私は餃子のプロだ。いや、唐突に過ぎることは私にも分かっているが、

これを省略して私という人間を語ることはできない。私としても、

今後皆さんから「餃子のプロ」という多少以上に嘲笑のこもった称呼を

受ける覚悟で臨んでいるからには、しばらくの間お付き合いを願いたい。

最初に断わっておくが私は餃子を作るプロではない。食べる方だ。

なんだ、ただの大食いではないのか。そう結論を出すのは少し待って欲しい。

ただの大食いは、自分の食べられる量以上に物を食べることはしない。

要するに、胃の容量が普通人より大きいというだけで、そこには

なんらの誇りも精神性も、また食物に対する感謝の心もない。

ここで私がプロとして餃子に向かう際、注文する内容を紹介する。

 

ジャンボ餃子定食 … 大盛りご飯+お吸い物+餃子18個

餃子カレー … カレーライス+餃子3個

大盛り餃子 … 餃子9個

 

これは、ある餃子専門チェーン店における正規のメニューであるが、

これらが私の前に並べられるとき、餃子の総数は30個となる。

私自身、決して小食な方ではないと思うが、広い世の中には

この程度の量であれば簡単に平らげてしまう人が何人もおられることだろう。

しかし、勘違いしないで欲しい。量を競うことが目的ではないのだ。

私にとっては完食することが難しい、ぎりぎりより少し多い量。

これこそが肝心なのである。

自分の限界より高い位置に目標を置き、それを克服する。この己に

対する厳しさ、妥協を許さない克己の心こそがプロのプロたる由縁だ。

もちろん、食べる早さを競うものでもない。勘の良い皆さんには

もうお分かりだろうが、他者と競うべき要素は何もないのである。

規範がないが故に、餃子の道は辛く険しい。自身が掲げる目標に向かって

進むしかないのだ。また、結果に判定を下すのも自分自身である。

私は餃子の道、と言っただろうか。そう、確かに餃子道はある。

それが決して平坦で、穏やかな道ではないことは理解いただけただろう。

だが同時に、大きな実りのある道であることも忘れないで欲しい。

すぐには分からないかも知れない。それは歩み続けてきた道を、

ふと振り向いたときに気づくものなのだから。

 

 

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