| 2011年 4月 | |||
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| @ | カラー版徹底図解 戦闘機のしくみ | ![]() | |||||||||||||||
| ― | 新星出版社 | 軍用機薀蓄 | |||||||||||||||
| 223頁 | 1500円 | ★★★★ | |||||||||||||||
| 中身から題名をつけると“軍用機のすべて”のほうがふさわしいくらいなので、本書の題名はかなりの謙遜具合である。豊富なカラー写真や図版も嬉しい。文句をつけるとしたら、オールカラーの分だけ重いことくらいか。 気球に始まり、レッドバロンとして有名な撃墜王リヒトホーヘン(“シルクロード”の名付け親と一緒だ)のフォッカーDrTからF−117やF−22ラプターといったステルス機までの歴史や、戦闘機/攻撃機/爆撃機といった区分け、空中戦のテクニックや寿命その他の運用方法までと幅広い内容だ。 推力偏向ノズルやフライ・バイ・ワイヤーが可能にしたプガチョフ・コブラなんて曲芸的な飛行までできる機体まであって驚きである。Su−35の模型が欲しくなった。 | |||||||||||||||||
| C | 英傑の日本史 新撰組・幕末編 | ![]() | |||||||||||||||
| 井沢元彦 | 角川文庫 | 歴史薀蓄 | |||||||||||||||
| 371頁 | 590円 | ★★★★ | |||||||||||||||
| 普通の時代区分でいけば、ただの“幕末編”でよいのだが、わざわざ新撰組を独立させている。実際本書に選抜された71人のうち14人までが新撰組隊士なので、ほぼ20%を占めている。 歴史の流れに寄与した度合いで選ぶならば、新撰組から選ばれるのはせいぜい近藤勇と土方歳三くらいだろうから、新撰組人気は大したものだと感心したが、巻末まで読んで機と気づいた。本書の元本の発刊は2004年という。大河ドラマ「新選組!」が放映された年ではないか。 そう思ってすでに読んだシリーズもチェックすると、
おー、見事に合いましたな。そういう目で調べてみると、文庫化はまだされていないが、次の年には「英傑の日本史 上杉越後軍団編」が発行されている。その年の大河ドラマは「篤姫」で合わないが、幕末と被ってしまうので、次の年の「天地人」に的をあわせたのだろう。元々出版が秋口で、その年の大河ドラマも終りが見える時期なので、数ヵ月後に始まる「天地人」にあわせるのは理に適っている。 話がずれまくってしまったが、そういうわけで、本書は最初の14人が新撰組隊士なのだが、これは私が新撰組関連の本はそこそこ読んでいるからだろう。著者に期待するような、これまでの見方をガラッと変えてくれるような箇所はなかったのだが、中盤以降は一般には知名度の低い人物の名も挙がってきて、かなり面白くなってきた。 上述したような、これまでのイメージをガラッと変えてくれるという点では、吉田東洋がなかなかの開明家だったというのは驚いた。 たしかにその方が、後に吉田東洋の子飼いの後藤象二郎と、武市と手を切った坂本が手を結ぶ点では理解しやすい。 西郷隆盛を世に出した師匠で評価の高い島津斉彬は、父親の島津斉興から嫌われていたが、やっとのことで藩の財政を好転させた斉興からみれば、いろんなことに手を出す斉彬を疎ましく思うというのも、なるほどよく判る話だ。 | |||||||||||||||||
| E | 司馬遼太郎 歴史のなかの邂逅1 空海〜斎藤道三 | ![]() | |||
| 司馬遼太郎 | 中公文庫 | 歴史薀蓄 | |||
| 281頁 | 667円 | ★★★★ | |||
| 著者の死後、これまで作品集に収められていなかったような、マイナーな雑誌やパンフレットに載った文章を集めている。これを発表順でなく、扱っている話題の年代順に配置しているのが面白いところ。 第一弾の本書は“空海〜斎藤道三”だが、その前後、日本人の起源を扱ったものや、雑賀衆、根来衆が中心の編も含んでいる。 古来中国から倭と呼ばれたグループが、日本列島だけでなく朝鮮半島の南部も含んでいたらしいというのは目から鱗が落ちるように新鮮な驚きだし、鉄砲伝来からの怒涛の日本歴史のうねりに、根来衆が果たした巨大な役割も、その影響の割りにあまり知られていないことで、大変に興味深い。 影響の割に知られていないといえば、日本の食文化に大きな影響を与えた鎌倉時代の臨済僧覚信もそうである。彼は華厳宗、密教、そして曹洞禅を修めたうえで、40歳を越えてから一念発起して大陸に渡ったが、彼の地の径山で食べた味噌を大層気に入った。その覚信が10年に亘る修行を終えて紀州由良の寺に戻ってから、覚えていたレシピに沿って、私の父方の故地で由良の近在の湯浅で作ったのが金山寺味噌のはじまりだが、味噌を醗酵させる桶の底に溜まった汁が最初の醤油である。覚信の類稀な遍歴の上にのっかった醤油の発明だということに、歴史の玄妙味を感じる。 あまりピンとこないかもしれないが、なのである。華厳、真言、禅というのは同じ仏教のカテゴリーとはいうものの、中身はまったく異なっていることに注意すべし。 徳川家康の何世代か前に、一族の中に浄土宗のトップに立った存牛という人物がいたというのも驚愕的だ。 | |||||
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