これは、パソコン批評のVol5に掲載された投稿の提出原稿です。 created 96/9/10
購入したのはマックADBバス用のものであるが、それ以外にもDOS/V、PC98用があり 、価格は同額だった。マウスの代わりに使用するので、DOS/Vや98ではマウスポート に接続する。マックの場合は、ADBの終端であればどこでもかまわない。しかし、Gli dePointのコネクタにはスルー端子がないので、ADBポートが一つしかないモデルでは 、マウスと併用することはできない。
トラックパッドとは、マックのPowerBook500シリーズで最初に採用され、最近では PC98や三菱のノートパソコンに使用されているポインティングデバイスだ。トラック ボールに比べて薄くできることやゴミがたまるといった機械的トラブルがないことな どから採用されることが増えてきているようだ。GlidePontはそれを独立させたもの と言えるだろう。静電容量方式という方法で指先(ペン等ではだめ)を感知して作動 する。ポインタの移動量はパッド上の移動量に正比例しているわけではなく、スピー ドによっても移動量が変わるようになっている。
操作はノートに使用されているものとまったく同様だ(ハードもOEM供給による同 じもののようだ)。クリック、ドラッグ、Wクリック等がパッドだけでできる。マッ クの場合はFDで供給されるコントロールパネルをインストール(ドラッグコピー)することで、付属のボタンの機能や感度・スピードをコントロールできるようになる。
トラックパッドを買った理由は、テキスト入力増えたので、ホームポジションから手を放すことなくポインタの操作が出来るデバイスが欲しくなったためである。
この内、1から3がGlidePointを選んだ大きな理由だ。1と2はホームポジションから手を離さずに操作するために必要な条件であり、3は操作感の点で重要と考えたからで ある。
ポインティングデバイス全てに言えることだが、違う方式へ乗り換える際には多少 の慣れが必要となる。トラックパッドも同様で、思い通りに動かせるようになるには 十数時間を要した。これについては、他のデバイスに比べて時間がかかるかもしれない。指先の移動量とスピードに比例してポインタの移動量が決まるので、慣れるまでは違 和感が伴う。また、ドラッグの際に通常のマウスのようにパッドの端まで来たときに 持ち上げて動かすということができないので、モニタの端から端まで動かしたいような場合には、意識的に素早く指を滑らせる必要がある。感圧式ではないので、パッドを押さえる必要はない。また、パッドの面も硬く、滑 りよい机の上のようで指を滑らしている感じだ。
ある程度慣れてきたものの、細かい操作やシビアな操作はできない。私のように、テキスト入力やGUIソフトのボタン操作が中心の場合はそれほど細かい位置合わせは
必要ないので、困ることは少ない。逆にキーボードから手を放さないことが可能にな ることでキーボードショートカットの比重を高めることでポインタ操作の比重を下げ
ることも可能になる。
特にむずかしいのが、タップ&ドラッグを使ったドラッグである。タップでは、マ ウスのボタンのように押したままという表現が不可能なので、一度タップしてそれを
ドラッグすることでドラッグを行う。大きなモニタでオブジェクトを左上からゴミ箱 にドラッグするようなときには一度置いてつかみなおすか、ゆっくりと戻して素早く
目的位置に置くとか、ボタンを使うとかしなければむずかしい。一番不便なのが、マ ックの場合プルダウンメニューが出たままにならないので、一気にドラッグする必要
があることである。長いメニューの下のほうにある階層メニューのセレクションは不 可能に近い。この辺については、先に書いたように、可能な限りキーボードショート
カットを使うことでしのぐか、メニューカスタマイズユーティリティーでメニューを Windowsのように出したままにするといった工夫が必要となる。
基本的な操作感については、気に入っている。特にファインダーでアプリケーショ ンやファイルをWタップで起動するのは非常に直接的でわかりやすい気がする。ノッ
クするように、トントンっと軽く指を動かすだけでマシンをコントロールできること は、マックのユーザーインターフェースに非常になじみがよいものだ。また、テキス
ト入力時にホームポジションから手を放さなくてよくなったので、長時間タイピング しても右腕が疲れにくくなった。
ボタンが小さく硬いためにボタン操作がむずかしい。このためほとんどの操作をタ ップ(マウスのボタン操作をエミュレートする)で行うことになる。多少筐体が大き くなってもいいから、大きくてタッチのいいボタンを付けたほうが扱いやすいだろう。 小さく薄いのでキーボードの手前においても邪魔にならないのはいいが、キーボー ドに接する側が膨らんだ曲線になっているので、キーボードに密着しない。パッド面 がキーボードと近ければ近いほど手の移動量が小さいのだから、ボタンやケーブルの 取りつけ位置を工夫してもらいたい。
では、テキスト入力以外の用途について考えた場合は、どうか。
ドラッグ操作が中心となるペイント系ソフト。ポインタをシビアに操作する必要の あるドロー系ソフト、共に使い物にならないだろう。この用途では、タブレットとマ ウスの連係プレーがよいのではないだろうか。
ワープロ入力には向いている。また、データベースソフトをエンドユーザーとして 使用する場合は差は感じない。表計算ソフトを使うのには、マウスのドラッグによる セル範囲選択を極力減らす工夫が必要となるだろう。ただ、DOS系のコマンドを受け 継いでいるExcelやLotus1-2-3などではほとんどをキーボードだけでできるので、ポ インティングデバイスには左右されない可能性もある。
座標データをマウスポインタによって入力するソフト以外なら十分に使えるだろう 。アイコンの大きさのオブジェクトをクリックすることには全くストレスはない。し かし、キーボードによるデータ入力の多い使用方法以外では、マウスやトラックボー ルに対するアドバンテージは感じなかった。
一つだけ、大きな可能性を感じさせる用途がある。 それは、手が不自由でマウスやトラックボールが扱えない人の利用だ。最小限の動 作でポインタを操作でき、力もいらない。しかも、筐体は小さく軽いので、両面テー プで固定することができる。このことで、腕や足の動作可能範囲が狭い人でも苦痛な く操作できるとことに固定することが可能になるだろう。これは、トラックボールやマウスでは絶対に実現不可能な特性である。こういった用途をターゲットにした告知・広告を行ってもらいたい。その価値と可能性のあるデバイスだと考えられる。小型のタブレット程度の大きさのものが開発さ れれば、さらに可能性が拡がるかもしれない。
使用目的を十分考慮して採用する必要があるだろう。よく使うアプリケーションの 中にポインタを精密に操作する必要のあるソフトがある場合はやめておいたほうがい いだろう。しかし、グラフィックソフトを日常的に(ビュワーとしてでなく作品を作 るために)使うのでなければ十分に使えるデバイスである。