子供の時分には、グリムやアンデルセン、ペローの童話などに誰でも親しんできた筈。それらと並び有名な物語集にイソップがあるが、その成立地域や時代は前の三者とまったく異なっている。
それらのことには、不明なことに本書を読むまでなんにも知らなかった。
前三者の童話集は17〜19世紀の欧州で成立したが、イソップ物語の成立はそれらより遥かに昔、紀元前のギリシャ(文明圏、今のトルコの地域)だ。
イスラム世界から「千夜一夜物語」を引っ張ってきても、イソップからは1000年以上も後代である。
また、迂闊であったが、これら著者(編集者)による作品は、ざっくり子供向けの物語、童話として一緒くたに認知していたが、イソップ物語/童話のみはイソップ寓話という言い方もされる。
寓話とは、動物や無生物を擬人化したキャラクターを使って、なにがしかの道徳的な教えを盛り込んだ話を言うが、たしかに「アリとキリギリス」や「北風と太陽」等を思い返すと他の童話とは違っている気がする。
日本にイソップの物語が入ってきたのは、戦国末期の宣教師経由であるらしく、16世紀後半から17世紀前半にかけて、「伊曾保物語」、「イソポのハブラス」という二系列の翻訳本が存在している。
本書ではこの二作を元にして有名どころの作品を紹介しているが、やはり成立の背景やイソップ自身の蘊蓄が一番面白かった。トルコ西部にアイセポス川というのがあるらしいが、昔は出身地で名前を呼ばれることが多かったので、その辺りの出身ではないかとか…。
ところで、寓話であるので、それぞれの話には道徳的な寓意があるわけだが、著者はそれを下心と呼んでいる。
真意という意味もあるようなので間違いではないが、悪いイメージに引っ張られてしまいますな。
(2014/4/10記) |