パソコン批評vol5の特集への批評です。 created 10.Oct.96


私は、同紙に何回かレポートを掲載されました。そして、その編集方針もおもしろく唯一毎号購入するパソコン雑誌となっています。しかし、vol5の特集には非常に違和感を感じました。 同紙は、vol4で中村正三郎のホットコーナーにて批判されたように、インターネットに対する理解が不足しているように感じます。しかし、その意見に対するフォローがvol5に掲載されたことは評価できると思います。

上記サイトへのURLの記述や筆者名の記述もなく、読者はその全文を読むことは出来ないことは非常に残念です。

また、レポーターや編集者のE-mailアドレスが記載されていないのも残念です。プライバシーの点からの配慮かもしれませんが、コミュニケーションの可能性を増やすという点で、メリットの方が大きいと思います。現にWiredでは、ライターや投稿者もE-mailアドレスを積極的に公開している。私は、一度ライターの方にメールを送り、参考になるお返事をいただきました。


空洞化するホームページ

レポーターの知識の問題

筆者たちがどの程度インターネット(というよりこの場合WWW)について理解 しているんでしょうか?十分な知識もなく、編集部に請われるままに、テーマを 割り当てられ上っ面をサーフしただけのように感じました。パソコンを所有して いないと思われる筆者や、初めてネットサーフしたとはっきり書いている筆者も います。

「今回初めてインターネットを経験させてもらったが使い方によっては確かに 利用価値は高そうだ(p24)」と書かれているのは、夏野けいとさんです。インター ネットとWWWの違いすら理解していないですね。なんで、そんな人のインプレッ ションを読まなければならないんでしょうか?文の前に書いておいてくれたら、 最初から読まなかったのに....

これが、例えばワープロとか表計算の評価記事だったらどうでしょう。「はじ めて表計算を使ったが使い方によっては確かに利用価値は高そうだ」などという レポートが許されるんでしょか?

どんなソフトでも、ある程度の予備知識がないと正しい評価はできないのでは ないでしょうか?他の同じカテゴリーのソフトについて十分な知識を持った人で も、新しいソフトを評価するためには十分使い込む必要があると思います。そう でなければ、ユーザーとしての評価なんてできないはずでしょう。評価版でない 正式リリース版を購入して、十分使い込んだ上でレポートすることがパソコン批 評の目指すところだったのではないでしょうか?

それなのに、今回初めてインターネットに接続したような人間にレポートさせ るなんて....URLや検索について十分な知識を持ってない人間が批評なんて出来る はずがないでしょう。

テスト環境についての記述がない

レポートの環境がいっさい記載されていないもの、他のレポートと比べておか しいと思います。いつ、どんな回線で、どんなマシンで、どのプロバイダーにい つ接続したのか全然わからない。また、どれくらいの時間使っての感想なのかわ からない。

コストについて

レポートの中には、「高いコストを使って」という記述が何カ所もありました が、どのコストを言っているんでしょうか?電話代?プロバイダーの接続料?パ ソコン代?ソフト代?どこまで含めてるんでしょうか?既存のメディアと比較す る場合「雑誌ならXX円、wwwならXX円」として比較して欲しいものです。

「ただそのためだけに何十万もお金をかけてインターネットを自宅でしたいと は思わない(P18)」と越原麻衣子さんは書かれています。パソコンの値段まで入れ てしまうのでは、デレビ受像機の値段を加えて比較する必要が有るんじゃないで しょうか?

インターネットにかかるコストの把握が全然出来ていないとしか思えません。 この人のレポートの場合、見て喜んでいるだけで、全然広がりが感じられません。 面白いサイトを作っている作者にメールを出したり、情報を提供したりと言った 能動性が全く感じられません。これでは、 WWWを活用出来るはずなんて有りません。

既存のメディアとの比較

コスト

「既存のメディアで取得可能な情報はWWWでは必要がない」といった論調が目 立ちました。しかし、一つの記事や事柄を調べたいために一々専門雑誌を買って たら、非常なコスト高にならないでしょうか?また、専門雑誌がすぐに手に入る 地方に在住している場合ならともかく、大きな書店へ行く場合の交通費や時間コ ストもバカになりません?500円の雑誌に載ってる情報を手にするための総額コス トはいくらですか?WWWでのコストを考えるときに総額(パソコン本体まで入れ て)で考えておきながら、雑誌の場合は正味のコストしか入れないんじゃ正しい 比較とはいえませんね。

情報価値

「テレビやラジオは音という聴覚を使った方法で情報を伝達するため、意識を 集中していなくともある程度の情報は得ることができる。(P14)」とあるが、意識 を集中しなくても得られる程度の情報で満足できるのなら、テレビで十分でしょ う。

口当たりがよくて中身のない一方的な情報操作にうんざりしているんです。パ ソコン批評はそういうスタンスを守るために広告を入れていないんじゃないのでしょうか ?

また、「インターネットでしか得られない情報(P14)」にこだわっているが、 それだけではないでしょう。そういう情報は非常に貴重ではあるが、 そんなものはほとんどないと言っても過言ではありません。しかし、WWWが貴重なのは、 既存のメディアでは埋もれてしまって探すことのむずかしいものについて比較的 に安価に手軽にアクセスする可能性を開いてくれることだと感じています。

雑誌の文章でも、WWWに載れば別の価値を持ち始める。例え既存の雑誌であっ ても、以前にあった記事を参照するためには相当のコスト(時間、本代、郵送料 等)が必要になるはずです。

「TVで見ればすむことではないだろうか?(p20)」で福島圭子さんは書かれて いるが、そんなに都合よく見たいテレビが放映されているんでしょうか?ビデオで 入手できるものは別として、通常の番組なんて、再放送されない限り見ることは 出来ないだろう。ところが、WWWにあれば、不十分でも何がしかの情報を手にする ことは出来る。

また、TVの広告が流れている商品であっても、15秒や30秒のイメージ広告で一 体何が伝わるのでしょうか?十分な商品情報なんて得られませんよね。例えば、 デジタルカメラの広告でも、スペックなんて有りませんよね。カタログを見ても 実際のデータがどのようなものかは説明しきれません。また、いろんなメーカー の商品のスペックを電話代とアクセスチャージで得られるのは貴重だと思います。 だって、電車使って電器屋を歩き回ることと考えると非常に安上がりに済むと思 います。(なお、ウィンドウショッピングの楽しみを否定しているわけではあり ません。純粋な情報取得のコストという意味での比較です。)

WWWが巨大なデータベースであることを忘れてはいけない。

題材

とりあげる題材がアニメとかテレビドラマなんだろう。どんな媒体にもなじ みやすさというものがあるはずですよね。プロ野球の中継ならテレビで十分だろ うし、文学作品を読むには紙媒体の方がなじみがよさそうです。同様にWWWにも あった素材があるはずじゃないでしょうか。ハイパーテキストの特性を活かした、 百科事典のような使い方がいいと私は考えている。

特に、美術館のサイトは非常に見ごたえのあるサイトが多い。本などで言及 されている作品をちょっとみたいといった場合、専門書は買えませんよね。でも、 WWWで検索することは出来ます。

ないものねだりの情報活用

WWWで検証する対象が卑近すぎる。NECのCM「仲村君いいスーツだね」をないも のねだりしているようです。コンピュータメーカーの提示する「マルチメディア ネットワーク」とやらを望んでいるのでしょうか?

通信販売の可能性についても、なぜもっと有効に使おうとしないのかわからな い。資料請求やカタログ制旧の手段としては非常に安価かつ効率的であると思い ます。もちろん、この場合も個人輸入専門雑誌を買えば同等の情報は手に入るで しょう。しかし、1冊1000円の雑誌を買って、各メーカーに国際返信用切手を同封 して送ってたら相当なコストになります。WWWで30分もあれば10冊程度のカタログ を請求するのは簡単です。

WWW上になくてもWWWを取っかかりとしてイモズル式にカタログを取り寄せた り、セキュリティに不安があるなら、FAXと併用するとかそういった発想が感じら れない。

OSに依存しないで、グラフィカルなデータをやり取りするなんてことこれま では考えられなかったでしょ?私は、HyperCardで澁澤龍彦スタックを作ろうと 思ったけど出来なかった。出来てもDOSやUNIXには見てもらうことは出来なかっ た。でもHTMLなら出来るんです。それだけで、十分すごいのに。ないものねだり で文句ばっかり言っても始まらないよ。それは、パソコン批評の意義に矛盾して いるんじゃないの?

WWWでもっとも重要なものは、オリジナルのデータだと考えます。リンクリス トなんて中身のないインデックスにすぎません。その先のサイトのデータが重要 なんです。それは企業の広告やサイバーモールではないはずです。その意味から、 個人ホームページを要らないものとした姿勢には非常に反発を感じました。不十 分かもしれないが、オリジナルのデータはよそから借りてきたリンクリストより 重要なものだと思うんですがいかがでしょうか?


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