| ■ 自動販売機
ルーヴル美術館[Muse´e du Louvre]を出て地下鉄駅に向かう。途中、どこかの土産物屋でものぞいていこうかとも思ったのだが、何となく気がのらなくてパス。
さて、これから後の予定はまったくない。
どうしようか? と銀と悩み、パレ・ロワイヤル[Palais Royal Muse´e du Louvre]駅のベンチに座って、ガイドブックを見つつ悩む。
すると、どうやら凱旋門[Arc de Triomphe]の近くに日曜日でも開いているドラッグ・ストアがあることが発覚。
じゃあ、まだ外も明るいことだし、凱旋門を外から見がてら、そのドラッグ・ストアへ安い飲み物でも買い物に行ってみようか、ということになる。というわけで、デファンス[La De′fense Grande Arche]方面へ向かう地下鉄に乗車。
電車の中はそこそこな混み具合。パレ・ロワイヤル駅からふたつめが、有名なコンコルド広場[Place de la Concorde]があるコンコルド駅だったのだけど、停車するために速度を落とした車内からふと駅のホームを見たら、自動販売機が見えた。
えっ、自販機っ!?
コンコルド駅に電車が停まる。さすがに有名な観光スポットのある駅のためか降車客が多く、その波に乗ってわたしと銀もいったんホームに降りた。ついでなのでその電車には再乗車せず、ちはる、銀をひっぱって自販機へと向かう。
自動販売機っていうと、対人関係を断絶させる悪の権化みたいに言う人がいるけれど、フランスにもあるんじゃーん、自販機。
日本の自動販売機はよくない、こどもの非行化や人と人とのつながりを希薄にさせる。だからアメリカのように自販機をなくせ、自販機のないアメリカは素晴らしい! と礼賛する人がいるが、ただ単にアメリカに自販機が少ないのは治安が悪いからだと思う。
そっか、フランスには自販機あるのか。
ということは、やはり旅行会社の人が言っていたように、パリの治安っていいんだな(ちはる基準)。
ちなみに売っていたのはネッスルのアイスティーやチョコレート・バーなど。飲み物は全部10F。
10Fっ!? たっけー。200円もすんの?(※実際には約157円)
自動販売機の飲み物がこんなに高いなんて。
どーなっているんだ、この国は?
(※Attention! 定価がわからないので、何とも言えませんが)
■ 危険で魅力的な撮影ポイント
ふたたび地下鉄に乗り、本来の目的地であるシャルル・ドゴール・エトワール[Charles de Gaulle-E´toile]駅にて下車。
階段を昇って地上に出ると、シャンゼリゼ方向から見て凱旋門の右斜め前に出た。おお、本物の凱旋門だ。
なんか、わたしの想像の中では、凱旋門ってもっと巨大なイメージだったので、そんなに大きくないな〜、というのが正直な印象。
このとき時刻はちょうど6時。まだまだ空は明るい。
行こうと思っているドラッグストアは、わたしたちのいるところからだと、いったんシャンゼリゼ通りを渡らなければならない。
なので、凱旋門をとりまくロータリーに沿ってぐるっとまわって、シャンゼリゼ大通りに出る。
そしてさすがシャンゼリゼ。パリで一番華やかな通りなだけあって、もういたるところに観光客があふれかえっている。
いままでいろいろな観光地にいったけど、こんなにあからさまに観光客がいっぱいいるところって初めてだ。
パリ市民なのか観光客なのかはわからないが、歩道でローラー・ブレードの練習をしている人たちなんかもいる。流行ってるのか?
とりあえずドラッグストア。ベンチに座って位置を確認後、さあ、初のシャンゼリゼ横断である。
信号の青の時間が短かったのか、わたしたちがもたもたしていたからなのか、わざとだったのかはよく覚えていないが、シャンゼリゼ通りの中央分離帯でいったんわたしたちは足を止めた。
すると、右手のすぐそこには凱旋門、左手のルーヴル方面にはグラン・ルー[Grand Roue]と呼ばれる観覧車がそれぞれ真正面に見える。
(*grand=大きい、roue=車輪)
おお、これはベスト・ロケーション!
シャンゼリゼでいっちゃん眺めがいい所なんちゃう?
――とわたしが感動していると、一緒に中央分離帯で信号待ちしていたスーツにノーネクタイ、大きなショルダーバッグを持った中国人が、横断歩道の中央分離帯を離れて、車道の中央分離帯をグラン・ルー方面へすたすたと歩き始めた。
ちょっと待ってよ。その両脇では車ががんがん走ってるんだよっ!?
一瞬、あぶないっ! と思ったが、当の中国人はこちらをふりむくとにっこり笑顔。そしてポーズを決めて連れの中国人に写真を撮ってもらっていた。
うーむ、おそるべし、中国人。
記念撮影のためには命も顧みないとは。
しかし、確かに写真を撮るには絶好のロケーションである。シャンゼリゼのど真ん中でグラン・ルーをバックにした写真なんて、よくよく考えればうらやましい限りだ。
というわけで、わたしたちも真似して、銀を凱旋門のど真ん前で撮ってやった。
勇気あるかたはぜひ試してみてみよう。
(※Attention! かなり危険な行為ですので、よい子はくれぐれも真似しないでください)

これが危険を冒して撮影した凱旋門。
ほぼ正面でしょ? |
■ ドラッグストア
シャンゼリゼを渡って、比較的すぐに目的のドラッグストアは見つかった。正確な名前は覚えていないが、ドラッグストア・ビュブリシス・シャンゼリゼとかいうんだったと思う。
さすがというべきなのだろうか、ドラッグストアといえども、テナントで入っているカフェはきちんとシャンゼリゼに向かってテラス席を出している。
そして店内は、細い通路の両側に、本屋や土産物屋、バーなどの間口の狭い小さな店舗がひしめきあっていた。
なんだ、ドラッグストアっていうからマツモトキヨシみたいなのを思い浮かべていたのに。これじゃ御徒町のアメ横センターじゃん。
食品売り場は1Fのフロアの一番奥にあった。うわっ、めちゃ狭っ。品数も少ないし。選ぶほど物がないな(※まあ、よく考えてみればシャンゼリゼにある店だから、小さくて当たり前かもしれませんが)。
それでも冷えた飲み物は売っていて、コカ・コーラなどのソフトドリンクはALL8F。
ようやく10Fを切ったわけか・・・それでも160円である(※実際には約125円。ほぼ日本の定価に近い)。
まあ、ここまで来て買わないわけにもいかないし、だいたいのどが渇いた。あきらめてコーラを買う。
さっそく外に出てコーラを飲んでたら、突然ばらばらと大粒の雨が降ってきた。うおっ、傘、ホテルに置いてきちゃったのに。
しかし、雨は降っていても空が明るい。すぐにやむだろうと見込んで、先ほどのドラッグストア内で雨宿りする。
ドラッグストア内は、結局食料品店にしか入らなかったんだけど、なんやごちゃごちゃいろいろな店が詰め込まれていてよくわからなかった。
ものすごい数の人が行列している店があって、何の店だ? と思って見てみたら、ただのたばこ屋だった。
何なんだろう? 日曜日にたばこを売っている店は、このあたりじゃここしかないとか?
いや、まさかな。カフェのテーブルに初期値で灰皿が置いてある国で、そんなこともあるまい。
どうもこの店では宝くじなんかも売っていたようである。日本のように、この店で買うと当たる! とかで有名な店だったんだろうか? 謎。
ゲームソフトなどを取り扱っている店もある。
お、バイオ・ハザード(Bio Hazard)のソフト発見っ!(←大のバイオ・ハザード好き) あ、ゲーム・ボーイもある。
へー、フランスにもプレステ(Play Station)やゲーム・ボーイってあるんだ。
ちなみにバイオ・ハザード3のお値段は510F(約8,000円)。高い。フランスでも人気あるのかな?
■ バラビュス[BALABUS]
雨が小ぶりになったので外に出る。すぐにやむ雨でよかった。
それにしても、山みたいに天気のよく変わる街だな、パリは。
帰りは地下鉄でなく、バスに乗ってみようか、という話になる。
確かに、地下鉄は早いし、言葉のわからないわたしたちにも使いやすい乗り物なんだけど、やはり外が見えないのでつまらない。
バスティーユ[Bastille]の途中までしか行かなくてもいいから、と思って、とりあえず路線を見てみることにする。
バス停には、パリの地図上にバスが走る路線とバス停が表示されていた。おお、これは土地カンのない外国人にもわかりやすい。
シャンゼリゼ大通りと凱旋門ロータリーが交わる近くにあるバス停から、バスティーユ方面に行くバスは3本ある。
ひとつは深夜バスなのでOut。後は、73のオルセー行きと、バラビュスというガール・ド・リヨン[Gare de Lyon:リヨン駅]まで行くバスがある。ガール・ド・リヨン行きはバスティーユ通るなあ。しかもこのバス、パリ市内の観光スポットをあちこちつないで走るんじゃん。これはいいかも。
ただ、けっこう長い距離を走るので、もしかしたら2ゾーン区域か?(カルネが2枚いるかも、という意味)。
なんてことを考えていたら、さっそくバラビュスがやってきた。
どうしよう。パリでバス(フランス語でビュス)に乗るの初めてなのに。
1ゾーンなのか2ゾーンなのかわからん。ひー、困ったっ!
バスの中で大汗をかくはめになるのはまっぴらだったので、せっかく来たバスを1本見送る。
しかし、路線図をよく見たら、凱旋門から終点のガール・ド・リヨンまでは1ゾーンだった。なんだ、悩む必要なかったな。
(※Attention! よーっぽど遠い距離を移動しない限りには、パリ市内ってすべてカルネ1枚=1ゾーンでOKみたいです)
15分か20分ほど待って午後7時ちょっと前、次のバラビュスが凱旋門のロータリーをまわってやってきた。今度は安心して乗り込む。
バスのステップをのぼるとすぐにカルネの自動刻印機がある。先客のまねをして機械に差し込んでスタンプしてから車内へ。
車内は混んではいなかったけど、座席はほぼうまっていて、ちらほらと人がたっている。わたしたちは一番うしろの広いスペースに立つ。
バスはまずルーヴル方面、東に向かって走り出した。この時は車道側の窓際にいたので、外の風景は「シャンゼリゼってごちゃごちゃしてるなー」程度の印象。
(※Web版Attention! この後バスはまずチュイルリー庭園脇をぬけて、ルーヴル美術館の中庭にあるバス停に停まりました)
やがてバスは右に曲がった。お、セーヌ[Seine]を渡るのか? と思っていると、やはりバスは橋に近づいていった。
なんて名前の橋だろう? あわてて成田でもらったパリの市街地図を見る。
セーヌ川には34本の橋がかかっているそうだが、いまわたしたちが見ているのは、1900年のパリ万博の際に完成したというアレクサンドル3世橋[Pont Alexandre III]だった。
へえ、もう完成してから100年もたつんだ。
橋のたもとの両脇には、大きな白い塔の上に金色の馬に乗った騎士像のようなものが、青空を背景にそびえ立っている。
うおー、すげっ。太陽の光を受けてきらきら輝いているぜ。
銀が、「あ。あの馬、翼がある」と言ったような記憶がある。実際、あの像はペガサスに乗った女神像だったようだ。
そして橋の上には両端に沿って、これまた一部に金メッキがほどこされたブロンズの街灯がずらりと並んでいた。
はー、パリは橋まで一味違うのう。
バスは橋を渡り終わると左に曲がったが、その時バスの右側にクラシックな形の建物が見えた。地図で確認すると、これはナポレオンのお墓があるので有名なアンヴァリッド[Ho^tel de Invalides]だった。
話は変わるが、セーヌ川はおおまかに言うと東から西へ流れている。
よって、パリをセーヌで区切ると、川の下流である西を向いた時に右側になるルーヴルや凱旋門のあるパリは右岸[リヴ・ドロワット]、いまバスがやって来たアンヴァリッドのあるパリは左岸[リヴ・ゴーシュ]になる。
その左岸を、バスはしばらくセーヌ川沿って走った。川の向こうには、さっきまでいたルーヴル美術館も見える。
いやー、こいつぁ眺めがいい。
そのうちにバスは、今度は左に曲がって橋を渡った。
え? もしかしてこの橋って・・・おおー、やっぱりポン・ヌフ[Pont Neuf]じゃんっ!
アレクサンドル・デュマの『三銃士』にも出てくるこの橋を、パリ滞在中に一度は見に来ようと思ってたけど、まさか今見られるなんてっ!
いいバスだーっ!!(ちょびっとしか見られなかったけど 笑)
ポン・ヌフは、パリで一番古い橋なんだけど、実は橋の名前の意味は「新橋」(*pont=橋、neuf=新しい)。まあ、できた当時は最新の橋だったんだろうな。
「オヤジの原宿」と呼ばれるヤニっこい東京の新橋とは違って、こちらのポン・ヌフは落ち着いた雰囲気の古い建物が立ち並ぶシテ島[Ill de la Cite´]の西側にかかっている。
そうか。じゃあいまわたし、シテ島にいるんだな(←地図確認中)。
このルートだと、もしかしてノートルダム大聖堂[Cathe´drale Notre-Dame de Paris]が見られるんじゃないか? なんて話を銀としながらふと窓の外に視線を向けたら、もうそこにバラ窓の美しい白い聖堂が見えていた。
うわあ、ノートルダムだっ! ノートルダムだっ!
もう、ちはる、おのぼりさんモード全開である(笑)。
もっとじっくり見たかったが、哀しいかな、これは路線バス。お客さんの乗り降りが終わるとあっさり出発してしまった。
うーん、ここは絶対もう一度来よう。
そしてバスは病院の側を通り、アルコル橋[Pont d'Arcole]かノートルダム橋[Pont Notre-Dame]を渡る。
この時、マリー・アントワネットも入っていたというコンシェルジュリー[La Consiergerie]が見えた。
この建物から多くの人が断頭台に向かったと聞くが、実際に見るコンシェルジュリーにはちっとも暗いイメージはなく、とんがりお屋根の連なるかわいらしい建物だった。意外。
パリの右岸に戻り、大きな道に行くと思いきや、リュ・フランソワ・ミロン[Rue Francois Milon:フランソワ・ミロン通り]という道の両側にお店がひしめきあう抜け道みたいな細い通りをしばらく走る。華やかなパリとは違って、生活のにおいがする。
バスはいったんリュ・ド・リヴォリ[Rue de Rivoli]に出たが、その後もまた細い道に入った。道を見ていると、右側にパリ市資料館が見えた。資料館のある角を右に曲がってリュ・ド・フラン・ブルジョワ[Rue de Francs Bourgeois]に入る。この通りには雑貨屋やブティックが多かったようだ。
この通りを抜けるとブルヴァール・ボーマルシェ[Boulevard Beaumarchais]にぶちあたる。地図で見ると、ぶちあたった所からバスティーユ広場までは200メートルくらいだ。そろそろ降車ボタンを押さなきゃ。でも、あんまり押すのが早すぎると、ずっと手前で降りなきゃいけないし。うー、いつ押せばいいんだ?
と、わたしが悩んでいると、銀が「あ、あそこに銅像がある」と言った。とっさに地図を見ると、そこには広場があった。どうもその広場にたっていた銅像(ルイ13世の騎馬像)だったらしい。
この時はバスを降りることに気をとられていて「あ、そう?」くらいの反応しかしなかったわたしだが、この銅像のある広場はもっとよく見ておけばよかった。
実は後で気づいたのだが、この広場の後ろにはビクトル・ユゴー記念館がある。そしてそこは『三銃士』の中に出てくるミレディーが住んでいた屋敷のある番地と一致するのだ。
結局この後、もう一度この広場付近を訪れることはできなかった。パリで『三銃士』史跡(?)めぐりをする予定のあったわたしとしては汚点である。
うーん、惜しいことをした。
それよりもバスを降りなきゃ。
バスが右折してブルヴァール・ボーマルシェに出たのと同時に降車ボタンを押す。日本と違ってピンポンとか音が鳴らないので、「本当に押せたのか?」と不安だったが(実際にはバス前方にあるお知らせ灯が光るので、それで確認できる)、ちゃんとバスは停まった。ほっ。
結局、バスティーユ広場の100メートルくらい手前にあるバス停で降ろされてしまったが、まあ全然知らない場所で降ろされるよりはましである。
とにかく、バスに無事に乗れてよかった。
これで自信がついたのか、フランス滞在中は何度かバスに乗った。
予想に反して日曜日なのにけっこう開いている雑貨屋や、バスティーユにある雰囲気のいいカフェなどを眺めながらホテルに戻る。
帰り道、リュ・ド・フォーブール・サンタントワーヌ[Rue du Faubourg St-Antoine]で「竹子」と漢字で書いた看板を掲げた日本食レストランを発見。「Cafe´ Banboo」だって。そのままやん。
おいしそうな持ち帰りのサンドウィッチ屋もある。
ああ、昨日ここを車で通った時に、サンドウィッチを食べながら歩いている人を何人か見たけど、ここで買ってたのか。
種類はかなりたくさんあって、パニーニのサンドウィッチが22〜24F(約345円〜377円)。シアトルズ・ベスト・コーヒーのパニーニなんかよりも全然おいしそう。一度くらい食べにきたいなあ。
しかし、この時はトイレに行きたかったので急いでホテルに戻る。
午後8時、ホテル着。
ホテルのフロントには、あの笑顔がすっごく素敵な黒人女性がいた。わたしたちの顔を覚えてくれていて、にこっと笑ってボンソワールと言うと、すぐに部屋の鍵を出してくれた。なんとなくうれしい。
部屋に戻って食事作り。
ハムとレタスのサンドウィッチに、カマンベール・チーズ、オリーヴ、レタスのサラダ。わたしはワイン。銀はワインとHeineken。

本日の夕食。貧しくも美しく。 |
食事後、銀とリュクサンブール公園近くの地図を見ながら三銃士たちの下宿先を確認してみる(アトスがフェルー街[Rue Fe´rou]でポルトスがヴュー・コロンビエ街[Rue de Vieux Colombier]など)。
意外と当時(17世紀)の名前のまま通りが残っていて驚く。
パリにまた戻ってこれたら、カルチェ・ラタンに行くついでに行ってみようか、なんて話しになる。
そうだ。パリにいられるのは明後日の朝までなんだった。
うまくホテルに空きができて、そのままずっとパリにいられればいいんだけど。明日は午前中に旅行会社に連絡入れて、ホテルに空きができたかどうか確認しなくちゃ。
はあ〜、憂鬱。
10時過ぎ、入浴、歯磨き、洗面。
日記を書きつつ就寝。
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