MS Office98 for Macintosh :vol.18

5.Nov 1998 (ver0.1)

提出バージョンまでにかなり文字数を減らしています。その後に気づいたことを加えた最終版を載せる予定です。


MSオフィス98登場
マッキントッシュ版MSオフィス98はアップルに何をもたらすのか?

マイクロソフトとアップルの提携の結晶とも言えるMSオフィス98がとうとう発売された。その品質と意義を問う。

9月にマック用のオフィス98M(※1)が発売された。会社でエクセル5Mをオフィス98Mにアップグレードしたので、レポートしたい。

●始めに

本稿では、機能の詳細な記述はしない。一般ビジネスユーザーが、機能に不足を感じているとは考えられないからだ。最初に、オフィス98Mの特徴を概観し、マック用ソフトとしての操作感を評価する。次ぎに、オフィス98が何かをもたらすのかを考察する。なお、対象とするのは、仕事で表計算とワープロを使っている事務系会社員とする。なお、筆者はエクセルについては、3Eから使っているが、ワードMは使ったことがないことをお断りしておく。ちなみに、エクセルWとワードWは使っている。

●機能・特徴

 エクセルは5M(※)からのアップグレードだが、基本的な機能にはほとんど変化はない。宣伝では、ドラッグ&ドロップ・インストール、アプリケーション自動修復、アシスタント、ウィンドウズ版とのファイル互換、97Wと同様のインターネット関連の機能の追加が挙げられている。どれも、本質的なアップグレードとはいいがたい。特に、自動修復は最初から壊れないソフトを作ることを放棄しているようである。バグフィックスで2度儲けるMS商法の延長だろうか。(このフレーズは、確認できないという理由で、編集部によってカットされました。このホームページでは私の持っている状況証拠に基づいて載せます。)

 また、インターネット機能にしても、必要としている人がいるとは思えない。コンピュータ業界以外で、ワープロや表計算を使うときにwwwで情報収集する人がいるのだろうか? 仮にいたとしても別途ブラウザーを起動すれば済むことだ。html保存にしても、MSローカルなhtmlコードを吐くので使いものにならない。

 一番大切なのが、ファイルの互換性であろう。97Wとのファイルの互換性自体は問題ないので、97Wとファイルを共有する場合には便利になった。ただ、95Wと97Wが混在している会社では、標準のフォーマットとして95での保存が指定されているだろうから、あまり実用性は感じられない。互換性を維持するためにウィンドウズでお馴染みの英語フォントが付属している。MSP明朝とMSPゴシックも入っていればさらによかったが、フォントによるレイアウトの乱れを防止しようとする意志が伺わるのは好感が持てた。

 しかし、エクセルのマクロについて、前バージョンで作ったもので動作しないものがあった。しかも実行時マクロエラーではなく、エクセル自体が異常終了してしまうのだ。マクロを作り込んでいるユーザーは、動作確認をしながら移行する必要があるだろう。

 アップグレード版には「活用ガイド」という機能の紹介本がついているが、マニュアルと呼べるものではない。こんな機能があるということを示しただけで、実際の使用方法については一切記述がないのだ。関数やVBについてのリファレンスもない。ある程度まで知識があることについては、オンラインヘルプも便利だが、「知らないことがある」ということを知ることはオンラインヘルプのみでは無理だ。解説本の広告が入っているので、これで習熟しろというのだろうか。ひどいものである。ただ、解説本の広告が入っているので、これで習熟しろということかもしれない。自社のコストを下げると同時に、マスコミへの支配力を維持する戦略だろうか。(これも、編集部カット。

●操作感

 「マックのソフト」というより「MSの製品」という感じだ。ツールボタンとダイアログを多用していたり、ワードとエクセルとで操作体系が異なっていたりというのはウィンドウズ版と一緒だ。以前のアップグレードと違い、メニュー体系の大幅な変更はないので、戸惑うことは少なかった。

 ただ、一つ大きく変わったことは、完全にPPC(PowerPCプロセッサ)に最適化したソフトとして、スクラッチ・ビルドしたことが体感できることだ。筆者のハードウェア環境は推奨環境をクリアしていないが、それでも動作は軽くなった。また、共有モジュール(ウィンドウズのDLLのようなもの)を多用しているらしく、エクセルとワードとを同時に起動しても、レスポンスの悪化は全くない。インストールされるファイルの容量も、単体でインストールすると各々60MB以上必要だが、全てインストール(標準インストール)しても、100MB程度にしかならない。 これは、PPC時代のソフトウェアの方向を示した先進的なものと評価できる。

●問題点(環境に依存しているという理由でカット。しかし、筆者の環境で再現性があり、他のアプリケーション、旧バージョンで発生していない問題なので載せる。)

筆者の使っているプリンタのドライバと相性が悪いのか、グラフにパターンを指定したときに、正しく印刷されなくなった。5Mと同じように印刷できないので、パターンを換えて印刷し直さなければならなかった。プリンタドライバのせいかもしれないが、このようなことは他のアプリケーションでは起こってない。

●価格について

 アップグレード版で、ウィンドウズ版は3万円弱だが、マッキントッシュ版は4万円前後だ。MSの価格付け戦略の典型の、競争のある市場では安価にし、独占市場では利益を吸収するやり方だ。「1本あたりの開発費用は高い」という意見にも、「機能に対して価格を払っているんだから、同じ機能なら同価格であたりまえ」という意見にも一理がある。しかし、市場独占を許したユーザーはメーカーに対して価格の決定権を渡してしまったわけだから、できる抵抗は、買わないだけだ。

●オフィス98のもたらすもの

 オフィス98は日本の企業ユーザーへのマック普及のキラーアプリケーションになれるだろうか?答えは、否だ。

 オフィス98があるからといって、マックを新規で導入する企業は考えられない。製品の善し悪しではない。企業内ユーザは製品の善し悪しを見極める能力もないし、必要もない。与えられたパソコンの操作を憶えることだけで精いっぱいで、新しいパソコンなど迷惑なだけだからだ。

 では、会社で四面楚歌のマックユーザーにとってはどうか?

 ソフト自体を考えるなら、価格に見合うだけのバージョンアップとは思えない。価格の割に、得られるものが少なすぎるからだ。機能は大差がないし、変な操作体系は改善がない。マックしか使わなくて良い環境ならバージョンアップの必要はないだろう。

 しかし、ウィンドウズ95+MSオフィスが標準となっている大多数の企業では、他に選択枝は無い。そう言った意味では、社会的認知度の高いMSオフィスの最新版がマック用に発売されたことは意味があるだろう。俗に言う「標準」に歩み寄ることができるのだから。特に、マックユーザーとして変人扱いされている人には朗報と言えるだろう。

■プロフィール

1961年生まれの人事担当会社員。

前号のLOTUS1-2-3とMSオフィスとの価格差には愕然とした。NNが撤退したら、IEも有償化されるに違いない。

LINUXの日本語版ビジネスソフトが発売されたらと思う。

p60欄外:
※煩雑さを避けるために、以下の表記をする。・バージョンを特定する場合に、名称の後ろにバージョン数を入れる。・マック版・ウィンドウズ版を特定する場合には、末尾にマック版は”M”ウィンドウズ版は”W”を入れる。ウィンドウズ版については特にバージョンを指定しない場合は95、97共通とする。

p61欄外:
■検証環境:
PowerMacintosh 6100/60 PPC601 60Mhz Mem72MB 2GBHD MacOS8.1J Fujitsu FMV biblo NU13 Pentium133Mhz Men64MB 1.2GBHD windows95


アメリカで無償配布されたバグフィックスが日本では、2000円で販売された。Excel5.0Jmacでもそうだった。

以前にMSの古川会長がインタビューで、

「我々は製造業だ。マニュアル一つとっても、数十万部の本を出版するのと一緒だ。アップグレードのときは、紙の調達や印刷工場の手配。海外で印刷したマニュアルとソフトのCDをパッケージにする手間や配送などまで考えなければならない。これらのコストも含まれている。」

と言っていた。それは良い。しかし、今回のバージョンでそのマニュアルコストを大幅に省いているのに、製品価格が下がらないというのはおかしい。

また、書店のパソコンコーナーに行ってみれば、あるいはパソコン関係書籍の売上を見て見れば分かる。MSは出版社に大きく貢献している。通常の出版社が頭が上がらないであろうことは予想ができる。ちなみに、「中村正三郎のホットコーナー」では、記事のないように対して圧力がかかった例が上げられている。

そういう会社なのだ。マイクロソフトは。


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