created 1,Mar 1996
前提として、各種機能の紹介を入れることはしません。実際のソフトを触ってない状態でそんなものを見ても無意味であると思うからです。また、現在持っている人なら、解説記事かマニュアルでも読んだ方がいいと思います。ということで、本稿ではキッドピクススタジオを媒介として、子供向けソフトについての要望を中心にまとめてみたいと考えています。第一にテスト環境、次にインストールから全体的なソフトの構成・使用感を簡単にまとめ、最後に要望をまとめます。
では、テスト環境(マシンの動作環境ならびにレポートの条件)、レポーター(筆者)およびテスター(子供)の紹介をします。雑誌で見るレビューがうさんくさいのはこの点をはっきりさせておかないからだと考えたからです。
レポート期間:96年3月23日〜26日
Performa588は子供の使用が中心なので、AtEase(J1-2.0.4)では、そのままインストーラを起動することが出来ません。そこで、"Finderへ行く"メニューでFinderにしてインストール必要があります。AtEaseから使うにはその後"AtEase設定"を起動して、組み込む必要があります。
また、マニュアルにはAtEaseからではなくFinderから使用することを勧めていますが、AtEaseの設定を一部変更すれば問題なく使用できるようです。また、マニュアルには仮想記憶を切って使用するように指示がありますが、RamDoublerを使っていても問題なく実行できます。QTムービーの実行や作成において問題が生じる可能性は否定できませんが、通常のお絵かきソフトとして使用する分には全く問題は生じていません。
以上、AtEase使用上の注意を別にするとスムーズにインストールは終了しました。私は、キッドピクス1.2Jを使っていた関係で、マニュアルの説明と一部異なる(別ページに記述あり)ダイアログがでましたが、マックでインストーラを使ったことのある人なら戸惑うことはないでしょう。
約18Mのフォルダができました。キッドピクススタジオのアプリケーション自体は小さくて800Kしかありません。ただし、これはスタジオを起ち上げたときに起動されるローンチャのようなもののようです。それぞれのアプリケーション自体はスタジオスタッフというフォルダにドキュメントとしてインストールされています。実行モジュールを別にすることで、プログラムの必要メモリを節約しているのかもしれません。また、HDの空き容量が不足気味の場合はインストールオプションで"CDから動かす"を選択したときに実行モジュールをHDにコピーせずにCDから読み込んで実行することが可能になるようです。ただ、このように実行モジュールをドキュメントとして作られてしまうと、アプリケーションのメモリ割り当てを変更することができません。試用した範囲ではシステムエラーを起こすようなこともなく動作しましたが、大きなQTを作るような場合に困ることはないのかと思いました。
ソフトを起動すると、プロジェクトスクリーンとマニュアルで説明してるメニュー画面になります。そこは、展覧会の展示のメタファーになっており、各機能(プロジェクトとマニュアルにはあるので以下プロジェクト)が額縁の絵として説明されていて、シングルクリックによって選択できるようになっています。プロジェクトは"キッドピクス"、"おもしろテレビ"、"ムーピーズ"、"スタンピメーター"、"スライドショー"、"デジタルパペット"の6つがあります。が、残念ながら絵からは内容は今一伝わってきません。
感想としては、かなり高度な使用を想定しているような印象を受けました。もし、ビデオカメラをQTのデータにできる環境をお持ちなら非常に強力かつお手軽なオーサリングツールになるともいます。しかも、動きを伴うデータを作るプロジェクトで、QTムービー(再編集不可能ではあるが)としてセーブできることは、プラットフォーム・フリーな配布用データを作るうえで非常に意義の深いものと思われます。また、マック用に限定されるものの、ビュワーのいらないスタンドアロンアプリケーションとして保存できるのも、素晴らしいことだと思います。
また、機能の点でも出版や印刷媒体を前提とした、高機能グラフィックソフトとは一線を画する「割り切り」、言葉が悪ければ「思い切り」がこのソフトを使いやすいものにしていると思われます。デジタルデータでのやり取りが主流になれば、POSTSCRIPTにこだわる必要なんかないんです。72dpi256色が標準となっているWWWでの使用を前提として考えたら、これ以上のグラフィックソフトなんて必要はないともいえます。まだ、時間的に新しい機能を試している段階ですが、使えば使うほどレベルの上がるツールのような気がします。子供の様子を見ていても2号より1号の方がより楽しんでいることがはっきりしています。その1号でもデジタルパペットやスタンピメーター、スライドショーは使いこなせません。2号のお気に入りはおもしろテレビです。非常に高機能かつ楽しいソフトです。返却後には購入することを約束させられてしまいました。
ただし、全体的に抽象的な機能が増えたために、難しくなっています。また、私からみて問題があると思われるところもありますが、好き嫌いもあるし、具体的に不備をあげつらうのが本稿の目的ではないので、どんなソフトにも共通するであろう問題点についてのみ挙げます。
また、AtEaseで使用できるフォルダを限定している場合、ムービー、背景、ぬりえを読み込むことができません(設定を変えればできるようになる)。さらに、EasyOpenを切らないとオープンダイアログで表示されるフォルダが適当でなくなるようです。この辺はAppleの仕様によることが多いのですが、子供の使用を前提とした場合、問題があるといえるでしょう。
マニュアル自体ではないのですが、ユーザーをサポートするものとしてはサポート電話をチェックしないわけには行かないでしょう。借り物なので、実際にユーザーサポートに電話できませんので、応対や電話のかかりやすさについてはお知らせできません。ただ、マニュアルの案内を見た限りでは、親切なサポートは期待できそうにありません。営業時間が、月〜木の11時〜13時、14時〜17時です。子供が自分でソフトを動かして、トラブルがあったときに自分で電話しろということでしょうか?しかも、そんな電話サポートの窓口も東京にしかありません。こんな時間帯に遠い地方から長電話したら、えらいことになりますよ。FAX番号でもあれば夜間に親が送っておくこともできますが、それはありません。電子メールのIDもありません。電子メールでサポートしてもらえたら、便利なんですけどね。
また、全体の見通しが悪いように思います。本来、別の環境として扱うべきデータ作成ツール(キッドピクス、ムーピーズ、スタンピメーター)とそのデータだけを使うスライドショーとブラウズツールのおもしろテレビとを並列のイメージで並べたところに問題があると思われます。
まずスクリーンの大きさがプロジェクトによって違っています。キッドピクスの絵をスライドショーに取り込むことを考えた場合、キッドピクスでフルスクリーンに描いてはいけません。QTムービー化するときに縮小されてしまいます。また、複数のプロジェクトで同じメニューを持ったものや似ているのに異なった内容のものがあります。
いっそのこと、一部の教育ソフトにあるように、通常のモードをもっと簡単にして、環境設定モードを追加してはいかがでしょうか?さらに、ユーザー登録をさせてログオンさせることで、ユーザーごとの環境を設定できるようにすればいいと思います。うちの子どもの経験で、パスワードのないログオンなら3才程度でも十分と思います。(現に我が家のPerforma588は複数ユーザから選択してログオンするようになっています。このとき子供の環境がデフォルトで選択されるように名前を付けるのがコツです。)こうすることで、ユーザーインターフェースの問題をかなりクリアできると思います。
マックの標準である、プルダウンメニュー+ダイアログのGUIを使いこなせることは子供には必要がないと考えます。あのダイアログが、マックユーザーにとって使いやすいのは他のソフトで使った経験から操作できるからです。そういう下地のない子には面倒なだけです。また、データのセーブが必要となるソフトを使用させた場合一番困るのが、ファイルダイアログです。まして、字の読めない子にとっては切実です。そこで、「おとーさん、おとーさん、これおいといて」になってしまいます。また、おやじがいないと使えないことにもつながってしまいます。
そこで、メンテナンスモードで使用するフォルダをユーザーごとに固定できたらいいと思います。そして、セーブするときには絵の名前だけの入力を促し、ユーザー名・日付・時間等を自動的に入れて、絵の名前を入れない場合でも上書きしないようにするということができれば安心だと思います。オープンダイアログにはプレビューを用意し(今も、プロジェクトによっては可能)、字が読めなくても使えるようにできたらいいと思います。
また、スライドショーのようなセーブ・ロードユーティリティはできないでしょうか。セーブするときは、画面上のボタンを押して、スライドショーのような画面を呼び出し、空いているところをクリックしたら、自動的にセーブ。呼び出すときもそこから選択できたらいいと思います。当然、全てのプロジェクトで共通のものにします。
他に、ユーザごとに設定できる項目として、使えるプロジェクト、各種ツールの大きさやオプションが設定できるといいと思います。そして、フルオプションとして、スライドショーをメインにして、他のプロジェクトを同時に起動して使うような、オーサリング環境を設けたらいいんじゃないでしょうか?先にもかいたように、高機能かつ奥の深いソフトです。だから、使用者のレベル(年齢やコンピュータに対する知識)に合わせたユーザーインタフェースを使用できるようにした方がいいと思います。
もちろん、子供が野放しにパソコンを触ってゲーム機のように使えるようにして欲しいと言っているのではなく、子供が制約を受けずに触れるようなものであって欲しいと考えているからです。そして、子供の成長に合わせて機能を組み合わせてやれるようなソフトが考えられないかと思います。
最後に、このソフトに対するお願いとして特に強いものをいくつか書かせていただきます。
以上、キッドピクススタジオの操作についての評価はあえてせずに、一般的な子供用ソフトについて、常々思っていることを列記してみました。もし、ご意見がある場合は私のホームページに、子供用のパソコンソフトについて書いたページがありますので、ご意見賜れば幸いです。
URL=http://www.kh.rim.or.jp/~kasahara/home/kidssoft.html
笠原 正純
男、61/12/15生、会社員(人事課)。
現在注力しているのは、澁澤龍彦のホームページを作ること。
このソフトは絵画的な感性に刺激を与えやることのできるソフトだと思います。それは、子供がクレヨン・色鉛筆・絵の具・・・というように段階を踏んで手に入れていく表現手段の一つとしての刺激と考えるべきと思います。もちろん、これまでの道具と違う力を与えてやれるものだと思います。このソフトは、これまでの道具と違う大きな"可能性"を与えるソフトだと思います。
しかし、そのことは、或る意味で両刃の剣といえます。余りに完成度の高いデモや高度なテクニックを駆使した作品を与えられて、与えられる刺激だけで満足してしまい、あるいは、自分でできるレベルとの違いにあきらめてしまい、自分で作ろうとしなくなる可能性を秘めています。そうならないためには、与える側の大人の"導き"が必要だと考えます。それが十分に出来ないままに、ソフトを買い与えても(3〜6才程度の幼児においては特に)逆効果になってしまうかもしれません。
また、忘れていけないのは、子供には肉体的なフィードバックや対人関係を伴った遊びが必要だということです。パソコンソフトがどんなに素晴らしいものであっても、バランスの取れた人間性を育てるために必要な全ての刺激を持っているわけではないことを知っておくことも必要です。
このことはどんな遊びにも共通していえることでしょうが、パソコンはゲームやテレビに較べてよい刺激へ導く可能性が高いと思います。しかし、日本の教育界においては、まだ、こういったノウハウを持ったソフト開発者や教育者が少ないのではないでしょうか?そのため、教育的配慮のなされてソフトは全てアメリカ製なのが現状です。また、買い与える親にも、人形を買い与えるように買い与えるだけでは駄目だという自覚が必要だと思います。絵本を読み聞かせることが必要なように、ソフトも"使い見せる"必要があることを学ばねばならないと思います。というより、一緒に楽しむことだと思います。