2013年 5月
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@野ざらし忍法帖 山田風太郎短篇全集2
山田風太郎ちくま文庫時代伝奇
354頁★★★

(1)忍者車兵五郎(1962年5月初出)★★★★
(2)忍者仁木弾正(1961年1月初出)★★★
(3)忍者玉虫内膳(1964年11月初出)★★★
(4)忍者傀儡歓兵衛(1963年11月初出)★★★
(5)忍者枯葉塔九郎(1963年1月初出)★★★
(6)忍者梟無左衛門(1963年4月初出)★★★
(7)忍者帷子万助(1963年4月初出)★★★
(8)忍者野晒銀四郎(1963年9月初出)★★★
(9)忍者枝垂七十郎(1961年11月初出)★★★
(10)「甲子夜話」の忍者(1964年3月初出)★★★
(11)忍者鶉留五郎(1964年8月初出)★★★
(12)大いなる幻術(1966年11月初出)★★★

A忍法破倭兵状 山田風太郎短篇全集3
山田風太郎ちくま文庫時代伝奇
362頁

(1)忍法蛸飛脚(1965年2月初出)★★★
(2)忍法肉太鼓(1964年9月初出)★★★★
(3)忍法花盗人(1964年10月初出)★★★
(4)忍法しだれ桜(1964年7月初出)★★★★
(5)忍法おだまき(1964年10月初出)★★★
(6)忍法破倭兵状(1965年5月初出)★★★
(7)忍法相伝64(1964年1月初出)★★★

B魔法の世界の凱歌 ウィッチ・ワールドシリーズ2
 Web of the Witch World (1964)
A・ノートン創元推理文庫ファンタジー
285頁360円★★★

 カーステン太守の妻になる運命からエストカープに逃れたロイーズが、今またカーステンに拉致されてしまった。エストカープで彼女の配偶者となった元帥コリスや南砦の守備隊長サイモン・トリガースは、この挑発に対して、まずはヴァーレーヌを少人数で陥し、魔女の力を借りてカーステンに潜入する計画を立てる。
 一方でサイモンと結ばれて魔力を失っていたジェライスは、魔力が未だ自分の裡にあることを知り、エストカープ評議会へと向かったまま連絡が途絶えてしまう。
 そしてカーステンの背後には、一度は退けたコールダーの妖しい影が…。

 初巻はこの世界やキャラの紹介編でもあったが、続く本巻は、転回編または解決編にあたる続きものになっている。
 そういった構成なので、初巻よりも本書のほうがやや面白く感じた。
 とはいえ、のめり込んだり感心したりするほどでもない…。
 執筆当時の米国のファンタジー/SF/冒険小説を取り巻く状況には興味があるが、昨今RPG、マンガ、アニメと、冒険ファンタジーの広がった(広がり過ぎた?)裾野でファンタジーに親しんでいる向きにお薦めできる内容とは言えない。

 最初に創元の編集部が書いたのだろう、ストーリーの梗概があって、サイモン・トリガースは“美しい”魔女と結ばれたと書いてある。
 私の記憶では、ジェライスの顔形が美しいという描写はなかったような。定かじゃないが。

(2015/1/29記)

Cスーパー戦隊の常識 キョウリュウジャー&レジェンド戦隊編
双葉社特撮薀蓄
191頁600円★★★

 やはりカラフルなスーパー戦隊の本はオールカラーがよい。
 紙質は良くないとはいえ、¥600でオールカラーというのはとてもありがたい。

 スーパー戦隊本年度作品のキョウリュウジャーにあわせての出版だが、過去の恐竜モチーフの戦隊であるジュウレンジャーアバレンジャーも加えた特集がされている。
 それ以外の章としては、レジェンド戦隊としてゴレンジャーからサンバルカンまでの5戦隊を取り上げたり、昨年のゴーバスターズについても一章設けられている。

 どうやら、来年も同様の編集の本が発売されそうですな。

 一応“少年の心を持った”大人が読める本になっているが、どうせならすれっからしのマニアでも読める本にしてもらえると尚よかった。
 撮影、キャスティング、デザインの裏話やいわゆる大人の事情といったヤツが楽しいのだが、そのあたりは控えめ。

(2013/9/8記載)

D特撮ヒーローの常識 70年代編
双葉社特撮薀蓄
191頁600円★★★

 スーパー戦隊仮面ライダーを除いても、70年代は多くの等身大ヒーローが活躍していた。それらシリーズによるブランド化には至らなかったヒーローたちを集めた編集。

 彼らの中でもっともスポットが当たるのはキカイダーだろう。本書でも大きく取り上げられている。たしかに印象は深くて、わたしもよく見た記憶があるが、個人的には、超人バロム1がもっとも記憶に残っている。

 比較的マイナーな等身大ヒーロー番組に光が当たるのは嬉しいが、メジャーな仮面ライダーでさえ、さほど裏情報的には踏み込んでいないサワリの編集なので、本書はさらに概略的な紹介にとどまっている。Wikipedia以上の情報が欲しいところだ)

 東映の監修ということで、70年代等身大ヒーローのすべてが網羅されてる訳でもない。いわゆる「レインボーマン」「ダイヤモンド・アイ」「コンドールマン」川内康範三部作ですら、本書で紹介されているのは、東映に関係のあるコンドールマンのみという悲しさだ。
 どうせならピープロ作品やその他のマニアック番組も加えた決定版にして欲しかった。

(2014/3/10記載)

Eスーパー戦隊の常識 レジェンド戦隊編
双葉社特撮薀蓄
191頁600円★★★

 おそらく上の本より先に出版されたのであろう、ゴレンジャーゴーバスターズまでの歴代戦隊Q&Aである。
 歴代レッド/ブルー/イエロー/グリーン/ブラック/ピンク戦士の一覧表等はなかなか面白い企画だ。このあたりもオールカラーならではだろう。

 戦隊が好きなら読んで損はないが、やはりウラ話は控えめなのは物足りない。
 例えば、Q:途中交代した戦隊メンバーは?に対しては、もちろんその中にはバイオマンイエロー・フォーも挙がるが、その筋では有名な楽屋裏のさわぎにはまったく触れられていない。(これに関連して真田広之がバイオマンにゲスト出演した!)
 こういったネタが開示されないのは、東映がしっかり監修しているからだろう。残念だ。

 また現在進行形のシリーズ解説の常ではあるが、Q:珍しい色の戦隊メンバーって?に対してゲキレンジャーゲキバイオレットがただひとりの紫色戦士として紹介されているが、現在放映中のキョウリュウジャーキョウリュウバイオレットが登場しているので、すでに古い情報である。更新情報としては、同じくキョウリュウジャーに登場するキョウリュウシアンキョウリュウグレーが現状でただひとりの色グループとしてカウントされる。

(2013/9/18記載)

FQED 出雲神伝説 (2009)
高田崇史講談社文庫歴史ミステリ
511頁819円★★★

 奈良県初瀬川ほとりに建つマンションで女性の変死体が発見された。大きな血溜まりの中で首が身体からほとんど切り離されており、さらには凶器と思われる太刀と、被害者の血で描かれた奇妙な記号。部屋は施錠されていたが、到底自殺とは思えない。またその記号は、一週間前に橿原神宮近くで発生した轢逃げ事件の現場にも記されていたという。
 一方取材に向かう小松崎からの同行要請に、なぜか桑原崇もいつになく興味を示し・・・。

 意表をついて、舞台は島根県出雲ではなく、ほとんどが奈良。
 恥ずかしながら、京都亀岡出雲大神宮(元出雲?)も奈良の出雲もまったく知らなかった。すぐ近くを通勤していたことがあったというのに・・・。

 問題提起であって、まだまだ“Q.E.D.(証明終わり)”とまではいってない感じだが、素戔嗚尊関連の記述が出雲国風土記にほとんどないことや、出雲出身野見宿禰のアリバイなどが興味深い。
 一方で、考古学的に大陸から出雲経由で畿内という流れがあることは間違いないだろうが、<ネタバレ反転>神話を伝えた人の流れと、考古学的物証の流れを独立して考えることは、たしかに可能な気がする。

 タタルが今回事件そのものに前向きだった理由はちょっとしたサプライズだが、先に短編集を読んでおく必要あり。ご注意あれ。

(2)QED〜flumen〜 出雲大遷宮
 桜井の事件から9年後、桑原崇は羽田空港で小松崎と待ち合わせた。5年後の2013年に予定されている本殿遷座に先駆けた仮殿遷座にあわせて、本殿特別拝観が行われているからだ。本殿天井に描かれた八雲の図はなぜ七つしか描かれていないのか・・・。

 わたしは2012年に家族で出雲を回った際、須佐神社須我神社八重垣神社は回って、出雲大社をパスするという大技を繰り出してしまった。残念ながら神魂神社熊野大社も未見だ。
 亀太夫神事(出雲大社の宮司が、神在月に使用する臼と杵を熊野大社へ平身低頭借りに来るという神事)などとても興味深いものがまだまだありそうだ。


須佐神社(島根県出雲市)




    
須佐之男命の終焉の土地に建てられたと伝わる。
本書では、出雲風土記にスサノオの記載がほとんどないと書いているが
神社の由緒書きには、“出雲風土記飯石郡の條に「〜須佐能袁命詔り給はく、〜”と書かれているぞ。
まぁ由緒書きだから信じられるのかと問われると判らないが…。
最初の社地は北側の山上だったらしい。
延喜式神名帳に記載もある社だが、逆になんで載ってんのという気がしないでもない。


須我神社(島根県雲南市)



須佐之男命が稲田比売命と住んだ土地に建てられたと伝わる。
通称「日本初之宮」
和歌発祥の地ともいう。
「八雲立つ 出雲八重垣妻籠みに 八重垣つくる その八重垣を」
奥宮は拝殿の背後の八雲山にある磐座


八重垣神社(島根県松江市)

須我神社から遷座されたという。旧名佐久佐神社
三社の中では、商売的に一番頑張っていた。

どの神社の拝殿も国津神系の向きに建てられており、男神を祀るルールに則っている。
千木形状が外削ぎ。鰹木本数が奇数。



 八雲の図が七つの雲しか描かれていない訳、参拝者が拝殿場所から本当に拝んでいるのは何なのかについての解釈も面白いが、わたしが大いなるダメージを受けたのは、「八」があまり良い数字ではないというツッコミだ。
ガ〜ン

(2013/7/23記載)
(2016/6/11改訂)

G崑崙の王 上下 闇狩り師
夢枕獏徳間文庫伝奇アクション
405頁/454頁657円/667円★★★★

 長野県木祖川市で市会議員を務める久我沼家の当主羊太郎に犬が憑いた。息子の嫁に襲いかかり、孫の首を斬るぞと言い放つ羊太郎に、雇われた拝み屋も歯が立たない。羊太郎の憑き物は激しさを増し、ついに死人が出る騒ぎになるが、その時三人目に雇われた九十九乱蔵が到着する。
 久我沼家を呪う寒月翁との因縁とは。15年前の黒伏ダム落成の前に起きた事とは。そして彷徨い続ける龍王院弘は、寒月翁、乱蔵と知り合い事件の渦中に入る事で、己を取り戻せるのか。

 長編にふさわしい大きな仕事(事件)。
→大きな舞台を支えうる大きな怪異現象。
→大きな怪異現象を生み出す強大な呪い。
→強大な呪いを発生させうるだけの怨念。
 といった流れで、長編になるとよりエグい設定が必要になってしまう。
 闇狩り師シリーズの構造的な宿命で、仕方がないところかもしれないが、個人的には少々つらい。

 なんといっても本書の肝は、キマイラシリーズから出張の龍王院弘が、主役の一人として登場することである。最大の悪役、贄師の紅丸とのクライマックスの戦いも龍王院弘戦がメインなくらいで、著者の開き直りか、龍王院と同じく紅丸もまた夢枕キャラ定番の丁寧口調で話す美麗な男なのだが、丁寧口調同士でしゃべりながら戦うのがなんとも…。

 また、乱蔵が紅丸と絡むシーンもしっかり用意されていて、紅丸の鬼勁の技を乱蔵がどう受けるのかはお楽しみポイントのひとつである。
 しかし著者の筆が滑ったか、事前に寒月翁が鬼勁のかわし方を龍王院に話すシーンがあるので、若干カタルシスは下がってしまった。本書での乱蔵は、露木圭子(←タメ口学生で魅力なし)との絡みで見せ場は用意されているものの、戦いにおいては脇に回っている感じだ。
 とはいえ、この非情で凶悪な事件の中で、終始余裕さえ感じさせながら泳ぎきる乱蔵はやはり凄い。

 キマイラシリーズのファンにとって、本書はまさにボーナスで嬉しいのだが、リンク度合いがかなり高いので、キマイラを読んでいないとかなりもったいない。
 ついでのこと、キマイラシリーズも徳間文庫から出せないだろうか。
 個人的には、「キマイラ昇月変」の次からでもよいが。
 表紙のイラストレーターは変更求む。

(2013/6/1記載)
(2016/6/11改訂)

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