DSC-X100 :vol.19

笠原 正純(かさはら・まさずみ)
1961年生まれ。DC20を楽しんできた人に買い換えを勧められる始めての機種だ。
ザウルスをセミナー会場に置き忘れた。事務局に回収されていて事なきを得たが、精神的打撃は大きかった。完全にザウルスに依存していることを再確認した。

軽快な操作が売り、楽しいデジカメX100

デジカメの画像処理はやたら時間がかかって扱いにくい。もっと気軽で楽しくて、シャッターチャンスを逃さないデジカメはないの?

お詫び:パソコン接続キットの定価を10,000円としていましたが、11,000円の間違いでした。申し訳ありませんでした。

ウェブ用の追加資料

分散化されたデジカメ市場

 デジカメのパーソナル機での高画質化は、主力機種がメガピクセル化したことで一段落した感がある。これ以上画素を増やしても、周辺環境(接続・表示・印刷)が揃わないと、かえって不便になってしまうからだ。

 現在のデジカメ市場を大きく分けると、1.メガピクセル・光学3倍ズーム・実売7万円弱、2.メガピクセル・単焦点・実売4万円台、3.80万画素・動画機能付・実売4万円弱というカテゴリーが形成されたようだ。35万画素の市場は消えた。メーカーの熾烈な製品開発とマーケティングリサーチによって、不満点をしらみつぶしにしていった結果、市場内で競合する製品間に差異は少なく、失敗は少ないが面白みに欠ける状態となった。デジカメも銀塩フィルムカメラのように、利用目的に合わせてクラスを決め、その中から選択する時代が訪れたようだ。

 今回検証するのは、3番目の市場に投入された、「DSC-X100(愛称マルチーズ)」。動画を60秒を撮れること、小さいこと、起動・記録時間が短いことが「売り」だ。この市場に投入された競合機と同様、広告では動画が強調されたものになっている。画質を再優先するのではなく、もっと気楽に楽しくスナップ写真を撮りたいという層をターゲットとしている。ある意味でデジカメの王道を行くこの市場は、メーカー間での特徴が残った少ない市場と言えるだろう。

 今回の検証にあたって、高画質機として半年間市場をリードしたFinePix700を参考とした。

基本性能・機能は?

【概観】

 基本的な性能は仕様を見れば大体分かるだろう。機能は豊富だが、画質を追及するための機能は大胆に省略されている。ホワイトバランスの設定がないことは残念だが、逆光補正やフラッシュの強制オン/オフなどは残されている。

 FinePixの画像と比較するとシャープさに欠けるが、1280X1024フルカラー表示のできる環境でなければ、判らないレベル。これだけの画素数があれば、写真画質プリンタでもその能力を十分に発揮できるはずだ。

 レンズの焦点距離は35ミリフィルムカメラ換算で43ミリ。1眼レフの標準レンズに近い。人物のスナップを写したいときには、35ミリより扱いやすい。

 目立つ特徴はムービー。160X120ドットで60秒、320X240ドットで15秒のムービーを撮ることができる。フルに撮った場合(160X120:60秒、320X240:15秒)のファイル容量は、4Mバイトとなる。

 ムービーはaviフォーマットで保存され、QuickTime3がインストールしてあれば、wwwブラウザで表示することができる。毎秒15フレームと一時代前のビデオキャプチャーカードのレベルだが、これだけでavi化できることの意義は大きい。

【デザイン】

 シャンパン・ゴールドのボディ、前後の接合部やシャッターボタンはクロームメッキ。三脚のネジ穴も存在しない。この仕様は好みの別れるところだろうが、市場との整合性は高そうだ。

 それ以外の部分は、オーソドックスかつ実用性重視になっている。電源スイッチ連動のレンズバリア、光学ファインダとレンズ位置を近くに設けたこと、指のあたる場所やボタン、スイッチ類に設けられた凹凸、軟質プラスチックの端子カバー、日本語表示等々。家電品で培ったノウハウを活かしたものだ。

【記録】>>参考資料

 メモリカードは3.3Vスマートメディア(SSFDCと呼ばれていた)。8Mバイトが同梱されており、最高画質でも約30枚を保存できる。記録時のファイル名は標準に準拠しているので、FinePix700で撮ったカードをDSC-X100に挿して使うことも、逆もでき、ちゃんと連番で記録されていく。ただし、DSC-X100で撮ったイメージをFinePix700で見ることはできたが、逆は小さく表示された。

 圧縮率を固定する方法なので、画像によって最終のファイルサイズは異なってくる。高画質モードで220kバイト程度で、FinePix700の標準モードと同じくらいの圧縮率だ。音声データは画像とは別のwavファイルとして記録される。

【本体サイズ、重量】

 80万画素クラスで世界最小を謳うだけあって、本当に小さい。しかし、厚みがあるので、ポケットに入れて持ち運ぶことは難しい。しかし、女性が持つバックなどでは、抵抗なく持ち運べるかもしれない。重さは電池を入れた状態で約250g(本体のみ200g)と、数字的には軽そうだが、手にすると意外に重く感じる。ぎっしり中身のつまった電子機器という感じだ(実際そうなのだが)。ただ、その厚みと重量感のおかげで小さいわりにホールド性が高く、手ぶれを起こしにくかった。

【モニタ】

 標準となった感のある2インチ低温ポリシリコンTFT液晶を採用。輝度の調整はできない。また、ファインダとして使用するときと、再生するときと表示が変わる。ファインダ時より再生時のほうが美しい。撮影データには再生時のほうが近いので問題は少ないが、ファインダできれいに見えなくてもシャッタを押してみたほうが良さそうだ。マクロ撮影などでファインダ表示はボケていても、きれいに撮れていることが多かった。

【電源】>>参考資料

 ニッケル水素単三電池を2本使用。実用的な選択だ。本体での充電はできず、電池を取り出して充電器(同梱)にセットする。継ぎ足し充電可能なので、ニッカド電池のような不便さはない。また2本1000円程度と、スペアを買いやすいのも大きなメリットだ。

ただ、本体から外して充電するタイプの場合、入れ直したときにカレンダー・時計を確認する必要がある。せっかくのタイムスタンプが全く無駄になってしまうからだ。FinePix700のように内蔵充電池を本体で充電できる場合は時計の再セットの必要性は減るが、内蔵充電池が完全に切れた場合は同じことになる。筆者自身、FinePix700のレポートを行ったときや、普段使っているDC-2Eでも、過去の日付で記録してしまうことがあった。基本的な設定や時計のための電源は別のボタン電池でやるようにしたほうが良いのではないだろうか。

 電池の消耗は少なく、普通に撮ったり再生したりしながらでも、8Mバイトのカードを撮りきるには十分だった。しかし、ムービーや連写は電池を大きく消費するようで、録再を数回繰り返しただけで電池消耗度表示マークが表示された。画像取り込みを繰り返し、aviに圧縮、それを内蔵メモりに記録し、その後フラッシュメモリ書き込むのだから当然だ。

 しかし、モニタ表示撮影ができなくなっても、光学ファインダでのスチル撮影は続けることが可能で、かなりの枚数(20枚以上)を撮り、再生することもできた。しかし、連続的にムービーを撮りたい場合は、スペアの電池・メモリカードは必須だ。

【付属品】

 パソコンソフトは一切添付していない。環境によって必要なソフト、アダプタ、ケーブル等は変わるので、中途半端なものを同梱しなかったことは正しいと思う。スマートメディア、JPEG、WAV、AVIという、ごく標準的なものを採用しているので、大きな負担がなくパソコンで利用できるからだ。ただ、AVIはQT3が必要で、雑誌の付録CDなどからインストールする必要がある。

【接続キット】>>参考資料

 68Kマックやウィンドウズ3.1のデスクトップマシンでは、シリアル接続キットを買うしかない。別売の接続キット(定価11000円)は、マック、DOS/V、PC98に対応している。また、接続キットにはQuickTimePROも入っていることは評価できる。

 しかし、これだけのデータ量(最大で1ファイル4Mになる)をシリアルで転送するのは現実的とは言えない。

とにかく快適な操作感

 とにかく軽快だ。撮影体勢を作るのと同時にシャッターを開いても待つことはない。FinePix700だと起動時間が長い(約10秒)ので、カメラを構えたまま待つことは難しい。が、DSC-X100は撮影/再生のモード変更が1〜2秒、撮影・確認・次の撮影準備までを一瞬で往復できるのも小気味良い。

 操作モードのレスポンスが良いと同時に、右手一本で電源のオン/オフ、撮影・再生モード変更ができる点も良い。持ち換えることなく撮影・再生モードを切り替えられるスライドスイッチなど、操作系全体で機動性を高めている。

 残念なのは、本体左の十字ボタンだ。設定の変更や再生時の駒送りにはこれを使うが、ボタンが小さい割に押し込む必要があり慣れなかった。左親指では細かい操作ができないので、もっと大ざっぱに操作できるほうが良かった。ちなみに、撮影モード(スチル、連写、ムービー)の変更はセレクトボタンだけで簡単に変更できる。

いろいろ考えられる活用シーン

 機動性を活かして、育児日記を作っても面白そうだ。音声記録やムービーは、赤ちゃんの泣いている姿を記録するのに最適かもしれない。ビデオだと退屈してしまうものも、この長さなら罪がない。ホームページに置くことには賛成できないが、フロッピーで送ったりするのは面白そうだ。また、気軽に撮れることや実用十分なマクロ性能を利用して、メモ代わりに使うことでも活用できそう。デジカメは、タイムスタンプのおかげでいつ撮ったか悩むことはないが、音声メモでコメントしておけば、貴重なデーターベースになりそうだ。パソコンの設定の記録にも良さそうだ。ダイアログの設定などを撮り、後でデジカメのモニタで確認しながら作業ができる。

 と、色々「使えそう」な本機だが、DSC-X100が得意なのはスナップ撮影だろう。それも、「女性がハンドバックから取り出して」撮るというシチュエーションが良さそうだし、撮っている姿も絵になる。友人の結婚式というのも良さそうだ。距離さえ間違えなければ、コンパクトフィルムカメラと同等以上の絵が撮れるはず。ムービーで友人達のメッセージを撮り、会場でテレビモニタにつないで再生するという使い方もできる。

 ただし、近くに寄って撮影することのできない運動会などの場では、歯が立たない。なお、光学3倍ズーム機でも最長焦点距離は35ミリフィルムカメラ換算80ミリ程度なので、保育園の運動会程度の距離が射程の限界だ。広いグランドでは200ミリは必要だし、今のところそのようなレンズはパーソナルデジカメには存在しない。

 NTSC出力端子を持つデジカメなら、どれでもできることだが、撮影したファイルをカメラとテレビでブラウズするのも楽しい。パソコンを持つ家庭は少なくても、テレビならまず大丈夫だろうから、親戚の家に遊びにいく時なんかにもいいだろう。こうした用途のためにも、画像はオリジナルのまま保存しておきたい。そうすれば、以前に撮った写真をカメラに戻して、持ち運び先でテレビに映すことができる。

 筆者の場合、リコーDC-2Eというデジカメを使っている。このカメラは画像ファイルと同時にインデックスらしきファイルと一緒にして保存する必要がある。このため、パソコンに保存するときは、カード単位でフォルダを作成し、画像ファイル(J6I)とともにインデックスも保存している。こうしておけば、PCカード(PCMCIAカード)にフォルダ単位でコピーすれば、画像を持ち運ぶことができる。最近のデジカメはそのようなインデックスは不要なので、そのまま名前だけ変えないようにしておけば、持ち運ぶことはさらに簡単だ。

 DSC-X100に限らず、オリジナルのデータはオリジナルのまま保存したい。カメラにもよるが、jpegファイルには様々なコメントが入っており、グラフィックソフトによってこれを書き換えてしまうと、オリジナル情報が消えてしまう。最悪の場合、いつ撮ったかさえ分からなくなってしまう(パソコンの作成日付は撮影日ではない)。また、Jpegで圧縮した画像は元に戻すことは不可能だ。劣化しないよう保存するために無圧縮にすると元より大きくなることが多い。

 だから、デジカメのデータを使うときはオリジナルをコピーしたものを使い、加工後のデータを保存するときはマックならPICT、winならBMPにしたい。ただし、PICTやBMPで保存すると何倍ものファイルサイズになることを覚悟する必要がある。

写真を手軽に楽しみたい人にオススメ!!

 ムービーを前面に押し出していることで、基本機能がお粗末なものではないのかと危惧していたが、予想外に充実した性能を持っていた。FinePix700はデジカメを操作すること自体が楽しいカメラだった。しかし、DSC-X100は機器自体ではなく、被写体に気持ちを集中させることができた。これが実売で4万円を切れば、価格的にも申し分はない。ただし、「年に数回、イベントの時しかカメラを使わない」、「カメラを持ち歩く時に三脚も一緒に持ち歩く」といった使い方の人にはお勧めではない。

 デジカメも市場細分化が進み、万人に勧めることのできる機種はなくなった。初心者だからといって、安価な機種でいいというものでもない。これからデジカメを買おうというユーザーは、使用シーンをよく考え、必要な仕様を検討する必要があるだろう。

 プリクラやポラロイドといった、ある意味カメラメーカーが切り捨ててきたところに、新たな需要があった。このカメラが作りだそうとしているのもそういう市場なのだろう。ここは、テレビドラマの主人公OLに使ってもらえば、ブレークする可能性がある。パソコンよりは確実に「使える」からだ。


DSC-x100画像データ作例

仕様

画像記録形式 静止画:JPEG(Exif2.0準拠)、
動画:AVI(Open DML Motion JPEG準拠)
画像解像度 1024×768ドット(SHi1/SHi2モード)、
640×480ドット(Hiモード)、
動画解像度 320×240ドット、15フレーム/秒、最長15秒、160×120ドット、 15フレーム/秒、最長60秒、
画質モード(静止画) SHi1(低圧縮)、SHi2(標準圧縮)、Hi(低圧縮VGAサイズ)
画像記憶枚数
(8Mバイトカード使用時)
SHi1 約30枚、SHi2 約49枚、
Hi 約123枚 いずれも無音声の場合
撮影素子 1/3インチ プログレッシブスキャンCCD
原色フィルタ
CCD画素数 85万画素(有効画素数 80万画素)
感度 ISO90相当
液晶モニタ 2インチ低温ポリシリコンTFT液晶
(ファインダ兼用、光学ファインダあり)
ズーム デジタル3.2倍(1024X768モードでは不可)
ストロボ 調光式、オート、強制オン/オフ
フォーカス方式 パンフォーカス
絞り F2.8/8(自動切り替え)
撮影範囲 60cm〜∞、マクロ領域10〜50cm(切り替え)
焦点距離 43mm相当(35mmフィルムカメラ換算)
ホワイトバランス フルオートTTL
露出 絞り・シャッター速度可変プログラムAE(露出手動補正7段階)
測光方式 TTL中央重点測光
シャッター速度 1/4〜1/10000秒(電子シャッター)
ビデオ出力 あり(NTSC方式、ミニジャック)
外形寸法 106(幅)×35(奥行き)×61(高さ)ミリ
重量 約 250g(電池込)
URL www.sanyo.co.jp

使用環境

CPU:PC9821Xa7/C4(Pentium75MHz)
メモリ:40Mバイト
OS:Windows95
ビデオカード:GA-PG3D4/98PCI(1280X1024 フルカラー)
モニタ:飯山MT-8617ES
テレビ:(型式不明)
比較検証デジカメ

フジフイルムFinePix700(16MBカード)
SUPPORT INFORMATION

三洋電機

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