朝倉泉の中学時代の同級生の座談会  (6)/8 1 2 3 4 5 6 7 8
      ◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.◆.
      本多 さっきの「特殊」の話にもどるけどね。同級生の目で見て、変って   たといえばある程度変ってたと言えるけれど、そんな大変な変人では   ない。従ってあの事件と彼のことが結びつかない。そういうふうなこ   とが言える? P  言えないこともないけどな。結びつかないというのは? 本多 つまり、ああいう事件を起こすというふうには結びつかない。 O  全然結びつかないとは言えない。さすがに聞いた時はびっくりした   けれど、考えてみれば、全く別のやつが、底抜けに明るいやつがやっ   たんだったらすげえ特殊だなんて思うだろうけど、Bがやったらすげ   え特殊だなんて思わなかったよ。 P  特殊だとは思わなかったけど、でかいことやったなと思ったよ。 Q  えれえことやったと思うよ。 P  後で考えると何でも納得するけどね。きみがやったって特殊だとは   思わないけどね。 本多 もしO君がやったら「あいつならやるだろう」と。 O  悲しいなあ(笑)。 P  何でも理由がつけられるから。 Q  自分で異常なことだと思いこもうとしないからね。 O  おかしくもないじゃない。全然おかしくもないぜ。 P  だれがやったって、だれでも可能性を持っているからね。 Q  なんだ、悟ってるようなこと。 P  でも、ふつうそう言わない?可能性がなかったら大変じゃないか。   人を殺せる可能性もないなんて可哀想な人間じゃないか。 O  ああいった事件が家とか性格に依存してるんだったら、かなり可能   性はあったよ。えらい可能性だったよ。 P  やはり気が弱いからでしょう。気が強かったらあんなことしない。   お祖母ちゃんのこと叩きのめしてなぐつたり。 Q  あれ「鬱積する」って自分で言ってたような気がする、おれ。もっ   と「反発したい」って。 P  愚痴こぼすんじゃな。 Q  おれたちにBが言ったってしようがないよな。おれたちがかわりに   言ってやればよかったな。 O  おれたちが言ってやればよかったな。 Q  本当だ。 P  ああ、残念だね。 本多 だれに? P  お祖母さんやお母さんに。自分でそれを言えなくておれたちに言っ   てたからね。 本多 それは本当に惜しかったね。 Q  そんなこと言ったら、「こんな馬鹿な子と遊んではいけません」っ   て(笑)、言われたんだもの。実際に言うんだから困るよな。 P  あいつだったら本当小説家になれたぜ。 Q  おまえ本当になれると思った? O  小説家? Q  まあいいけど。考えると無理だな、筒井康隆、好きじゃないから。 本多 それじゃ、B君は普通の程度に友人はいたといえるわけだ。 Q  いたよ。うちにも四、五回来ていたし。自分が帰るとき、遊んでい   ても待っててくれたし。友達でも試験のときは、あのくらいできれば   ふつう帰っちゃうもんね。 P  授業が終ると駈けて帰る人がこの人(笑)。 本多 でもあとの方で馬鹿に急激に成績がさがったと言ってるけれども、   あれは何か原因があるんですか。 P  さがってはないけど、勉強あまりしなくなったっていうこと。みん   なが勉強するようになるから順位がさがるということでしょう。学力   自体はさがっていない。 O  学校の成績で言ってるからさがったって言ってるんだよ。 P  学校の方はそうだよ。でもどっちにしても、一学期に比べれば勉強   しなくなったな、二学期の方が。 O  三一なんて驚異的な内申だよ。おそろしくさがってるじゃない。 P  普通の少年でさ、おれたちと変りなかったのにさ、家がいけなかっ   たんだよね。 本多 お祖父さんは? Q  お祖父さんは尊敬してたみたい。 P  そんなにしょっちゅう話題に出ないよね。 O  でも自慢したらおしまいだよ。「B家」とかいって自慢してたもん   な。 index  back  next