パソコン批評の読者投稿に応募したものの、不採用になった非運(?)のレポート全文です。感想をお聞かせください。 希望者がおられるようなら、実写ファイルも入れたいと思います。
created 22.Feb.97
デジカメ(デジタルカメラ、以下デジカメ)を購入した。メーカーは RICOH、 機種はDC-2E。
現在10万円以下で買えるパーソナルデジカメについては、共通した仕様はなく、メー カー各社も手探り状態というのが実状のようだ。パソコンの周辺機器として考えるメ ーカーと、カメラとして考えるメーカーに分かれる。液晶モニタ、メモリーカード、 フォーカシング、フラッシュ等の有無やデザインにそれぞれのメーカーの考え方がう かがわれる。
画質的にはカメラメーカー( オリンパス、 AGFA、 フジ 等)に一日の長があるようだ。光線 というアナログのデータを取り込むといった部分でのノウハウはそう簡単に追いつけ るものではないようだ。しかし、デジタルメーカー( SONY、 casio)はデジタル機器 の特性を活かしたデザインや機能を追求することで対抗している。
この原稿が本になるまでに、次世代のデジカメが市場に登場しているだろうし、RICH O自身も新製品やバージョンアップ版を登場させる可能性も高いので、本稿ではDC-2E の固有の特徴については簡単に触れるにとどめ、デジカメ購入の際に注意すべきと考 える事項を中心にレポートする。
まず、私がRICOHのDC-2Eを選んだ理由を用途から整理してみよう。
なお、2と3の用途では妻が使用することが前提だ。デジカメの位置付けは、35mm一 眼レフカメラ(CANNON EOS10QD、以下一眼レフ)を持ち出すまでもないようなシチュ エーションやパソコンへのデータ取り込み用だ。レンズ交換ができない現状のパーソ ナルデジカメでは、一眼レフに取って変わることは不可能と考えている。
以上の目的と手持ち器材から、次のような仕様を考えた。
以上をバランスよく実現した機種としてRICOHのDC-2Eを選んだ。選んだポイントとし ては、
通販ショップで、本体+送料+代引き手数料+消費税トータルで53014円だった。し かし、このままではパソコンへ転送できないので、TDKの12MATAフラッシュカードを2 6800円(消費税別)で購入した。既にPCカードを持っている場合は新規投資は不要だが 、マニュアルでは純正のPCカードを使用するようしつこく注意書きされているので、 使用する前に確認した方がよい。TDKのカードは動作確認機種としてCOMPAQのCONTURA AEROもRICHO DC-2もリストされており、安心して購入できた。デジカメ・ノートPCで トラブルなく使用できた(ノートPCはPCに付属のPCMCIAドライバソフト使用)。12M のカードを使うと、ノーマルで123枚、ファインで61枚、エコノミーでは246枚の撮影 が可能になる。出かける前にデータをクリアしたり、撮影中でも失敗したものを削除 したり出来るのでこの枚数なら不足することはないだろう。
手にしてみると、以外に厚みがあるが、結構持ちやすい。ただ、ホールドする手の位 置関係がかなり限られており液晶モニタを利用して自由なアングルで撮るということ は難しい。しかし、縦位置での撮影は行いやすい。
光学ファインダーはボディの右寄りにあり、左目利きの人には使いにくい。小さな光 学ファインダーではあるが、視度調節がついており、かなりの近眼でも眼鏡なしで使 うことが可能だ。逆に、眼鏡をかけたままの使用が難しいくらいにファインダーが小 さいともいえる。
レンズは電源スイッチと連動したシャッター状のカバーでガードされていて、傷つけ にくくなっている。
液晶モニターは折り畳めるので、移動時に傷が付いたり汚れたりしないようになって いる。また、液晶モニタが前後長のあるボディの前方にあるので、カメラ型ボディに 光学ファインダーと液晶モニターを併用したタイプのように液晶モニターに鼻が接触 して脂分で汚れることはない。
この液晶モニターは道具なしに着脱ができる。液晶モニタをはずすとかなり厚みが減 り、電池の持ちも改善されるので、その場で確認したり人に見せたりしなくても良い 場合は便利だ。実際、みんなで撮って楽しむ場合は液晶モニターよりテレビのビデオ 端子につないで見る方がよい。
液晶モニターは、ボタン押下時オン、常時オン、完全にオフと使い分けることが出来 る。オンになっている間はリアルタイムで画像はリフレッシュされる。
通常のオートフォーカスカメラのようにシャッターボタンを途中まで押し込むとピン トと露出が設定されロックされる。これ自体は有効なのだが、ボタンのストロークが 短いのでそのままシャッターを切ってしまうことが度々ある。
撮影画像のメモリへの書き込み時間は非常に短い。2秒程度で次のショットを撮るこ とが可能だ。反応速度の速いフラッシュメモリーカードを採用したことはDC-2Eの記 録スピードが速いことにも貢献しているのかもしれない。また、本体上にもメモリを 2M搭載しているので、カード使い切ったときでも2M分撮影が可能。といったメリット もある。
液晶モニタを取り外した状態でも意外とかさばるので、気軽に持ち歩けるとはいいに くい。シャツはもちろん、スーツの内ポケットにも入らない。重量は電池とPCカード 込で470gだがそれほど重くは感じない。雑誌を一冊余分に持ち歩く程度だ。安価な充 電池が使えることやいざというときには単三のアルカリ電池が使えること、十分な撮 影可能枚数を確保したこと等で持ち歩くことに抵抗感は少ない。また、デザインがカ メラっぽくないので、町中でも気軽にシヤッターが押せる。
電池の”持ち”はかなり良い。アルカリ電池の場合、記録:300枚、再生:2時間が可 能とカタログにある。モニタオフでの使用なら可能かもしれないが、実際にはかなり 割り引いて考える必要がある。ニッカド電池(1000mhA)の場合フル充電したもので 、モニタオンのまま撮影・確認・再生・転送を折り交ぜた使用で100枚程度は十分に 撮影が可能だ。なお、1000mhAのニッカド電池は、単三型電池4本と充電器合わせて4 000円程度で入手が可能だ。
露出補正が出来て、液晶モニターを使っていれば確認もできるが、操作をボディ上部 の小さなボタンで行う必要があるので面倒だ。カメラを持ち換える必要のない位置に ボタンを配置すべきだろう。
基本的な操作は簡単だ。表示も日本語でされており戸惑うことは少ない。ボタンやス イッチ類はおせじにも操作しやすいとは言えない。また、ボディ上部にある液晶ディ スプレイ(モードや残枚数が表示される)が奥まったところにあるので斜めから見に くく、構えた状態からは持ち換える必要がある。
データや操作性とは直接関係はないが、ボディの色はプラスチックにメタリックシル バーの塗装をしたものだ。好みの問題かもしれないが、中途半端な印象を受けた。ど うせプラスチックならもっとカラフルで面白いものの方がよいのではないだろうか? 初期型のWALKMANを思い出してしまった。
焦点距離は35mmフィルム換算で35mmと広角だ。特性も一緒なので、人物はかなり近く 寄って撮る必要がある。
オートフォーカスが効いてピントはシャープだが、発色が悪い傾向がある。ダイナミ ックレンジが低いと表現すればよいのか、明るいところと暗いところがある場合、両 方が飛んでしまうことがある。直射日光の下で撮る場合は意識してメインの対象物に フォーカスと露出を合わせるようにしなければならない。
クローズアップは得意だ。液晶モニタとオートフォーカスのおかげで高品質の画像が 撮影できる。高さ3センチ程度のミニチュアを画面いっぱいに写すことができる。こ れと同等の写真をフィルムカメラで撮ろうとすると、一眼レフ+接写レンズが必要に なる。
特徴的なのは、サイズが788X670と主流のVGAサイズより一回り大きいことだ 。ホームページで使用する場合などは縮小するのであまり差はないが、プリントする 場合やテレビの画面で見る場合はアドバンテージとなるだろう。
画質は圧縮率によって3種類選ぶことが出来るが、よほどのことがない限りノーマル で十分だ。
残念なのはJ6Iというフォーマットを使っていることだ。jpegに準拠したデータらし いが、jpeg対応のプログラムであってもそのまま表示することは出来ない。ヘッダが ついていたり、縦横比が違っていたりするそうだ※。シェアウェアのユーティリティ でのコンバートは可能だが、マニュアルやカタログにはその入手方法は記載されてい ない。最低限の機能(表示と一般的なフォーマットへのコンバート)でいいから、ソ フトを本体へ添付すべきだ。
※ComeBackImageというJ6Iをコンバートできるレタッチソフトを作っておられる方の サイトの説明による。
画質を再優先する場合にはオリンパスやAgfaの方がよいだろう。しかし、そこそこの 写りでかまわなければ、デジタル機器としての機能や価格とのバランスの良いという 点で、十分に勧められる。PCMCIAスロットのあるパソコンを持っているユーザには特 にお勧めだ。小さなものを大きく写したい場合には強力だ。私はこれで、子供のウル トラマン指人形DBと妻のバス釣り用ルアーDBを構築した。
では最後に、私が考えるデジカメの特徴と購入のチェックポイントをまとめる。
良いに超したことはないが、所詮パーソナルデジカメという割り切りが必要 だ。本当に高品質なデジタル画像が必要ならスキャナを購入すべきだ。しかし、普通 に写したままのデータだけでなく、レタッチ後のデータでも検討してみる事が重要だ 。色合いはかなりのレベルまで修正することが可能だが、解像度を擬似的に上げるこ とは非常に難しい。また、レタッチソフトでホワイトバランスの調整をしてみて欲し い。うまく設定すると驚くほど豊かな色合いを見せてくれることがある。
フィルム(銀塩ネガフィルム、以下フィルム)のように出先で補給する ことは不可能なので、神経質になりがちだが、一度に撮影する枚数を考えれば、それ ほど神経質にならなくても良いことが解るはずだ。フィルムと異なり、出発前にデー タをクリアしておけば中途半端な枚数で不足することは少ないはずだ。フィルムカメ ラでフィルムが不足する場合の大半が、以前の取り残しのフィルムをカメラにセット したまま出かけた場合のはずだ。さらに、多くの液晶モニタ付きのデジカメでは不要 なデータを途中で消去することが出来るので、撮影枚数を効率よく使い切ることがで きる。
また、実際問題として、数百枚もの写真を撮っても後のフォローが出来ないのではな いだろうか?カード以外の接続方法では、パソコンに取り込むだけで数十分の時間が かかってしまう。
メモリーカードの有効性は十分理解できた。撮影可能枚数の増加 とともに、パソコンへのデータ転送のスピードは非常に魅力的だ。しかし、パソコン 側にPCMCIAスロットが無い限り追加投資が必要になる。また、現状では主流になるカ ードの規格は固まっていないが、パソコンにデータを保存するのであれば、カードは データを取り込むまでの一時保管の容量があればいい。一回の外出で、たとえ旅行で あっても、24枚撮りフィルムを5本以上撮ることは少ないのではないか。また、メモ リーカードは再利用が可能なので、フロッピーディスクのような消耗品のように考え る必要はない。だとしたら、将来の標準規格を見極めるまで待つ必要はないだろう。 十分な枚数をとれるだけのカードを入手すれば、後で入手困難になっても困ることは ないはずだ。
現状でもっともコストパフォーマンスが高いのはスマートメディアだろう。8Mのカー ドが8千円程度で販売されるので、2枚購入すれば通常の使用なら十分にカバーできる はずだ。
将来的にカードのコストパフォーマンスが上がって、他の記憶媒体のビット単価と大 差が無くなったら、パソコンに取り込まずに保存する使用方法になるかもしれない。
フラッシュにこだわる人が多いようだが、デジカメは一般的に暗さに は強い特性を持っている。電灯の下でならフラッシュなしでも十分だ。カメラ一体の フラッシュでは、フィルムカメラであっても、到底満足のいくものは撮れないのだか ら、大差はないと考えた。もちろん、暗闇ではフラッシュがない限り撮影は不可能な ので、あるに越したことはない。
フラッシュのついている機種では、フラッシュをたくという手もあるが 、対象物までの距離が近すぎたり遠すぎたりしては無力だ。また、これについてはAE のプログラミングに各社の考えが反映されており、自動的に逆光補正のような露出を 行うものが有るので、一概に必要な機能とはいえない。しかし、逆光補正のない機種 では、補正はカメラまかせになってしまい、思ったように撮れない場合はあきらめる 以外ないことも事実だ。
DC-2Eでは、実際に効果を確認しながら調整できるので非常に効果的だった。という か、これなしには目的物が正常に撮れない場合もあった。
シリアル、PCMCIAカード、IrDAがある。効率的にはPCMCIA接続が一番だが手 持ちのパソコンの環境によってはパソコン側にも追加投資が必要になる場合がある。 同時にカードの単価や、接続時にアダプターが必要になるか否かも考慮する必要がある。 なお、ノートパソコンを持っていなくても、カード経由でデータを取り込む方法とし ては、PCMCIAスロット増設、ノートPC増設という選択枝がある。デスクトップ機(win dows)に内蔵できるPCMCIAスロット増設キットがかなり安価になってきている(ノー ブランド品が1万円程度のものが現れた)ので、接続キットを買わずに、PCMCIAスロ ットを増設するという方法がある。また、4万円程度の中古ノートパソコンをモバイ ルカードスロットとするという方法もある。
また、機種によっては、Mac・Windows両方の接続ケーブルやソフトが同梱の製品と全 く付属していない製品とがある。別途に購入する機種で、パソコンの環境がMac・Win dows両プラットフォームにまたがっている場合、どちらを優先するかも考えておく必 要がある。
同様に、取り込みソフトの要求する動作環境も十分に調べておかないと、思わぬとこ ろで追加投資が必要になることがある。Macの場合は、漢字Talk7+16Mメモリ程度の 環境が一般的な推奨環境なので、95年以降に購入したマシンなら大丈夫だろう。wind owsの場合はwindows95が必須となっている場合があるのでwindows95を使っていない 場合やメモリが不足気味の場合は注意が必要だ。
これについては、メーカーの取り組む姿勢がもっとも良くでるポイント だ。デジタル機器らしいデザインと、カメラと見分けのつかないデザインとある。デ ジタル機器っぽいデザインは、撮影の自由度も高く液晶モニタの特性を活かしている と思われるが、実際に手に持って撮影動作を行う場合はカメラメーカーの経験に基づ いたインターフェースは、派手さはないが、実際には扱いやすい。ただし、可動式の 液晶モニタは、机の上に置いたミニチュアをクローズアップで撮るときなど、光学フ ァインダーでは到底不可能なアングルを可能にしてくれる。
充電池を使用できる機種では、充電池の種類(型・容量・価格)と充電器の 必要性を、ACアダプターを使うならACアダプターの価格といったところも見落として はいけない。また、シリアル転送する場合、転送している間も電源は必要なので、AC アダプターは必須と思われる。
現状(97年2月)では、全ての使用目的を満足させることの出来る機種は、 たとえ高額な機種であっても、存在しない。最終的には、現在のカメラ市場のように 階層化された市場が形成されるだろうが、印画紙へのプリントという最終目的のはっ きりしたカメラと違い集束は難しいかもしれない。逆に、それがデジカメ市場の面白 いところかもしれない。
要は自分の使用目的と使用環境にあった機能を、予算内で、バランス良く実現してい る機種を選ぶということだろう。パソコンの場合と全く同じ結論になるが、使用目的 にマッチしてさえいれば、元を取ることはたやすい。高額なマシンを購入しておっか なびっくり使うより、安価な機種を購入して限界がはっきりするまで使い倒してみる のも、現状では「あり」だと思う。コダックの DC20はそういった意味では、最も可能 性を秘めたカメラではないだろうか?本当にワイシャツのポケットに入るし、実売価 格は、接続キットも付属して、2万円を切っている。
追記:
・RICOHのホームページ のフォームに画像のフォーマットについて質問したところ、J 6Iフォーマットを扱えるシェアウェアについてのメールが当日中に返送された。