2016年 2月
トップ頁に戻る "本"の目次に戻る 2016年 1月に戻る 2016年 3月に進む
E327Kidnapped at the Capital (2002)
Capital Mysteries #2
R・ロイRandom House
978-0-307-26514-2
英語多読教材
72頁640円6,915語/YL3.5
語彙1300語まで

@聯愁殺 (2002)
西澤保彦中公文庫推理
337頁(450円)★★★★

Aキングを探せ (2011)
法月綸太郎講談社文庫推理
308頁660円★★★★

 見知らぬ者同士が集ったあるイベント会場で、夢の島が妻に対する不満をふと漏らした。それまで赤の他人だったからこそ安易に口に出してしまった不満だが、その場にいた三人にもそれぞれ邪魔な人間がいた。そして年長のカネゴンがした提案は、イクル君、りさぴょんの四人で交換殺人をしないかという相談で…。
 二重交換ならぬ四重の交換殺人。果たして法月警視と綸太郎は、この怖ろしい犯罪を計画した男たちを捕える事ができるか。

 このような題材を扱う場合は、蟻も漏らさぬ計画がどういったズレから齟齬を来していくのかというサスペンスに振った犯罪小説になってしまい勝ち。法月綸太郎のような“名探偵”が介入するのはかなり難しい。
 本書でも、犯人たちのミスがなければ法月親子等の興味を惹くことにもならなかっただろうが、本書のキモは中盤も過ぎて、犯人の目星もついてからの虚々実々の駆け引きである。
 今一つ訴求力に欠けた題名だなと思ったが、中盤からの展開になるほどベストマッチな題名と言えるだろう。四重殺人というお題から、よくもまあこういったプロットを考え付くものだ。このプロットを読後他人に説明するのは大変だろう。(やっちゃあイカン事だが)

 最近読む推理小説には叙述トリックの作品が多くなっているが、あーだこーだと理屈をこね回すこれぞパズラーの醍醐味。

(2016/4/11記)

B神様ゲーム (2005)
麻耶雄嵩講談社文庫推理
214頁530円★★★

 神降市では、この二カ月で四匹の野良猫が残酷に殺されていた。芳雄が思いを寄せているミチルが可愛がってた猫も犠牲になった一匹だ。芳雄は鈴木太郎というおとなしいクラスメートと知り合うが、彼は神様で何でも知らないことはないと言う。試しに猫殺しの犯人を知ってるかと問いかけた芳雄に、鈴木君は、こともなげに犯人の名を挙げた…。

 毎回トンデモ設定の名探偵を送り出す著者が、新たに創出した探偵は神様であった。
 いや、探偵というのはかなり語弊がある。なにせ鈴木君は探偵などしない。答えを言うだけだから。
 そして彼は、芳雄の願いを聞いて犯人に天誅を下してくれたりする。

 とは言うものの、このキャラクターへの衝撃はほとんど感じなかった。
 以前も書いたように麻耶作品では物理法則、エントロピーもすべて著者が握っている。言い換えれば、どの作品にも神様は登場しているのだ。本作では鈴木少年なんて名乗っているが、麻耶少年として登場しても一向に構わなかった。
 そんなわけで、設定に対する驚きは然程でもなかったので、わたしが楽しんだのは芳雄と神様のトーク。神の心情?をガンプラで例えるとは…。
 ダビレンジャーも、著者の特撮好きが伺えて楽しい。

 一方で、芳雄の小学生としての生活描写には、著者の実体験を思わせるようなリアルさはみえない。少年探偵団めいた秘密基地なんてのが出てくるが、いかにも上っ面な感じで、もしかして楽しい小学校生活を送らなかったのかなんて邪推までしてしまった。大きなお世話ですな。

 よく解らないのが、低年齢層も意識したレーベルに、わざわざこんな西澤保彦風の後味悪い方向の話をぶつけてきたこと。そう言えば、捜査のプロではなく一介の素人が、なぜ?なんで?とあーだこーだと考える構造も似ている。絶対無謬の神様に犯人を教えてもらうという本書の特徴も、本作の推理担当が小学生であることを考慮すると、妥当なハンディという程度の違いだと思う。
 他にも、芳雄が<ネタバレ反転>両親の実の子ではない事や三十幾つかで死亡する事など、直接ストーリーに関係なく、単に芳雄の心を破壊するような仕打ちを加えた理由が解らない。
 わたしは上にも書いた理由で、麻耶作品にどんな悲劇や不合理があってもそれほど動じないが、本書の続編がこのミス大賞を獲ったとどっかで聞いてきたおかげで、本書を読みたがった妻は、読後ナンダコレキモチワルッと一蹴した。【注2】

 わたしの感想に戻すと、特に最終オチがよろしくない。
 TVドラマや映画では、ラストに、ほーら、サプライズを用意したべ。驚いたべ? なんて、安っぽい脚本がままあるが、気鋭の作家にはやめてほしかった。
 たしかに、それに向けた布石は最初の方に書かれていた<ネタバレ反転>(お母さんがかなり小柄な事)が、お父さんが犯人のままで周辺のディテールを書き込んだほうが、良い作品になったと思う。

【注2】わたしは貸す前に何度か止めたよ。

(2016/6/10記)

E328The Skeleton in the Smithsonian (2003)
Capital Mysteries #3
R・ロイRandom House
978-0-307-26517-3
英語多読教材
86頁400円(+257円)8,368語/YL3.5
語彙1300語まで

E329The Best Chef in Second Grade (2007)
I Can Read! (READING 2)
K・ケナァHarper Trophy
978-0-06-053563-6
英語多読教材
48頁図書館1,001語/YL1.4
語彙500語まで

E330Amanda Pig on Her Own (1991)
J・V・リーゥウェンMammoth
0-7497-0836-0
英語多読教材
48頁図書館1,588語/YL1.4
語彙500語まで

C女王国の城 上下 (2007)
有栖川有栖創元推理文庫推理
435頁/419頁880円/880円★★★

 1990年5月。学生生活待ったなし最後の年が始まって間もないというのに、江神部長が連絡もなしに消えた。部屋に残されたものを見て、行き先のアタリをつけた残りの推理小説研究会の面々は、木曽山中の神倉に向かう。そこには「人類協会」なる宇宙人の再臨を信じる団体の総本部と<街>がある。よもや江神がそのような新興宗教にかぶれるとは思えないが、なぜ部長は自分たちに何も言わずに旅に出たのか。
 有栖たち面々は、協会と多少の悶着の後、予想どおりに江神と会うことができたが、その矢先、11年前にペリパリが顕現したという洞窟前に設置された控室で、協会の洞窟のモニター担当者が頚を絞めて殺される事件が…。

 前作「双頭の蛇」から15年を置いての学生アリスシリーズ第四弾。物語中の時間は前作の半年後である。

 いや長い。
 江神と再会するまでに、土地の人から11年前の殺人?事件の経緯を聞く件はあるのだが、部長と再会するのが208頁。そして漸く遭遇する殺人事件は280頁である。「神様ゲーム」ならすでに読み終わってるよ…。
 長年このシリーズを待ったの熱心なファンならば、有栖くん一人称の視点で青春ミステリーを楽しめるのかもしれないが、童貞臭のきつい語りはおじさんはつらいよ。

 たまに麻里亜の語りが挟まるが、こちらも青臭い方向にしか機能しないものだから困ったものだ。
 あいかわらずアリスとマリアの二人には魅力を感じない。なんでかな?
 そう世間を知ってる筈もないのに頑固な正義感で動こうとする(学生らしくとも言える)あたり、知識不足の平和声明学生のように感じるのかな。

 何か隠し事をしている怪しい宗教団体。しかも殺人事件が起こったのに警察を呼ぼうともせず、しかも有栖たち面々は軟禁状態にされるとなれば、主人公たちのいらだちは尤もだが、それでも彼らの態度は少々鼻についてしまうというのもあるのよね。特に物語も終盤、侵入厳禁の聖洞に突入するところなどおいおいとツッコんでしまう。
 物語構成上、江神が最後の論理のピースを得る重要な場面だし、オウム真理教のような団体もあったからオカシク思わない人も多いだろうが、教義がいかにバカバカしく思えても(なんせペリパリ光臨)、それを信じている人にとっては大切な決まり事だ。江神と有栖の行為は、ヒンズー教徒の前で牛肉を、イスラム教徒の前で豚肉を食べまくって、あんたらなんで食べないのと発言するに等しいと思うが。

 さて、肝心の謎の方だが、これはなかなか良かった。
 麻里亜がイヤリングを木の根元の洞に落すなど、なんだよ見え見えだよと思わせる流れに合わせて、どーせ物語中盤を過ぎても現れない「人類協会」代表が大きく絡むんでしょと思わせるのも、もちろん著者の計算の裡なのだろう。
 そのうえで、上にも書いた人類協会の隠している事にはヤラレタと思わされたし、その操作で嫌疑から外れる容疑者もいないというのに、なぜ犯人は殺害時刻の偽装をしたのかという謎も面白い。
 いまどき昔かたぎに読者への挑戦状をつけてくれる事といい、謎解きとしてはさすがだ。

 ただし繰り返してしまうが、長い。
 これだけ長いのに、犯人の印象は少なく、背景の描写もまぁあっさりしたものだ。
 じゃあどこに頁数を使ってんだよと言えば、英都大学推理小説研究会の行動である。中盤は人類協会本部から脱走する活劇まであって、冒険小説風のおもてなし。
 しかし冒険小説は数多の傑作があるので、それらと較べると、あくまでラノベ冒険小説風の味付け程度にしか感じられないし…。
 うーん、有栖は大阪出身者らしく、地の文でも要所にツッコミを入れたりするのだが、全体的にはどこか暗い印象。こういったところも青臭さを感じる理由の一端にもなっているのかもしれない。しかし考えてみれば、大学に入って僅か二年ちょいでクローズド・サークルでの連続殺人事件に三度も巻き込まれ、今回の行程にも悪い予感がしているという彼の心情を考えれば当然か。デビュー作はともかく、すでにベテランの著者だから、そのあたりはそのようにコントロールしているのだろう。

 まぁ早々と読み流しモードに入ったわたしが悪いのかもしれないが、二人の視点人物有栖と麻里亜のキャラの違いも(性別以外は)鮮明でないし、未だに織田と望月の区別がつかないというのは悲しい。根本的に、この推理小説研究会に入会してみたいとの思いが一切湧いてこないというのは問題では?
 わたしの学生時代の部活動のほうが楽しかったに違いない。大きなお世話だが。

 ところで、わたしは作家アリスシリーズは僅かに一冊しか読んだ事がないのだが、TV放映も始まった事だし、Wikiをちょろっと読んでみた。なんと作家アリスシリーズに登場する有栖川有栖が学生アリスシリーズを、学生アリスシリーズに登場する有栖川有栖が作家アリスシリーズを書いているという入れ子の設定だという。
 それってちょっと無理がないか?
 始まった当初はその設定も面白かったかもしれないが、今では学生アリスシリーズが5冊に対して、作家アリスシリーズは20冊以上あるぞ。学生がそんなに書き溜めてなんとする。勉強しなさい。というか、作家の有栖君はもっと書きなさい。

 そこで気になるのが、本書で紹介されている(もしかしたら前作からかも…)江神部長に対する予言。
 なんでも学生アリスシリーズは後1作の長編が予定されているらしいし、やっぱり江上部長は<妄想反転>次の最終作で死んじゃうのでは? でもって、傷心の麻里亜も海外だかに飛んで退場。しれっと<妄想反転>火村英生との出会いが挿入されちゃうのでは。どうすか?
 まぁ作家アリスシリーズに疎いので、そちらの時代設定が調整可能に設計されているかどうかはわからないが、少なくとも著者の検討のひとつには挙がったと思う。

(2016/2/23記)

E331The Return of Sherlock Holmes (2000)
Penguin Readers Level 3
J・マカウピン
(A・C・ドイル)
Penguin Longman
978-1-4058-5547-1
英語多読教材
50頁283円(+257円)12,921語/YL3.5
語彙1200語まで

(1)The Six Napoleons
(2)The Norwood Builder
(3)The Golden Glasses

E332The Tree of Courage (2007/1971)
S・ラーフリン
(斎藤隆介)
R.I.C. Publications
978-4-902216-83-7
英語多読教材
31頁図書館1,098語/YL1.5
語彙500語まで

 「八郎」「べろ出しチョンマ」などでも有名な斎藤隆介「もちもちの木」の英訳版。ご覧のとおり、題名では“もちもち”がcourage(勇気)に意訳されている。

 Mameta はこのMochi Tree が落した実を、細かく挽いてまぶしたおもちが大好き(absolutely scrumptious!)だけど、夜にはこの巨大な木が大きく枝を広げた様が怖くて外に出られないわけだ。
 このMochi Tree は、horse chestnut tree とあるが、手元に日本語版がないのでちょっと調べてみると、chestnut は栗の木でもあるし、栃の木でもあるらしい。【注1】

 イメージ的には、お餅や日本の童話との相性で栃の木/栃餅だった気がするが、作中ではwood 臼でまずpound して、stone 臼でgrind するという風に、粉にする製法が細かく描写されているのに、アク抜きにはまったく触れられていない。意外に栗の木だったりして?
 次に図書館に行ったときにチェックしてみよう。

【注1】ケーキやお菓子の影響で、栗と聞けばマロンと連想しがちだが、マロンはフランス語で、実は栃の実のことらしい。いわゆるマロングラッセも本来は栃の実を使用していたらしいが、アク抜きが面倒で栗の実を代用したことから、今ではフランスでもマロン=栗の意味もあるとのこと。

(2016/2/23記)

Dダレン・シャン イン ジャパン (2007)
D・シャンファンタジー他
320頁図書館★★★

 本の作りからして、いわゆるダレン・シャンシリーズとは違うことは判るが、パッと見外伝かと思ってしまいますわな。
 しかし本題のダレン・シャンは、あの半バンパイアの少年ではなくて、著者の事である。

 知る由もなかったが、著者はあの悪名高い日韓共催ワールドカップの時に初来日して以来、2007年までになんと4回も来日してわたしの地元にも来ている。いずれも出版社主催のイベント参加込みだが、日本のことはとても気に入ってくれているようだ。
 来日の度に日本各地の精神性の高い土地を巡っており、そこにインスパイアされた短編二編、その前後に著者のコメント、そして「恐山とデモナータ」 (Osorezan and Demonata/11頁/2007)というエッセイから成っている。おそらく日本だけの編集だろう。デモナータというのは、著者の別のシリーズ作品だ。図書館にもあったが、キリがないので、ちょっと手を出すのはやめようかなと考えてるところ。

 二短編の題名は、もちろん羽黒山高野山にちなんでいるわけだが、どちらも主人公の名前!である。

 そのぶっ飛んだネーミングにはずっこけてしまうが、特に日本その他の実在の世界が舞台というわけではなく、この世ではない世界との繋がりがある程度認知されている無国籍の村が舞台のファンタジーだ。
 「コーヤサン」は、ダレン・シャンシリーズと同じく、ややホラー味のファンタジー作品で、より短い「ハグロサン」は、ファンタジーというよりもメルヘン、童話といった印象。

(1)ハグロサン (Hagurosan/35頁/2003)
 霊場にお供え物を持って行ったハグロサン少年は、ついお供え用のお菓子を食べてしまった。不安で泣きそうになった彼だったが、帰ろうとしたその時、一枚の銀貨が落ちていることに気がつき…。

(2)コーヤサン (Koyasan/105頁/2006)
 少女コーヤサンは、現実のもので怖いものなどなかったが、橋の向こうにある墓地にはどうしても行けなかった。ところが彼女の不注意で、小さな妹のマイコが日が落ちた墓地に入ってしまい、戻ってきた時には別のものになってしまった。責任を感じたコーヤサンは、村のイタコばあさんに相談するが…。

 日本人的には、ニンニクをかじる少女ってどーよって思う。
 コーヤサン以外にも、ヤマダサンなんて名前の友人が登場。
 そうそう、本作品は2007年までの著者作品の中で、もっともヒットしたらしい。

(2016/2/23記)

E333Five One-Act Plays (2000)
Penguin Readers Level 3
D・バイァンPenguin Longman
978-1-4058-8182-1
英語多読教材
39頁1円(+257円)7,598語/YL3.5
語彙1200語まで

 題名の意味が解らず、このヘンにとぼけた表紙画とあわせて、勝手に怪しい印象を持っていたが、読み始めると台本のようにキャラの台詞とト書きで書かれていた短編が5つ。
 one-act play って、一幕物の芝居のことですな。それがfive 。――そ、それだけ…。

(2016/2/23記)

E学校では教えてくれない日本史の授業 悪人英雄論 (2013)
井沢元彦PHP文庫歴史薀蓄
476頁880円★★★★

E334The Canterville Ghost (1891/2002)
Oxford Bookworms Stage 2
J・エスコット
(O・ワイルド)
Oxford University Press
0-19-422966-13
英語多読教材
40頁図書館6,100語/YL2.7
語彙700語まで

 表紙はかなり気味悪いのだが、中身は喜劇。

(2016/3/9記)

トップ頁に戻る "本"の目次に戻る 2016年 1月に戻る 2016年 3月に進む
今月の単語合計45,589語