| 2006年 2月 | |||
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| @ | 真説 謎解き日本史 | ![]() | |||
| 明石散人 | 講談社文庫 | 社会薀蓄 | |||
| 300頁 | 552円 | ★★★ | |||
| 井沢元彦以上にその饒舌さが胡散臭い、明石散人の本またまた登場。 別に一冊の本になっている“天魔王”足利義教や、彼ら室町将軍家と日野家の女達の話、あるいは西行法師や武蔵坊弁慶の実像の考察、今も解決する兆しのないホットな竹島問題等々、読みどころはてんこ盛りだ。 どこまで信じてよいのかは別にして。 その中でも、剣豪ファンのわたしとしては、神子上典膳⇒小野次郎右衛門忠明改名問題が、するどく腑に落ちてしまった。 神子上⇒小野の改名問題といっても、たいていの人間にとっては誰やねんそれといったところだろう。 伊東一刀斎というこれまた有名な剣豪がいるのだが、彼から一刀流を継いだ神子上改め小野忠明は、柳生宗矩と並んで将軍家兵法指南役となる。その引継ぎの契機は、兄弟子である小野善鬼との決闘による勝利だった。 このシーンは、幾多の歴史小説家が取上げる有名なものだが、伊東一刀斎の真意やその後の消息とあわせて、霧にけぶってよく判らない。一般には神子上典膳が勝ったとされ、その後徳川家康に仕えるようになってから上記の改名があるのだが、その理由について明快な説明をした作品は、わたしの覚えている限りではない。 そうそう、たしか小野善鬼が勝って神子上典膳を名乗ったという作品まであった。 まぁとにかく、神子上典膳を品行方正なキャラクターとしてきれいに説明したものは、他に知らなかったので驚いた。 (2012/10/17改訂) | |||||
| A | 祖国とは国語 | ![]() | |||
| 藤原正彦 | 新潮文庫 | ― | |||
| 224頁 | 400円 | ★★★★★ | |||
| ゆとり教育なるものが、学生の教育レベルの平均値を押し下げていることには、わたしも大きな不安と怒りを覚えている一人だ。本書の「国語教育絶対論」は、高い視野から見事にその危機を訴えていて、全面的に賛同である。著者が数学者であることも、説得力を大いに高めている。あとがきで誰かも書いているように、著者にこそ、文部科学大臣のポストに就いてもらいたいと思う今日この頃だ。 わたしの記憶で意訳するが、簡潔にまとめるとこんな感じだろうか。 @現在の経済競争に遅れずについていくためという、目先の理由のために、英語やコンピュータを小学校から取り入れる計画があり、一方でゆとり教育で授業時間はどんどん減らされているので、算数や国語といった授業にかける時間がどんどん減っている。 A日本人は当然ながら日本語で思考している。ここで国語力(漢字や表現のボキャブラリー)が足りないことは、=日本人としてのアイデンティティーが不足して、上っ面な人間になってしまうことである。(仮に英語が喋れても、中身がなければ軽蔑されるぞ) C会話での論理は数学で言う論理ではない。白と黒の世界ではない灰色の世界の中で、自分のポジションがどこにあるかを判断し、説得力ある表現を展開する技術を得るには、国語が必要である。 C国語というのは、情報伝達の手段というだけでは、断じてない。情緒を培う重要な手段である。ここで言う情緒は、人間としての奥行きや他人の立場で考えられる感受性だったりする。 D最初に戻るが、日本人としてのアイデンティティーを育むには、国語が絶対的に重要で、本を読むことに抵抗感なく慣れ親しむためには、文法よりも漢字がポイントである。そして漢字を覚えるのに適しているのは、記憶力に富み、退屈な記憶作業への批判力が育っていない小学校の時代が最適であって、これは強制で一向に構わない。 E国家単位でのアイデンティティーは、祖国への誇り、愛(パトリオティズム)であって、国家主義(ナショナリズム)と履き違えてはならない。 F国語力の低下はの理解の低下に繋がり、それは祖国への誇り、国家の品格を失くさせる。経済的に不況になっても国は滅びないが、品格を失くした国家はあっという間に滅びる。 G特に小学校の時代、1にも2にも大事なのは国語であり、3、4がなくて5に算数、他の科目は10以下でいい。(←ちょっと極論) H大体において、文部科学省も日教組も子供に阿りすぎである。 小学5年から英語の授業をというニュースが流れていたが、文部科学省や日教組とかは大幅に解体、再編するかしないと、本当に国が滅びるのではなかろうか? というか、経済至上主義で目先のことしか考えない輩をなんとかせねば…。 かなり熱く語ってしまった。 ここまでが100頁ほどだが、その後の「満州再訪記」もめっぽう興味深いし、中盤の家族ネタで綴る短編エッセイも息抜きとして楽しい。 (2012/10/17改訂) | |||||
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