『フランス10日間徒然日記』 2000年5月21日(日)記

  
第9号
 
2日目の4―――年寄りの冷や水とは?/フランス彫刻・ギリシャ美術 の巻
  
2000.9.18 発行
  
 フランス彫刻

 せっかく見ようと思ったエジプトの展示室が休みなのは、残念だが仕方がない。
 あきらめて銀とふたり、先ほど見たライオンの彫刻あたりに何となくふらふらと寄っていく。
 このライオンのある展示室はフランス彫刻ばかりが集められたフロアだった。歴史や神話をモチーフにした彫刻類が多いので、意味がわかりやすいからけっこう面白い。

 ライオンの彫刻の足元を見ると、音声ガイドのマークがあるので、せっかくなので聞いてみる。
 すると、このライオンはバリーという人が造ったもので、「蛇を踏みつぶすライオン」というタイトルがついているそうな。確かに、よく見たら足元に蛇がいた。

 そしてさらに音声ガイドはこと細かにこの彫刻の説明をしてくれるのだが・・・長いっ!
 ヘッドフォンはひとつしかないから、とりあえずわたしが聞いて、その内容を口頭で銀に伝えていたのだけど、あまりにも説明の内容が長すぎるので、途中で面倒くさくなってしまった。

 しかもこの音声ガイド、作品の横には「ガイドあり」って表示になっているくせに、実際にそのガイド番号を本体に入力しても、「NO DATA」で情報が入っていないことがある。
 なめくさっとんのか? ルーヴル。30F(約471円)もしたのにー。

 というわけで、この音声ガイドはほとんど使わなかった。重くて邪魔で、わたしにとっては単なる役立たずである。くそー、30F損した。

 文句をたれつつも流れのままに、フランス彫刻を見て回る。
 まず足が止まったのが、村娘みたいな素朴な服を着た女の子の彫刻の前。何かを聞き取ろうとするかのように耳元に手をあて、少し首を傾げている。その足元にはなぜかひと揃いの甲冑。

 何だろう? 甲冑があるあたり、ジャンヌ・ダルクだろうか? と思っていたら、銀がタイトルを解読してくれた。いわく、「天の声に耳をかたむけるジャンヌ・ダルク」Jeanne d'Arc e´coutant ses voix]だそうな。
 おお、なるほど。それで耳元に手をあてているのか。

 そっか、これから神託を受けて戦場に赴くわけだから、今はふつうの女の子の格好なんだね、と銀とふたり納得しあう。
 

Jeanne1
ジャンヌ、正面から。
Jeanne2
ジャンヌ、やや斜めから。甲冑がよく見える。

 次に目にとまったのはヘラクレスの蛇退治。うーん、テーマがわかりやすい。

 その近くに威風堂々とした男性の彫刻がある。ナポレオンかなあ、と思ったらやっぱりそうだった。タイトルは「Napole´on en Triomphateur 」。「凱旋したナポレオン」という意味らしい。
 どうということはない彫刻なんだけど、着ているマントの蜂(ハチ)柄がかわいい。何か意味があるのかな? わからないけど写真に撮る。

 岩に腰かけて足元に手を触れている、帽子をかぶった若い男性のブロンズ彫刻がある。銀がマーキュリー(ギリシャ名はヘルメス、ローマ名だとメルクリウス)だろう、と言う。Bingo。

 タイトルは「Mercure attachant ses talonnie`er 」。
 どんな意味だと銀に訊いたら、「たぶん、『サンダルのヒモを結ぶマーキュリー』みたいな意味だと思うけど」とのこと。
 そのままやんけ。つまらん。もっとひねりの効いたタイトルをつけられないのか?
*「talonnie`er」=メルクリウスの「踵の小翼」の意
 

bee
蜂の模様、わかります?
Mercure
マーキュリー。ちとピンが甘い。

 ちなみにこの近くにあった女神だか何だかが鹿狩りをしている様子の彫刻も、「牡鹿を追いつめる狩りの精」Le Ge`nie de la chasse dit aussi Hallali du cerf ]だった。
 彫刻自体は神々しいテーマを扱っているので、つい威厳あるタイトルを期待してしまうのだが、どれも素直すぎるタイトルばかりで、何か拍子抜けする。

 ここでこのフロアはとりあえず行き止まり。ここは地下から2階まで吹き抜けになっている中庭を囲む回廊のような場所だったので、すぐ下の「ピュジェの中庭」という名前がついた展示室が見えている。ついでだから見ていこうか? と銀とふたり階段を降りる。

 ここも上階と同じで、古典的なテーマの彫刻が散在している。鉢植えの木やベンチも置かれていて、室内だけど開放的な雰囲気。

 階段のある壁際に、これまた立派な身形をした白い男性像がふたつ並んでいた。
 タイトルを見ると、左側にある足で鷲(わし)を踏んづけているヒゲをはやした方がハンニバルAnnibal]、右の手に細長い筒のようなものを持った若い男性像の方がジュリアス・シーザーJules Ce´sar]だった。ほっほー、なるほど、なるほど。
 自分たちが名前を知っている人物像だったので、ここでも記念撮影。
 

annibal
こっちがハンニバル。
cesar
で、こっちがシーザー。

 その向かいの壁際には、やたらとゴージャス&寓意盛り込みまくりな女性像と男性像がひとつずつある。
 女性像は「Marie Leszczynska en Junon」、男性像は「Louis XV en Jupieer」とタイトルがついている。
 むう、フランス語はわからないが、きっとそれぞれ「ジュノーに擬したマリー・何とかスカヤ」「ジュピターに擬したルイ15世」とか、そんな意味なんだろうな。

 マリー何とかはフランスの王冠とフランス王家のユリの紋章が刻まれた盾を持っていて、かたわらに孔雀(ジュノーの鳥)がいる。ルイ15世の方はユリの紋章がはいった筒を持っていて、そばには鷲(ジュピターの聖鳥)。

 ふうん、それぞれの人物を神様になぞらえられているわけか。本人が命じてそう作らせたのだとしたら、相当大胆というかツラの皮が厚いというか。

 その奥に、男性が女性に言い寄っている彫刻がある(笑)。
 身を忍ぶようなフード付きのマントを着ている男性が、自らの仮面を片手ではずしながら女性ににじり寄っていて、女性は岩の上にしなだれるように座りながら、余裕の笑顔で片手で男性を押しとどめている、というような構図。
 そしてそのかたわらにいる小さな天使が、唇に人差し指をあてて「シー(お静かに)」という仕草。

 この彫刻のタイトルは「Vertumne et Pomone」。
 「Vertumne」は、辞書にはっきり載っていなかったのでよくわからなかったのだけど、「貞淑」とか「天使」とかいう意味があるらしい。
 「Pomone」は「果実と花園の女神」という意味だそうな。おお、ホントだ、女性の側に花と果物があふれかえっている。
 しかし、これもふつうのタイトルだなあ。もっとただれたタイトルを期待していたのに。

 その他には、古い建物の外壁の装飾に使われていたらしい彫刻類が展示されていた。
 竜のファサード(入り口の正面)飾りなんかもある。さすが西洋風の竜。アジアで見るのと違って翼がでかい。
 

Vertumne et Pomone
ね、言い寄ってるでしょ?
dragon
いかにもな西洋の竜

 4組ワンセットの、たぶん昔は柱の飾りとして使われていたらしい、デフォルメされた人物像の彫刻群がある。
 「春夏秋冬」ととか「東西南北」を表しているのかと思ったら微妙に違うみたいで、「L'Ete´」(夏)、「L'Hiver」(冬)、「Vertmne」、「Pomone」(いずれも前出)でワンセットだった。それぞれ、自らを象徴する果物や植物を持っていたようである。

 ペルセウスが鎖でつながれたアンドロメダを怪物から助けているところ、という非常にテーマのわかりやすい彫刻発見。
 じゃあ、ゴルゴンの首はどこだー? と銀と探していたら、自分のすぐ目の前にあるペルセウスの足元に、剣と盾と一緒になって転がっていた。ひーっ、いきなりそんなことろにいないでくれ。

 それにしても、フランス人って神話とかをテーマに彫刻を造るのが好きなんだろうか? やたらと多いよな。

アンドロメダとペルセウス
とってもわかりやすい
アンドロメダとペルセウス
Milon de Crotone
がっぷりお尻をかまれてます。
世の中、いろいろな死に方が
あると思うが、これはいやだ。

 このペルセウスの彫刻があるあたりに、ライオンにお尻をかまれている男性のでーっかい彫刻がある。う、痛そう(っていうか痛い)。

 なんじゃこりゃ? と思いつつ試しに音声ガイドを聴いてみたら、ラッキーにも入っていた。
 いわく、このお尻をかまれている男性は「クロトンのミロン」Milon de Crotone ]という人で、かつてはオリンピックで優勝するほどの(何の競技だったかは覚えてない)力自慢な人だったらしい。昔のオリンピックでは優勝すると金でできた杯とリボンがもらえたそうで、その寓意としてお尻をかまれている足元にお皿のような杯とリボンが落ちていた。なるほど。

 で、この人は昔の栄光が忘れられなくて、いまでも俺はイケてるぜ! ということを証明するために木の切り株を素手で引き裂こうとしたら、その切り株の裂け目に手をはさまれて抜けなくなってしまったんだそうな。うん、確かに切り株に手をはさまれている。

 そして手が抜けなくて困っていたら、そこに狼がやってきて、このクロトンのミロンは逃げることもできずに狼に食い殺されてしまったそうな。彫刻ではこの事件をよりドラマチック(?)にするために、狼ではなくライオンで表現したとのこと。
 ふーん、なるほどねー、と銀とふたりうなずきあう。

 「ようするにこれって、『年寄りの冷や水』ってことだよね?」ということで銀と意見が一致し、以後この像がわたしたちの間で話題に出る時は、『年寄りの冷や水』像と呼ばれることになった。

 さて、そろそろフランス彫刻のフロアが終わりかな? というあたりに、4人の人物が背中合わせに座り込んでいるという巨大なブロンズ像がある。1階のテラスからも見えていたのでずっと気になっていたのだけど、いったいこれは何なんだろう?

 近くで見ると、この4人の人物はそれぞれ鎖で拘束されていたりするようだ。そしてみんな打ちひしがれたような表情でうつむき、周囲には剣やかぶとなどが散乱(?)している。

 彫刻の近くに雑誌スタンドみたいなのがある。よく見てみたら、本ではなくB4サイズくらいのプラスチック板がいくつも立てかけられていた。試しに引き出してみたら、プラスチック板の表裏に、そのフロアにある作品の歴史的な背景を説明した文章がプリントされていた。音声ガイドよりも言語数が多く、日本語版もある。こりゃ便利。

 その説明によると、詳しいタイトルは覚えていないのだが、これは「ネイメーヘンの和約」(※「今回のフランスMEMO」参照)という歴史的な事件を主題にした彫刻らしい。打ちひしがれた様子の4人の人物は、降伏した国だか何だかを象徴しているのだそうな(あいまい。どうも記憶が嘘に近い)。

 まわりの壁には「ネイメーヘンの和約」に関する資料や絵が展示されていたようなのだけど、「ネイメーヘンの和約」そのものが何なのかよくわからないので、見てもいまいちピンとこない。わかってりゃあ、もう少し楽しめるのに。残念。

 とにかく大きくて迫力のある作品だったので、みんなバシバシ写真を撮っていた。 

 ギリシャ美術

 フランス彫刻をざっと見終えて(一部だけですが)、お次はギリシャ美術の展示室へ。
 ギリシャ美術の展示室はドゥノン[Denon]翼にあるので、リシュリュー[Richelieu]翼にいたわたしたちはいったんチケット売り場になっているホールを抜け(後で知ったが、ここはナポレオン・ホールというらしい)、ふたたびエスカレータを昇ってドゥノン翼へ。

 最初の方は古代ギリシャ美術とかで、どこの国にでもありそうな土器のかけらなどが展示されている。
 これじゃギリシャなのかエジプトなのかよくわからん、などと文句を言いつつも見る。

 身体にぴったりとくっついた衣のドレープがガンダーラ仏を思わせる立像がけっこうある。タイトルを見ると「コレー」(スペル忘れた)と付いているものが多い。どんな意味だろう、と思っていたら、例のプラスチックの説明板に「若い娘の意」と書いてあった。なるほど。
 というわけで、若い女性をモチーフにした像はだいたい「コレー像」と名づけられていた。同じように男性像も「クーロス」という共通の名前で呼ばれているそうな。

 その他にも仏龕や三尊像を思わせる構造の彫刻があり、ああ、仏教ってギリシャ美術の影響を受けているんだなあ、と再認識する。

 あとギリシャ美術で目にとまったのは、つやのある黒い表面に、鮮やかなオレンジ色で絵が描かれている大きな壺。きれい。
 正面には竪琴を弾く人物像が描かれていて(裏は忘れた)、絵の上下にはラーメン丼のふちにあるような四角いうずまき模様が描かれている。
 うーむ、ギリシャ美術を見てラーメン丼とは、我ながらロマンがない。

 そんなこんなでギリシャ美術の展示室を見て回っていたのだが、いつの間にかエトルリア美術の展示室に入り込んでしまった。迷ったか?

 しかし、実際にはギリシャ美術の展示室はエトルリア美術とローマ美術の3つで1セットになっており、1階の半分はエトルリア美術とローマ美術で占められているのだった。ややこしい。

 そして今目の前にあるのは、ルーヴルでタダでもらえる案内図にも載っているエトルリアの「夫妻の棺」。
 どこが夫妻の棺かというと、棺おけの蓋の上に、生前の豪奢な生活ぶりそのままの夫妻が仲良くよりそって横たわり、半身を起こしている像がのっかっているのだ。まるで、ゆったりとくつろぎながら、にぎやかな宴会の様子を眺めているようでもある。ふむ。

 説明板によると、この時代の宴会は、こんな風に上半身を起こして横たわっている姿がふつうなのだそうな。

 説明にあったかどうか覚えていないのでわからないが、棺おけの中にも夫婦そろって入るんだろうか、これ?

 この次の部屋からローマ美術の展示室になる。最初に足を踏み入れた部屋は確か3Fまでが吹き抜けになっていて、天井から自然光がさしこんでいたと思う。大きな部屋だけあって、展示されているものも大きい。どこかの神殿の正面門かなんかがそのままはめこまれていたのではなかったか?

 その門の向かいの壁一面には、剣や盾を持った人物などの戦いの様子が刻まれたレリーフが飾られている。
 タイトルは、壁の右側が「MAGNE´SIE DU ME´ANDRE FRISE DU TEMPLE D'ARTE´MIS LEUCOPHRYE´NE」、左側は「MILET-FRAGMENTS DU TEMPLE D'APOLLON DI SYME´EN」(絶対書き留めてきたこのスペル、間違ってます)。

 辞書で調べてもいまひとつ意味がよくわからなかったけど、右側が「DU TEMPLE D'ARTE´MIS」だからアルテミスの神殿、左側が「DU TEMPLE D'APOLLON」だからアポロン神殿で、それぞれの神殿の外壁を飾っていた彫刻が展示されていたらしい。
 うーん、もっと詳しい説明があれば楽しめるのに。

 どうやら神殿に関連するものとしてなのか、直径1メートルくらいありそうなふっとい円柱の台座なんかも展示されている。
 確かにきれいだけど、よく持ってきたな、こんなばかでかいもの。

 さらにこの部屋の中央床には、抑えた色調のモザイク画が敷きつめられていた。一辺が8メートルくらいあるのでめちゃくちゃ大きく、おかげで何の絵が描かれているのかよくわからないので、きれいだねえ、と銀と感心しあっただけで通り過ぎてしまったが、後でこの絵には四季折々の狩りの様子や花輪を作る人などの風俗画が描かれていることが発覚。わざわざ戻ってきて見た記憶がある。

 タイトルはコンスタンティヌス時代の「四季のモザイク」というそうな。

 この部屋の次には、貴金属や貴石などで作られた装飾品を展示しているちょっと照明を落とした部屋があって、いつも通り金目のものを見た反射でウハウハした後、順路に従って次の部屋に移動すると・・・うおおっ、何じゃこの天井はっ!? 何というまばゆさじゃっ!!
 

豪華部屋・入口
この入り口をくぐると・・・

 
豪家部屋・天井
この天井である。
千葉の田舎者は、ただ見上げるしかない。

 いままでは大理石の白や黒、ブロンズの青や茶色、テラコッタの暗いオレンジ程度の色しかなかった展示室に、突然、金メッキをほどこしたゴージャスな額に縁取られた、ピンクや黄色、明るい水色で描かれた天井画が現れたのだ。
 うおー、まさに「豪華絢爛」という言葉をそのまんま絵にしたような天井画である。

 天井画は、雲の間にパステルカラーの鮮やかな色の衣をまとった、あるいは全裸の神々が集っている様子を表しているようだった。
 その周りの金の額縁も、すっごい手の込んだ彫刻がほどこされていて、うねうねとした草花の間に、白い天使や金色の翼を持った女神たちが飛び交っている。

 いやー、よくわかんないけど、思わず手をあわせて拝みたくなるぞ。

 この絵にはみんなド肝を抜かれるようで、一生懸命全体をカメラに収めようとしていたけど、何しろ数10メートルはある展示室の天井一面がこの絵なのだ。当然収められるはずもない。

 しかもこの天井画、この部屋1室だけではなかった。この後何室にも渡って続くのだ。
 はあー、お金をかけるスケールが違う。

 というわけで、この後は上を向いて天井画を見ればいいのか、下を向いてローマ美術を見ればいいのか、いまひとつよくわからなかった。
 ちなみに天井画の方は、一応説明書きが各部屋にあったようなのだけど、フランス語のみの記述だったので全然わからなかった。つまらん。
 でも、フランス王家のユリの紋章がついた青いマントを着た女神などがいたので、たぶんフランス王家をたたえる絵なんだろうなあ、と推測する。

 とりあえず展示物も見る。縦2メートル、横1メートル、深さ1メートルくらいある、石製の棺おけだか風呂おけだかがずらっと並んでいる。
 中をのぞきこんだらお湯を抜くための穴がなかったので、これは棺おけだろうという結論となる。

 この部屋で窓の外を見たら川が見えた。おお、これがセーヌ川か。パリに来て初めて見た。

 ローマ美術の部屋は、この後はまあ似たり寄ったりの人物像彫刻がえんえんと続く。飽きる。
 途中からは面倒くさくなって、ひとつひとつではなく気になったものを点々と見ていく作戦に切り替えた。全部の作品になんて付き合ってられん。

 そして12時頃、約1時間ほどギリシャ・ローマ美術展示室を見たところで、わたしと銀は力尽きたのであった。

おわり

  
 ● 今回のフランスMEMO 
 
ナイメーヘンの和約(Treaty of Nijimegen:1678〜79)

 今回、フランス彫刻を見ていた時に出てきた「ネイメーヘンの和約」。
 日本では「ネイメーヘン」と言ったり「ナイメーヘン」と言ったりするようです(ルーヴルの説明では「ネイメーヘン」)。
 でも、日本の本を読むと圧倒的に「ナイメーヘン」で載っていましたので、タイトルは「ナイメーヘン」にしました。

 ナイメーヘンは地名で、現在もオランダの都市として存在します。
 で、ナイメーヘンの和約ってのはこれだけで独立しているわけじゃなくって、日本ではネーデルラント戦争と呼ばれるオランダ戦争(Dutch War:1672〜78)とワンセットです。

 ネーデルラントとは現在のオランダ、ベルギー、ルクセンブルクおよび北フランスの一部を含む地域のことを指します。

 当時、フランスでは「ライン川自然国境説」を唱え、ライン川以南(南ネーデルラント。現在のベルギーあたりらしい)の土地を自国に帰属させようと戦争(フランドル戦争:1667-68)まで起こしたのですが、一部の都市は手にいれたものの、ほぼ戦争に失敗してしまいました。

 そしてその報復のため&オランダとの経済摩擦をきっかけに、フランス国王ルイ14世(1638-1715)はイギリスと手を結び、1672年ふたたびオランダを占領しようとしてオランダ東部に侵入したのでした。この戦争をオランダ戦争といいます。

 オランダはかなりやばいところまで負けてしまったのですが、オラニエ公ウィレム(後に名誉革命でイギリス国王として迎え入れられるウィリアム3世のこと)が総督になってからは巻き返し、1673年には国家存亡の危機から脱出しました。
 さらにその後、神聖ローマ帝国やスペイン、ドイツ、そして最初は手を結んでいたイギリスまでもがオランダ側についたため、フランスは孤立してしまいます。
 そしてついに1678年、ナイメーヘンの和約が締結され、戦争は終結したのでした。

◇      ◇      ◇

 こうしてあらためてネイメーヘンの和約を調べてわかったのですが、わたしの記憶していたルーヴルの説明書きの内容、違ってますよね、きっと(もちろん、わたしの記憶が)。
 あの巨大な彫刻は、本当は何を意味していたんでしょう? 謎を解くにはもう一度見に行くしかないですかね(笑)。

参考文献:
・ブリタニカ国際大百科事典 他

 

 ● 今回のおこづかい帳 
 
今回はなし

小計:0F
合計:196.89F(約3,091円)+16,360円

(※レートは2000年5月当時、1F=15.7円で計算しています)

 

 ● 編集後記 
 
 今回はフランス彫刻&ギリシャ美術展示室リポートでした。
 でも、後でルーヴルの見取り図で確認したところ、わたしたちが見てきたのはどうもフランス彫刻展示室全体の20%程度に過ぎないようです(笑)。
 それでも1時間かかりましたからねえ。ひとつひとつていねいに全部見てたら、それだけで余裕で1日かかりそうですね。
 というわけで、ルーヴルは必ず自分が見たい作品に目標を持ってめぐりましょう。

 そうそう、ルーブルをより楽しみたい方は、行く前にギリシャ神話を読み直しておいた方がよさそうです。

 わたしは帰国後、家にあったギリシャ神話の本を読み直したら、ちゃんと「年寄りの冷や水」の話が載ってまして、旅行に行く前に読んどきゃよかった〜と後悔しましたから(笑)。

 それではまた次号でお会いしましょう。

 


2日目の1――布に畳とはこれいかに?/バスティーユ近辺そぞろ歩き の巻

2日目の2――階段を昇って降りて/息切れしつつもメトロ初乗車 の巻

2日目の3――安いは必ずしも得ならず/ルーヴル美術館到着 の巻

2日目の4――年寄りの冷や水とは?/フランス彫刻・ギリシャ美術 の巻

2日目の5――何ゆえコーラがこんなに高いっ!?/ふたりだけでカフェに初挑戦 の巻

2日目の6――100メートルを突っ走れっ!?/グランド・ギャラリー の巻

2日目の7――適切な絵画管理とは?/フランス絵画 の巻

2日目の8――バラビュスに乗っておのぼりさん気分 の巻

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