| 2005年 8月 | |||
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| @ | 恋恋蓮歩の演習 A Sea of Deceits | ![]() | |||
| 森博嗣 | 講談社文庫 | 推理 | |||
| 440頁 | 695円 | ★★★ | |||
| 大学院生の大笛梨枝は、代理で聴講していたセミナーで知り合った羽村と恋仲になり、ついには、豪華客船ヒミコ号で名古屋から香港までの船旅の約束をした。一方保呂草は、数ヶ月前の“エンゼル・マニューヴァ”を巡る事件で知り合った謎の女各務亜樹良から、ヒミコ号船上で関根朔太の自画像が取引されるという情報を手に入れ、バイトで雇った紫子と夫婦という設定で船内に部屋を取った。見送りにやってきた紅子と練無ともども出航した船内では、早速乗客の行方不明事件が発生するが・・・ 「偽のデュー警部」に対するオマージュともなっている本編。並列に「マダム・タッソーがお待ちかね」を読んでいたのは、まったくの偶然じゃ。 さすがの森博嗣の力量を持ってしても、紅子と練無が無賃で船に乗るわ、その船の警備主任が瀬在丸家の元使用人だわと、無理矢理感は消えないが、謎の半分は簡単に予想させておいて、もう一段うっちゃりをかけてくるのはさすが。<ネタバレ反転>なんか同じ手に二度引っかかったようで、すごく悔しいぞ。 | |||||
| A | マダム・タッソーがお待ちかね Waxwork | ![]() | |||
| P・ラヴセイ | ハヤカワ文庫 | 推理 | |||
| 277頁 | 600円 | ★★★ | |||
| B | カリオストロの復讐 La Cagliostro Se Venge | ![]() | |||
| M・ルブラン | 創元推理文庫 | 冒険 | |||
| 277頁 | 600円 | ★★★ | |||
| ラウール=ルパンは50歳を迎え、静かな隠居生活にはいるため、ル・ヴェジネに屋敷を構えた。隣の屋敷に住む老人の隠し金は、ちゃっかりと手に入れるつもりだったが、そこに住む二人の令嬢のうちの姉が、暴漢に襲われて殺される事件が発生し、襲った暴漢もその場で姉の婚約者ジェロームによって殺された。時をおかずしてジェロームも何者かに襲われ、さらには胸にナイフを立てられた別の男も登場する。そしてその事件の裏には、ルパンの屋敷の建築技師として雇われたフェリシアンが深く関わっているらしい。しかも、そのフェリシアンはルパンの息子かもしれないというのだ!ジョセフィーヌ・バルサモ=カリオストロ伯爵夫人の恐るべき悪意が、30年の時間を経てルパンを苦しめる・・・。 昔ポプラ社の南洋一郎版で読んだ時も、妙な読後感を覚えたものじゃ。 完全に謎が氷解して八方丸く収まってちゃんちゃんとも言えないし、なにしろ25年の時は取り戻せるはずもないからのぉ。ルパンの行動も、≪ル・ブーク≫のトーマとの対決はさすがの貫禄じゃが、そこ以外は、フェリシアンとロランドとフォスチーヌの周りでうろうろしとる印象じゃ。まあ、例のフランス・フィユトン≒冒険メロドラマの気構えで読めば、それなりに楽しめるじゃろ。なんといっても、直接は出てこないカリオストロ伯爵夫人の復讐がいいぞ! 怖ぁーい。 「カリオストロ伯爵夫人」ではクラリスだったルパンの嫁が、なぜか本書ではクレールになっとる。 ルブランの間違いなんかのぉ。 | |||||
| C | 私のギリシャ神話 | ![]() | |||
| 阿刀田高 | 集英社文庫 | 歴史薀蓄 | |||
| 265頁 | 857円 | ★★★ | |||
| 著者が書いた同様のギリシャ神話紹介本に、「ギリシャ神話を知っていますか」があるが、あれはかなり体験談や駄洒落がキツかったように覚えとる。 本書はそれに比べるとかなり読みやすいし、なにより図版がカラーで豊富なのがええのぉ。 ごちゃごちゃになり易いギリシャ神話を整理しようと、今回「図解雑学ギリシャ神話」と平行読みをしたわけじゃが、これでどれだけ記憶できたかというと、甚だ心もとないのじゃが・・・。 | |||||
| D | 図解雑学 ギリシャ神話 | ![]() | |||
| 豊田和二・監修 | ナツメ社 | 歴史薀蓄 | |||
| 241頁 | 1300円 | ★★★★ | |||
| 西洋の翻訳本を読んでいると、常識としてギリシャ神話ネタを持っていないと、つらい場合がちょろちょろある。そこでその底上げのために、「私のギリシャ神話」と合わせて読んだ。 しかし何回読もうと、ギリシャ神話は頭に入ってこないんじゃよなぁ。解りやすさでは定評のある“図解雑学シリーズ”で読んでさえ、どうにも定着してくれん。やはりギリシャ神話自体に興味があるわけではないっちゅう邪道な理由があかんのじゃろお。 テッセウスとかヘラクレス、オイディプスとか言われて、とりあえずネタの一つくらい言えるようになったということで良しとしとくか。 しかしこの“図解雑学シリーズ”、図表はいいのじゃが、画があまりに素人くさいのが、ちょっと寂しいのぉ。 | |||||
| E | 播磨灘物語(三)(四) | ![]() ![]() | |||
| 司馬遼太郎 | 講談社文庫 | 歴史 | |||
| 302頁/278頁 | 533円/533円 | ★★★★ | |||
| 全四冊中の後半に中る本書は、信長に叛した荒木村重の説得に赴いた黒田官兵衛が、捕まって狭い土牢に押し込まれ、苦難の一年を過ごすところから始まり、三巻半ばで救出されてからは備中攻めの間を縫って、四国の地ならしに出張。四巻はいよいよ中国大返しじゃ。 言うまでもなく、黒田官兵衛の人生で最も華やかなのが、秀吉の参謀としての中国攻めじゃ。だから別所攻め、荒木攻め、毛利(清水)攻め、そして本能寺後の大返しと、比較はしてないが、同じ司馬遼太郎の「新史太閤記」よりも詳細に書かれているようじゃぞ。それにしても、台詞は少なめで俯瞰的に大局を評しながらも登場人物の感情が生き生きと伝わってくる、司馬遼太郎のこの文章はなんじゃろうな。他に類を見ることができん。一概に秀吉の中国大返しと言うが、突発的に数万の大軍を反転させて遮二無二走り出すという行為が、時の運があったとは言え、的確な判断と細心の注意の上に成り立っていることが、ダイナミックに伝わってくるのぉ。 山崎合戦の終了後はエピローグ的に30頁程度にまとめられているので、個人的な知識欲としては、関が原の際にすでに如水と名乗っていた官兵衛が北九州を切り取っていったあたりを、もっと詳しく書いてもらいたかったとは思うのじゃが、バランスや読後感を考えると、このエピローグがまた絶品じゃ。 そう言えば、中国大返しを扱った数ある読み物でも、まるで書かれていない質問を一点。 山崎合戦で上手く秀吉の上に乗り切れなかった、信長の三男信孝。秀吉の軍の中には、彼の養子になっていた信長四男の秀勝もいたらしい。歳もそんなに離れていない筈じゃが、会って話をするような機会はまったくなかったんじゃろうか? | |||||
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