障害レースの騎手として名を馳せたシッド・ハレーは、レース中の事故で騎手生命を絶たれた。彼は拾ってもらった探偵社で数年を過ごしていたが、今度は社に忍び込んだチンピラに腹を撃たれ、生死をさまようことに。九死に一生を得た彼は、義父からシーベリィ競馬場の株売買の不正に関わる調査をするよう求められるが・・・。
ディック・フランシスの数多の作品中でも代表作の一つ。
間違いなく面白い筈ということで、大事に長年在庫にしていた本だ。
一般的な探偵小説の探偵は、あくまで第三者の立場から事件に関わるのだが、本書の場合、ハレーは一応探偵ではあるものの、彼の再生の物語としての側面が大きく、名作「興奮」と同様、主人公は痛い目に遭いながらも不屈の闘志と機転で、最後はミッション達成+αを得る。
探偵の事件への関わり方が多くの探偵小説と異なることだけでなく、探偵社がある程度大規模で、業務系統がきちんと部課に分かれていたのも新鮮だった。
しかしハレーをやっかいな嫌われ者に思わせるという義父の偽装演出も、結局彼への発破だけで終わってカタルシスへ繋がっていかなかったのは残念な処。
やはり著者のベストは「興奮」ということか。【注1】
【注1】この時点では、この二冊しか読んでいないが。
(2015/2/1改訂) |