| ■ 装飾芸術博物館[Muss´edesartsde´coratifs]
サン・トノレ街[RueSt-Honore]のサンドウィッチ屋さんを出た後、銀の希望で装飾芸術博物館[なるところへ行く。
そんな博物館があるなんてわたしは全然知らなかったが、この博物館はルーヴル美術館の一部らしい(ただし料金は別)。
ルーヴル美術館には、なんぞ「大ルーヴル計画」などというものがあるそうなのだが、まあこれはようするに膨大な展示品やコレクションの再整備と再編を目的としているのだそうな。
で、その一環として「装飾」に関する展示品やコレクションがこの装飾芸術博物館に集められたらしい。
装飾といってもアクセサリーではなく、わたしの見た限りではタペストリや祭壇、絵画など、建築物の内外を装飾しているものが展示されていた。
主に時代は13世紀から16世紀のものが集められているそうな。
装飾芸術博物館は地図で確認すると、ルーヴル博物館の最西端にある。
というわけで、ルーヴル博物館をリヴォリ通り沿いにチュイルリー庭園方面へ歩いて行く。
わりとあっさり装飾芸術博物館発見。4時ごろに入る。ここは6時までやっているので、まだまだ見られる。
料金はお一人さま35F(約550円)。博物館は建物の3階にあった。係りの人に案内されて、エレベータで向かう。

装飾芸術博物館のチケット |
|

こちらはガイド。フランス語のみ。 |
博物館というよりは、画廊のようなガラス扉を開けて中に入る。
まず最初に展示されていたのは教会内部の装飾品。中世博物館でも見たような、三面鏡型キリスト教式仏壇(祭壇)がある。
いくつかあったと思うのだが、石でできた祭壇もあった。
祭壇のひとつでは、三面のうち一番左側でキリストが生まれ、正面で十字架にかけられ、右側で復活していた。
なんか、他人に自分の人生をさくっと三分割されているようでイヤだ。
「キリストの顔がうつった聖骸布を持つ聖ベロニカ」という文字がメモに残っている。これは絵だったかもしれない。
タペストリや家具などが展示された部屋もいくつかある。
しかし、家具の方はあまりわたしの心の琴線には触れなかったらしく、ほとんどメモが残っていない。そのかわり、タペストリの方は何枚か記述がある。
その中に、怪獣やらなんやら人の姿をしながら人ならぬものがたくさん描かれているタペストリがあった。なんじゃ、こりゃ?
木の幹に人の顔がうきあがっていたり、骸骨があったり。
ショーモン城でメデューサの首から血がプッシューと吹き出しているタペストリにも驚いたけど、これはこれでまた気味が悪いな。
タイトルは「Alle´gorie de la Vanite´ des Volupte´s at grottesques」となっていた。
グロテスク(grottesques)。おお、やはり気味が悪くてあってるのか。
アレゴリー(英語ではAllegory)は、以前にもマリー・ド・メディシスの絵の項で触れたけど「寓意」とか「寓意像」の意味がある。
もう少し詳しく調べると、アレゴリーとは形をもたない抽象的な概念や思想を、具体な形で表現することによって暗示する表現方法だそうなんだけど、その手段として擬人化したり、擬動物化したりするんだそうな。
「Vanite´」=「虚栄心、うぬぼれ」、「Volupte´」=「快楽、悦楽」なので、文章のどこが切れ目かわからないが全体としては、「虚栄心のアレゴリーとグロテスクな快楽」か、「虚栄心と快楽のグロテスクなアレゴリー」というような意味であろう。
この絵の他にも、グロテスク(?)なタペストリはいくつもあった。
(※Attention! もしかしたら絵画だったかもしれません)
まず「la Jugement dernier」[最後の審判]というタペストリ(これは絵画だったかも)では、絵の内容が左右でわかれていて、右側は地獄、左側は天国になっている。
地獄側では、人が火あぶりになったり釜ゆでにされたり首を吊られていたり串刺し(!)になっていたり。
おおー、地獄でされることが日本の地獄絵図と変わりないな。
一方左の天国側では、まるで天使がツアー・コンダクターのように穴から出てくる人々を天国へと案内している。えらい違いだ。
「Tentation de saint Antonie」[聖アントニーの誘惑](JeromoBosch作)のタペストリでは、具体的な絵の内容は覚えていないのだが、メモには「遠くで火事が起こっていて、怪物がたくさんいる」と書いてある。
誘惑か。聖人というのは、とりあえず悪魔に誘惑されるものなのだな。
帰国後、この博物館でもらったパンフレットを見直していたら、
les grottesques
deparement Moyen A^ge Renaissance
と書かれたパンフレットもあった。
全編フランス語なので全然読めないが、ちょうどこういうグロテスクをテーマにしたタペストリや絵画を集めていたのかもしれない。

グロテスク展? のパンフレット。
フランス語なのが残念。 |
グロテスクな絵もあれば、ほのぼのした絵もある。
「Les Bu^cherons」はたくさんのきこりと動物が描かれたタペストリ。
「bu^cherons」=「きこり」なので、そのものずばりな絵柄である。
きこりといっても斧で木を切り倒しているだけでなく、のこぎりを挽いたりなたを振るう人もいた。
動物はライオン、うさぎ、犬、リス、いのしし、狼、鹿、豹、猿、馬など各種。
いくらなんでも、フランスの森にライオンはないと思うが、まあよかろう。
「Charles d'Orle´ans et Marie de Cleve`s」という絵の中では、「じょうろ」を発見っ!
じょうろといっても今わたしたちが見るような形のものではなくて、観音様が手に持っているような首の長い瓶(へい)のまるい胴体部分にいくつも穴があけてあって、そこから水が四方八方にふりまかれるという構造。
へえ、昔はこんなので草花に水をあげてたんだ。
正確なタイトルは憶えていないが、「VENVS」という文字が書かれたタペストリがあった。「N」は正確にはロシア文字のように左右が逆になっていた。
(※Attention! →「И」。文字化けしてないかな?)
何語なんだろ? この時代だからラテン語だろうか?
絵は、ヴィーナスがぶどうの木でつくられたアーチをキューピッドと一緒にくぐっているという図柄。
ぶどうの木が豊かに茂り、周囲には神獣がいて、とっても豊穣なイメージ。
同じタペストリなら、こっちの方が部屋に飾るにはいいな。
このタペストリの近くには、百科事典になりそうなほどたくさんの種類のフルーツと野菜と動物を描きこんだタペストリもあった。おもしろい。
このタペストリは写真を売ってたらほしかったが、残念ながら見当たらなかった。
この他、香炉や板に描かれた絵などを見る。
全部で50分くらいしか時間はかからなかった。
本当はこの博物館、完成すれば4階も見られるのだが、この時点ではまだ完成していなかったようだ。
しかし、たった50分程度の見学で35Fは高いなあ、とみみっちいことを考えたが、実はまだまだ見るところがあったのだった。
|