これは、パソコン批評のVol4に掲載された、レポートの提出原稿です。検証をかねてPageMill1.0.1Jで編集作業を行いましたが、最終的にはテキストエディタでの調整を行いました。
created 96/6/4
htmlが一昔前のワープロと違うのは、WWWサーバーと一体となってイメージを表示したりアクションすることができる点である。htmlを読み込んだブラウザーはタグの指定にしたがってテキストをレイアウト、イメージファイルの読み込みを行う。また、特定のタグで指定されたイメージ(ホットスポット)やテキスト(ホットテキストと呼ぶ)をクリックされたときに行うアクション(WWWサーバーに指定のデータを送るようリクエストを出す、メール送信)を定義することができる。
このように、機種依存のない(少ない)テキストファイルに、タグを使用することで、インタラクティビティを持たせたりマルチメディアデータのハンドリングを行うことを可能ならしめたのがhtmlとWWWである。
さて、以上を念頭に置きながら以下のレポートを読んでいただきたい。まず、通常のアプリケーションとしての操作や機能について検証し、htmlファイルエディターとしての評価を行う。最後に、実際に使うシチュエーションを想定した上での検証を行い、結論を出す。
必要メモリは4Mなので、実メモリが8Mでは、仮想記憶を使わない限り、他のアプリケーションと同時に起動して使うことはできない。テストにおいては、RamDoublerを使用しているが、コンフリクト等不安定な動きは全くない。
HDのエリアについて、インストール時には空きエリアが5M必要だが、インストール後の占有エリアは2M。最近のアプリケーションにしては、小さくまとまっていて好感が持てる。スピードは、十分に高速であると言える。さすがに、SE/30でインライン変換を使用した場合の日本語入力は厳しいものがあるものの、performa588なら特に重いとは感じない。また、インライン変換を使うかどうかはPageMillで指定できる。全体的な印象はMacWord4.0よりは軽い印象を受けた。
売り物であるドラッグ&ドロップについても、十分にAppleのガイドラインにそったもので、スクラップブックやSimpleText、YooEditなど、ドラッグ&ドロップオペレーションに対応したアプリケーションと非常に簡単にデータのやり取りができる。NetscapeNavigatorのホットテキストをPageMillにドラッグ&ドロップするとリンクアドレスがペーストされる。
さらに、PageMill固有のスクラップブックのようなものとして、ペーストボードというパレットが用意されていて、スクラップブックのように使うことができる。ペーストボードは4ページ分しかないものの1ページに複数のオブジェクトを張り込むことができるし、大きさも自由に変えられるので少なくて不自由なことはないだろう。しかも、素晴らしいのは、ペーストボードにホットテキストやホットスポットを張り込んだとき、そのリンクも同時にセーブされるということだ。ここをブックマークのようにして様々なファイルにペーストしていくことができる。
また、オブジェクトの属性やリンクを編集するための属性情報パレットが用意されていて、リンクや色フォント等の属性を簡単に設定できる。バックグラウンドのイメージや色もここで指定できる。
ただし、これらのドラッグ&ドロップオペレーションを快適に使うには大きなモニタが必須となるだろう。640X480では、パレットが邪魔でしょっちゅう表示・非表示をしなければならなかった。
なお、PageMillにはブラウザーの機能はないので、接続した状態で実データを使ったテストはできない。このため、ホームページのあるディレクトリ構成をHD上に作っておくことが必要となる。そうしないと、相対参照を使ったページのリンクが正しく動作しなくなる。
マニュアルは111ページの薄いものが一冊。手際よくまとめてあり、老舗の手堅さを見せてくれる。Webサイトの基本的な概念、Webサイトへのアップロードについてもそれぞれ一章(両方で12ページ)が裂かれているが、十分とはいえない。このマニュアルは、すでに十分htmlについて経験のある人間でない限り理解できないと思われる。
特長は、タグがいっさい見えない点に集約される。このことが、PageMillを際だったものにしている。これまでのhtmlエディタは通常のテキストエディタにタグ編集ツール(例えばボタンクリック1回でタグが入るとか、アンカーとなるテキストをセレクトした状態でリンクダイアログを出してurlを入力する)を追加したものだったが、PageMillではタグは表示されない。PageMillでサポートされている機能でいいのならば、タグを見ることなく一切の編集作業を済ませてしまうことができる。
ただし、このことはPageMillでサポートされていないタグを使いたい場合、逆に面倒になってしまうことを意味する。タグを直接入力したい場合はそのタグをタグであると認識させるために「汎用HTML」というメニューを実行する必要がある。このときサポートされているタグでも、その時点ではタグとしては機能せず、セーブ後再度開いたときに反映される。再度開いた場合、サポートされているタグは表示されなくなり、サポートされていないタグは入力時のように赤で表示される。サポートされていないタグの場合は、テキストエディタでの作業している場合と同じく、セーブ後ブラウザーで確認する必要がある。なお、セーブはhtmlでセーブされる独自フォーマットはない。
編集モードとリンクを確認テストするためのプレビューモードが用意されており、ボタンクリックで切り替えられるので、軽快な印象を受ける。
全体の印象は以上のようなものであるが、次にPageMill使う場合のメリットとデメリットというか改善して欲しい点を列記したい。
メリット:
改善要望点:
なお、マニュアルにはAdobeのサイトにタグに関するテクニカルノートがあるとして、URLが記入されていたが、ファイル構成が変わっているのかそのURLでは直接はアクセスできない。直接PageMillに関するページに飛ぶには、http://www.adobe.com./prodindex/pagemill/main.htmlへ行く必要がある。ここには、バージョン2.0のアナウンスがあり、7月にリリースされること、今1.0.2を購入すれば、無償でアップグレードされることなどが書かれている。ただし、日本語バージョンについては不明。
さらに、2.0の機能の紹介では、上記の改善要望点の大半がクリアされている。タグ表示モード、Pタグのサポート、NetscapeNavigatorプラグ・インサポート、wysiwygによる表のサポート、テキストのイメージ回り込みなどが予告されている。
オンラインでも配布されていて、雑誌の付録CD-romにも入っていることの多い、HTML Web Weaverと較べてみよう。
PageMillはバージョンが1.0.2Jということからもわかるように、日本語に対応している。HTML Web Weaverは、特に3.0で日本語に対応していない。前バージョンの2.5は日本語の編集も可能だったがレスポンスは悪い。HTML Web Weaverのマニュアルは英語のものしかない。
しかし、大きな魅力として、新しいタグへの対応の速さがある。3.0では、テーブルにも対応していて面倒なテーブルの設定が比較的楽にできる。しかし、この機能を使うには一度英語で仮にデータを作り後で別のエディタで日本語に置き換える必要があるだろう。
※Web Weaver
これについては、ユーザーの利用目的やシチュエーション別に考えたい。
うたい文句である、「ワープロのようにホームページのコンテンツが作れる」かどうかについて。
それは間違いなくできる。テキストデータをドラッグ&ドロップするだけで一応のhtmlになってしまうのだから。そして、最近の高機能ワープロのように、グラフィック入りのホームページを作ることもできる。しかし、そのことが、易しいかどうかは疑問である。Word6や一太郎6.3といった超高機能ワープロを使ってもその機能の大半は使わないはずだ。ワープロソフトでグラフィックなレイアウトを使いこなしているユーザーなんてほとんどいないだろう。ワープロソフトでテキストの打出ししかしていないユーザーが、PageMillを使ったからといって、グラフィカルできれいなページを作れるはずがない。
さらに、htmlがローカルで印刷して終わるワープロ文書とはちがい、ハイパーテキスト構造を記述するためのツールである以上、リンクテキストについての理解なしには効果的なホームページにはならないであろう。
最終イメージに近い状態でレイアウトできることは非常に効果的である。
タグを自動的に入れてくれることも有効だが、通常使うタグがサポートされていないのでは使えるシチュエーションは限られてくるだろう。NetscapeNavigator2.0以降のタグについてサポートされていないのは仕方がないかもしれないが、1.1ですでにサポートされていたテーブルタグやテキストのイメージ回り込みをサポートしていないのでは、はっきりいって使えない。
当然、最新のプラグインを使いこなしている上級ユーザーにとっては使い物にならない。ホームページの最先端技術を使っているユーザーがPageMillでサポートされているような程度のタグでは意味が無いだろう。それなら、エディタにタグを挿入するだけのシェアウエアのほうが、ましなはずだ。
中上級者が使う場合は、テキストデータを大まかにレイアウトし、テキストや背景の色を設定する時に使い、後は別のhtmlエディタなり、テキストエディタで仕上げることになるだろう。
PICTをGIFに変換してくれるのもありがたいが、ALTテキスト(GIFを表示できない場合に表示されるテキスト)を入れられないのはマナー的に良くない。
また、画面上でイメージのリサイズができるが元のデータを変形するわけではないので、小さくしたからといってデータの転送時間が短くなることはない。また、256色のイメージを減色することでファイルサイズを小さくすることもできない。
このソフトでできるのは、PICTをGIFに変換すること、特定の色を透明にすること、インターレース化のみである。これでは、グラフィックアプリケーションを使わずには済ませられないだろう。
ただし、2.0の予告が本当なら、中上級者にも十分使えるようになるだろう。上級者にとっても、テキストや表といった部分を簡単に編集できることは十分メリットとなるはずだ。
いちばん効果的と考えられるのは、現存するテキストやグラフィックデータをhtml化することであろう。スクラップブックからドラッグ&ドロップでhtmlを作っていくのは快感だ。短時間に均一レベルのものを大量に作ることができる。この使い方なら、htmlに対する理解はさほど必要とならない。現に、ここまでのテキスト(編集部の編集前なので約6000文字)をテストでhtml化してみたらタグの入力無しに図のようなページが10分ほどでできた。なれればもっとはやくできるはずだ。
このソフトが威力を発揮するのは、テキストベースのサイトで、すでにその元となるテキストデータが存在する場合だと考えられる。そんな用途があるのだろうか?
ある!そう、イントラネット。社内のワープロ文書をWWWサーバーで一括管理してしまおうという企業のアプローチである。イントラネットの構築のために、パソコンに興味のない社員にhtmlを教育する費用を考えたら、pageMillなんて安いものだ。
また、大量の文書を処理する際には同一のフォーマットであることが必要となる。そこで、PageMillでテンプレートを作って、ドラッグ&ドロップでデータを流し込むようにすれば非常に安価にイントラネットのデータが作成できるだろう。紙で保存されている資料は、スキャナで取り込んで、そのままドラッグ&ドロップすればいい。検索用のタイトルと抜粋だけを入力すれば出来上がりだ。
Adobeのサイトの2.0の広告での、機能の説明においても、企業ユーザー向けFAQやサイトパブリッシャー向けFAQがあるなど、イントラネットを意識したものが目立つ。
PageMillを拡張し、PageMakerのデータをコンバートできるようにすることも考えているかもしれない。なお、PageMillを拡張版として、SiteMillもリリースされているが、日本語版については不明。
上記サイトからデモ版をダウンロードして、日本語が使えるようなら、買ってもいい。
Adobeのホームページはhtmlを書く際のお手本にしたいくらいだ。効果的なグラフィック、めりはりの効いたテキストレイアウト。しかし、PageMill1.0.2で書いたものでないことは間違いない。2.0がこれを書くことができものできるものであって欲しい。
※ハードは個人所有、PageMillは貸与(テスト後返却)