2016年10月
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E378Dogs in the Dead of Night (2011)
Magic Tree House #46
A Mealin Mission
M・P・オスボーンRandom House
978-0-375-86824-5
英語多読教材
111頁図書館13,036語/YL3.5
語彙800語まで

E379Three Adventures of Sherlock Holmes (1987)
Longman Classics Level 4
F・ジョンストン
(A・C・ドイル)
Longman
0-582-52286-2
英語多読教材
54頁(104円+257円)14,037語/YL4.0
語彙1800語まで

 なかなか面白くsimplified されている。The Five Orange PipsThe Crown of Diamonds の二作は、依頼者側の描写で始まっているのだ。もちろん三人称記述である。
 ホームズが登場するのは、前者はChapter 6 で後者ではChapter 5 であった。
 しかもThe Five Orange Pips では、ホームズパートでもワトスンの一人称でないという捻りが。

 原典でも三人称の作品(あるいはホームズの一人称作品)は何作かあるが、もちろんこの二作は本来はワトスンの一人称作品である。

(1)The Speckled Band (The Strand Magazine/ 1892.2)
(2)The Five Orange Pips (The Strand Magazine/ 1891.11)
(3)The Crown of Diamonds (The Strand Magazine/ 1892.5)


(2016/10/13記)

@頭の回転が速い人の話し方 (2015)
岡田斗司夫フォレスト出版トーク薀蓄
221頁1400円★★★
§§ ニコ生動画配信もまた修行か §§

 著者が提唱する会話力アップのポイントはこの二点。
 ユニバーサル・トーク戦闘思考力と名付けている。
 著者の言論の中身の正否については、レコーディング・ダイエットみたいな中途半端な例があるので、信用しきれるものではないが、彼のニコ生動画――わたしはもっぱらYou Tube 視聴だが――での薀蓄とその語り方には感心していたので、このような本をみつけて読んでみた。

 誰にでも扱いやすい形状の道具や設備をユニバーサル・デザインと呼ぶが、ユニバーサル・トークとは、誰にでも通じる話し方・伝え方だという。
 戦闘思考力という単語がセットでついてくるので誤解してしまうが、面白いのは、これらの技術がいわゆる弁論術のように、相手を議論で打ち負かすことを目的としていないことである。
   

A日本人の原型を探る 司馬遼太郎歴史歓談T (1965.3〜1988.4)
司馬遼太郎
対談
中公文庫歴史薀蓄
326頁724円★★★
§§ 国民作家が胡散臭く思えてきた §§

(1)日本人の原型を探る (『海』1969.9/32頁)
 物理学者湯川秀樹と対談。
 日本人の常識として、中間子の存在を予言した初のノーベル賞を受賞した偉い人だとは知っているが、こういったお題目で司馬遼太郎と語れるほどに、歴史に造詣が深いとは恐れ入った。
 司馬遼太郎より一回り以上年上とのこともあって、時々に丁寧語に戻るのだけれど、すぐに関西弁のくだけた喋りになるのがお茶目だ。
 逆に司馬遼太郎は、この対談時まだ40代ということもあるのか、薀蓄の内容は、わたしでも何カ所かツッコミを入れたくなるような粗さを感じた。

(2)稲作文明を探る… (『中央公論』1974.1/30頁)
 前衛芸術家岡本太郎と対談。
 太陽の塔をデザインした、芸術は爆発とか言ってたオッサンという理解しかなかったが、やはりさすがは知識人である。「侘びとは、千金の駒を賤が苫屋に繋ぐようなもの」と言ったのが千利休でないことを、司馬遼太郎に指摘している。【注5】
 縄文土器が美術であることを世に知らしめたのはボクだとやたら力説しているのがお茶目だ。

 【注5】答えは、村田珠光

(3)公家と武家 (『中央公論 歴史と人物』1974.8/29頁)
 作家・詩人富士正晴と対談。
 この対談者が豪放磊落なことが、たしか『風塵抄』のエピソードであったが、この対談では司馬遼太郎と二人、終始関西弁同士の呑み屋トークをしている。とは言っても、専門家ではないので、この対談については、ほとんど司馬遼太郎が話をリードしている。
 印象的だったのは、前半の公家が総髪で武家が月代だという論で、兜を着けやすくするがために、武士が月代を剃っているというのは浅い考え方だと述べている。富士正晴も江戸時代の町人まで月代(さかやき)している理由にはならんよなと同意しているが、個人的には、武士のマネっこが元じゃないのと思わないでもない。
 さかやきは古代以来の倭人の風習ではないかとも語っているが、たしか魏志倭人伝では、鯨面文身とはあったが、髪型に関しての描写はなかったように思う。陳寿の側から見て、倭人がさかやき人間であったなら、それは描写されていたのではないだろうか。支配階級は当時から角髪(みずら)だったのかな?
 源頼朝が総髪で、周りの武士たちはさかやき人間というのも、今一つ納得できない。
 当時の地方武士は武装農民だ。兜を着けるリーダークラスはさかやきでも、下級の兵隊までがさかやき人間だったろうか? やっぱり兜を着ける人たちから、月代にしたという考えも捨てがたい。何らかの形で、中央アジアからモンゴルを経て、頭を剃る風習が流れてきたという説も同様に捨てがたいけど、もう少し突っ込んだ議論が欲しかった。

(4)古代史の人間を語る (『日本の歴史』2付録1965.3/20頁)
 歴史学者直木孝次郎と対談。
 編集部曰く、歴史学者はよく小説家の事を、ちょっとのことだけであれだけ自由にかけて羨ましいと語るらしいが、古代については、反対に歴史家の方が活躍しているという。古代は生活感情が届かないので、良心的な作家ほど書けないのだとは、司馬遼太郎の弁。
 直木孝次郎はこの対談で、聖徳太子柿本人麻呂に触れていて、特に聖徳太子については、新しい太子像を作ろうとしたが実現できなかったと述べている。
 この対談の7、8年後に、哲学者の梅原猛がそれぞれ『隠された十字架』『水底の歌』でドーンと新説を打ち上げた訳だが、直木孝次郎はその時どんな反応をしたのだろう。やはり一笑に付したのだろうか。『水底の歌』の説は、後に井沢元彦江戸川乱歩賞受賞作の『猿丸幻視行』で大きく取り上げていて、わたしもそちらでこの説を知ったが、その中で、『水底の歌』の説が成り立たないことも書かれていた。――らしい…。そこ完全に忘れているので、これもまた再読しなければ。

 また梅原猛と言えば、空海に関して後に司馬遼太郎と議論を戦わせたことが有名だが、梅原猛の怨霊史観に対する司馬遼太郎の考えもわからない。手持ちの本の中に、この5年後の梅原猛との対談があったのだが、残念ながら上記の梅原説が世に出る前で、東洋学が大きく見直される時代にあたって、日本の仏教が一度生まれ変わらなければならんといった話だったし。
 ちなみに、この対談当時、梅原猛は仏教案内のTV番組の司会をしていたようだ。

(5)日本海圏文明を考える (『中央公論 歴史と人物』1975.6/36頁)
 考古学者有光教一/歴史学者林屋辰三郎と対談。
 日本で出土される青銅器で、剣や矛といえば圧倒的に北九州中心で、はこれまた圧倒的に近畿が多い。
 ここから林屋辰三郎は、剣類は南朝鮮から北九州へ伝わったけれど、鐸は朝鮮半島東側やあるいはもっと北部から伝わったのではないかと提案している。しかし朝鮮半島で銅剣類と銅鐸の分布が別れている訳ではないので、有光氏は否定的だ。第一に、銅鐸は日本固有のものらしい。同形状ではるかに小さいものは、馬などにつける鈴のような使い方で、朝鮮半島にもあったらしいが、日本での出土エリアの明確な違いを説明できるような分布差は、朝鮮半島にはないという。
 これについては、ちょっとググってみたが、今でも特に明確になっていないようだ。

 一方、鉄の話題において、司馬遼太郎が珍説を開陳している。
 花崗岩さえあれば砂鉄は取れるらしいので、産鉄地の発展は、砂鉄そのものよりも炭(つまり木材)の確保の易さによる。ここまでは良いのだが、高温多湿で樹木の再生が容易な日本では、鉄生産が活発になり、それだけ競争心が激しく欲求が大きくなる。日本に較べて、中国人や朝鮮人はたけだけしくなくてのんびりしているそーだ。どういう体験から、そんなたわごとを得たのか?
 別の本では、ベトナム人が植物のようにおだやかだと書いていたよ。高温多湿はどーなった?

 それは技術で劣っていたチャイナやコリアが、儒教的思考に沿って、強い者には従順に、弱い者には厳しくしていただけだろうと指摘したい。それぞれ強者になったと勘違いしたあれらの国が、現代どれだけ短気に暴れているかを見せてあげたいものだ。

(6)経国の大業 (『日本の名著』3付録1977.5/17頁)
 思想史学者福永光司と対談。
 「文章は経国の大業」だと、曹操の息子曹丕が言ったらしい。
 そこから550年ほど経った中世日本でも、文章を書き連ねる行為は、現代人が猫も杓子もブログやらで発信する感覚とは、まるで意味合いが違ったようだ。当時の空海の天才性を対談しているが、当時の最先端の権威であった異国のルールを完璧に操った【注6】うえで、自己の思想を自在に表現できたところを、福永氏は総合的に体系化させる天才じゃないかと語っている。よく解らないが・・・。
 空海の著名な書『三教指帰』では、仏教儒教道教を比較したうえで、仏教が一番だと結論づけているが、その中で空海は、儒教の事を所詮処世術だと紹介しているらしい。
 対談している二人は、儒教のもっと良い部分をあえて割愛して空海が紹介していることを面白がっているだけだが、主君へのも親へのも、処世術どころか、上司や強い者への迎合、逆に目下や弱い者への差別に容易に繋がってしまうという事を指摘したい。
 もちろん、儒教的思考が日本人よりも精神に沈殿していて、その悪弊が顕著に出まくっている国がチャイナとコリアというわけだ。

 【注6】四六駢儷体というらしい。語数の縛りや対句を使うルール、さらにそれぞれの言葉は、古典に拠を求めなければならないという。

(7)なぜ、いま「日本の古代」か… (『中央公論』1985.11/56頁)
 考古学者森浩一/文化人類学者大林太良と対談。
 われわれ門外漢は、考古学と聞いて、なにやら土を掘って土器やら金属器を発掘しては、「これはいつ頃の物で、重要です」なんてのたまう辛気臭い仕事をつい連想してしまうが、それらを時間と空間に配置して上空からマスで眺めてみると、とてもエキサイティングだ。
 大体歴史の教科書では、縄文時代、弥生時代〜奈良時代とスッパリ分けられているが、決してそんなことはない。
 日本の文化の違いはよく東西で語られるが、縄文土器の分布などからみると、その東西を分けるラインは、関東・東北の境あたりから山陰地方へ引っ張るのではないか、つまり南北でも大きな違いがあることや、あるいは、奈良時代といっても、中央から離れた田舎では、まだまだ竪穴式住居もあっただろうとか、言われてみればそれが自然だよなぁと思う。
 生贄と肉食の話もとても興味深いが、古代の織物の話が特に興味深かった。
 例えば草鞋など植物で編んだ製品というと稲わらで作るイメージだが、コメがそう入っていない時代、縄文時代にはなんと大麻で広く編み物が行われていたらしい。日本の原風景としてコメより古いわけだ。それが現行憲法と同じようにGHQの押し付けで栽培禁止にされてしまい、今に至っている。
 わたしなどは、麻の服の肌触りが好きなので、本来庶民の衣服の元で有る筈が高価になってしまって困る。麻薬の「ま」に使われてしまったこともあって、めっきり危険植物扱いだ・・・。
 そして、編み物といえば織物。絹織物もなんと弥生時代の遺跡から出土されるが、これが北九州からだけらしい。
 この対談ではさらっと流されるが、『魏志倭人伝』では、邪馬台国から朝貢した際の献上物品に絹製品が明記されているという。近畿で絹織物が出土されるのは、古墳時代である・・・。
 このあたりに対しての、邪馬台国近畿説論者の意見を聞きたい。
 ちなみに、チャイナの古代文献では時折倭錦という名称が出てくるが、韓錦という名称は出てこないらしい。
 森浩一が、「ないというと、向こうの人は必死に探すでしょうが……。」なんてポツリと漏らしているのがおもしろい。

 30年も前の対談で、縄文時代の評価も随分と変わってきているが、一般的にはまだまだ浸透しているとは言えない。
 すべての文化らしい文化は弥生時代からで、それらは全部韓半島からだと主張する人もいまだにいるからなぁ。

(8)多様な中世像・日本像――現代日本人の源流をさぐる (『中央公論』1988.4/53頁)
 歴史学者網野善彦と対談。
 学校の授業では、律令制度の導入をしっかりと教える。学者でもそこが大事という人が多いらしいが、一方で、きっちり取り入れた筈の律令がなしくずしに無実化していく処にこそ、日本の歴史としての意味は大きいと考える学者もいるらしい。
 なるほど、芥川龍之介が言ったところの「造りかへる力」が日本人の特色をよく表しているのは確かである。
 チャイナで生まれた儒教を取り入れた朝鮮と日本の違いを見れば、くっきりと浮かび上がる。
 日本では、よく言われるように、儒教は生活習慣の中には取り入れられなかった。
 網野善彦は、日本には生活習慣を律する宗教的な枠組みがないままに現在まできてしまったとのたまっているが、サヨクの目線には、神道も武士道も映らないようだ。神道=国家神道=恥ずべき悪の時代なのだろう。司馬遼太郎もここで何らコメントを挟まないのが悲しい。

 カタカナというと横文字を日本語表記する際に使うイメージがあるが、鎌倉時代の昔などは、口語的な表現にはカタカナが多用されていたらしい。おもしろい。

(9)天下分け目の人間模様 (『中央公論 歴史と人物』1979.10/26頁)
 歴史学者原田伴彦と対談。
 関ヶ原の戦い前後の武将の動きという事で、歴史好き初心者には大層面白いと思うが、一応中級くらいと自負しているわたしには、やや軽めに読み流す感じ。
 秀吉の島津征伐後に、石田光成が島津家に理財の道、帳簿付けの方法を教えて縁ができたことは、関ヶ原時に島津が石田方についた遠因になったようで興味深い。島津は働かなかったけど・・・。

(2016/11/29記)

BQED flumen ホームズの真実 (2013)
高田崇文講談社文庫歴史推理
294頁630円★★★★
§§ ホームズ作品と『源氏物語』の薀蓄が同時展開 §§

 2000年初夏。6年半ぶりに緑川友紀子に会った棚旗奈々は、シャーロキアンの大学教授が還暦祝いに催くコレクション展示会に崇と二人で招待されるが、展示会場の小さな洋館に到着早々スタッフの女性の事故に遭遇してしまう。こちらの二階のベランダから隣の家の庭へ四階分落下し、瀕死の重傷を負って救急に運ばれたのだが、彼女自身が事前に警察に110番通報をしていたと言う。果たして彼女の落下は事故か、それとも…。

 落ちた女性が紫色のスミレを握りしめていたことから、ホームズ作品に四人登場するヴァイオレット嬢や紫式部へと話が及ぶ。
 スミレがダイイング・メッセージかと思わせて、それがいかになんとでもこじつけできることを、桑原が怒涛の薀蓄で指摘していくのだが、そのこじつけ力がものすごい。陰陽五行説で十分に感心したが、源氏香に至っては口あんぐりだ。著者の博識を尊敬するが、もし桑原崇がその場で瞬時に“関連”を思いついて挙げていったのなら、彼のIQは300を超えているのでは…。
 あらためて感じたが、動機がどうのこうのという件や怒涛の薀蓄で周りの人間を動かしていくあたり、彼の“探偵”は京極堂の憑き物落しに近い。【注1】

 日本の歴史に関しては著者も怨霊史観に立っているのだが、同じ怨霊キーワードにした解釈と言え、井沢元彦『源氏物語はなぜ書かれたのか』とまったく異なったアプローチであることが面白い。
 ただし、紫の上が紫式部と同体だとする論証が不十分ではないか?
 キャラクターの名前が著者の名前に乗っかったのは不自然という視点は面白いが、今一つ考察が進まなかったし、紫式部の元の名乗りが藤式部だったというのも、個人的には納得しきれない。光明皇后藤三娘と名乗ったのとは違って、紫式部の父親藤原為時レベルの下級の藤原氏は無数にいただろうに、清少納言よりも個人名になり難いような。そうでもないのだろうか。【注2】

 四人のヴァイオレットに九人のメアリ【注3】、そして彼女たちはコナン・ドイルの両親との関係を想起させるなんて、まったく知らなかった。きわめて興味深い。本書に名前の出る小林司と奥さんの共著『シャーロック・ホームズの謎を解く』を以前に読んだが、この手の事は書かれていなかったような・・・。彼らは他にも多くの関連本を著しているので、どれかには書かれているのだろうか。

 関連と言えば、ある意味、QEDシリーズとしてのメインは、ホームズ関連の珍説であろう。
 前作で崇が開陳した説へのカウンターとして、今回は緑川友紀子が珍説を述べている。
 知らなければ十分に驚けると思うが、残念なことに、こちらの本を読んでたので。【注4】

 もう一つだけ。
 紫には二種類ある。巻貝から採られたpurple は赤紫、草の根から採られたviolet は青紫だと解説するシーンでなるほどと思ったのだが、どうにも違和感があった。個人的な色感として、purple とviolet が反対の感じがするのだ。
 しばし黙考したが、どーやらこいつらの所為ではないかと気づいた。

 
ヒトデパープル       バイオレットサザエ


 ほら、どちらかと言えば逆の色感でしょ?


 【注1】もっとも憑き物を落としたい人物とは会話していないのだが、スミレを握った瞬間に、すでに憑き物は落ちていたのかも。

 【注2】紫をゆかりと読むのは知っていたが、『源氏物語』の別称、『紫のゆかりの物語』から来ているとは知らなかった。

 【注3】九人のメアリのうち一人は、上のThe Crown of Diamonds に登場している。

 【注4】きちんと本末の参考文献に挙げられている。上述の『源氏物語はなぜ書かれたのか』もしっかり挙がっている。

(2016/10/9記)

E380Who, Sir? Me, Sir?' (2000)
Oxford Bookworms Stage 3
D・モワッ
(K・M・ペィトン)
Oxford University Press
0-19-423021-X
英語多読教材
57頁図書館10,296語/YL3.4
語彙1000語まで

E381Picture of Dorian Gray (1989)
Oxford Bookworms Stage 3
J・ネヴィル
(O・ワイルド)
Oxford University Press
0-19-421652-7
英語多読教材
57頁(259円)10,240語/YL3.3
語彙1000語まで

 『ドリアン・グレイの肖像』の題名くらいはかすかに知っていたが、せいぜい『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』に登場したようなキャラじゃないだろとツッコミを入れる程度だった。
 やはり映画のような不死身の貴族というのは間違いだった。
 彼は不老だけど不死ではないんだよ。

(2016/10/9記)

E382Abe Lincoln at Last! (2011)
Magic Tree House #47
A Mealin Mission
M・P・オスボーンRandom House
978-0-375-86825-2
英語多読教材
112頁図書館12,253語/YL3.5
語彙800語まで

 最新刊まで近づいてきた所為か、図書館に所蔵されている本が、前作からハードカバーになっている。
 このバージョンでは裏表紙にまで絵が続いているので、そっちもスキャンしたが、ふと気がつくと、初期作品より知らない単語が多く出てくるような。黄色レベルのPicture of Drian Gray よりも少々詰まってしまったかも。
 そこで、丁度バージョンも新たになったことだし、46巻からYLを3.5に上げた。
 SSSでは、Magic Tree House のYLを2.5〜3.5、Oxford Bookworms Level 3 のYLを3.2〜3.4と評価しているので、おかしくはない。

 本シリーズでは、妹のAnnie が直感的な行動先行型、兄のJack が読書好きの思索型としてキャラ分けされていて、大体において、話を進めるのはAnnie の役目である。
 Jack は読書家タイプとは言う割に、過去の冒険の経験を帰納法的に活かせず、本作でもあまりの推理力のなさにイラッとしてしまった。いや、レギュラー小説の十歳の少年に怒るのは、大人げないにもほどがあるのだが・・・。

 米国の小学校中学年相当を対象にしている本シリーズでは、当然ながら、エイブラハム・リンカーンのことを苦学して大成し、奴隷制度を廃止した偉大な大統領として紹介しているのだが、彼は奴隷解放宣言の同時期にダコタ族の討伐命令を出しているらしいし、当時アメリカは、世論的にやかましくなってきた黒人奴隷に変わる存在として、とっくにチャイナ人苦力を見つけ出していたということは、日本人としては割り引いて考えるべきである。←『偉人リンカーンは奴隷好き』参照

(2016/10/12記)

C百万のマルコ (2007)
柳広司創元推理文庫探偵
282頁686円★★★
§§ 視点の良い著者だからこそ不満 §§

 1298年、ジェノヴァの牢で5年を過ごしていたルスティケロの前に、新たに年老いた囚人が連れてこられた。
 その老人百万のマルコは、牢内の皆に不思議な体験談を話し始める…。

 ハインリッヒ・シュリーマンが登場する『黄金の灰』チャールズ・ダーウィンを探偵役に据えた『はじまりの島』、それにロバート・オッペンハイマー『新世界』と著者の本を読んできたが、いずれも奇を衒った設定ではなく、動機その他に時代とロケーションの必然性があって感銘を受けた。

 ところが本書はちょっと違う。
 上に挙げたのはすべて長編だが、本作は一編20頁程度の連作短編集。しかも毎度繰り返される状況説明などを除けば、実質10頁ちょいの謎かけは、なるほど著者が得意の逆説的なネタが冴えているけれども、ミステリと気合を入れて読むには小粒すぎる。
 マルコが毎回大ハーンに与えられる任務の旅先なんて、解説子は、作者が読者に仕掛ける<謎かけ二重構造>なんて持ち上げてるが、『東方見聞録』をわざわざ読むまでもなくファンタジーな設定は一目瞭然だ。
 ルネッサンス以前、十三世紀末のジェノヴァで、物語の書き手が現在と同じように原稿料を貰えたなんて話もにわかには信じられないし、マルコが牢内に留まっていた理由も今ひとつだが、この世界においては、本書自体が『東方見聞録』そのものであるというのはとても面白い。
 ちなみにこの題名は日本における流通名だが、古い時代の有名な写本名に『イル・ミリオーネ(100万)』がある。

 ついでながら、本書末で、マルコは大ハーンの下に戻る意思を語っているが、当時クビライ・カァンはすでに他界していた(1295年没)。

 史実の薀蓄は脇に置いて、上の三作やあるいは夏目漱石がホームズに扮する『吾輩はシャーロック・ホームズである』でも、その時代の負の面がきちんと扱われていたのが特色で、むしろミステリの謎自体よりも魅力的だったが、本書はより寓話的で、マルコ・ポーロである必然性はあまり感じられない。
 有名な話だが、コロンブスの大西洋横断の情熱には、『東方見聞録』が大きな影響を与えたし、当時の“大航海時代”に与えた影響はとても大きい。
 つまり西洋人は大航海時代なんてすっとぼけて呼んでいて、お人好しの日本人も追随しているが、白色人種による世界の他有色人種に対する虐殺・強奪・搾取・差別のきっかけを作ったとも言えるわけだ。
 著者だからこそ、そのあたりに一言欲しかった。
 それがないのなら、シンドバッドを主人公にしたほうがおとぎ話的内容にはしっくりとくる。

 神に感謝。アーメン、アーメン。

(1)百万のマルコ(『小説すばる』2002.5/23頁)
 黄金の国ジパングで、彼は黄金の塊を抱いて急流を筏で流され、泣く々々黄金を捨てて九死に一生を得る。かくして彼は莫大な量の黄金を大ハーンに持ち帰ったというが…?

(2)賭博に負けなし(『小説すばる』2002.9/20頁)
 マルコは大ハーンと競馬の三番勝負をすることに。
 速い馬が生まれると大ハーンに献上されるこの国で、彼に勝機はみつからない。負ければ八つ裂きだが・・・。

(3)色は匂へど(『小説すばる』2002.9/19頁)
 大ハーンの使いで<常闇の国>へやってきたマルコは、そこの王からすげなく追い出されようとする。何度告げても、過去の使者が禁断の<闇の扉>を開けてしまったからだというが、マルコは王にあることを進言する・・・。

 <常闇の国>は北極圏の日本? あるいは黄泉の国か??

(4)能弁な猿(『小説すばる』2003.2/19頁)
 大ハーンの使者として、セイラン島へやってきたマルコ。
 彼は名高い<大ルビー>を手に入れんがため、<一の王子><二の王子><三の王子>にそれぞれ拝謁するが、三人はマルコに同じ質問をする。
 「そなた、猿と話すことはできまいか?」・・・。

 これはセイロン島だろう。

(5)山の老人(『小説すばる』2003.4/18頁)
 <山の老人>のもとを訪れたマルコ。
 捕まったマルコに老人は言う。
 「最期に何か一つ喋れ。それが正しければひとおもいに殺す。間違っていれば嬲り殺す」・・・。

 あまりに有名な暗殺教団<山の老人>伝説から。
 看守の若者の必死の相談にリンクさせているのが上手い。

 ちょっと感心して、娘に問題を出してみたら、なんと答えを知ってた・・・。
 『大人のクイズ』という本に載ってたという。
 ――独裁者と大思想家にキャストが変わっていたが、そのまんまやないか。

(6)半分の半分(『ミステリーズ!』vol.20/20頁)
 大ハーンの名代としてキンサイ王の前に出たマルコに、キンサイ側はこちらの儀礼に則るように求めたが、マルコに同行してきた使者は、そんな卑屈な態度を取れば、後ろから切り倒すと言う。・・・。

 キンサイは南チャイナの杭州
 ひとつの動作に二つの意味を持たせるには?

(7)掟(『小説すばる』2003.9/17頁)
 ただの水が葡萄酒に変わるなんて知らないが、逆なら知らないでもない。
 ケルマン国に赴く途中で<砂漠の民>に遭遇し、マルコ絶体絶命の危機に訪れた奇跡とは・・・。

 理屈はなるほど。
 <ネタバレ反転>燃えるほどのアルコール分がなくなったからといって、飲んでアルコール分を感じないとは思えないが。
 煮詰めれば
よいのかな。
 <僧侶>ヴォロッキオを皮肉る部分はさすが。宗教者ほど怖ろしい者はいない。

(8)真を告げるものは(書下ろし/22頁)
 ムトフィリ国に赴いた際、マルコは命を懸けて世界一の絵描きと勝負することになってしまったが…。

 上にアラビアン・ナイトを持ち出したが、この話に出てくるダイヤモンドを生肉で獲る話こそ、シンドバッドの話であったよーな。

(9)輝く月の王女(『小説すばる』2003.10/20頁)
 勇猛な美女として名高い大トゥルキー国の王女。彼女は自分を負かした者の妻になるというが、すでに100人以上が彼女に打ち負かされていた。大ハーンの孫が鼻息も荒く挑戦の旅に出かける王子にマルコも随行するが・・・。

 うーん、ノーコメント。

(10)雲の南(『小説すばる』2004.5/18頁)
 <雲の南>の住人は恥や苦痛よりも死を選ぶため、みな毒薬を携帯しているという。
 その地に過去に送られた大ハーンの使者たちは、すべて行方知れずになっているという。その新たな使者にマルコが立ったが・・・。
 彼が答えられなかった唯一の謎とは?

 マルコの行動が鮮やか。
 あらかじめ繋いでおいたとは、どこまで用意周到なのか。

(11)ナヤンの乱(『小説すばる』2004.9/19頁)
 若き日のフビライが叔父ナヤンの籠城を破るために作り出した新兵器とは?

 悲しいかな、わたしが想像したものは、レオナルドたちが考えたものと同じだった・・・。
 タタールの騎兵が、走りながら馬の血管を切り、必要なだけ飲んでは血止めし、走り続けたというのは史実だろうか??

(12)一番遠くの景色(『小説すばる』2005.3/18頁)
 旅に連れていって欲しい少年のマルコに、父と叔父が出した質問は、<星見の者>が見た一番遠くの景色はなんだったかというものだった・・・。

 この答えに、レオナルドたちはもっと文句を言っても良いように思うが、頁数の都合かな。
 問いに込められた父ニコロと叔父マテオの考えはすばらしい。

(13)騙りは牢を破る(『小説すばる』2005.6/21頁)
 タタールでは、大ハーンの朱印が捺された紙が、金貨の代わりになるという。  そんな話から、マルコが大ハーンの下を離れて戻ってくることになった経緯を話始める。  ついに囚人たちはジェノヴァの牢から出ることに。  その理由も面白いが、街角を曲がって消えるマルコに別れの寂しさを感じてしまうとは…。不覚だ。

(2016/11/28記)

Dふたり十兵衛 (2015)
谷津矢車角川文庫時代
300頁560円★★
§§ 左門友矩の造型は悪くない §§

 家光から勘気を被り、小田原で蟄居中の柳生十兵衛は、小田原城主阿部備中守から、最近城下をうろつく不逞な浪人たちの調査を依頼される。無聊をかこっていた十兵衛は、二人の護衛と共に城下を探るが、どうやら風魔が絡んでいるらしい。さらには、異国の武器をまとった剣士たちに襲われ・・・。

 宮本武蔵複数説というのがある。それを基にした御大五味康祐『二人の武蔵』なんて作品もあるから、そこからの連想だろう。
 宮本武蔵には若い頃の猛々しいエピソードと「枯木鳴鵙図」に代表される文化的な面があって、出生地も作州説と播州説があることから、複数説が出てきたのだと思うが、その意味では、柳生十兵衛にも2パターンのイメージがある。【注7】
 通常の設定はその間のどこかに着地させるので、そこを二人に振り分けるのかと一瞬思ったが、本書ではもひとつ奇を衒ってきた。
 なんと柳生の若殿の十兵衛は、身長五尺以下、眼鏡をかけた学者風の小男で、骨と皮だけの体である。
 そして、彼を護衛する家来が、剣の遣い手で隻眼の速水一兵衛。この二人で後年イメージされる処の“柳生十兵衛”というわけだ。
 その一兵衛が、いつものように十兵衛に間違われるところから話は始まるが、例によって、ほんの三、四頁目までに、「ぬぅっ!」「ぐおっ!」「ひいっ!」と感情語にびっくらまぁくが連発すると、期待が潮のように引いてしまう。
 実は十兵衛の護衛にはもう一人、影の忍びが常に寄り添っており、この三人チームで“柳生十兵衛”の活躍なので、『ふたり十兵衛』の題には少々嘘が混じっている。しかも、この忍びはツンデレ美少女だ。
 完全な少年マンガ設定だよ・・・。

 十兵衛と但馬守宗矩の親子関係が、お互いに尊敬、尊重しているが、同時に、間に線を引いて牽制しあっているという設定などは、なかなかの機微を含んでいるし、宗矩が表に出てこない代わりに配された左門友矩は、兄の十兵衛には皮肉たっぷりといった態度を見せ、なお一兵衛以上に腕が立つという、なかなか良い設定だと思うので、もう少し大人向けの文章であれば楽しめたかもしれない。
 しかし、例えば敵側に伴天連の武器を持つ剣士(ロングソードレイピア、護拳の丸い縦等を装備)などを配するのも面白いのだが、その設定を納得させるほどの背景描写もないので、一皮むけるのはかなり難しいか…。


【注7】@柳生宗矩配下の諜報組織のリーダー。A政治寄りの宗矩に反発して剣の道を追う求道者。

(2016/12/6記)

E383A Perfect Time for Pandas (2012)
Magic Tree House #48
A Mealin Mission
M・P・オスボーンRandom House
978-0-375-86826-9
英語多読教材
112頁図書館12,000語/YL3.5
語彙800語まで

E384LoveStory (1970/2000)
Oxford Bookworms Stage 3
R・ボーダー
(E・シーガゥ)
Oxford University Press
0-19-423008-2
英語多読教材
55頁図書館8,755語/YL3.4
語彙1000語まで

 『ある愛の詩』という名前で上映された映画が有名。この表紙もそこからだ。
 「愛とは決して後悔しないこと」という、誰でも一度は聞いた事がありそうなフレーズは、多分本作からきている。
 "Love means you never have to say you're sorry."

(2016/10/31記)

E優位戦思考に学ぶ
大東亜戦争「失敗の本質」 (2015)
日下公人/上島嘉郎
対談
PHP研究所歴史薀蓄
297頁1500円★★★★
§§ 刷り込まれた枠を疑え §§

 優位戦思考という語感は、保守中道のわたしでも若干身構えてしまうが、拡散思考のことだという。
 ものを考えるに、決まった前提条件に縛られるのでなく、その前提条件を疑ってみるということ。
 いわゆる太平洋戦争に関して適用すると、二度とアメリカに歯向かわないように日本人を徹底的に教育したGHQありがたいお教え

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