Report of JanglePark

提出原稿そのまま。 マイクロデザインのホームページ



ジャングルパークというアーティスティックな作品を題材に、子供とパソコンの関係を考えることにした。メーカーの
デジタローグはアーティスティックな作品を中心としたCD−ROMソフトの日本における草分け的存在だ。ジャングルパークも例に漏れずアーティスティックでターゲット不明なものだ。
簡単に内容を紹介した後、子供の反応に基づいて子供とパソコンの関係を考察する。

内容:
パッケージからは子供向けの印象を受けるが、ユーザーに媚びることのない作り手の主張の利いた作品で、子供に対する配慮はない。当然、学校教育的な内容もない。
基本的にはRPGだ。主人公・SARUが自分の家を出発して4つの地方を歩き回りゲームやイベントに出合う。しかし、RPGに必須の敵、アイテム、経験値といったものはない。何より、目的がない。ゲーム仕立てのアトラクションが6つあるが、クリエイターの遊びに近いものだ。操作性が悪く子供のゲームとしては不適当だ。
オブジェクトやキャラクターはは全て3Dで描かれている。キャラクターはかわいらしく、子供を惹きつける魅力十分だ。特に、SARUの動き。どんな小さな動きもおろそかにしていないところが素晴らしい。実世界を画面上に展開することを意識したためか、画面上には操作用のボタン類は一切なく、メニューバーもない。
操作はマウスだけでできる。画面上のオブジェクトをマウスポインタでクリックするのではなく、SARUを導いてアクションを起こさせる。マウスを速く動かすとSARUが追いついてこないことや、オブジェクトをポインタでクリックすることが習慣となっていることもあり、慣れるまでにかなりの時間を要した。

子供の反応:
まず、パッケージを見た瞬間から大変期待していた。実際に起動すると、SARUの姿やその動きに大喜びだった。しかし、自分での操作には2人ともかなり戸惑っていた。2子は、思い通り動かないSARUを操作することに飽きてしまい、私が操作しているのを横で見、お気に入りのイベントやゲームの時だけマウスを操作するようになった。
保存ができないことには違和感を持つようだ。通常のRPGタイプのソフト、ポケモンやエデュテインメントソフトでは何らかの方法でセーブし、次回に起動したときにはそこから始めることができる。ジャングルパークはアイテムは必要ではないし近道もあるので支障は少ない。しかし、主人公に対する感情移入を拒まれているような気持ちになる。
また、イベントに導くという配慮がなされていないために、解説本がなければ絶対見ることはなかったであろうイベントが数多くあった。偶然による出会いを大切にするというコンセプトなら、きっかけを簡単にしておかないと素通りしてしまう。

まとめ:
我が家は、90年にマックを購入して以来、子供向けのソフトを積極的に購入してきた。Performa588を購入してからは、居間に設置し自由に触らせるようにしたこともあり、パソコンに対して特別な思いは少なく、ゲーム機やテレビと同じスタンスで使っている。
そんな子供たちなので、今回のジャングルパークにも、操作性が悪いことを除けば、すぐに溶け込むことができた。私が解説本片手に「次はプール」「次はほらあな」と、イベント探しをするのと対照的に、子供は現れてくる小さなイベントを繰り返しやったり、本能(?)の赴くまま好き勝手に移動しては、試行錯誤自体を楽しんでいるようだった。子供、特に低年齢の子供には目的についてのこだわりが少ないためかもしれない。小4の1子は、解説本で面白そうなイベントをあらかじめ調べた上で、そこに向かっていた。そして、次の季節に移動できなかったり、アイテムが見つからなかったりして膠着状態になると、興味を失ってしまうようだった。
このことは、私には少しショックだった。目的を追求することに目を奪われ、目前のイベントを楽しむことができない自分に対してだ。このソフトは、そいういう大人への警鐘なのかもしれない。単純に、目前の楽しみ(幸福と言ってもいいかもしれない)を見ずにいることの愚かしさを確認するためのソフトかもしれない。そういう意味も含め、ユーザーを特定しない、ユーザーに媚びない姿勢が、逆に幅広い年齢層に受け入れられるものとなっている。幼児から大人まで、どちらもが無理することなく楽しめる数少ないソフトだ。子供と、「こっち行ったら何があるの?」「これはどうするの?」と悩みながらジャングルパークをうろうろするのは、知らないところを散歩するようで楽しい。子供と一緒にする遊びの一つとしてお勧めできる。
何事によらず選択枝を多く持つということは大切だと思う。いろんな尺度を持って柔軟な判断のできる人間になってほしいと考えている。そのためには、学校教育の成績から全人格を評価するようなことがあってはいけないと考える。同様に、子供の触れるパソコンソフトにおいても、学校教育の成績を上げることを目的とするものである必要はないと思う。むしろ、積極的に違う方向での評価を行えるものが求められるのではないだろうか?
ジャングルパークを親子でプレイすることは、親子が一緒に楽しむという経験の一つとしての価値を持つだろう。その際に、親による適当な助言やアドバイスを行うことができれば、さらに効果的だろう。また、このようなソフトに子供の頃から親しんでいれば、パソコンに対する誤った先入観(難しい、何でもできる等)を持つことなく道具として使いこなすことが容易になるだろう。

結論:
価格も適当であり、ハイブリッドCDなので、子供のいる家庭なら買って損のない選択だろう。「ジャングルパークの歩き方」は必須なのでバンドルセットを買うべきだ。
なお、デジタローグのホームページ※には
サポートページがあり、Q&Aや情報が掲載されている。PS版やピピン版も発売されるらしい。3Dの描画能力の強力なこれらのプラットフォームなら、マウスより多量の情報を投入できるコントローラも手伝って、より完成度の高いジャングルパークが登場するかもしれない。
Kasahara@kh.rim.or.jpこのページの先頭へ戻るインデックス GigaHit