PowerZourus PI610 :vol.17

5.Nov 1998 (ver0.1)

投稿バージョン。この後、提出バージョンまでにかなり文字数を減らしています。その後に気づいたことを加えた最終版を載せる予定です。


パワーザウルスを購入した。購入して1カ月程度だが、活用が進むにつれ様?な感想を持ったので、レポートしたい。

筆者の所属する人事(課員4名)の内の一人が定年退職し、その人の担当業務を残りの3名で分担することになった。これまでも十分に忙しかったところに、全く経験のない業務を半人分くらい載せられた感じだ。そして、その業務は、社会保険や税金の計算や申告だ。全ては厳密な締め切りが課せられていて、遅れることは許されない。しかも、資料を作るためには、各種の元資料からデータを集計する必要がある。そして、その集計には多大のノウハウが必要となっている。そこで、複数のToDoリストとスケジュール、マニュアルを管理することが必要となり、PIMの導入を決意した。筆者は個人でデスクトップ(マック、PC98win95)、ノート(B5win3.1)を所有している。会社では専用のデスクトップのマックを使用し、社内のネットワークに入るために共有のwin95マシンも使っている。にもかかわらず、なぜ、パソコンのPIMアプリケーションにしなかったのか?それは、根本的な機動力の違いだ。一つのマシンの前に座って、全てが完結するような環境ならNowUpToDateのような強力なPIMが使える。しかし、デスクトップマシンの前に座っていなければ使えないのでは、今回の目的には使えない。一台のパソコン上で完結することができないからだ。データの大半は汎用機から打ち出したプリントと汎用機の端末にある。もちろん、マックの上での作業もある。こいうときに、マニュアルが別?にあったのでは、メリットがないからだ。

購入した機種はパワーザウルスMI610だ(仕様は別表)。この機種にした理由は、

  1. PIMとしては大きめの液晶
  2. スーツのポケットに入る大きさ
  3. 標準でエクセルが読み込めること
  4. モデム内蔵
  5. TCP/IP接続(インターネットメールの送受信)が可能 6.追加投資なしにパソコンとの連携が取れそう。

などだ。5と6に関しては、手持ちのパソコンの環境に大きく左右されるので評価は分かれるだろう。

機能・仕様

日本製らしく、機能は「詰め込めるだけ詰め込んだ」という印象だ。PIMとしての基本機能であるスケジューラやアドレス、アクションリストは高機能で使い易い。内蔵モデムを活かしたBBSやインターネットとの接続ができる。しかも、複数の接続先をペンのタッチだけで選ぶことができ、取り込んだメールはニフティとe-mailは一つのメーラーで読むことができる。これは、パソコンでは逆に難しい。プロバイダーの設定を換えるにはコントロールパネルでTCP/IPの設定を換えて再起動が必要だ。e-mailとニフティのメールを扱えるメーラーは少ない。もう一つの特徴として、パソコンとの連携がある

PowerPIMMというソフト(別売12000円、Windows95のDOS/V専用)をパソコンにインストールすれば、パソコン上でもザウルスと同じ環境で使うことができ、データのシンクロもできるが、Windows95のDOS/Vノートがある場合以外は親和性は高くない。

本体:

本体は、161X90X23ミリ約320gだ。軽くはないが、形状がフラットなので、それほどかさばる印象はない。スーツの内ポケットなら十分に入る大きさだ。動いている電車で、立ったままでも数行のメールなら十分に書くことができる。もう少し薄くなれば持ち運びへの抵抗が減るかとも思うが、液晶の大きさは小さくしてまで小さくしなくてもいいかな、とも思う。

デザインは、カラーザウルスからのデザインを受け継いだ無難なものだ。明るいシルバー塗装は高級感を出そうとして失敗したような印象だ。どうせプラスチックなのだから、プラスチックを全面に押し出したような形状と色でも良かったのではないだろうか?筆者より年配の購買層の好みに従ったのだろうか?筆者には少し残念なデザインだ。

パワーザウルスは大きさのわりに重量が有るので、落したときが怖い。背面の角の部分や全面左側の指があたる付近に硬質ゴムがはめ込んであれば、指が滑りにくいし、少しは衝撃を吸収できるのではないだろうか?(逆に汚れやすくなるかもしれないが ....)傷や汚れを気にする方はケースが何種類も発売されているので、ケースに入れるべきかもしれない。

操作性

操作は、「慣れれば難しくない」という感じだ。アイコンは並んでいるが、機能は多岐にわたり、入門編のマニュアルくらいは一通り読まないと、まともに使うことは難しい。マニュアルは5冊に分かれているので、とりあえず入門編で体験し、解らないことがあったら、詳細なマニュアルにあたるというのが正解だろう。本機のリチウムイオン電池は、最初だけACアダプターに取りつけた状態で充電するように指定されていた。充電には約2時間かかるとも書いてあったので、その間に入門編を一通り読んだ。

充電完了後、すぐに電池をセットし、起動した。起動後、時計のセットを促す画面が最初だけ表示されるので、セットする。次は、持ち主のデータを入力する。入門編さえ読んでいれば、難しい作業はない。

ただ、手書き文字入力はかなりのコツを必要とする。特に、意外だったのが、簡単な字の認識ミスだ。画数の多い漢字は画面上つぶれたり重なったりするので、認識ミスが多いだろうと思っていたが、それはこちらの思い違いだった。画数の多い文字ほど認識率は高くなる。部首や画数、書き順などの情報を使っているからだ。画面上の文字が崩れていることより、書き順や画数をちゃんとしたほうが認識率は上がる。逆に、難しいのは画数の少ないひらがなやローマ字だ、よく考えればすぐに解る。キーボードで数字の1とlを打ち間違うことは少ないし、読むときも前後関係で間違うことは少ない。しかし、文字単体で考えた場合、「1」と「l」、「ー」と「−」と「一」、「夕」と「タ」、「カ」と「力」を見分けるのは難しいだろう。また、「L」と「ん」などストロークが似ている文字は誤認識の可能性が高い。そういう意味で、漢字より、カナの多い文章の入力のほうが時間がかかる傾向がある。カナの場合は、単語を入力した後で、一文字ずつ候補文字から選択し直したほうが効率が良さそうだ。

漢字の認識に関しては、充分満足できると思う。普段、メモ書きするようなスピードでの入力は難しいが、楷書で書くように心がければ、誤認識は少ないはずだ。使いこなしのコツとしては、カスタマイズがある。ザウルスの場合、くせ字を登録しておくためのくせ字登録と単文登録ができる。単文登録は、登録単語を一文字で呼び出すというもので、会社名とか地名とか、頻出する単語を登録しておけば便利だろう。

また、くせ字登録を応用して、オリジナルのストロークによる英数字、ひらがな、カナを登録するという使い方も考えられる。Palm3のグラフィティと同じ考え方だ。ただ、登録文字が100文字なので、全部を登録することは無理なので、誤変換の多い文字に限られる。

また、入力方法は手書きの他にも、タイプライター、50音表、数字等のソフトウェアキーボードから選ぶことができる。ローマ字や数字は、手書き入力より、ソフトウェアキーボードを使ったほうが確実だろう。

その他、操作性に関しては、満足できるレベルだ。何より、起動が速いので、いつでも取り出すことが本当に可能だ。起動してあるパソコンでも目的のファイルを起動するためには、それ以上の時間がかかる。まして、机から離れていたり、パソコンが起動していなかった場合などとは雲泥の差だ。

次に、各機能を概観しながら、気がついたことを書き添えたい。

・PIM機能

PIM機能としては、スケジュール関係、アドレスとコンタクトがある。また、各機能のデータは、表計算のシートでも、特定の日にリンクすることができる。表示には、カレンダーやアクションリスト、デイリープランなどがある。カレンダーは4通りがあり、ワンタッチ(マウスでクリックという動作を、ザウルスではタッチと呼ぶ。以下同様)で切り替えられる。デイリープランでは、特定の日にリンクされた全てのデータ(スケジュール、アクションだけでなく表計算シートやメモもリンクされる)を一覧で表示することができる。

・通信

インターネットもニフティも簡単に接続の設定ができる。ウィンドウズで苦労してるのが信じられないくらいだ。もちろん、他のBBSとも接続は簡単だ。内蔵のモデムは、33.8kbpsだが、体感的には決して速くはない。パソコン上で14.4kbpsで通信しているときと大差がない。回線速度というより、受けたデータを表示したりフラッシュメモリーに書き込むスピードが遅いのだろう。今回の目的では、インターネットのブラウジングの必然性は全くないので、あまりプラスの評価とはならないが、ザウルスプラザからソフトのアップデータやソフトをダウンロードできるのは便利だと思う。MI610は発売後あまり時間が経ってないので、該当するようなソフトは少ないが、MI500には入ってないMI600搭載のソフト(データベースや7桁郵便番号変換ドライバ等)が簡単にダウンロードとインストールができる。ザウルスと接続できるパソコンのない環境では、この方法でしかソフトのアップデートはできない。

メーラーは良くできている。インターネットメールとニフティのメールが同じメーラーで扱うことができるのは、両方を使っている人には便利だ。また、メールを選択して取り込むことができるので、ML等で多量のメールが送られてくる中で、必要なメールのみを取り込めるので便利だ。

接続した状態でメーラーとブラウザを切り換えたり、接続するメールサーバーを切り換えることができないことだ。複数のプロバイダのメールアカウントを切り換えたいときには、一度接続を切ってメールアカウントを買えた設定で接続する必要がある。時間的にも、通信コスト的にも負担だ。

一つ不満なのは、取り込んだデータの扱いだ。何より不便なのは、複数のデータを一括で削除できないことだ。削除は、一件ずつの他に全データや既読のみ受信データのみという削除方法がある。しかし、複数のメールを選択しておいて、そのデータのみを削除するということはできない。だから、一本でも保存しておきたいメールがある場合は、不要なメールを一本一本削除するしかない。そこで、メールはレポートとして保存することができる。必要なメールはレポートに取り込んでおいて、後は全部削除するというのが、想定された使い方なのだろう。しかし、レポートは約1800文字しか入らないので、長いメールを取り込むと複数のレポートに分割されてしまう。どうしても、取り込んで保管しておきたいものは、面倒だが、メーラーでテキスト部分全部をコピーしてワープロにペースとするしかない。最初からワープロに取り込めば済むことだから、なぜこうなっているのか不思議だ。

・ワープロ

この画面で通常のワープロとしての機能を期待する人はいないだろう。パソコンでのエディタと同等のことができればいいと思うのは、筆者だけだろうか?だいたい、文字のサイズや色などの見かけはサポートしているのに、タブという基本機能が抜けているのも特徴的だ。ワードを使っている人でもタブやタブルーラーを使いこなしている人は少ないのかもしれないが、本来なら文字の修飾より先にサポートすべき機能だ。ルーラーは付いているが、インデントの調整しかできない。見た目だけを取り入れて、本質を見失っている典型だと思う。ワードとの連携という謳い文句を載せたかったのかもしれない。それより、シンプルなエディタとして、テキストデータでパソコンとやりとりしてくれた方が便利だ。どっちみち、ザウルスで入力したワープロデータをそのままワードに取り込んで印刷することはないだろう。見た目にこだわるためには編集が必要だし、こだわらないのならエディタで十分だ。

拡張子の知識が無くても、ワードで読み込めるようにするという配慮かもしれないが、ザウルスとパソコンとでデータ交換できるレベルの人なら、テキストの取り込みくらいは十分にできるはずだろう。

・表計算

ブック形式の表計算だ。画面が画面なので、パソコンと同様の使い方はできない。基本的にフラットな小規模の表計算専用と割り切った方が良さそうだ。ある程度作り込んだシートで条件値だけを入れ直してシミュレーションするようなときには電卓とは全く違うレベルであることは、パソコンユーザーなら身にしみて理解していると思う。それを持ち歩けるのは、心強い。

ただ、ザウルスで一から表を作り込んでいくのは大変なので、パソコンとの連携が前提だろう。パソコンで表を作るときも、ザウルスで使うことを意識する方がよいだろう。ただし、ザウルス用の表計算にコンバートされてしまう。名前を付けての参照などは絶対参照に換えられてしまう。名前を参照する式を入れても、参照エラーを起こしてしまうので注意が必要だ。セルに名前を付けてルックアップしているような場合は、データは残っているが、式はエラーとなっている。当然、参照先を変更してもデータは変更されない。また、別のシートを参照しているものもリンクエラーを起こすので、単純な表でなければならない。

活用の方法としては、フラットなデータベースとして使うことが挙げられる。何より、検索とソートができるということは、紙のメモ帳では絶対にできないことだ。アクセス97の載ったノートパソコンを所有していないのであれば、データベースより、エクセルを使ったほうがいいかもしれない。そして、パソコンからザウルスへの一方通行とすることが、必要だろう。

ただし、エクセルのワークシートは、ウィンドウズ版エクセル95とエクセル97にしか対応していない。エクセル95と互換性の高いマック版5.0のファイルはそのままでは読み込めずに、一度ウィンドウズ版のエクセルで読み込んで保存する必要があった。エクセル95とマック版5.0はファイル互換があるのに、マック版のものは読めない。

・DB(データベース、以下同様)

非常にシンプルなDBだ。リレーションや別ファイルのルックアップは使えない。1データ表示のレイアウトも変更できない。

しかし、普段持ち歩くことを最優先するなら、これでも十分だろう。また、アクセス97を使える環境を持っているなら、アクセスで作ったデータを取り込んで使えばいい。データベースのメリットは絞り込みの検索ができることと、起動が速いことだ。約400件の住所データ(名前、郵便番号、住所、電話)の入ったエクセルの表を取り込んだ場合、表計算だと、ファイルを開くために10秒近くかかる。同じデータをアクセス経由でDBに取り込んだものだと、1秒もかからない。フィールドのタイプとして、グラフィックがあり、jpegをサポートしているので、パソコンやデジカメのデータを扱うこともできる。ザウルスでの利用を前提としているので、これ以上高機能である必要は感じない。しかし、いくつかDBとして基本的な機能が欠けているのが残念だ。これは、アップデータによって解消してもらいたい。

1検索の結果が1データ表示で換えされること。しかも、検索で見つかったデータが何件有るのかも表示されないので、一件一件数えていくしかない。また、その検索によって、抽出されたデータを概観して傾向を見たいときに困る。これらは、検索結果をリスト表示すれば解決できることだから、是非とも対応してもらいたい。

フィールドのタイプに、「読み」というものがあり、このタイプのところに入れたデータについては、50音のタブで頭文字へと移動できる。タブをワンタッチするだけで、該当個所のリストに移動できるので検索より便利な場合がある。データをザウルスで入れていく場合は良いのだが、アクセスから転送した場合、タイプが読みのフィールドに取り込むことができない。しかも、取り込んだ後で、フィールドタイプを変えたらそのフィールドに入っているデータが消えてしまう。テキストを数字にしたときにテキストデータが消えるというのなら解るが、カタカナで読みの入ったフィールドでも消えてしまう。

私は500程度のデータを取り込んだ。人名とカナ、所属、年齢等の人事データだ。しかし、500件のふりがなのデータを一から入れ直すのはばかばかしくてできない。また、テキストデータを取り込むこともできない。これも不便だ。筆者は普段マック上のファイルメーカーでDBを構築している。テキストから読み込んでくれれば簡単だ。しかし、一度アクセスに取り込んだ上で、アクセスのデータとして転送する必要がある。

DBのデータはCSVのデータとしてファイルすることができる。また、ザルウスプラザには、ファイルフォーマットの説明文書がある。しかし、そのフォーマットは、一般人がエディタや表計算で編集できるようなものではない。

・フォトメモリー

本機は、別売(MI610DCには標準添付)のデジカメカードを使ってデジカメのデータを取り込むことができる。jpegとGIFを取り込めば、ここでリスト表示したり位画面表示することもできる。また、お絵かきソフトとして、地図を描いたり、メモの走り書きとしても使える。地図のために標準的なパーツをスタンプとして張ることもできる。また、パソコンのお絵かきソフトのように、テキストのデータをおくこともできる。ただし、確定した文字はビットマップなので、後で編集することはできない。

筆者は、家族がMI560DCを持っているので、カメラを借りて撮ってみた。35万画素で、パンフォーカスなので、2年ほど前のデジカメの写りと思って良いがザウルスでの利用を前提とすれば十分だ。

・情報ファイル

これには感激した。パソコンでいうフォルダ(ディレクトリ)をファイルというメタファーで提供したようなものだ。ここで扱うのは、データファイルそのものではなく、ファイルへのポインタのようなものだ(マック:エイリアス、ウィンドウズ:ショートカット、UNIX:シンボリックリンク)。これを、簡単にファイルに入れて整理することができる。このデータは、ザウルスで扱う全てのデータが対象となっているので、関連するアドレス・スケジュール・表計算のシートなどを一つのファイルに入れることができる。

そして、ファイル毎に整理したデータは、元のプログラム(ワープロやアドレス、表計算など)で見るときに、XXのファイルに入ったデータのみを表示するということができる。つまり、一つのデータをファイルの分類別に見たり、ファイルの種類別に見たりすることができるということだ。

さらに強力なのが、ファイル間でのデータのコピーができるということだ。仕事をプロジェクト単位で進めているようなときに、ファイルをプロジェクト毎に作るとする。プロジェクトに関係する人や会社のデータを入れておくときに、ファイル間でデータのコピーをすれば、ムダがないし、元のデータは一つなので、修正があってもコピーしなおしたりする必要もない。これは、紙のメモ帳では絶対に不可能なことだ。また、ファイルを階層にできるともっと良いと思う。画面の横幅は非常に限られていてファイルは12個しか表示できない。それ以上は次の面に送られてしまう。階層化できれば、さらに高度な使い方が可能になるだろう。また、複数のデータを一括に操作することができないのは不便だ。というより、これができないとアクセスから一括でデータをとりこんだような場合は、別のファイルに移すのは不可能に近い。私の場合、アクセスから取り込んだ社員のデータは全て一時保管ファイルには入ったままだ。これだと、単発で入れたデータを分類するときにじゃまになって困る。

・パソコン連携

ザウルスは、単体でも十分な機能を持っているが、表計算やデータベースなど、パソコンとの連携をすることで何倍もの使いこなしが可能になるデバイスだ。しかし、ザウルスと相性がいいのはウィンドウズ95搭載のノートパソコンとであり、マイクロソフトの推奨環境(エクセル95・97、MSWORD95・97、アクセス97、OUTLOOK97)としか連携を考えられていないのは、釈然としない。パソコンを使った、データの同期や連携は、対応するパソコン環境を個人で持っているかどうかによって、大きく評価が分かれることだろう。筆者が便利と感じた、PCカードによるデータの受け渡しについても、たまたまカードを持っていたから、追加投資なしにできたのであって、普段デスクトップしか使っていない場合はあまり使い物にならないはずだ。ちなみに、フラッシュカードはリコーのDC−2Eで使用していたもので、特にトラブルもなく共有できる。パソコンとの連携を考えないなら、フラッシュカードでバックアップとパソコンとのデータ交換に使う方が汎用性が高いだろう。

ザウルスを使ってみて一番問題に感じたのは、テキストを読み込めないことだ。テキストデータでのデータ交換というパソコンの基本技が使えないので、データベースと表計算とでデータのやりとりができない。同じマシン上にあるデータの交換できないのは、昔のDOSマシンを思い起こす。表計算とデータベースとでテキストデータの読み込みと書き出しができれば実現する機能だけに残念だ。

なぜ、テキストデータにこだわるのかというと、機種依存の少ない共通フォーマットだからだ。テキストならば、ほとんどのパソコンとデータの共有ができる。技術的に考えても、DOCをサポートできるソフトウェア技術が有れば、テキストを読み込めないとは考えられない。

17KのテキストをDOCにすると、35K、rtfでは88kにもなる。このデータをザウルスに転送しても開くことはできない。17Kのテキストとして取り込むことができれば、充分処理できる容量なのに、よけいなデータが付加されたために処理できなくなってしまう。

ところが、それをはるかに上回る容量のテキスト(64KB)をメールは簡単に処理できるのだ。そして、そのメールをコピーしたものをワープロにペースとすることもできる。なのに、同じデータをパソコンで読み込んでザウルスに持ち込むことはできない。ザウルスに対して、大きなテキストファイルを渡すためにはメールを使うしかない。理不尽としか言いようのない仕様だ。

また、当然ながら、MS製品とのリンクソフトを開発するにあたって、MSにライセンス料を支払っているはずだ。また、DOS/Vマシンでしか使えないようなソフトにも開発費用がかかっている。それらは、すべてのザウルスユーザーが負担している。本来、これらのようにプラットフォームに依存したソフトは別売にすべきだ。

本来の姿としては、テキストのインポート/エキスポートを標準とし、パソコンでワードやExcel、アクセスを使っているユーザー向けに、互換ソフトをオプションとして用意する。テキストのインポート/エキスポートができないユーザーについては、そちらのオプションを別途購入する。というのが、公正だと思う。大体、パソコンでプリインストールのワード&エクセルしか使えない、テキストのインポート/エキスポートの理解ができないようなユーザーが、ザウルスとの連携が必要とは考えにくい。

現在のパソコン連携、ファイル互換については、活用を進めているユーザーには(テキストの取り込みができないという意味で)機能不足。パソコン初心者ユーザーには(共有すべきデータを持っていない人間には元々不要な機能という意味で)無用。という、中途半端な仕様だ。

結論

ザウルスを選ぶ際に、候補として、チャンドラ系の小型ウィンドウズマシン、モバイルギア、ウィンドウズCE機といったパソコン系と同時に、Palm3やPCwizといったPIM専用機とも比較した。

どの機種でも、多少の型落ちを覚悟すれば、8万円程度で購入が可能だった。しかし、デスクトップパソコンとノートパソコンを平行して使う中で、他にもう一台PIM専用機を開くことは非常に難しいと思った。また、パソコンを一?起動するなら、今の手持ちのB5ノートでも大差がない。つまり、使えないという結論に達した。キーボードは魅力だが、想定する用途では長文のテキストを入力することは考えられない。逆に、PIM専用のマシンは、PIMとしてだけなら十分魅力的だったが、小さすぎる液晶ではメモとアドレスくらいしか使い道がないと思われた。制限があるとはいえ、パソコン上の表計算のデータをそのまま使えるのは魅力に感じた。また、モデムが内蔵でメールの送受信が単体で可能というのもPIM専用機ではできそうになかった。次にザウルスの中で、どの機種にするかには迷った。選択枝として、パワーザウルスのMI500、MI600、ポットザウルスのMI100のシリーズがあった(9月にMI300シリーズが発売された)。仕様は別表に譲るとして、決定の決め手は、液晶の大きさとアプリケーションだ。どれもドット数は同一なので、MI100はふた回りほど表示が小さくなってしまう。そして、小さい画面上のボタンがかなり押しにくそうに見えたからだ。

モバイル機器のアキレス腱ともいえる電源についても、パワーザウルスの仕様は正解だと思う。

MI100の乾電池自体は必要にして十分な使用時間(40時間)ではあるが、切れたときのために予備のバッテリーを持って歩く必要がなくなるわけではない。1日や2 日の使用でバッテリー切れを起こすことはないが、それが3日目か4日目なのかが解らない以上、予備のバッテリーが必要だ。これは、継ぎ足し充電ができない電池を使っている場合の宿命だ。

この場合、タチが悪いのは、電池の残量が少ないことに気づくのは、使いたいときだということだ。電池自体の入手は簡単だし、スペアを持ち歩いてもさほど重量的には問題はないだろうが、いつでもそういう自体を予想していなければならないというのは面倒だ。

そういう意味で、リチウムイオン充電池・連続使用時間10時間という設定はよく考えられていると感じた。連続使用時間は10時間しかないが、1日で使いきることは考えにくい。しかも、帰宅してから、ACアダプターに継ぎ足し充電しておけばいいので、いつでも(夜忘れない限り)翌朝はフル充電だ。連続使用時間を15時間にしても電池のサイズ・重量増になるだけでメリットはない。また、乾電池モデルにはACアダプターが標準添付していないというのも、いただけない。ただし、出張などで外泊が多い人は、このメリットは大きく減じてしまうので、使用する環境で判断が必要だろう。

以上、気付いたことを列記した。

気に入っている。購入後1月程度だが、これなしには会社に行けないほどになった。

また、幸い会社に推奨の環境のノートパソコンがあるので、追加投資なしにデータの共有、というよりパソコンデータのザウルスへの取り込み、ができたというのも大きいかもしれない。

私の経験で感じたザウルス、ひいてはPIM、活用のコツは、目に付いたものを全て入力していくことだ。構えることなく、些細なことでもデータにすると良い。紙のファイルに書いてあるものとダブってもいい。ファイルを探したり、そのファイルの中から該当の書類を探し出す時間的なロスを考えればデジタル化するメリットは大きい。最後に、ザウルスというと、「タッチタイプもできないおやじが50音配列のソフトウェアキーボードを小さなペンでたたいている」というみみっちい印象がある。ノートパソコンのキーボードを叩いている方が偉いような偏見もある。パソコンに習熟し、高機能を使いこなしている身になってみれば、「何でいまさら」という気がするかもしれない。

しかし、ザウルスは、電子手帳という安直なイメージではとらえることができない、デジタルデバイスに進化している。取っつきやすく、使い込めば使い込むほどに便利になっていく。また、パソコンと根本的に違うのは、環境を設定するために労力を必要としないことだ。

また、ザウルスはパソコンのデータを活用する手段として、パソコンの可能性を拡げてくれる機器だと感じた。少なくとも、CPUのクロックを5割り増しすることにお金をかけるくらいなら、ザウルスを買った方が良い。もちろん、活用するデータを持ってない人には猫に小判だ。


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