり

するのはそれを楽しいと思うからだ。楽しいというのは、それにより

刺激され知的興奮を味わうことにほかならない。そこにある

非日常性が、人を興奮させるのである。

例えば小説、映画に限って言えば反論を受けるかもしれない。

ごく平凡な日常を描いたものであっても、名作と呼ばれるに足る

作品はあると。しかし、その日常とは作品中の主人公、あるいは

作者にとっての日常であって読者のそれではない。

つまりは他人の日常は、自分にとっての非日常だ。だからこそ、

人と付き合うことはスリリングで、新鮮な刺激を与えてくれるのだろう。

適当、不適当という語感がもたらす抵抗はあるが、

自然ではない刺激にこそ面白さがあるのだと思う。

望むらくは、私の拙い文章が一人でも多くの人にとって

不適当刺激とならんことを。

 

 

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