2015年 5月
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@週刊ロビ 第三版 11 (2013/2015)
「HallucU」/工業製品の頂点クルマからのヒント@/『宇宙戦艦ヤマト』
DeAGOSTINIロボット薀蓄
12頁1895円

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(2015//記)

Aゴルの神官王 反地球シリーズ3
 Priest-kings of Gor (1968)
J・ノーマン創元推理文庫冒険/SF
472頁480円★★★★★

 タルナでのクーデター騒ぎに巻き込まれていたタール・キャボットは、漸くサルダル山脈の麓で催かれている市にやってきた。その向こう、禁断のサルダル山脈の奥深くに住まうという神官王に会い、彼らの真意を質すために。
 巨大なラルルに守られた門を通り抜けたタールは、いよいよ山脈の地下へと足を踏み入れ、ついに神官王とまみえる…。

 いわゆるバローズ型の冒険小説だが、初読時にはこの3巻に至って、どうも(バローズ御大の)原典を越えるトンデモない傑作ではないのかと震撼したものだ。
 まぁ一方で、いわゆる女性蔑視を肯定するアクの強さも隠せなくなってくるのだが、初読時には、“あれっ、タレーナにはまだ逢えないまま?”の思いに引っ張られて、然程には気にならなかった。

 30年ぶりの再読となる今回も、初読時に変わらず楽しめたのは嬉しい驚きだ。
 ここ10年程で再読したバローズ御大の作品もそれなりに楽しんだが、そこはやや贔屓気味にネジを緩める必要があった。しかし本作にはそんな条件設定も不要だ。

 フェミニストからは怒られそうだが、思い切って言ってしまおう。傑作です。

(2015/10/8記)

E203Vacation (1992)
Enjoy English with Noobow Vol.6
S・A・アトキン他Gyosei
4-324-02979-2
英語絵本
31頁図書館1,385語/YL0.5
語彙250語まで

B週刊ロビ 第三版 12 (2013/2015)
「パルロ」/工業製品の頂点クルマからのヒントA/『新造人間キャシャーン』/宇宙で働くロボット
DeAGOSTINIロボット薀蓄
12頁1895円

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(2015//記)

C江戸川乱歩の「少年探偵団」大研究 上下
ポプラ社探偵薀蓄/探偵
332頁/301頁図書館★★★

 最近の図書室事情はよく知らないが、わたしの小学生時分は、学校の図書室にはポプラ社少年探偵団シリーズ必ず装備されていたものだ。もちろん自分の通っていた学校しか知らないが…。
 でもまあ同世代に訊くと、あったあったという人が多い。【注1】
 わたしも当時そこそこ読んだが、展開に安易なところがありすぎて小学生ながらにつらいものを感じた。同じポプラ社とかのルパンホームズ作品ほどには好きではなかったのが正直な感想だ。【注2】

 とはいえ、本書を地元の図書館で見つけて大いにノスタルジアに駆られ、ついつい借りてしまった。なんとつい最近、2014年の出版であった。【注3】

 ざっくり分けると、上巻は旧ポプラ社版23冊の解説【注4】で、下巻はそこに漏れていた少年探偵団モノ数編の再録となっている。漏れていたのは、ドラえもんよろしく、「小学○年性」に連載された低年齢層向けのものだ。

 わたしとしては上巻メインで読んだわけだが、あくまで少年探偵団シリーズの内容に対する蘊蓄はあれど、当時の乱歩の状況や思想などはほとんど語られないので、個人的にはやや物足りない。しかしおそらく、乱歩自身について語った本は他にもいろいろとあるだろうから、本書はこれでいいのだろう。
 と書いたシリから矛盾しているようだが、少年探偵団自体の蘊蓄も思ったほどにはない印象。
 読み応えがあるのは、結構な頁を割いた用語集【注5】や、物語に登場した場所を示した東京地図である。これは区毎で分けられていて、わたしのような地方民にとっては、最高にありがたい。「街道をゆく」の東京界隈の幾つかの作品(一応関連地図が載ってるが、手書きで判り難い)よりも、東京の地理が理解できた!

 ほとんど東京界隈が舞台のこのシリーズだが、乱歩の出生地としての地理感覚が残っているのか、何作品か紀伊半島を舞台にしているのが嬉しい。「怪奇四十面相」は昔読んだはずだが、二十面相が登場しない「大金塊」という初期作品は読んだ記憶がない。復刻文庫版を読んでみるつもりだ。【注6】

【注1】最近配属されてきた若い子に訊いて、まったくポカーンだったのにはびっくりした…。まぁ理系の職場で、小説を読まない輩がもっと上の世代で多いのだけど。

【注2】全集後半は大人向き作品のリライト版になっていて、「時計塔の秘密」とかは大好きだった。大人になってから、春陽文庫「幽霊塔」で元の話を読んだが、ポプラ社版のほうが好きだ。因みにこのストーリーの元はイギリスの小説で、それを黒岩涙香が翻案。それを乱歩がさらに翻案したそうだ。明智小五郎の青年時代の話にしているが、実は乱歩名義のこの作品も、氷川瓏が代作したという。ややこしい。

【注3】図書館で見つけて本当に良かった。先に本屋で見かけたら買ってしまっていたかもしれないが、¥3500×2の高価な出費になるところだ。

【注4】上でもちょっと触れているが、ポプラ社乱歩全集の後半に少年探偵団は出てこない。本書は少年探偵団の研究だから全集前半分が対象である。

【注5】同名異人の脇キャラがやたら多い。おそらく乱歩もコナン・ドイル同様、シリーズを通しての辻褄あわせをほとんど気にしなかったのだろう。シャーロック・ホームズのような大人向きシリーズなら、コアなファンがもっとあーだこーだと分析してくれるのかもしれない。

【注6】本書の解説子は、「大金塊」に登場する長島町は、実際は三重県の北東部にあると書いている。たしかに愛知県との県境の川洲に長島町があって、ナガシマスパーランドなばなの里といったレジャー施設がある。しかし三重県にはもう一か所、尾鷲市の少し上に紀伊長島町があったことを指摘しておこう。こちらも紀伊半島南端とは言えないし、2005年の町村合併でこの町名は消えたが、今でも紀伊長島区として残っているようだ。一時期鳥羽の造船書で働いていた乱歩の頭にあったのは、こちらの町だろう。


 以下は少年探偵団シリーズを初掲載順に並べたもので、#ナンバーはポプラ社版の巻数である。
 感想を書いた六編の中短編は、ポプラ社版にも採用されなかったもので、今回下巻に掲載されたという貴重なものだ。

# 1 . 怪人二十面相(少年倶楽部1936.1〜12)
# 3 . 少年探偵団(少年倶楽部1937.1〜12)
# 2 . 妖怪博士(少年倶楽部1938.1〜12)
# 5 . 大金塊(少年倶楽部1939.1〜1940.2)

 ここから戦後の昭和二十四年まで、9年間も執筆が飛んでいるのがポイントだ。
 この期間の自由に執筆できなかった閑な時分、世間に名の通った名士ということで町内会会長などをやった乱歩が、生来のどちらかと言えば非社交的な性格を変えて、戦後は日本推理小説の父と呼ばれるようになる活動をぐいぐいやるようになるのだから、人の運命というのは面白い。

# 4 . 青銅の魔人(少年1949.1〜12)
# 8 . 地底の魔術王(原題:虎の牙/少年1950.1〜12)
# 6 . 透明怪人(少年1951.1〜12)
# 7 . 怪奇四十面相(少年1952.1〜12)

 この年から、「少年」誌上に手塚治虫「鉄腕アトム」の連載も始まった。

#10 . 宇宙怪人(少年1953.1〜12)
#24 . 鉄塔王国の恐怖(原題:鉄塔の怪人/少年1954.1〜12)
#19 . 灰色の巨人(少年クラブ1955.1〜12)
#21 . 海底の魔術師(少年1955.1〜12)
#22-2. 天空の魔人(少年クラブ1956.1)
#12. 黄金豹(少年クラブ1956.1〜12)
#18 . 魔法博士(少年1956.1〜12)
#26-2. 黄金の虎(読売新聞1956.秋頃)

 この年からは、「少年」誌上にさらに横山光輝「鉄人28号」も加わった。

(1)魔法やしき(たのしい三年生1957.1〜3/10頁)
 少年探偵団員の井上一郎くん、ノロちゃん、そして井上くんの妹のルミちゃん(小三)は、ちんどん屋について怪しい西洋館に入ってしまう。そこで三人は、西洋悪魔の姿をした怪人に監禁されて不思議な体験をさせられ…。

 本作の悪漢?の魔法博士は、この前年に書かれた「魔法博士」と異なり、怪人二十面相とは別人らしい。
 小林団長によれば、「黄金の虎」事件で少年探偵団に敗れた魔法博士の仕返しということだが、彼は 二十面相以上の変質狂的な子供好きエンターテイナーに設定されている。

「うん、えらい。やっぱり小林団長の知恵は、たいしたもんだ。
では、わしが負けたしるしに、あの三まいの子どものライオンの毛皮は、
きみたちのおもちゃにあげることにしようね。」

 いやいやいや…。
 魔法屋敷は、昔遊園地によく設置されていたまさにびっくりハウスで、最初床が揺れたかと思うと、部屋がグルリと一回転なんて、宝塚ファミリーランドで体験したなぁ。楽しかった。

#13 . サーカスの怪人(少年クラブ1957.1〜12)
#20 . 魔人ゴング(原題:妖人ゴング/少年1957.1〜12)
#23 . 魔法人形(少女クラブ1957.1〜12)

(2)赤いカブトムシ(たのしい三年生1957.4〜1958.3/78頁)
 少年探偵団員の木村敏夫くんと小林団長は、木村くんの妹たち(小三)から怪しい黒マントの男と、彼に捕まっているらしい女の子がいるとの話を聞きつけ、その西洋館に忍び込む。そこには巨大な赤いカブトムシが…。

 驚いたことに、マンホールから這い出る黒マントの男として、木村くんの妹たちの前に姿を現し、後をつけさせて悲鳴を上げる女の子を目撃させ、さらには、やってきた小林団長たちを巨大なカブトムシのマトリョーシカでもてなしたのは、また少年探偵団と知恵比べをするために彼らを呼び出したかっただけの魔法博士であった。
 しかも、少年探偵団が隠した場所から奪い取るルビーとダイヤでできたカブトムシは、彼からの提供だ。財力、実行力、準備期間、どれをとってもヤバ過ぎの偏執さである。

 そしてこの宝石争奪ゲームには、宮田ユウ子ちゃん(中一)、井上一郎くん、野呂一平くん(ノロちゃん)たち他の団員が絡むが、そこには触れない。
 魔法博士は子供相手に常軌を逸していると思うが、それに対して、新聞社からヘリを借りて飛ばす明智小五郎もどうかと…。
 小林くんにピストルまで撃たせちゃいます。

 今回の魔法博士の〆の言葉は、

「きみたちの勝ちだよ。ルビーは、きみたちのものだ。
いろいろくるしめてすまなかったね。
だが、あれは、きみたちの知恵と勇気をためすためだったのだよ…。
少年探偵団、おめでとう。明智先生によろしく。」

 めちゃめちゃええ人やないか。
 もしかして、少年探偵団を鍛えるために、明智小五郎と魔法博士の間で契約があるのかなぁ。

#11 . 奇面城の秘密(少年クラブ1958.1〜12)
#14 . 夜光人間(少年1958.1〜12)
#15 . 塔上の奇術師(少女クラブ1958.1〜12)

(3)ふしぎな人/名探偵と二十面相(たのしい二年生1958.8〜たのしい三年生1959.12/78頁)
 木村たけしくん(小二)と妹のきみ子ちゃんの家の近くの屋敷に、魔法使いだと噂の林さんという人が住んでいました。この人の屋敷でたけしくんときみ子ちゃんはいろいろと不思議体験をさせられますが、そこに明智探偵と小林少年がおまわりさんを連れて取り囲んでいました…。

 「赤いカブトムシ」の連載終了から五か月。さらに連載誌が一学年下がったが、編集者とどんな話をしたのか、本作の相手は怪人二十面相である。
 二十面相というからには、一応目的は子供達との知恵比べではなくて、宝石強奪という立派な?目的があるわけだ。

 「たのしい二年生」の三月号までは「ふしぎな人」という題名で連載されていて、引き続きの「たのしい三年生」四月号から「名探偵と二十面相」という題名に変わったと思われる。
 「ふしぎな人」の連載中は、明智も地の文でも四十面相と呼んでいるが、題名の変更に際して、“世間には、二十面相のほうが、よく知られていますので、このお話では、二十面相の名でよぶことにしましょう。”なんて宣言したりして…。
 そのまんまの言葉で編集者からお願いされたのかな。

 題名に“名探偵と〜”とあるように、本作では明智小五郎が結構前面に出てくるので、少年探偵団員は、小林団長以外ではポケット小僧だけの登場だ。

#17 . 鉄人Q(小学4年生1958.4〜小学5年生1960.3)
#16 . 仮面の恐怖王(少年1959.1〜12)

(4)怪人二十面相(1)(たのしい二年生1959.10〜1960.3/17頁)
 東京上空のヘリから大量の黄金仮面のセルロイドお面が撒かれた。小学生が皆拾ったお面を被って下校していた時、石村たかしくん(小五)と妹のミチ子ちゃん(小二)を黄金仮面がかどわかし、たかしくんたちの父親の持っている絵を明日盗むと宣言する。宣言通りに絵は盗まれ、見張っていた小林少年も拉致されるが…。

 今回は明智は登場せず、小林団長も助けられる側に回っている。木下くんやおなじみの井上くんといった少年探偵団員が登場するが、主役になっているのはポケット小僧である。
 それにしても、さすがは偉大なる愉快犯、二十面相。犯罪予告を息子と娘の口から聞かせるためだけに、ヘリから大量のお面をばらまくとは…。
 少年探偵団員に変装できるような子供も彼の部下に混じっているというのも謎だ。

(5)怪人二十面相(2)(たのしい一年生1959.11〜たのしい二年生1960.12/23頁)
 野原を歩いていたポケット小僧(小四)は、とある洋館の窓から助けを求めている女の子をみかける。その夜しのびこんだポケット小僧は、その少女と宝石を交換する現場を目撃するが、捕まってしまう。その賊(二十面相)は、ポケット小僧のBDバッジを餌に、小林団長をおびきよせようとするが…。

 本編もメインで活躍するのはポケット小僧で、「少年探偵王」という題名で光文社文庫から出版されたこともあるらしい。この場合、この称号は小林団長ではなくポケット小僧のものである。
 この時期乱歩は忙しくも、「ドラえもん」のように、複数の学年誌に連載をしたようだ。
 そして、まさに藤子不二雄その人が挿絵を担当している(←途中からしのだひでおに交代)のが、本編の最大の特色か。
 「たのしい一年生」からの連載という若年向けながら、同時期に「たのしい二年生」に連載されていたもの(上記(4))よりもページ数が多く、少年探偵団シリーズの集大成といえる。ライオンの着ぐるみ、仏像やロボットへの変装、ヘリコプターでの追跡、タケコプターみたいな個人用プロペラ(フランス製)、潜航艇、気球(着陸地点は大観音像)、人形への入替り、水ぜめ等々、おなじみのガジェットも数多く登場。

# 9 . 電人M(少年1960.1〜12)
#26-1. 二十面相の呪い(原題:おれは二十面相だ!!/小学6年生1960.4〜1961.3)

(6)怪人と少年探偵(こども家の光1960.9〜1961.9/65頁)
 練馬区を歩いていた井上一郎くん(中一)とポケット小僧(小五くらい)は、人形のような顔をした男を見かけるが、折から巷では、人形怪盗がデパートから宝石を奪った事件で賑わっていたので、その不審な男を尾行する。男は公園にいた女の子に声をかけ、一緒に歩き出すが、二人の少年の前から忽然と姿を消し…。

 少年探偵団員は、この二人と小林団長、山村始くん(小六)。
 すでに上巻を返却しているので定かではないが、下巻に収録された六作においては、井上くんのコンビのノロちゃんが途中で姿を消し、同じく小柄ながら、有能で主役も張れるポケット小僧に変わっている。
 本作にもおなじみのガジェットが多い。マンホール、地下のアジト、アケチ一号、落し戸、水ぜめ、人形への変装、腹話術などが登場。二十面相の変装場所として、葬儀自動車は目新しいかも。

 本作には明智小五郎も登場し、二十面相に向かって、「血を見るのがきらいなんだ。どんな悪いことでもするが、人殺しだけは、ぜったいしないという大どろぼう。」なんて言ってるが、小林くんが井上くんとポケット小僧を助け出したときに、彼らは水の底に沈んでましたけど…。
 まさに危機一髪。安全装置を用意していたせよ機能していませんでしたな。
 血を見るのがきらいなだけで、殺しはOK?

#22-1. 空飛ぶ二十面相(原題:妖星人R/少年1961.1〜12)
#25 . 黄金の怪獣(原題:超人ニコラ/少年1962.1〜12)

 「超人ニコラ」は乱歩全作品中の最後の作品であり、連載後半は家人への口述だったという。
 昭和二十四年一月の戦後の再開から、昭和三十七年十二月まで、連載が繋がっていたというのも素晴らしい。
 以上、ツッコむのがとても楽しいが、一時代、ひとつの雑誌に「少年探偵団」「鉄腕アトム」「鉄人28号」が揃って掲載されていたというのもおそろしい。このあたりは昭和史の中の少年への影響度として、もっと論じられてもいい。少年探偵団が子供たちへ与えた影響という面を掘り下げるなら、ポプラ社の本だけでなく、二、三度製作されたTVシリーズもあわせて語らないと。

 ともあれ、本作は貴重で大変な労作だ。
 だからツッコんでおくが、最後を飾る住田忠久「少年探偵団」シリーズ年表で、前半の文中で言及されていた「黄金の虎」が、後半の年表から漏れてましたよ。

(2015/10/8記)

D灰色の巨人 少年探偵団シリーズ (1955)
江戸川乱歩ポプラ文庫探偵/冒険
197頁520円★★★

 わたしが「仮面の恐怖王」に続いて、この文庫サイズ版を手に入れたのは、表紙画が武部本一郎というその一点に尽きる。
 しかし武部本一郎の画はなぜか表紙だけで、挿絵は別の人だった…。
 読んでみるとどうやら初読だったのは嬉しいが。

 前作「鉄塔王国の恐怖」では、あろうことかでかい昆虫にまで変装してしまった二十面相。さすがに乱歩もマズイと思ったのか、本書の二十面相は“灰色の巨人”に変装するわけではない。これが本書の最大の特色だろうか。

 因みに「大研究」を読んで初めて知ったことだが、「鉄塔王国の恐怖」が少年探偵団ものの最後だと思っていたわたしの記憶は、まったくの間違いだった。(元のポプラ社版では、同書と大人向け作品のリライト作品までに二冊の少年探偵団シリーズがラインナップされているのだが、どうした訳か、上記のように完全に思い違っていた。あるいは、同書の最後で、二十面相が死亡したようにみえるからだろうか。長期にわたる連載シリーズものでは、都合によって死んだようにみえるキャラが、後日ひょっこり現れるなどよくあることだとすら知らない、ウブな時代であった…)

 ところで、本書の“灰色の巨人”がなにを表しているのかは、ここには書かないが、まぁこれも乱歩が好きなネタで、何度か使いまわししている。「〜大研究」には、これについても言及されている。
 イメージソースは、「奇厳城」エイギュイユ・クルーズだったりするのかな。

(2015/10/8記)

E思わず話したくなる
「人体」のミステリー (2011)
日本博識研究所編宝島SUGOI文庫生物薀蓄
221頁457円★★★★

E204Robin Hood: The Tale of the Great Outrow Hero (2000)
Dorling Kindersley Readers (Level 4)
A・ブゥDK Publishing
978-0-7864-5391-4
英語多読教材
48頁514円5,169語/YL2.5
語彙800語まで

E205Tigers at Twilight (1999)
Magic Tree House #19
M・P・オスボーンRandom House
0-679-89065-3
英語多読教材
76頁図書館5,925語/YL2.5
語彙800語まで

E206Dingoes at Dinnertime (2000)
Magic Tree House #20
M・P・オスボーンRandom House
978-0-679-89066-9
英語多読教材
75頁図書館5,000語/YL2.5
語彙800語まで

E207To the Top! (1993)
Step into Reading/ A Step 4 Book Grades 2-3
S・A・クラマーRandom House
0-679-83885-6
英語多読教材
48頁200円(+257円)3,327語/YL2.0
語彙800語まで

Fマンガ最終回イッキ読み99またおかわり! (2015)
双葉社マンガ薀蓄
191頁600円★★

 “またおかわり”というからには、三冊目なのかな。
 題名の通りのマンガ作品99作の最終回を紹介しているのだが、

@最終巻を読んで、最終回を覚えているもの。…5作品
A直接読んだかどうか覚えていないが、最終回の内容は知っているもの。…2作品
B最終回の内容を知らず、または覚えておらず、どないやったか気になるもの。…30作品
C最終回の内容を知らず、または覚えていないが、どーでもいいもの。…35作品
D作品自体を知らないもの。…27作品

 最終回を知っていた作品が意外に少なかった。
 この中で購買意欲となるのはBなわけで、それが30作品となると、立ち読みで済ますには少々問題があるので、まぁ買ってしまったわけだが、しかし興味のないのが半分以上を占めるというのはまずくないか。
 結局の処、マンガの魅力を1頁程度の文章で紹介されても、ふーん程度にしか思えるはずもなく、本棚に並べた本の背表紙を見るのが大好きなわたしとしたことが、この雑文を書いたら本書は処分しちゃおうとか考えてる…。

 各作品の最終巻表紙が、カラーで紹介されてるのはグッドだ。

(2015/10/8記)

E208The Wreck of the Zephyr (1983)
C・V・アルスバーグHoughton Mifflin
0-395-33075-0
英語絵本
28頁図書館1,318語/YL2.5
語彙800語まで

E209The Stranger (1986)
C・V・アルスバーグHoughton Mifflin
0-395-42331-7
英語絵本
28頁図書館915語/YL2.5
語彙800語まで

E210Sherlock Holmes and the Sport of Kings (2003/1892)
Oxford Bookworms Stage 1
J・バセット
(C・ドイル)
Oxford University Press
978-0-19-478920-2
英語多読教材
42頁225円(+257円)5,925語/YL2.1
語彙800語まで

Gガブガブの本 『ドリトル先生』番外篇
 Gub Gub's Book (1932)
H・ロフティング
(南條竹則)
国書刊行会ファンタジー
154頁図書館★★★

 英語多読用の本を探すため、この歳で図書館の児童書コーナーに出没するようになったが、あのドリトル先生シリーズに、本書のような外伝がある(しかも邦訳されてる)ことを知ったのは、とっても儲けモノだった。

 邦訳のドリトル先生と言えば、偕成社井伏鱒二訳が有名だが、本書の訳者は、文春新書でドリトル先生に関する本も著しているらしい。これはそのうち手に入れなければなるまい。

 さて、本書はドリトル・ファミリーのガブガブ(ブタ)が、食にまつわる十の話を皆に披露するという態になっている。
 あまり面白さを期待し過ぎてもいけないが、ドリトル先生と彼のファミリーに愛着があるならば、読んで損はない外伝だ。(ロフティング本人によるちょいキモな挿絵もシリーズ同様だし)

 ただし、ドリトル先生自身は登場しない。

(2015/10/8記)

E211An Illustrated History of Japan (2005/1985)
(西村繁男)Tuttle Publishing
4-8053-0798-6
英語絵本
61頁図書館3,000語/YL3.5
語彙1300語まで

E212The Pearl (1984)
H・ヘインMiddelhauve
英語絵本
24頁図書館601語/YL1.3
語彙500語まで

E213Suho's White Horse (1967/2004)
P・ハウレット/R・マクナマラ
(大塚勇三)
R.I.C. Publications
4-902216-17-5
英語多読教材
46頁図書館1,600語/YL2.5
語彙800語まで

H収穫祭 上下 (2007)
西澤保彦幻冬舎文庫サスペンス
598頁/470頁876円/800円★★★

 1982年の夏休み、台風が近づく夜。
 首尾木村の中学三年生ブキは、お町で映画を観た帰り、集落の南側入り口近くで、家の周りで異臭を嗅いだというカンチとゲンキに会うが、そこに家族が殺されたと言う同級生のマユちゃんが駆け込んでくる。どうやらカンチの親たちも殺されているらしい。この強烈な非常事態に怯え、取り乱しながらも、四人の中学生は雨風が激しくなる集落の中を移動するが、ブキの母、祖母を始め、集落の他の住人たちも鎌で惨殺されていた…。
 時は流れて1991年。
 生き残ったマユちゃんは、事件当時の記憶を欠落させながらも、県庁所在地のスナックで元気に働いていたが、彼女のもとに当時の事件を再調査しているという外国人とルポライターが現われる。首尾木村事件で犯人・死亡として処理された外国人の親族からの依頼という。そんな中、首尾木村の事件を思わせる凄惨な殺人事件が発生し…。
 さらに時は流れて1995年…。
 高校の臨時講師として地元に戻ってきたブキもまた、当時の事件の詳細を思い出せないまま暮らしていたが、あの事件を思わせる鎌を使った残酷な殺人事件も、不定期に継続しており…。

 僻地の集落で起こった凄惨な大量殺人ということで、やはり昭和13年の都井睦雄事件を思い出す【注7】訳だが、著者があの事件をどう料理するのかが、興味のポイントだった。
 数えてはいないが、上下巻1000頁オーバーで30人は殺されるだろうか…。

 冒頭早々に述べられる、ブキの肉親に対する負の感情からして、これから始まる「気持ち悪い劇場」を十分に予感させるわけだが、意外な事に(いや意外でもないか)、凄惨な筈の現場に関する書込みは少なく、また殺害シーン自体もあっさりしたものだ。
 しかしその反面、と言うよりだからこそと言ったほうが正しいか、主要登場人物の肉親や年少の知人、血縁者が容赦なく死んでいくというのに、最後に至っても、これらの大量殺人に対する犯人の後悔その他の感情が薄いことが、却って犯人の思考の気持ち悪さが増している。
 個人的にもっとも衝撃を受けたのは、エピローグその1である第四章で、犯人が殺す対象が、<ネタばれ反転>自分の夫であり息子であり、父である事。その恨みの大きさと持続性、そして恐るべき偏向教育は、つぶさに書かれていないだけに気持ちが悪い。
 “収穫祭”という題名の理由は、エピローグその2の第五章最後に開示されて、なるほどそういう事か!と合点がいくが、その収穫対象には、<ネタばれ反転>自分が産んだ息子まで…。「おまえは<時代小説ファンのためにネタばれ反転>柳生の草かっ!?」とツッコんだが、それだけではまったく気が晴れないほどに暗い…。【注8】

 まぁ人の悪意の積み重ねが気持ち悪い事は著者の持ち味なのだが、本書ではさらに、性に対する妄執が追加されているような。【注9】
 これがまたうんざりするほど前面に出てきて気持ち悪い。

 ところで、わからなかったことが二点。
 2007年が舞台の第四章で、<ネタばれ反転>美郷とブキの妻らしき女性が東京でガス自殺した事が報じられるが、これはやはりブキが(もしくはブキに示唆されたカンチが)、手を下したと考えるべきなのかな。彼らはマユちゃんを探している筈だが、なにしとるんだ? よく解らん。
 …最後まで噛み合わない処もまた怖い。

 よく考えると、1982年の首尾木村事件は、単独でも十二分にセンセーショナルな2つの事件と、さらにもう一つの事件を合わせて3つの事件が、極めて狭いエリアで、同じ日に、発生してしまった事が、トンデモナイ禍根を先に残してしまった…。
 それで思い出したが、一連の事件の中で、手を下した人数こそ少ないものの、生き残った中学生たちをダークサイドに引っ張る大きな役割を果たした<ネタばれ反転>あ奴は、その後何年も進学高校の教諭として奉職し続けた。その背景には、たしかブキの父親の口利きがあったような。
 これに関して説明はあったっけ?
 それとも回収忘れかな…。

【注7】もちろんそれにインスパイアされた「八つ墓村」「龍臥亭事件」を思い出す人も多いだろう。

【注8】そう言えば、時代劇や時代小説では30人くらいばっさばっさ斬られてゆくのはさして珍しくもない。今更ではあるが、アプローチの違いでこんなに読後のダメージが異なるんだねぇ…。

【注9】著者の作品をそれほど網羅しているわけではないが…。

(2015/12/9記)

E214Bernard Bear's Amazing Adventure (1994)
H・d・ビアNorth-South Books
1-55858-294-0
英語絵本
24頁図書館1,398語/YL1.5
語彙500語まで

E215Marco Polo and the Silk Road (2010)
Oxford Bookworms Stage 2 Factfiles
J・H−グールドOxford University Press
978-0-19-423639-3
英語多読教材
41頁766円6,700語/YL2.7
語彙800語まで

E216Three Paper Charms (2001)
S・キタ新世研
4-88012-946-1
英語多読教材
42頁図書館1,039語/YL1.8
語彙500語まで

E217Jumanji (1981)
C・V・アルスバーグHoughton Mifflin
0-395-30448-2
英語絵本
28頁図書館1,789語/YL2.5
語彙800語まで

E218Civil War on Sunday (2000)
Magic Tree House #21
M・P・オスボーンRandom House
978-0-679-89067-6
英語多読教材
76頁図書館5,755語/YL2.5
語彙800語まで

E219Sherlock Holmes Short Stories (1989)
Oxford Bookworms Stage 2
C・ウェスト
(C・ドイル)
Oxford University Press
978-0-19-479052-9
英語多読教材
38頁100円(+257円)6,280語/YL2.7
語彙800語まで

E220Revolutionary War on Wednesday (2000)
Magic Tree House #22
M・P・オスボーンRandom House
978-0-679-89068-3
英語多読教材
74頁図書館4,989語/YL2.5
語彙800語まで

I身のまわりのモノの技術 (2012)
涌井良幸/涌井貞美中経の文庫科学薀蓄
284頁648円★★★

J鏡の中は日曜日 (2001)
殊能将之講談社文庫探偵
560頁800円★★★★



(2)樒 (2002)

(3)榁 (2002)

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