2010年 3月
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@新装版迷宮入り!
別冊宝島編集部 編宝島SUGOI文庫犯罪薀蓄
284頁457円★★★
 「世田谷一家惨殺事件」のその後を知りたくて、ホイッと買ってしまった。
 しかしその項目は、実は文庫版としてのオマケ追加の部分で、内容をまとめると次のとおり。
 初期の手がかりが多かった分、ガセネタも山のように集まっての報道合戦の挙句、結局なにがなにやら解らない。

 こりゃまいった。

 これには空いた口が閉まらなかったが、他の項目はなかなか読み応えもあった。
 基本的には裏社会絡みの金融・汚職事件を解説した内容だ。

 裏社会といえば、暴力団を筆頭に、右翼、エセ同和、そして彼らと企業、政治家をつなぐフィクサーといった登場人物たちの話は、とても興味深いとはいえ、少々読むのがつらくなってくる。経済にも弱いし・・・。

(2013年4月8日改訂)
Aサム・ホーソーンの事件簿Y
E・D・ホック創元推理文庫推理
379頁1000円★★★
B大徳寺散歩、中津・宇佐のみち 街道をゆく34
司馬遼太郎朝日文庫歴史薀蓄/紀行
292頁540円★★★
(1)大徳寺散歩
 大徳寺は洛北の紫野にある臨済宗の禅寺である。
 本編では大徳寺とその域内の塔頭の幾つかを訪れるのみなので、もはや街道を“ゆかない”のであるが、それだけ関連する話が豊富ということだ。開創の大燈国師はそれほどメジャーとは言えないが、一休(アニメでおなじみ)や沢庵柳生一族宮本武蔵が登場する剣豪小説でおなじみ)といったポピュラーな名前が、大徳寺の歴代の住持の一人だとは知らなかった。
 因みに大徳寺系の僧には、名前に“宗”の字がつくことが多く、上の例で言えば、一休宗純であり沢庵宗彭となる。
 また、信長、秀吉の茶頭として大きな影響力を持つに至った千利休は、法名は宗易だ。彼が切腹となるきっかけにされた彼自身の木像が、大徳寺の三門である金毛閣に設置されたことでも有名だ。
 このように千利休とも関係の深い大徳寺だが、その背景には、京都にある他の臨済宗の寺と違って、堺の商人衆と強く結びついていたらしい。

 かなり昔のほんの一時期、わたしは佛教大学に通ったことがあるのだが、そのすぐ近くに立地していたというのに、当時はまったく認識していなかったのが、なんとも情けない。

(2)中津・宇佐のみち
 豊前中津とともに名前が挙がるのは、黒田如水黒田長政の親子、そして福沢諭吉といったところだろうか。本編ではこれらの人物縁の話を楽しめる。

 「播磨灘物語」は以前読んだが、黒田如水がこの地の旧来支配者である宇都宮氏を謀殺した話はまるで記憶に残っていなかった・・・。なんでも合元寺という寺の赤塀は、この時斬られた宇都宮方の血しぶきで汚れたのだが、その後何度拭いてもきれいにならなかったという理由で、ついに壁全体を赤く塗ったのだという。

 さて本編では、中津の手前に宇佐について語られているのだが、実はわたしの興味も宇佐神宮に集中している。個人的には、この地こそ邪馬台国の所在地ではないかと考えているからだが、司馬遼太郎は毛ほどにもそう考えていないようなのが興味深い。

(2013年4月8日改訂)
Cセーヌ湾の反乱 ホーンブロワー・シリーズ<9>
 Lord Hornblower
C・S・フォレスターハヤカワ文庫海洋冒険
406頁860円★★★
D髑髏城の七人
中村かずき講談社文庫時代
359頁695円★★★
 1590年、秀吉の関東攻めを目前にした北条家は、付近で勢力を伸ばしつつある武装勢力、髑髏党と手を結んだ。仮面を被った謎の男に率いられた髑髏党は、太田道潅の江戸城があった辺りに髑髏城という一大巨城まで建造している。そんな中、無界の里には一癖ある男や謎を抱えた女が集まってくるが・・・。

 演劇用の脚本が元ということで、その脚本家であった著者の小説第一作。
 あとがきにも書かれていたが、明らかに隆慶一郎に影響を受けたと思しき設定だ。いわゆる“道々の輩”に類するましら衆の設定や、前半の主要部隊が遊郭だというのも、そもそもが「吉原御免状」にフィーチャーされたものといってもよいだろう。隆慶一郎といえば徳川家康だが、家康が意外な形で本書に登場するのも面白い。特に感心したのは、表題となっている七人に誰をカウントするのかに捻りを効かせているところだ。

 しかし、個性的ではあるが、キャラ設定がマンガチックで、全体としてはライトノベルのようなのが残念。
 せがわまさきが劇画化すれば、風太郎忍法帖以上にフィットするのかもしれないが…。

(2013年4月8日改訂)
E髑髏島の惨劇
 Ripper
M・スレイド文春文庫伝奇/警察/推理
701頁1048円★★★
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