| 2003年 1月 | |||
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| @ | 怪獣とヒーローを創った男たち | ![]() | |||
| 特撮映画研究会◎編 | タツミムック | 特撮薀蓄 | |||
| 175頁 | 1600円 | ★★★★ | |||
| 最近はややおかしな方向に人気が広がってる気もするが、特撮怪獣/ヒーローものはコンスタントにブームが続いておるので、関連本もどんどん出版されとるようじゃ。しかし特撮技術ではなく、ましてや訳者のおっかけでもなく、怪獣、怪人になくてはならない"着ぐるみ"で一冊に括った本は珍しいのではなかろうか。とにかくゴジラ以降、怪獣ブームを支えた造型者たちのインタビューや当時の写真を豊富に掲載しておって非常に興味深い。役者が顔を出したアンギラスや、リヤカーに乗ったバランの写真なんて涙ものじゃよ。 ただ話の中心が、昭和ゴジラ/ガメラ、それに第一次怪獣ブームから、せいぜい第二次怪獣ブームと仮面ライダーあたりまでにほぼ限られ、特に平成の作品にはまるで触れられておらんのが残念じゃ。最近の仮面ライダーや戦隊ものでは、かなり硬質感のあるシャープな着ぐるみになっておるので、それらも取り込んだうえで、ぜひ着ぐるみの発展史としてまとめあげてほしかったのお。 | |||||
| A | 最後のディナー | ![]() | |||
| 島田荘司 | 角川文庫 | 推理 | |||
| 245頁 | 495円 | ★★★ | |||
| 龍臥亭の事件以後に石岡の周りで起きた、小さな出来事を3つ集めた短編集じゃ。いや、石岡にとってみれば、里美の上京は大きな出来事かな。 「里美上京」・・・まあそういった、かなりやばい石岡の精神面に救済が降りてくるという話じゃ。しかしその後も大きな改善効果は見られないような… 「大根奇聞」・・・セリトス女子大で里美を教える御名木が、石岡に語った薩摩の郷土史上の謎。飢饉の中、殿様の大根を奪った老婆が殺されなかった理由とは… 完全なフィクションじゃが、歴史ミステリっぽくて面白く読めたわい。御名木が話すところの、里美をやっかむ一部の人間もいるとは、何らかの大きな事件に発展させる布石だったりするんかいのお。 久しぶりの御手洗と石岡のトークは楽しませてもらったが、しかしペンタゴンとはのお。フラクタルはどーなる? 「最後のディナー」・・・里美に無理やり参加させられた英会話教室で、石岡は一人の初老の男と知り合う。物静かで控えめな大田原というその男に、多少の惹かれるものを感じる石岡だが・・・ 石岡のあまりのもじもじくんぶりに耐えられなくなりそうじゃ。それはともかく、自分の命を超えて仕事を残すという石岡の感慨は、残る者にとってはおそらく真実たりうるじゃろお。しかし、大田原がどれだけ無念だったかを思うと心が痛むわい。 | |||||
| B | 熾天使の夏 | ![]() | |||
| 笠井潔 | 講談社文庫 | ― | |||
| 220頁 | 619円 | ★★★ | |||
| "矢吹駆"第0作!"というキャッチ・コピーにまんまと騙されて読んでしまったわい。東南アジアのどこいらのホテルに潜伏する男の独白と、過去のテロ事件に関する男の独白。これが交互に語られるのじゃが、わし、最後までラストにひねりがあるもんじゃと思ってたわい。そのまんまじゃからのお・・・ このテロの失敗から思索の時を経て、矢吹駆はフランスで修行僧のような生活に入り、殺人者との思想対決へと繋がるということじゃな。いずれにせよ矢吹駆というのは馬鹿野郎じゃな。 作者に儲け心があるわけではないじゃろうが、こういった本を単行本で出版するのはどうじゃろうのお、講談社よ。笠井潔の最初期の習作として、一部のコアなファンと、笠井潔論を展開する批評家には貴重な作品だろうが、一般の読者としては、まるでおもろないと断言しておこう。 しかし「テロルの現象学」はちょっと読んでみたい気もするのじゃが・・・ | |||||
| C | 彗星王の陰謀 キャプテン・フューチャー11 The Comet King | ![]() ![]() | |||
| E・ハミルトン | ハヤカワ文庫 | SF | |||
| 244頁 | 280円 | ― | |||
| 頻発する宇宙船消失事件。これを捜査していた、太陽系警察機構のエズラ・ガーニーとジョオン・ランドールもまた船と共に消息を絶った。船が消えた地点は一定しておらず、捜査は難航していたが、事件の解明に乗り出したキャプテン・フューチャーは、消失ポイントの傍に常にハレー彗星があることをつきとめる。フューチャーメンは急遽コメットを駆ってハレー彗星へと向かうが、その強烈な電磁場のコマを潜り抜けて到着した世界には、奇妙な電気人間が支配する世界だった。さらに、その背後で彼ら彗星人を操るアルルスとは・・・ ハレー彗星はいわゆる"汚れた雪玉"であり、その尻尾のほとんどは氷の混ざったH2Oのガス噴流じゃから、それが光って見えるのは、月と同じく太陽光の反射というわけじゃが、この当時は電磁気的に自発光する粒子の噴出が尻尾だと思われておったんじゃのお。それはともかく、電磁場の中に住む箒星人=電気人間(もっともアルルスに改造されるまでは普通の人間だったわけじゃが)というのが、なんとも安直で微笑ましい。 さて、いつもいつも仲の悪いグラッグとオットー。ピンチに陥れば結構なチームワークを見せるのじゃが、今回はそのコントラストが顕著じゃぞ。彗星のコマに突入する際の互いの懺悔から始まって、捕まったキャプテンを追ってアルルスの塔まで、道中肩を並べていいコンビぶりじゃ。 アルルスと言えば、そのイメージにクトゥルーの影が見えるように思うのじゃが、ハミルトンもやはりラブクラフトに惹かれたのじゃろうか。 それはそうと、この数巻では影が薄かったジョオンじゃが、なんと自ら箒星人に改造されてキャプテンの前に現れる。その行動理念は大したものじゃが、やはりものの役にはたっておらんぞ。いや、カーティス・ニュートンをとことんやる気にさせたという功績は大じゃ。もしかして、当然自分たちを追ってやってくるフューチャーメンを見込んでの作戦じゃろうか。恐るべき智謀じゃ、ジョオン! わしもすっかり忘れておったが、本書の最後に、カーティスははっきりとジョオンにプロポーズしとるんじゃな、こりゃ。 | |||||
| D | 真夜中への鍵 The Key to Midnight | ![]() | |||
| D・クーンツ | 創元推理文庫 | サスペンス | |||
| 529頁 | 980円 | ★★★ | |||
| 京都を第二の故郷とするジョアンナ・ランドは、ラウンジのオーナーとして成功していたが、夜毎彼女を襲う義手の男の悪夢に苦しめられていた。 一方米国で探偵社を経営するアレックス・ハンターは、一年に一度の休暇で京都を訪れていた。ジョアンナのラウンジで彼女を見たとき、アレックスは彼女が八年前に捜索依頼を受け不首尾に終わったリーザではないかと疑問を持つ。ジョアンナにはイギリスで生まれ育った記憶があったが、ハンターが彼女に近づいたことで、これまで疑わなかった自分の過去と毎夜の悪夢の原因に挑むことに・・・ だが、過去の扉の鍵を開けようとする彼女たちの周りに、不穏な影がちらつき始めるのだった。 クーンツの「ベストセラー小説の書き方」の中で、舞台のリアリティーを出すためには、調べ物を怠ってはいけない。逆にしっかりとリサーチしていれば、現地に実際に行かずともリアリティーを出すことは可能だという例として、自画自賛と共に多用されておったが、実際よく調べとる。しかしジョアンナの記憶を呼び覚ます重要な役どころである精神医が、彼女のラウンジ共同経営者、稲村真理子の叔父だというのはあまりに御都合よろしすぎじゃな。アメリカじゃともかく、日本じゃそうそう精神医やカウンセラーなんぞはおらんぞ。わしはてっきり敵側の回し者だと確信しとったわい。逆に言えば、こういう人物を野放しにしていた敵組織はなんとも間抜けじゃが。 ついでに言えばこの叔父、稲村臣というのも妙な名前じゃ。OMI INAMURA? しかし原文に漢字が使われていたはずもないのじゃから、SHIN INAMURA だったのかもしれんのお。とすると、おかしいのは訳者の漢字の選択か? それも含めて、「ストレンジャーズ」以降のクーンツのメジャー作品と比べると、敵組織のディテールは甘く、後半のアクション部がやや物足りない感じじゃのお。 | |||||
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