2013年 8月
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@史上最強のロボット (2009)
柳田理科雄/高橋智隆
対談
空想科学文庫ロボット薀蓄
287頁524円★★★★

 ロボット業界の現状は、時々「サイエンスゼロ」なんかで情報入手するが、若い分野だけに?研究者にも個性的な人が多い(ようにみえる)。
 例えば、本書でも名前が挙がる大阪大学の石黒教授などは、TVからも変人オーラがバシバシ照射されていた。そして本対談の主役、高橋智隆は(その内面はともかく)、その髭と鋭い眼光というビジュアルで、「ドラゴンボール」のバーブラを思わせる悪魔な風貌がとても印象的だ。(本書に写真は掲載されていないが、挿絵でも察することはできるだろう)。レールのない処で実績を作っている人なので尊敬に値するが、研究のスポンサーには困っていないようで、愛車はダッジ・バイパーとのこと。羨ましいかぎりだ。
 スーパーカー関連やその構造材などについても、柳田理科男より詳しいところをみせているが、若いロボット工学者なら当然と言うべきか、柳田氏のアニメネタにもかなりついてきている。

 空想科学研究所の企画対談なので、「史上最強」、「最大」、「最速(空中)」、「最速(地上)」、「格闘が強い」、「しぶとい」etc.なんて章立てで対談している。
 柳田理科男のアニメ方面、ニュートン力学方面からの合いの手を交えながら、高橋智隆がロボット工学の現状(2008年)を話すというのが全体的な流れだ。各章ごとに用語解説も数頁は挿入されており、これまでの空想科学読本ファン、ロボット工学に興味のある人ともに楽しめる内容ではないだろうか。

 アニメロボット的には、元々外骨格的な設計であったところ、主にプラモデルからのフィードバックだと思うが、ムーバブル・フレームといったような内骨格(内部構造)が設定されてきたように思う。しかし現実のロボット工学においては、まず内部骨格ありで、今後外骨格へと発展していく(していってほしい)とのこと。機能効率からは外骨格にアドバンテージがあるのだが、設計空間を最初に決めないといけないので、設計がとても難しいのだという。

 またこれは石黒教授の研究分野の話だが、人間型ロボット(アンドロイド)の顔をどんどん人間に近づけていくと、好感度は基本的には右肩上がりで良くなっていくのだが、ある程度リアルになった時点で、一旦好感度がぐっと下がる不気味の谷があるという。CG映画などでもうなずけることで興味深い。

(2014/1/7記載)

A特撮ヒーローの常識 80年代篇 (2013)
双葉社特撮薀蓄
189頁600円★★★

 わたしも人並みに特撮ヒーローを卒業していた時期がある。
 ガンダムでいわゆる“リアル”に目覚めて、その他SF小説なども読むようになると、未だ“頭のネジを緩めるテク”を持たず、製作者の目線で見ることも知らなかった中学後半から大学へ入ったあたりの時期だ。この時期は特撮ヒーローからは遠ざかっていた。
 本書で取り上げられるメタルヒーローの先駆け、「宇宙刑事ギャバン」は、まさにその時期に放映された。それでも初放映の一話だけは見たのだが(スーパー戦隊でも仮面ライダーでもない新たな東映ヒーローということで、前宣伝も大々的に行っていたからかな?)、その前年に公開された「レーダース/失われた聖柩」をパクった巨岩に追われる主人公のシチュエーションがダサかった記憶しかない。

 といった訳で、本書がカバーするヒーローたちにはほとんど思い入れがないのだが、流れで買ってしまったのだが、こうして本書をさらっと読んでみると、DVD等で観直してみたい気持ちがちょっとだけ沸いた。

 ちなみにシリーズ第七作の「世界忍者戦ジライヤ」は結構楽しんで見た記憶があるが、その前後の作品はやはり観てないなぁ。
 当時得ていた“頭のネジを緩めるテク”では、お笑い系は許容範囲にできてもシリアス系には対処できなかったようだ…。

(2013/12/26記載)

BヒーローたちのGUN図鑑HYPER (2013)
白石光学研武器薀蓄
271頁648円★★★

 これもコンビニで購入したオ−ルカラーの一冊。
 拳銃からマシンガンまで、携帯できる銃器123丁を見開きごとに紹介。開発関連の薀蓄は左の頁にまとめられているが、本書の特徴は右の頁にそれら銃器が登場する映画やマンガの紹介がされていることだ。
 このコンセプトはどうやら以前に出た本と同様らしく、“HYPER”とあるのは前作に対しての増補改訂版といった意味だ。右頁の映画/アニメ/マンガの選択は前作となるべく変更するようにしているとのこと。

 わたしレベルの表面的な興味しか持っていない者にとっては、銃器自体のメカや時代背景の説明だけでは興味が持続し辛いので、これら右頁の短いコラムはとてもありがたい。
 「ターミネーター2」で破廉恥なシュワちゃんがショットガンをクルリと回しながら排莢、装填、発射するのがとても格好良かったが、これってジョン・ウェインという先達がやってたんですなぁ。このウィンチェスターレバー・アクション・ショットガンの開発は、なんと1887年ということだ。

 ただし、その分削られた銃器自体の説明では、用語の説明が不十分だったので、巻末に用語説明の頁を設けてくれればベストなのだが。
 ちなみに私のレベルは、カービン銃の“カービン”って何?レベルだ。
 もちろんそれらはWikiればすぐに確認できる素晴らしい世の中である。

(2013/9/24記載)

C天皇になろうとした将軍
井沢元彦小学館文庫歴史薀蓄
242頁476円★★★★

(1)天皇になろうとした将軍――足利義満 (1991)

 全40巻の「太平記」に22巻が欠損しているのはなぜか。
 第ニ部までと異なり、第三部は怨霊が跋扈するのが大きな特徴となっているらしい。もちろんわたしは読んだことはないが、歴史書というよりも怪奇小説の趣さえあるという。

 著者は本来の太平記の最終巻は22巻で、(怨霊鎮魂の意図で)後の誰かが第三部を追加してしまったのだろうと推測している。そう考えれば、第ニ部の末で退場する後醍醐の今際の言葉から“太平”記と名付けたという説の理解がしやすい。うーん、説得力はあるなぁ。
 第三部は怨霊鎮魂の意図で追加したという説は、著者の考えに慣れた読者としては食いつきやすいが、しかしその場合、現状21巻の途中から第三部が始まり、そして22巻が欠落しているというのはなぜだろう。この意図の下に“原”太平記を編集したのであれば、22巻を欠番とせずに、21巻の続きを新たな22巻として世に出せば良いだけのように思うが…。

 冒頭から「太平記」の話が始まるのは、後醍醐がかき回してこじらせた南北朝の争乱を治めたのが、天皇になろうとした将軍足利義満だからである。
 義満は息子の義嗣を天皇位につけることで、自らは天皇の父としての尊号(太上天皇)を得て、実質的な最大権力者(治天の君)になろうと企んだ。(そしてその野望実現の直前に暗殺された)。
 とても面白い論だが、子供のころにアニメの「一休さん」を見て育った身にとっては、――著者の意見によると――足利義満の孫が一休宗純であることのほうが衝撃的かもしれない。

 140頁程度の分量ながら、他にも世阿弥一族の話も南北朝に絡めて盛り込まれており、大変に面白い。

(2)祖父・尊氏の秘密を解く――足利尊氏 (1991)

 日本史上僅か三人の幕府開設者のひとりでありながら、源頼朝徳川家康に較べてあまりに知名度の低い、もしくは誤解されている足利尊氏。彼の素顔に迫りたい意図で書かれたという一遍。

 源氏の血統と足利新田の関係や、ややこしい南北朝の成り立ちを御膳立てした御嵯峨天皇のダメな行動等とても興味深い内容だが、ほぼ幕府開設までしか筆がとられていないのが残念。そこまで二人三脚で動いていた弟の直義や甥の直冬との対立などはほとんどスルーである。

ちなみにそのあたりは、後に「逆説の日本史7」で詳細に語られていた筈だ。

(2013/10/12記載)

Dあっぱれ技術大国ドイツ (2010)
熊谷徹新潮文庫社会薀蓄
282頁438円★★★

 元NHK支局員でドイツ在住のフリーライターの著者が、ミッテルシュタント(中小企業)やトゥフトラー(発明や改善を含めたモノづくりに情熱を燃やす人)といった言葉をキーワードに、モノづくりの国ドイツを紹介している。
 彼の国がEUを代表する工業立国であることは知っていたが、思っていた以上に日本に近いイメージで驚いた。トゥフトラーの意味合いは、日本語で言えば“職人”が最も近いだろう。著者は同義ではないと書いていたと思うが、「トゥフトラー魂」は「職人気質」とかなりオーバーラップするように感じる。

 こうなると、日本との相違はどこにあるのかということが知りたくなる。本書ではあまり詳しくは分析されていないが、ドイツ人の民族性として、新しいものに対する警戒感が高いということが挙げられている。高いがゆえに、元々人口が少ないうえに新製品への容易に飛びつかないので、国内需要のパイは小さくなる。しかるに新しい発明は起こっても、商品化まで繋がらないことが多いという。しかし警戒感ゆえにリスク管理能力は高く、特許出願も活発であるという。

 リスク管理は間違いなく日本の弱い部分だと思うので、ここは見習いたいところだ。

(2013/12/26記載)

E荒木飛呂彦の
超偏愛!映画の掟 (2013)
荒木飛呂彦集英社新書映画薀蓄
222頁740円★★★

 著者の映画本も二冊目だ。
 前作よりも枠を広げていて、その映画にサスペンス要素がありやなしやという切り口で、著者の好きな映画を分析・紹介している。

 著者曰く、良いサスペンス映画の条件は、
@なんらかの謎があること。
A主人公に感情移入できること。
B設定が巧みなこと。
Cファンタジー性があること。
D泣けること、の5つらしい。

 BとCは絡み合っていて、ファンタジーとリアリティのバランスと置き換えてもよいだろう。
 Dは必須ではないとわたしなどは懐疑的だが、著者によると最も重要な要素らしい。

 こうした観点から著者が傑作として挙げたベスト20+1が冒頭に紹介されているが、そこに挙げられた作品をみると、わたしであれば、ほぼアクション映画、活劇モノとして分類してしまうラインナップだ。

 第一章では、ベスト・オブ・ベストとして、「ヒート」「96時間」が詳しく紹介されている。傑作「96時間」に異論はないが、「ヒート」は昔観たものの悲しいことにほとんど覚えていない。
 とはいえ、これを映画館で観た!のは世間知らずな学生の頃。いま一度観てみなくてはなるまい。

他にもこれまで気にはなりながらもまだ観ていない、「シュレック」「許されざるもの」「レザボア・ドッグス」をはじめ、多くの映画が挙がっている。最近さほどレンタル屋には足を運んでいないが、このあたりの映画もいずれフォローしたいという気になった。

 著者は観た映画の分析ノートを作って、ジョジョ執筆の助けとしている。さすがだ。
 ジョジョのほうは、わたしは第三部の途中までしか読んでいないが、続きを読んでみたいかと言うと、さて…。

(2013/10/12記載)

Fやってはいけないストレッチ (2013)
坂詰真二青春新書INTELLIGENCE身体薀蓄
199頁838円★★★

 “やってはいけない”とあるが、ストレッチに対する誤った認識を持っている人は、意外に指導者の中にも多いらしい。

 体が目覚めきらない朝方はやめようとか、いろいろと注意事項もあるが、最大のポイントはストレッチする筋肉を意識してはいけないということ。
 筋肉自体に伸びる機能はないのだから、伸ばしたい筋肉を脱力させるのはあたりまえだと思うが、筋トレの場合に目的の筋肉をイメージしながら云々ということが、ストレッチの場合にもそのままスライド適用されていることがままあるらしい。

 つまりある筋肉(A)を伸ばしたい場合、別の筋肉(B)を使って伸ばすことになるが(重力を利用する場合もあり)、この場合に筋肉をイメージするならば、それは(A)ではなくて(B)のほうを意識すべきということ。逆に(A)のことは極力意識しないようにするのだ。
 因みに他人に伸ばしてもらうという手もあるが、よほどの信頼関係がなければ、脱力するのは逆に難しいだろう。つい抵抗してしまう(力を入れる)ことになってしまう。
 これはなるほど理屈に合っているし、自分でやってみても有効である気がした。
 現状はなかなか動的な運動が難しいのだが、柔軟性は精々維持・増進したい今日この頃である。

(2013/12/26記載)

Gスティーブ・ジョブズ 英語で味わう魂の名言 (2012)
桑原晃弥PHPビジネス新書英語薀蓄
206頁820円★★★

 数年前、まだジョブズが健在だった頃、彼の言動紹介本を一冊読んだことがあるが、本書は彼が亡くなってから、多くの関連本として平積みされていた一冊だ。英語での表現というところに惹かれて選んだのだが、あとで著者が同じであることに気付いて驚いた。

 まず惹かれたのは発言の英語表現(がどうなのか)だが、読むとやはり言動の中身が印象に残る。
 すぐにエネルギー消費を抑えるように考えるわたしからすれば、耳の痛くなる“すばらしい”コメントが揃っている。わずかなりと自分を鼓舞できればいいのだが…。

(2014/2/17記載)

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