| ■ フランスの朝食
朝6時起床。
レースのカーテン越しにトゥール[Tours]駅前の外の風景を見たが、この時間は日が昇っていなかったのか、暗い。

明るい時間に撮影した部屋の窓からの風景。
左側の大きな建物がトゥール駅。 |
洗面、着がえ。
ごそごそ音を立てていたら、めずらしく声をかける前に銀も目を覚ました。
6時半、食事のために部屋を出る。扉を開けたら、この部屋がある2階の廊下にもコーヒーの香りが漂っていた。食事の時間はもう始まっているらしい。
階段を使って0階に降りたら、昨日同様、胸元でエプロンをしめたおばあちゃんが、ロビーのソファに座って新聞を読んでいた。
そしてこの日のわたしは寝ぼけていたのか、思いっきり元気よく「Good morning!」と声をかけてしまった。
むむ? と目を細めたおばあちゃんの顔を見て、「あ、しまった。ここはフランスだった」と思い出し、「Bonjour」と言い直すと、おばあちゃんは満足そうにうなずきながら、重々しく「Bonjour」と返してくれた。

部屋の外に出るとこんな階段がある。
日本の階段とはどことなく違う。 |
さて、「朝ご飯はどこですか?」ってどう言えばいいんだろう? とぼんやり考えていると(後ろから銀がプチ・デジュネだ、とささやいていたような気がするが)、おばあちゃんの方から「Breakfast?」(朝食?)と訊いてきたので「イエース」とうなずくと、「あの部屋に行きなさい」というようなことをフランス語で言いながら、ホテルの入り口左脇の部屋をおばあちゃんは示した。ああ、あそこがダイニング・ルーム(食堂)だったのか。
ダイニング・ルームに入ると、正面の壁に大きな鏡がかけられていて、部屋の中央には大きなテーブルがひとつ、そのまわりにふたり用のテーブルと椅子が並べられていた。
ふたり用のテーブルは、大理石の天板に濃い緑色のタイルが張られている。
白い壁には、白地に青い絵柄が描かれた東洋っぽいお皿や、その他いろいろなお皿が飾られていた。壁に皿を飾れるなんて、地震のない国だからできることだよなあ、と思う。
入り口左側は大きな窓になっていて、本来なら駅前が見えるはずだが、窓にぺたぺた観光案内のポスターが貼ってあったりして、あまりよく外が見えた記憶はない。
適当なテーブルに席を決めて座ったが、周囲にはまだ誰もいない。
食事が来たら、人がいないうちに写真をとらなくっちゃ。
おばあちゃんに「何とか?」と訊かれる。どうも朝食の飲み物を訊かれているらしい。
何があるのかな、と思っていると、「Cafe´[カフェ]、The´[テ]、Chocolat?[ショコラ]」(コーヒー、紅茶、ココア)と教えてくれた。
しかし、ショコラって何だ? ととっさにはわからなかったので、とりあえずわたしがコーヒー、そして銀が紅茶を頼む。
後でショコラ=ココアとわかり、んじゃ明日はココアを頼んでみようと考える。
そして待つことしばし。
おばあちゃんが、その小さな身体にはずいぶんと大きく見えるお盆を抱えて登場。そして、どうだっ! という顔でテーブルに置かれたお盆の上にのっていた朝食はとってもシンプル。クロワッサンとフランスパン、それにアンズと木イチゴのジャム、バター、各自が注文した飲み物のみである。

これがフランスの朝ご飯 |
おおー、フランスの正しい(?)朝食はパンと飲み物だけって聞いていたが、本当なんだな。
考えてみりゃ、朝食はずっと自分たちで作っていたので、フランスの正統な朝食を食べるのはこれが初めてだ。
いつもは気疲れするからイヤなんだけど、その国の文化が見られて、たまには外食も良いものだな、などと思う。
さて、おばあちゃんが厨房に姿を消したところで急いで記念撮影。
コーヒーと紅茶はカップにではなく、ピッチャーやポットに入れられてテーブルに運ばれてきた。
ピッチャーはみっつあり、中身はコーヒー、お湯、温めたミルク。ふうん、紅茶はお湯がなくなったら足して、あとはそれぞれ好きにブレンドしろってことね。
カップが空のまま写真を撮るのも何なので急いで注ぐ。
紅茶はミルク・ティーにしたらちゃんと茶色くなったが、コーヒーはミルクで割ったらなぜか灰色になった。
なぜ? これじゃあフランスでカフェ・オ・レ色っていったら灰色になっちゃうじゃん。
やはりコーヒーがものすごく濃いせいだろうか。悩む。
何はともあれ写真を撮り終えて食事。
フランスパンはこれが2度目だったが、気分的にくつろいでいるせいか今回のほうがおいしい。クロワッサンはバター練りこみまくりっていうのがよくわかるほど風味が強い。
本場で初めてクロワッサン食べたなー、とちらと思う。
■ アンボワーズ行きのバス
7時20分頃、ゆっくりした食事を終え、部屋に戻って簡単に身支度。そしてすぐに階下へ。
フロントでおばあちゃんの旦那さんらしきおじいさんに会ったが、あいさつ以外は特に何も言われなかった。ということは、わたしの「もう1泊したい」という英語は通じていたんだな。よかった。
7時30分、外に出る。
まずは、何時にアンボワーズ[Amboise](oi=オワ)行きのバスがあるのか、それとバスの切符はどこで買えばいいのかを調べなきゃ。
昨日のバスターミナルの案内所で訊いてみよう、と思って足を運んだのだが、なんと、まだ案内所の入り口シャッターは開いていなかった。
ええ〜、そんなあ〜〜
ちはる・銀、いきなり途方に暮れる。
とりあえず何か手がかりはないか、とバスターミナル付近を歩きまわったり貼り紙を見たりしたが、わたしたちにはこれといって何も情報は手に入れられなかった。
まずいよ、やばいよ、まだ朝だぜ? 初っ端からこれかい、と思いながらふりだしの案内所に戻ってみると、ラッキーにも案内所の人が入り口のシャッターを開けているところだった。
あー、なんだ。7時半ちょっと過ぎからここは営業開始なのか。焦らせないでくれよ〜
急いでいるので、すぐに中に入る。
しかし、うっ、中にいるのは欧米人ばっかりだ、と思ってちょっとびびってしまったが、案内所の人らしい女性が「May I help you?」(何かご用ですか?)と英語で話しかけてきてくれた。
それでもやはり一瞬、小心者ちはるは心の中で「ひーっ」となっていたのだが、ここでびびって退いたらロワールの城めぐりはできん。
心臓をばくばくさせながらも、「とぅ、Today, we want to go to Amboise and Chenonceaux.」(今日、アンボワーズとシュノンソーに行きたいんですけど)とめちゃくちゃ中学生英語で言うと、「あー、なんだ、そんなことなの」という様子で、女性はカウンターの向こうにまわり、折りたたみ式の時刻表を出してこれとこれとこのバスに乗りなさい、と丸を付けてくれた。
あ、時刻表があるんだ。
その時刻表はどこかでタダで配っていそうなものだったが、とりあえず外では見かけなかった。
なので、その丸を付けてくれた時刻表がほしかったので、「ぎ、give me this?」(これ、くれます?)とこれまた思いついた単語を並べただけの中学生英語でおそるおそる訊いたら、「もちろん、どうぞ」と差し出してくれた。

これがその時もらったバスの時刻表
「Amboise->Tours」となっているが、
シュノンソーまでも載っている |
しかし、バスの時刻を教えてくれたのはありがたいんだけど、どっちかっていうと切符を売ってほしいんだよね。
で、さらに「Where can I buy a ticket?」(どこで切符は買えますか?)と訊いたら、「ブース」という答えが返ってきた。
ブース(booth:売店)? どこか別の場所にチケット・ブースがあるのか、と思わず外に視線を向けてしまったが、銀が「バスって言ってるみたいだよ」という。
ああ、「bus」(バス)。フランスじゃ「ブース」って発音するのか?
(※Attention! 実際には「bus」=「ビュス」なので、わたしの聞き間違いか、あるいは「today」=「トゥダイ」と同じ理屈かもしれません)
じゃあ、切符はバスの中で買えばいいのね。
ひと通りのことがわかって、ようやく安心。礼を言って外に出ようとしたら、「Seven」と女性がわたしたちの背に声をかけた。7番乗り場に行って、ということらしい。重ねがさね感謝である。
外に出て時刻表を広げると、案内所の女性がくれたのは、トゥール→アンボワーズ→シュノンソー→モンリシャール[Montrichard]をつなぐバスの時刻表だった。
見ると、女性が丸を付けてたのは、トゥール8時出発のバスだった。
そして8時の前後には、なんと7時出発と10時出発の便しかない。
ひゃー、8時の便に乗れなかったらえらいことになってたんじゃん。
早めに手を打ててよかった、とつくづく思う。
(※Attention! 後述しますが、トゥール→アンボワーズをつなぐバスは、午前中はこの3本しかありません。移動手段にバスを考えている人はくれぐれもご注意を)
7番乗り場に行くと、正面の窓に「Amboise」と書いた紙が出ているバスがいたが、そのバスが止まっているターミナルの電光掲示板には別の時刻と行き先が出ている。
わたしたちが間違っているのか? と思ったが、確かにあの女性は「Seven」と言った。信じてその場で待っていると、途中からちゃんと「8:00、Amboise」に表示が変わった。ほっ。
わたしたちは7時45分くらいからバス停で他の乗客と一緒に、寒い中バスを待っていたが、肝心の運転手がなかなか来ない。
早く来てバスに乗せてよーと思ったが、結局運転手がやってきたのは8時5分前だった。
日本なら運転手が早く来て、乗客をバスに乗せてくれるよなあ。ここはフランスだなあ、としみじみ感じる。
乗車が始まったが、わたしたちは列の後方へ移動。というのも、どうやってみんなが切符を買うのか確認したかったからだ。
だが、わたしたちを除く他の乗客は、なんと全員定期利用。地元客ばかりなのである。
ふうん、これってごくごく普通の路線バスなのか。
仕方がないので他の乗客のじゃまにならないよう一番最後に乗り込み、後ろにいる銀を指さしつつ「Amboise, duex, si'l vous plai^t.」(アンボワーズ、ふたり、お願いします)と必要そうな言葉を並べると、さすがに通じた。
値段はひとり13F(約204円)。
ちなみにこのバスはゾーン(zone)別に料金が分かれていて、トゥールからアンボワーズまでは2ゾーン、アンボワーズからシュノンソーまでは1ゾーンになっている。
値段は1ゾーンが6.6F(約104円)、2ゾーンが13F。
(※Attention! トゥールからシュノンソーは2ゾーンです)
フランスにいた当時はあまり考えなかったが、いま思うと安い。

トゥールからアンボワーズに行く時に
使ったバスの切符。これは2ゾーン。
バスに乗って運転手さんから買った。。 |
|

これは時刻表の裏の一部。
バスの料金は3つに分かれていて、
1ゾーンはいくら・・・というように
載っている。便利。 |
バスの中は、通路の左右にふたり用の座席が並んでいた。
かなり空いていたので、銀とふたり、バス右側の座席に前後ひとりずつで座る。
そしてバスはわたしたちを乗せて、ちゃんと8時に駅前を出発した。
|