「遺書」 朝倉 泉 第四章
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        第四章 妹  まことに残念なことだが、珠のみにくさについての分析は省略せざるを 得なくなった。その理由を書こう。 1 妹のみにくさは、私に対するねたみからでている。祖母が私ばかりを かまって妹を全く無視するのが妹はいやでたまらないのだ。さてこの妹の ねたみは極めて激しい。幼いころから差別されて育ったためである。この ひねこびれた心理を論理的に書き表すのは、とてもこれまでのような調子 にはいかない。どうしても心理学を勉強しなければならないのだ。 2 計画実行の日は、二月十日、十一日、十二日の連休の予定だったが、 私はとてもそれまで待ち続けられなくなってしまった。そこで一月十三日、 十四日、十五日に決行することにした。そのため妹を分析するだけの時間 がとれなくなってしまった。 3 私にとって大切なのは第二章であって、あとはそれはど重要ではない と思いはじめた。 というわけで妹のことは書かないことにした。だがこれだけは書いておき たい。妹の私に対するねたみはやや異常であった。こう書くとまた人々は パラノイアだとかなんだとか言うかもしれないが、ここまで私の文を読ん でくれた人なら私の言うことが、単なる被害妄想などではなく、しっかり した論理的基盤の上に成り立っているものだということをわかってくれる だろうから、このことも信じてもらえると思う。 index  back  next