Created 22/9/97
提出原稿そのまま。 パソコン批評のサイト版・マイクロデザインのホームページ
1年が経過し、不満に挙げた多くの点を解消したバージョンアップの行われアドビ・ ページミル2.0J(以下APM)として生まれ変わった。今回は個人向けのhtm lエディタとして比較されることの多いクラリス・ホームページ2.0v1(以下C HP)と併せて検証を行った。
本稿では、両ソフトの特徴を確認した上で、ホームページ作成のために使えるものに なったのかどうか、また、初心者がホームページを作るためのツールとして適当かを 検証したい。なお、ターゲットとするWWWブラウザーはバージョン2.0以降のネ ットスケープ・ナビゲーター(以下ナビゲーター)とする。
基本的機能の比較を別表にまとめたので、本文では重要と思われる項目についてのみ 触れる。
1:インストール・動作環境等:
両ソフトともCDからインストールできる(APMにはFD版も付属)。また、CD には参考になるサンプルファイルが入っているので目を通しておくと良い。 必要メモリは、別表の通りだが、APMは標準のメモリ割り当てでは使い物にならない。
2:マニュアル
抽象的な作業を行うことが少ない種類のソフトなので、マニュアルの比重自体は低い 。とはいうものの、CHPの48ページの入門ガイドでは不十分だ。APMはWWW の概念についても充分な説明を行っており好感が持てる。 逆に、オンラインヘルプはCHPが充実している。このあたりには、PageMak erでDTPを作り上げたアドビとデスクトップメタファーという概念を作り上げた クラリスとの考え方の違いが窺えるようだ。 なお、両ソフトともタグの使い方についての説明は全くない。
3:操作性・操作感
どちらも基本的な操作は、標準的なWYSIWYGワープロとあまり変わらないので 、戸惑うことは少ないだろう。しかし、CHPがクラリスの製品らしく、マックのユ ーザーインターフェースガイドラインに沿ったものであるのに対して、APMは独特 のユーザーインターフェースを使っており違和感を感じることがあった。 リンクの設定についてはどちらも試行錯誤の段階だ。htmlエディタをワープロと 区別する重要な機能なので、サイト管理の概念を導入した、シンプルで効果的なもの を期待したい。
4:動作環境
どちらも、ウィンドウ上部に2段のツールボタンを備え、詳細の設定をパレットで行 い、リンクをドラッグ&ドロップ(以下D&D)で行うので、肝心のページの表示面 積が狭い。CHPは、ツールボタンの表示/非表示を切り替えるられるが、640X480 では辛い。ツール表示のためにページ表示面積が小さくなるのは本末転倒だ。これは 、アプリケーション全体に言える傾向だが、ユーザーにもメーカーにも再考を促した い。エクセルでツールバーを5段くらい表示してワークシートが縦に10行くらいしか 表示できない状態で使っている人がいる。
両ソフトとも、レスポンスは最新のワープロ程度だ。テキストエディタのような軽快 なテキスト編集は全く不可能だ。APMはグラフィックを多用したページを編集しよ うとするとレスポンスが落ちる。ナビゲーター3.0が15秒、CHPが20秒でオープ ンできたファイル(イメージを含め約300Kバイト)を開くのに50秒かかった。 快適に使うためには、17インチ以上のモニタとPoweerPCが必須だろう。Pe rforma588では、両方がクリアできず快適な作業は不可能だった。
5:機能比較
・フレーム:
考え方の違いが顕著に現れた。
APMはフレームを通常のフレーム対応ブラウザーのように表示でき、そのままフレ ームに表示されているフレームの内容を編集することができる。通常のページをフレ ーム内容としてフレームセットを作ることも簡単にできる。 CHPでは、フレームのみが表示され、フレーム内容は編集はもちろん表示もできな い。このため、フレーム内容は別のウィンドウに表示して編集することになるが、フ レーム内でのバランスを考えての編集は難しい。また、フレームコンテナを作りたい 場合は、新規にフレームを作成する必要がある。 逆に、CHPはフレームコンテナ自体をWYSIWYG編集の対象に出来るがAPM はできない。このため、NOFRAMEタグを使ったフレーム未対応のブラウザーに 対するメッセージを入れることしか出来ない。今回の前提からいえば、APMの仕様 でも問題はないが、できるだけオープンにいろんな環境の人でも読めることの意義の あるhtmlファイルを扱うエディタとしては疑問が残る。
・テーブル:
最高に効果的だ。しかし、ブラウザーとは表示がことなるので、最終はソース編集で の調整が必要だ。
残念なことに、両エディタともにフレームに対するテキストの回り込みを指定できな い。そのような指定がされたhtmlファイルを開いても画面には反映されない。 なお、どちらもExcelからのペーストが可能で、使えるシチュエーションは限られて いるが便利に使える場合もあるだろう。
なお、CHPがサポートしていないCAPTIONタグを自動的に削除してしまうこ とやテーブルの大きさを数値で指定してもプレビューに反映されないことはバグとい っていいだろう。
・グラフィック:
ページ作成面での機能的な差は少ない。プログレッシブJPEGについては、CHP は全くサポートしていない(?で表示される)。APMは表示する方法についてマニ ュアルに記載があるが、その方法に従っても表示はできなかった。 このため、通常のJPEGでhtmlをレイアウトした後で、ファイルをプログレッ シブJPEGにするか、サイズをグラフィックソフトで調べて手入力するかしないと 、レイアウトができない(文字やイメージのレイアウトや表示時間を気にしないので あれば、?のままでもブラウザーの表示には問題はない)。 プレビューに関して、APMは、アニメーションGIFの動画再生ができる。 CHPはイメージに対するテキストの回り込みをサポートしていない。これは大きな 減点だ。限られたモニタのスペースで効率的にグラフィックとテキストをレイアウト するために多用する機能なので、ぜひサポートしてもらいたい。
・ソース編集
一つのファイルをソース編集ウィンドウとWYSIWYG編集ウィンドウとで同時に 編集することは、どちらも出来ない。
CHPはソース編集でのタグ、アトリビュート、パラメータの色を設定でき、テーブ ルやリストもインデントされるので見易い。更に、WYSIWYG編集でセレクトし た状態でソース編集に切り替えると、ソースの該当部分がセレクトされて表示される ので、長いファイルを編集しているとき効率が良い。 また、ソース編集でのテキストラップ表示ができるのも見逃しがちだが有効な機能だ 。ファイルオープン時の編集モード指定が可能なので、ソース編集をメインの環境に し、ソースでの入力が面倒な作業のみをWYSIWYG編集で行うという使い方がで きる。
対するAPMは、積極的にはソース編集をサポートしていない。 上記の機能はサポートされておらず、サポートされていないタグの挿入やソースの掃 除(不要なタグの削除等)程度にしか使えない。
・サイト管理・リモートサーバーへの転送
APMには全くない。サイトミルというサイト管理を含めたソフトに委せているよう だ。CHPはサイトフォルダーを指定しておき、関連するファイルや変更のあったフ ァイルを自動的に一括転送できる。サイト管理と呼ぶには不十分だがFTPソフトを 必要としないことは評価できる。
サイト管理は、リンクのメンテナンスに応用が効くので、ぜひ実現してもらいたい。
・タグ
ナビゲーターでサポートされているタグが全てサポートされているわけではない。中 には、削除されたり書き換えられたりするタグがある。 書き換えられたくないタグについてNOEDITタグをサポートしているが、違うソ フトで書いたhtmlをオープンする前には注意する必要がある。
・プラグイン
APMはプラグインを正しく動作させることができた。COCOAというマイナーな プラグインについても問題なく取り扱えたので、ナビゲーターに準拠したプラグイン であれば問題なく実行できるだろう。
CHPはプラグインのプレビューは全くできない。
・検索、置き換え
マルチファイル検索・置換はどちらもサポートしていない。 なお、APMは画像をキーにした検索という珍しい機能を持っている。
・ライブラリ
APMでは従来からと同じペーストボード、CHPはライブラリという機能を持って おり、良く使うイメージやリンクを保管することができる。 CHPはタイトルで分類整理することや複数のライブラリを作ることが可能で、AP Mのペーストボードをリードした感がある。
・その他
既存のテキストデータをhtml化したいときに、APMは別のエディター等でオー プンした後、コピー&ペーストかD&Dで挿入しないと改行コードをタグに変換して くれない(CHPはテキストファイルをアプリケーションアイコンにD&Dするだけ )。また、APMはhtmlという拡張子のファイルしかオープンしない。 両方とも、クライアントサイド・イメージマップを作成できる。座標の指定を確認し ながらできるので、ホットスポットの設定が簡単になった。
まとめ
テーブル編集、APMのフレーム編集、CHPのソース編集などはテキストエディタ +ブラウザーでの作業を過去のものにしてしまった感がある。タグに気を取られるこ となくページの内容に集中できることは、サイトの質的な充実にも貢献するだろう。 これらは、ある程度htmlの経験があり、継続的にhtmlを作り続けているよう なユーザーにとっては非常に有効だろう。
htmlの経験の少ないユーザーにとっても有効なものだ。ただ、ワープロのような 1ページ完結の文書を作るためのソフトのようになってしまっているのが気になる。 VOL4のレポートにも書いたことだが、見栄えのするページを作ることと、効果的 なホームページ(WWWサイト)を構築することとは別物だということを忘れてはい けない。そのためには、ハイパーテキストの概念の理解、ネットワークの知識、レイ アウトのセンスが必要だ。
また、htmlファイルがテキストファイルであるということや、それゆえに機種や ソフトに依存しないオープンなものであるということにつても、十分な記述がない。 両ソフトが、htmlオーサリング環境として強力なだけに、これらについて十分な 説明がされていないことが気になる。初めてhtmlに触れる方は、十分に意識して 使用する必要があるだろう。
なお、今回のテストで印象に残ったのは、両ソフトのhtmlエディタに対するアプ ローチの違いだ。
アドビはAPMをウェブ・パブリッシング・ソフト群の一部と位置づけているようだ 。Acrobat Readerが付属していることからもうかがえる(これをインストールすると 、ナビゲーターやAPMでPDFファイルが表示できるようになる)。プロユースを PageMaker+PDFで固め、個人ユースをAPM+htmlでカバーし、サ イト管理にはサイトミルを使うという戦略のようだ。その中で、APMはワープロの ように「一枚のページを単独で完成させる」というアプローチをとっている。このた めに、プラグインやアニメーションGIFなども単独でプレビューできるよう貪欲に 新しい機能を取り込んでいる。
対するCHPは、html作成をサポートする立場を取っている。それは、編集中の ファイルを指定したブラウザーに表示させるためのブラウザープレビューボタンの存 在でもわかる。単体での高機能化や自社製品での囲い込みではなく、様々なソフトを 連携させて目的を達成しようとするアプローチと言えるだろう。
結論
テキストエディタだけでhtmlを書くことは、htmlの修得自体が目的でない限 り、不要になった。
APMの前バージョンを持っているユーザーは迷わずアップグレードするべきだ。 新規購入の場合は、過渡期の製品なので、そのコンセプト・コストを十分に吟味した 上で決定したい。なお、今回はテストできなかったが、競合製品でSYMANTEC VisualPageというソフトも競合製品として魅力的なので、選択枝として 考慮して欲しい。
なお、フレームを多用したサイトを構成するつもりならCHPだけはやめたほうがよい。