『フランス10日間徒然日記』 2000年5月21日(日)記

  
第10号
 
2日目の5――何ゆえコーラがこんなに高いっ!?/......
              ふたりだけでカフェに初挑戦 の巻
  
2000.9.21 発行
  
 ルーヴルのカフェ

 ローマ美術の部屋をひととおり見終わって、前半の見学終了。とたんに全身の疲労がピークに達する。
 だめだ。もーだめだ。
 ここでいったん休憩を入れないと、ルーヴル美術館内で遭難してしまいそうなくらい疲れてるぞ。

 この時点でだいたい12時頃だったので、2時間半ほどルーヴル内をぐるぐる歩き回っていたのだが、ふだん椅子に座りっぱなしでなまった身体にはかなりきつい運動だった。

 休憩を入れた後もルーヴルを見学するつもりだったのだけど、重いばかりで役に立たなかった音声ガイドはもういらない、と返してしまった。
 むー、どう考えてみても、30F(約471円)の働きはしなかったぞ、お前。くそー、30F損した。

 銀がトイレに行っている間に、エスカレータ脇の空きスペースを利用したセルフサービスのカフェをのぞいて見る。コーラの500mlペットボトルやサンドイッチが見えるけど、いくらくらいするんだろう? とにかくのどが渇いたんで、何か飲みたいんだよね(モノプリ[MONOPRIX]で買ってきた水は荷物になるので持ってこなかった)。

 そして値段を確認すると、コーラの500mlペットは20Fだった。

 20Fって・・・ええっ、20Fっ!? 日本円に換算したら400円じゃんっ!!
※Attention! ちはるはフランス国内では1F=20円で計算していました)

 冗談だろ? どこの世界にたかだかコーラの500mlペットが400円もする国があるんだ? 日本だってそんなにぼったくらないぞ!(※でも昔、新宿のカフェテリアでコーラの350ml缶に300円払ったことあるなあ)

 しかし、どこをどう見てもファンタ、コーラ、スプライトといったコカ・コーラブランドの飲み物はすべて20F(約314円)なのだった。
 唯一のミネラル・ウォーターであるエヴィアンは13F。260円か・・・(実際にはもう少し安く約204円)。
 だが、待てよ? 昨日モノプリで買ったヴィッテル[Vittel]は2F(約31円)だったぞ。いくらブランドによる価格差があるにしても、これはひどすぎる。

 その他には、3角サンドウィッチが27F(約424円)、バゲットのサンドウィッチが22F(約345円)、ドーナッツやマフィン類は12F(約188円)、アイスはシングルが10F(約157円)、ダブルが15F(約236円)だった。

 ということは、一番安いサンドウィッチにエヴィアンを組み合わせると35F、約700円か・・・うーん、でも何か損してるような気がする。

 銀がトイレから戻ってきたので、カフェの食べ物の単価を告げると、やはりあの程度のものにそんな金は払えない、という返事。
 それに周囲をよく見てみたら空いている席がない。

 というわけで、外に休憩場所を求めに行くことにして、いったんわたしたちはルーヴルを後にした。

 ポンパドゥール・カフェ

 地下鉄駅からルーヴルに行く途中で見たフードコートにまず寄ってみる。
 キッシュやマフィン、チキンの香草焼きなど、食べ物自体はすごくおいしそうだったんだけど、コーラやミネラルウォーターのペットボトルの値段は16F〜19F(実際には約251円〜298円だけど、わたしの実感では320円〜380円)。どーなっとるのだ、この国は?

 さらにあきらめて建物の外に出ると、そこは一直線の道路の両側にクラシックな建物がずらーっと並ぶ通りだった。道の名前はリュ・ド・リヴォリ[Rue de Rivoli]というらしい。

 左右に視線をめぐらすと、今出てきたばかりのルーヴル美術館は、この通り沿いに数100メートルにわたって建物が続いていた。こんなにばかでかかたのか、ルーヴルって。

 横断歩道を渡ったすぐ向かいの通りに、免税店があった。日本人も利用する店なのか、日本語で書かれた宣伝文句が見える。
 その店の前では350ml缶の飲み物が売られていたので、いくらなのか見に行ったら12F
 だいたい240円(実際には約188円)か・・・。

 もしかして、ルーヴルから離れれば離れるほど、飲み物の値段が安くなるんとちゃう? ということで、もう少し歩いてみると、ルーヴル美術館のすぐ近くにあるホテル・ルーヴルとかいう名前のホテルの裏では、350ml缶が10F(ちはる的には200円、実際には約157円)だった。

 うーむ、確かに安くなっている。しかし、日本で350ml缶は120円で売られていると思うと妥協できん。

 しっかし、なんでこんなにコカ・コーラ製品、高いんだろう?
 アメリカものだからか? マクドナルド同様、この国の人たちはコカ・コーラを憎んでいるんだろうか? などとくだらないことを思う。

 うーん、うーんと銀とふたり悩みつつ、ルーヴル前のアンティーク街などを歩いているうちにカフェ発見。
 味気ない缶の飲み物を高い値段で手に入れるくらいなら、ちゃんとしたお店で食事したほうがいいなあ、という考えがふと脳裏をよぎる。

 それは銀も同じだったみたいで、行きたそうな様子を見せる。
 しかし、注文がねえ。憂鬱なんだよねえ。
 フランス語はおろか英語だってまともに話せないことを考えると、外国語で料理を注文するのが苦痛なんだよねえ。

 自分が嫌なことは他人に押し付けちゃえ、という実に明快な法則にのっとり、「お前が注文してくれるなら入ってもいい」と銀に言ったら「なんとかなるだろう」との答えだったので、ふたりでお店へGo!
 でも結局、店の中で注文する役割を果たしたのはわたしだった。Why?

 お店の名前はポンパドゥール・カフェ[Pompadour Cafe´]。パリのカフェの例にもれず、店の前の歩道は人ふたりが肩を並べて歩くのがようやっとなのにもかかわらず、ちゃんとテラス席が出ていた。根性だな。

 店の窓を見ると、外から見えるようにきちんとメニューが出ている。おお、さっすが資本主義。
 コーヒーは16Fほどだったと思うけど、その他の飲み物類はだいたい20F(約314円)前後。サンドウィッチも16F(約251円)前後である。
 ふむ。ま、そんなもんだろ。

 店の前まで来て、つい一瞬入るのをびびってしまったのだが、ここでぐずぐずしているほうがみっともない。勢いで入っちまえっ! と思ってたら、ちょうど観光客らしき白人の老夫婦が店に入るところだった。すかさずその後にくっつき、一緒になってお店の中へ。

 店内はちょうどお昼時だからなのか、けっこう混んでいた。
 先に入った老夫婦を見ていると、店員さんに何か言われた後、自分たちで席を選び座っている。
 ふむ、やはり席は好きに座っていいのか。

 空いてる席は、と見回すと、店の奥の方ががらがらだった。しかも窓際の席も空いている。
 よっしゃ、あの席Getと速攻向かい、座る。はあ、ようやく椅子に座れたよ。

 でも、その後なかなか店員さんが注文を取りに来てくれなくてまたびびった。まさか、席は案内されたところじゃないとダメだったのか? という考えが脳裏をよぎる。でも目が合ったらすぐに来てくれた。ほっ。

 この時わたしが頼んだのは、フルーツ・ジュース(23F:約361円)とクロック・ムッシュ[croque-monsieur](30F:約471円)。銀がクローネンバーグ(20F:約314円)とハムサンド[sandwich jambon:サンドウィッシュ・ジャンボン](16F:約251円)。

 サンドウィッチはいろいろ種類があったのだけど、中にはさんである具の単語の意味が全然わからん。幸い銀が意味を調べておいたらしく、ジャンボン=ハムとわかったのでことなきを得る。

 注文は、もちろん片言のフランス語と身振り手振り。
 品物の読み方は、クローネンバーグ(フランス語読みじゃないだろうけど)とかクロック・ムッシュは日本でもそう言うから問題ないんだけど、英語と似て非なるものが困る。

 きっとフルーツ・ジュースを意味する「jus de fruit」ってなんて読むんだ? 「ジュス・ド・フルーツ」か? と思いつつ店員さんにメニューを指差しながら「Un si'l vous plai^t」[アン、スィルヴプレ:(これ)ひとつ下さい]と言ったら、「ジュ・ド・フリュイ?」と確認を取られた。
 「jus de fruit」=「ジュ・ド・フリュイ」か。やっぱ全然発音違うんだな。

 注文を無事終えてふーっと一息ついたところで、ようやく店内をゆっくり見回す余裕ができる。
 ここは、カフェと名前がついていたけれど、夜はお酒がメインとなるのか、店員さんがつめているカウンターの周りの天井からは、逆さまになった10数本の酒瓶がサーバーに吊るされている。
 照明もオレンジ色のおさえた感じの光で、カフェと知らずに入ったら、まるでバーのような内装だった。
 

Pompadour Cafe
これがパリで初めて入ったカフェ

 注文した品物がくるまで、ルーヴルで買ってきた見学ガイド(49F:約769円)などを読んで待つ。
 日本や中国、韓国などの博物館や美術館に行くと、たいてい展示物の作品名は現地語と英語が併記されているものだけど、ルーヴルはまったくフランス語のみの表記なので、フランス語がわからないと何がなんだかさっぱりなので買ったのだ。

 ルーヴルなんて世界的な美術館で、どうして英語の表記がないのだろう、と悩んだけど、よくよく考えてみればヨーロッパでは英語が公用語の国ってそれほどない(と思う)。いっそフランス語を公用語として使っている国のほうが多いのではないだろうか?(スイス、ベルギー、ルクセンブルグ、モナコなど)

 そうか、ここはヨーロッパなんだなあとあらためて実感する。

 そして待つことしばし。飲み物と食事がやってきた。
 クロック・ムッシュは日本で食べるものと大差ない。しかし、ハムサンドには驚いた。

 わたしも銀も、サンドウィッチ[sandwich:サンドウィッシュ]と書いてあるから、てっきり日本のような食パンみたいなパンに具をはさんで3角形や長方形に切ったものがくると思いきや(実際、モノプリやルーヴルではそういうサンドウィッチが売られていた)、銀の前にどん、と置かれた皿には、20cmくらいの長さに切ったバゲットを横にかっさばいてハムをはさんだだけという、超シンプルなサンドウィッチがのっかっていたのだ。
 こ、これがハムサンド?

 しかし、後でわかったのだけれど、フランスでただ単にサンドウィッチというと、こういうスタイルのもののことを指すようである。
 なぜなら、別の店でメニューを見た時には、サンドウィッチの他にイギリス式サンドウィッチとかドイツ式サンドウィッチという名前のものが載っていて、わざわざ括弧書きで「これは3角形のサンドウィッチである」という説明がしてあったからだ。なるほど(※一部だけの話かもしれませんが)。

 お味のほうは、ハムサンド、クロック・ムッシュいずれも満足(^ ^)。それぞれを銀と半分ずっこにして食べた。
 ハムサンドなんて思いっきりシンプルな作りなのに、妙に(?)おいしい。

 食べて思うに、こちらはハムの味が全然日本と違うような気がする。日本のものもまずいとは思わないんだけど、フランスで食べたハムはたいていどれもすごくおいしかった。やはりこれも食文化の違いなのかなあ。

 食事を終えた後も、ガイドブックなどを読みつつ休憩。
 そして、さあそろそろ店を出ようか、という時点になって問題が発生する。

 というのも、わたしたちの注文の合計金額は89F。
 昨日旅行会社の人から、今時のたいていのカフェはサービス料込みだからチップはいらないよ、ただし、お釣りの小銭をチップ代わり置いていくけど、という話を聞いていた。
 でも、置いていく釣り銭って1Fでもいいのか? まさか100Fで11Fも置いてくるわけにもいかないし。そもそも、本当にこの店はサービス料込みなのかっ!?

 銀とふたり、テーブルの上に置かれていったレシートを見る。しかし、サービス料込みなのかそうでないのかを判断できる手がかりは見当たらない。
 それに、フランスではお代はテーブルで清算、という話も聞くが、ちっとも店員さん、ちっともこっちの様子も見に来ないじゃん。どうしよう?

 しかし、わたしにも銀にも解決の方法はない。
 「とりあえず、隣がどうするか見てみよう」というわたしの提案に従い、隣のテーブルを占めている5人組のフランス人の動向を見張る。時間稼ぎに2階のトイレなぞにも行ってみる。すると、この店は2階がパーティー用のスペースになっているらしく、テーブルや椅子が積み上げられていた。

 そんなこんなでしばらくすると、5人組の中の女性のひとりが席を立った。そしてカウンターに行き財布を出している。おお、レジまで清算に行ったのか。やっぱそれでOKなんだ。

 注文はわたしがしたので、清算は銀にやらせる。
 よって詳細は知らないが、銀はきちんと90Fで払って1Fを置いてきたらしい。えらい。

 あれこれ煮え煮えしたけど、ようやく2時頃店を出る。
 身体は休まったけど、やたらと気疲れするカフェ体験だった。ふう。 

 おわり

  
 ● 今回のフランス語 
 
単語末尾の子音・・・発音する編

 フランス語では基本的に単語末尾の子音は発音しない・・・って話、覚えてますかあ?(笑)

 今回出てきた「jus de fruit」=「ジュ・ド・フリュイ」なんかはほぼその典型でしたね。
 というわけで今回は、その例外のお話です。

 以前に紹介したとおり、フランス語では基本的に単語末尾の子音は発音しないのですが、

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c,f,l,rは発音することが多い
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
のだそうです。

 地下鉄の駅名で例を探すと、

・地下鉄10、13号線の「Duroc」=「デュロック」
・地下鉄12号線「Rue du Bac」=「リュ・ド・バック」
・地下鉄7号線の「Tolbiac」=「トルビアック」

なんかがこれに相当しますかね(発音しないものもあるかもしれませんが、ちょっとわからんです)。
 ワインの産地で有名なメドック[Me´doc]、フロンサック[Fronsac]も同じになります。

 でも、フランス語で「白」を表す「ブラン」は「blanc」で「c」を発音しませんから、やっぱり絶対発音するわけじゃないみたいです。

 「f」はあんまり例がなくて、7号線のポン・ヌフ[Pont Neuf]の「f」くらい。

 「l」と「r」は多いです。
 6号線のベル・エール[Bel Air]がずばりそのもの。
 「l」だけだと5号線のサン・マルセル[St Marcel]、RERのC号線上のジャヴェル[Javel]、「r」だけだと6号線のクレヴェール[Kle´ver]、人名にもなっちゃいますけど、2号線のビクトル・ユゴー[Victor Hugo]もそうなります。
 わたしたちがまぬけな話をした(第1号参照)「St Paul」もこの対象なので「サン・ポール」と「l」を発音します。

 「c」のように発音しない時もあるので、その違いはやはり経験で覚えていくしかないのでしょうね。

 では今回は以上です。

※このコーナーは不定期です。

  

 ● 今回のおこづかい帳 
 
ルーヴルのガイドブック:49F
        カフェ:44.5F(割勘)

小計:93.5F
合計:290.39F(約4,559円)+16,360円

(※レートは2000年5月当時、1F=15.7円で計算しています)

 

 ● 編集後記 
 
  カフェ・リポート第2弾でした。いかがでしたでしょうか?

 ルーヴルのカフェで売ってるペットボトルは本当に高いです。まあ、せっかくフランスまで来たんだからケチケチするつもりはない、という方はいいんですけど、わたしたちのような金銭感覚をお持ちの方は、飲み物はあらかじめ持参した方がいいかもしれませんね。

 まあ、結局わたしたちは外でルーヴルで売っているものよりも高いものを飲み食いしていますけど(笑)。
 小銭を追って大金を失うタイプなんですよね、わたしたちって。

 それではまた次号でお会いしましょう。

 


2日目の1――布に畳とはこれいかに?/バスティーユ近辺そぞろ歩き の巻

2日目の2――階段を昇って降りて/息切れしつつもメトロ初乗車 の巻

2日目の3――安いは必ずしも得ならず/ルーヴル美術館到着 の巻

2日目の4――年寄りの冷や水とは?/フランス彫刻・ギリシャ美術 の巻

2日目の5――何ゆえコーラがこんなに高いっ!?/ふたりだけでカフェに初挑戦 の巻

2日目の6――100メートルを突っ走れっ!?/グランド・ギャラリー の巻

2日目の7――適切な絵画管理とは?/フランス絵画 の巻

2日目の8――バラビュスに乗っておのぼりさん気分 の巻

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