28.Oct 1998 (ver1.0)
提出前に書いていた部分もよかったらどうぞ。
98年5月の時点で、ネットスケープ社(以下N社)のナビゲーター(以下NN)とマイクロソフト社(以下MS)のインターネット・エクスプローラー(以下IE)がWWWブラウザの代名詞となっている。ウィンドウズ95プリインストールマシンが初めてのパソコンだったユーザーにとっては、インターネット=WWW=IEかもしれない(vol.14 P24参照)。
また、NNとIEのシェア争いや機能拡張競争、NNの無償配布ならびにソースコード開示など、両ソフトにまつわる話題は多い(vol.13P96,vol.14P24参照)。しかし、インターネット=WWWではない(vol3 P8 参照)のと同じように、ブラウザ=NN・IEではないブラウザを検証する。私は普段NN4.05を使用しているので、比較の対象はNNであること。さらに、私はプラグインやJAVAは全てオフにしている(vol.11P68参照)。画像も基本的にはオフにしておいて必要なときだけロードするようにしていることを念頭にお置きいただきたい。
今回は、現行システムでの動作が可能で通常の設定による日本語表示が可能なもの3本を検証した。しかし、日本語向けにローカライズされたものではないので日本語の取り扱いについては批評の対象とはしない。インターネットでダウンロードし、一般的な操作(解凍とコントロールパネルでのソフトウェアの追加)によってインストールができた(サイズは別表参照)。
wwwを普及させたキラーアプリケーションがこのNCSA・MOSAIC(以下モザイク)だった。イリノイ州立大学で当時学生だったマークアンドリーセンを中心としたグループが作り、ネットで配布し爆発的に普及した。NNが発売されるまでは、WWW=モザイクと言えるほどだった。
その後、開発グループがシリコングラフィックス創始者のジムクラークに引き抜かれてN社へと移った後は更新も希になり、市場のプレーヤーから脱落した。しかし、その後に開発された大半のブラウザはNCSA(商用ライセンスについてはSPYGRASS)からライセンスを受けて開発されたものである。IEもNNもこのソフトから出発したといっても良い(NNはライセンスは取っていないが、開発者が同一)。
昔、NECや富士通が日本語化したブラウザを販売していたが、今は見あたらなかった。今回はNCSAより日本語化されていないものをダウンロードし検証した。日本語の表示のためにはフォントの設定が必要。それを行っても、キャラクタセットがSJISでないページは全く読めない。しかも、起動する度に、フォントの設定が必要となるが、文句を言うのはお門違いだろう。
アプリケーションが小さいので、起動の時間は短い。数秒で起動できる。メモリが少ない環境では有利だ。
基本的機能しかサポートしていないが、私の使い方であればさほど不便はない。特徴的な機能としては、 オペレーションウィンドウと呼ばれるフレームがある。ここには下側にボタンが並んでいて、ブックマークの表示やHTMLソースの表示をボタンをワンプッシュでできるのは便利だった。自動巡回機能標準サポートというのもこのソフトだけだ。また、右ボタンメニューにDocument Header Infomationというのがあり、HTTPサーバーから送られてくるファイルのヘッダー部分が表示され、サーバーのソフト名などが表示される。いろんなサイトで使われているサーバーソフトはCERNとNCSA、Netscapeが大半だった。NCSAのサーバーがAPACHだったのはご愛敬?
不満に感じたのはフレームの表示ができないことだ。フレーム使用には批判的な声もあるし、フレームの使い方が悪いために見づらくなっているページも多い(パソコン批評のホームページがそうだ)。しかし、特殊な付加ソフトを必要とせず、効率の良いサイト構成が可能になるので、使っているサイトが多い。私個人はサポートして欲しいと思う(ただし、noframeタグを入れていないのは怠慢だ)。
それ以外のページでは快適かというとそういうわけではない。表示が遅いうえに、ロード中にキャンセル以外の操作を受け付けないので、いらいらさせられる。私は、ロードに時間のかかるページを開く必要が有るときには、新しいウィンドウを開きテキスト主体のページを読んで接続時間の節約をすることが多い。これができないのが一番苦痛だった。
残念ながら、過去のソフトだ。歴史的な足跡は大きいが、98年5月時点では、使うメリットは何もない。
SUNが開発したjavaの標準ブラウザがHotJava(以下HJ)だ。というより、Javaのデモ用と考えるべきだろう。30日間限定試用版とJava開発環境の一部として添付されるだけだ。というより、HJ自体は単体のアプリケーションではなく、Javaライブラリのおまけのようなものだ。7Mのファイルのほとんどはライブラリで、Hotjava.exe自身は13KBしかなく、単体での動作もできない。
標準で多言語をサポートしており、キャラクターセットの設定で日本語を選ぶことで日本語の表示が可能になる。完全な日本語化を望むなら、日本語化パッチを無償でダウンロードできる。
当然ながら、javaに対する親和性は最も高い。MSが独自に拡張したウィンドウズでしか使えないようなものを除いて、javaを最も効率よく実行できる。NNでJavaを載せたページに移動したときのようなタイムラグはない。
それ以外に特徴は少ないが、タグ表示機能やhtmlの文法チェックなど、開発者寄りの機能がその出自を感じさせる。
しかし、表示スピードという点でNNの敵ではない。ライブラリを介して動いているので、特定のプラットフォームに最適化した通常のソフトよりスピード的に劣るのは当然だ。気になるのは、スクロール中に画面がフラッシュするように再描画されることだ。イメージデータのロード中にテキストを読み進みたいときに困る。
全く新しい試みというか、回帰現象というか、NNやIEが機能を増やすと同時に大きくなって行くことに疑問を持ったユーザーの声に応えて開発されたのがOPERA(以下オペラ)。モザイクのライセンスを取らずに、スクラッチから作ったそうだ。このソフトは有償($35)だ。検証したのは30日間限定版。日本語化はされていないので、かろうじて日本語表示ができるという程度。
NN用のプラグインのうちメジャーなものはサポートされているが、Javaはスクリプトのみ。フレームやSSLなど、基本的な機能については必要にして十分だ。このソフトの最高の機能は速いことだ。ファイルサイズを見ても分かるように、起動も速く全ての操作について、レスポンスが良い。NNやIEが動作するときの重さというか慣性モーメントというか一瞬もたつくような感じが一切無い。NNを高機能ワープロとするとオペラはエディタだ。
現状ではウィンドウズ用しかないが、他のOS(マック、UNIX)への移植も進められている。日本語への対応ができれば、私はメインブラウザにすつもりだ。ウィンドウズ3.1に対応した16ビット版もあるので、旧機種でも最新のブラウザを使うことができる。ウィンドウズ3.1プリインストールマシンを使っているようなユーザーにとっては朗報だ。DOS用のWebBoyのような存在意義のあるソフトとして、育って欲しい。しかし、16ビット版をダウンロードして、COMPAQ CONTURA AERO(日本語ウィンドウズ3.1)にインストールしたら不安定だった。
save Page and Images as...という機能があり、htmlソースだけでなくページで使われているイメージファイルをバックグラウンドも含めて一括でセーブすることができる。しかも、ローカルのブラウザで読み込むためにURLを書き換えてくれる。これは画期的だ。NNでは、ソースを保存したあとにイメージを一つ一つ保存した上で、HTMLを編集し直す必要があった。
その他にも、イメージのロードのオン・オフをボタン一つで切り換えられたり、HDに残ったキャッシュを直接開くことができるなど、ユーザーの気持ちを分かった機能が揃っている。
HTMLソースの表示は指定のアプリケーションを介して行われるが、フレーム表示をしている場合にフレームに含まれているページについても、右ボタンのポップアップメニューから、ソースを表示できる。NNでは、フレーム定義のソースを見て、そのページ単体を表示させた上でなければ確認できなかった。
今一番可能性を秘めたブラウザといえる。是非日本語化してもらいたい。
NNやIEのバージョンアップの過程は、OSやワープロソフトの縮図のように感じる。デモで見栄えのする機能を付け加えることには熱心だが、現行バージョンのバグフィックスは全く行われない。現行のバージョンの機能的に満足して行いても、バグ修正版を入手するためには、バージョンアップをする必要がある(「対応版にアップグレードしてください」と繰り返す"あれ"だ)。ハードが対応できる場合はいいが、そうでない場合はバグとつきあい続ける必要がある。さらに、そのバグも実害のないものなら良いが、IEのセキュリティバグなどは致命的なトラブルを招きかねない( vol.11P68参照)。
本稿では、そういう場合の選択枝として違うブラウザを検証したが、日本語をまともに扱えるブラウザ自体が少なく、NNやIEに取って変わる第三のソフトは見あたらなかった。しかし、OPERAには大きな可能性を感じた。現時点では日本語に対応していないので、NNやIEを削除するわけには行かないが、日本語対応版がリリースされたなら、購入の価値があると思う。
今回、編集部の依頼を受けて調査をしたが、生き残っているソフトは少ない。残っているのは、教育機関(モザイク)やプラットフォームのプロトタイプ用(HJ)、翻訳や自動巡回などの付加価値を付けたものばかりだった。
無料のブラウザに市場を制圧することを許したために、寡占によるユーザー無視の市場ができあがってしまった。私たちは、無料ソフトと引き替えに選択の自由を失ってしまったのかもしれない。こんな状態にあって、唯一独自の世界を持っているソフトが一本だけあった。イメージの表示をできないので今回の検証からははずした。それは、UNIXで育ったテキスト専用ブラウザLYNXだ。これのウィンドウズ95版を日本語化したものがあった。ウィンドウズ95のDOS窓でしか実行できないなど制限は多いが、どのソフトより軽快だった。このようなソフトを育み続けてきたUNIXの懐の深さを感じた。
バイナリーをダウンロードするようなプラグインや、IEのようにローカルのディスク上のプログラムを起動できるようなものは全て危ないと思った方がよい。また、特にIEの場合は、面倒臭くても「次からこのメッセージを出さない」というチェックをしない方がよい。IEのセキュリティバグ対応はこのダイアログを出すということだけだ。だから、一度このチェックをしてしまうと、セキュリティ未対応バージョンを使っているのと同じことになってしまう。
|
フレーム |
付加フレーム |
JAVA対応 |
ソース表示 |
|
| Mosaic |
× |
◎ |
× |
◎(フレーム表示、日本語可) |
| HotJava |
○ |
× |
◎ |
○ |
| Opera |
○ |
○ |
△ |
△ |
| ダウンロードサイズ | インストール後のフォルダサイズ※ | URL | |
| Mosaic |
2.9MB |
2.64MB |
NCSA |
| HotJava |
7MB |
8.11MB |
SUN |
| Opera |
1.9MB |
2.2MB |
OPERA |
| ※SYSTEMなどにインストールされるものは除いたフォルダサイズ | |||