2008年 2月
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@継体天皇の謎 (1995)
関裕二PHP文庫歴史薀蓄
278頁552円★★★

 これまでも薄々感じてはいたが、著者の本はどうもトンデモ度数が高すぎ。漸く得心した。

 纒向遺跡が当時(三世紀前〜中盤)最大の遺跡だからといって、イコール邪馬台国とは限らないという著者の主張には賛同できるし、纒向、北九州の動向に出雲も深く関与していたとの話もなかなか面白い。しかし神功皇后が北九州にあった邪馬台国を滅ぼしたトヨであり、彼女がその後纒向(ヤマト政権)に裏切られて南九州へと逃れ、巻き返して応神とともに近畿に攻め込んだのが、神武東遷ともなった云々というのは、あまりにもトビすぎな気がする。
 いや、歴史ロマンとしては面白いのだが。

 そのあたりのネタが強烈で、あれっ継体天皇の印象が・・・。

(2014/2/8改訂)

A一度も植民地になったことのない日本 (2007)
デュランれい子講談社+α新書社会/エッセイ
221頁838円★★★

 この魅力的な題名と、なぜか「バジリスク」の見開きが配された表紙に惹かれて購入した。
 もはやアメリカの属国では?という思いもないわけだはないが、一応“マスターズ・カントリー”をこれまで持ったことがないということが、日本人の特異性にどう影響しているのかという分析を期待して読んだので、残念ながら肩透かしであった。よくある外国人を鏡として日本人を考えるという体験型エッセイだ。
 これはこれで面白いし、著者は外国人から日本人に対するよろしくないコメントを受けた際に、きっちり反論できる江戸っ子であるところが頼もしい。

 ただし歴史観は若干おかしいような気がしたし、著者夫婦(夫君は欧人)が見知った印象に限られるので、本書の内容が必ずしも一般に敷衍されるわけではないので注意。

 例えばヨーロッパでは(オランダだったかフランスだったか)、若いもんは残業せず、責任の生じる壮年以降の残業が増えるらしい。これは日本と反対で、日本では若いもんが残業し上司はそれをよそ目に早く帰るいったことを夫婦ともども断言している。しかしこれは間違いだ。わたしの会社では若いもんは残業し、上司はさらに残業するといった実態だった。状況は様々だろう。

(2014/2/9改訂)

B伝説の「武器・防具」がよくわかる本 (2007)
佐藤俊之監修PHP文庫武器薀蓄
315頁648円★★★

 神話の武器と現実の武器が入り混じって紹介されている。
 RPG世代向けの編集で、「「世界の神々」がよくわかる本」と同シリーズだから、重複する内容も多いのだが、北欧神話ケルト神話等は何度読んでも覚えられないので、何度でも読みかえすがよろしい。

 実存した武器・防具が図鑑的に載っているのがありがたい。

(2014/2/9改訂)

C海軍士官候補生
 Mr. Midshipman Hornblower (1950)
C・S・フォレスターハヤカワ文庫海洋冒険
411頁820円★★★★

 フランス革命から間もない1794年。英仏海峡の制海権を握るイギリス海軍のジャスティニアン号に、ホレイショ・ホーンブロワーという17歳の少年が配属されてきた。高所が苦手で船酔いにもかかるホーンブロワー候補生だったが、持ち前の知力と土壇場の思い切りで数々の試練に立ち向かう・・・。

 長編の体ではあるが、1章か2章ごとでまとまった連作短編のようだ。ホーンブロワーが海に乗り出した最初の4年ほどの時代設定である。
 海洋冒険もの、しかも時代劇でシリーズものなのでこれまではまったく手を出す気はなかったのだが、実家に顔を出したおりケーブルテレビでドラマ版をちらっと見たところがなかなか面白そうだったので、お試しに一冊読んでみるとこれがめっぽう面白かった。

 ウィキペディアによると、「スタートレック」がどうやら宇宙版ホーンブロワーとして企画されたらしい。どおりでどおりで。
 これは本シリーズをこれまで敬遠していたわたしの不明を恥じるしかない。

 またまた読まなくてはならないシリーズが増えてしまった。

(2014/2/10改訂)

D35分の1スケールの迷宮物語 (1998〜)
モリナガ・ヨウ/吉祥時怪人大日本絵画模型薀蓄
111頁2000円★★★

 タミヤの1/35MMに関しては、残念ながらどっぷり嵌っていたとはいえない。
 覚えているかぎりでは、1943年式のT34/76Sdkfz.222を作っただけで、しかも222は完成までもっていけなかった【※1】という貧弱なものだ。

 といったわけで、本書のマニアックぶりにはついていけないところも多いのだが、70年代の子供の生活事情にはなかなか共感できて、楽しく読めるところも多かった。
 わたしも学研のX図鑑を三冊持っている。

【※1】後にT34/76はドラゴンの1941年式を、Sdkfz.222は同じMMのアルミ銃身&エッチング・パーツ付のものを買いなおして在庫中。

(2014/2/9改訂)

E21世紀本格宣言 (2003)
島田荘司ハヤカワ文庫エッセイ
507頁800円★★★

 御大の発言集ということでなかなかに読み応えはあるのだが、他の作品に収められた文や著作のあとがきなどが多く、ゆえにすでに読んでいた内容が多かったのが残念。
 しかし「コナン・ドイルはフレッチャー・ロビンソンを殺したか」などは初めて目にする文章で、大いに興味を持って読めた。

 陪審制三審制に関する文章も多い。
 発表当時は“願い”として書かれていた陪審制の導入がいよいよ現実となるが、この日本で本当に著者が言うとおりに上手く機能するのだろうか。しかし先日TVで見た名張毒葡萄酒事件の現状を見ると、冤罪の回避から著者が主張する陪審制のメリットはたしかにあるように思う。(しかし名張毒葡萄酒事件に対しては、陪審制も何ら寄与できなかったか…。)

 ところで気になるのは、三浦和義氏の再逮捕と不審な死に関する著者の見解だが・・・。

(2014/2/9記載)

F秘剣雪割り (2002)
佐伯泰英祥伝社文庫時代
328頁590円★★

 摂津三田藩中間の息子として生まれた一松は、父親の死に際して暴れ回り江戸を放逐されたが、縁あって弟子入りした薩摩藩出身の老剣客から示現流を仕込まれる。そして数年後江戸に舞い戻った一松は、恐るべき剣の使い手となって剣術道場を荒らし始める。

 町の本屋ではやたらに佐伯泰英占有率が高い気がする。そんなに出版社が力をいれてるのならばと、いろいろなシリーズの中から剣豪小説らしい一冊を選び読んでみたのだが・・・。

 なんというか、残念ながらわたしにはまるで面白さがわからなかった。
 主人公に感情移入できるような親しみやあこがれは持てず、売りであるらしい剣戟描写にもさっぱりときめかず、また歴史的事件とシンクロするわけでもない。

 剣戟描写はどちらかというと幼稚で中途半端な気がした。

 どうやら作者のシリーズの中では特異な位置を占めているらしいが、だからといって他のシリーズを読んでみる気にはなれない。

(2014/2/9記載)

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