| ■ お土産を買いにスーパーへ
夕飯の買い物のために、ホテルへ戻る前にスーパーに行くことにする。
だが、昨日行ったホテル近くのスーパーは、規模もそれほど大きくないのでつまらない。
今日は夕飯だけでなくお土産もスーパーで買おうという計画があったので、もっといろいろなものを売っているスーパーの方がいい。
そこで、ちょっと歩けば他にも何か店があるだろう、と銀とふたり、ラ・デファンスの駅からホテルの前をぬけて北へとどんどん歩いていってみる。
初めてラ・デファンスに来た時にも説明したが、このあたりは人が活動する場はすべて人口台地の上にある。
詳しいことはちょっとわからないが、その人工台地はわたしたちの滞在するホテル(シタディーヌ)があるエスプラナードゥ・ドゥ・ラ・デファンス[Esplanade de La De´fence]駅から一駅先のラ・デファンス・グランドゥ・アルシュ[La De´fence Grande Arche]駅まで続いているらしい。
そしてメトロの北側、セーヌ川寄りから人工台地の街は1区、2区・・・と区割りされ、グランドゥ・アルシュ駅のはしっこが7区になり、今度は折り返してメトロの南側がセーヌ川に向かって8区、9区・・・となり、1区のメトロをはさんだ反対側が最後の11区となる。
わたしたちのホテルがあるのは1区なのだが、となりの2区、3区に移動するためにも、やはり地上に降りる必要はない。人工台地と人工台地をつなぐ橋を渡っていけばよい。
でも、逆にいうとその橋を渡らないと隣の区へは容易に移動できない。
地図で見る限り、隣の区に行くための橋は1本か2本しかないので、とっても不便。
ここって非人間的な造りの街だね、と銀と話をする。
畑や田んぼをつぶして造られた無機質な街から来たわたしたちが言うのだから、相当なものだろう。
で、わたしたちはスーパーを探すために地上に降りたかったのだが、1区から地上に降りるための階段を見つけることができなかった。
しかたなく隣の3区まで移動し、どうにか地上に降りる階段とエレベータを見つける。
はあ。アスファルトとはいえ地上がこんなに懐かしく思えるとは。
その後、わたしたちはリュ・ルイ・ブラン[Rue Louis Blanc]という通りをさらに北上した。
しかし、通り沿いには人気がない。ビルはいくつかあるのだが、人が集まるような施設や店舗がまったくない。
そういや、1区の人工大地の上でも、ほとんど人を見かけなかった。
あたたかさに欠ける街だなあ、とつくづく思う。
それでもまもなく十字路が見えてくると、人の姿がちらほらと見えるようになった。
その人々の中に、明らかにスーパーの袋と思しきビニール袋を手に下げてこちらに歩いてくる人を発見。
む、近くにスーパーがあるな。
十字路に到着すると、左側のリュ・ドゥ・ブゾン[Rue de Bezons]方面からさらにスーパーの袋を手にこちらに歩いてくる人がいる。
ということは、この先にスーパーがあるのか。
この時点ですでに駅から15分近く歩いていたが(歩調はゆっくりで、地上に降りるため多少迷った)、わたしたちはスーパーを求めてさらに歩きつづけた。
そしてさらに5分以上歩きつづけて、大きな交差点の右手に大型スーパー発見っ!
やった! 疲れた身体にむち打って歩いてきたかいがあったよ。
後で地図で確認したら、ここはリュ・ドゥ・ブゾンとアヴニュ・ギャンベットゥ[Avenue Gambette]が交差するあたりで、近くにはホテル・メルキュールがあった。
まあ、駅からは1km近く(以上?)離れているし、まわりには特に何もあるわけではないので、地元客でもなければこんなところまで買い物に来る物好きはあまりいないかもしれない。
とりあえず建物内に入る。
すると、中は時計屋さんやら玩具屋さんやらいくつかの店舗が入った商店街になっていた。
商店街といってもパッサージュとかギャルリーなどのような趣のあるものではなく、日本でもよく見るごくごくふつうのショッピング・モールみたいな感じだ。
へえ、やっぱりパリもラ・デファンスまでくると、今時の人々が暮らす平均的な街になっちゃうんだな。
その商店街の奥にスーパーを発見。おお、これはかなり巨大だ。
スーパーの名前はSupermarche CHAMPION。
たくさん買い物をする予定があるので、ふたりそれぞれカートを押す。
大きなスーパーだから、当然品数も豊富。ふたりであれこれ迷う。
大きなピザなどが売られているお惣菜コーナーや野菜売り場、お肉売り場などを眺めた後、とりあえず会社のお土産選びにお菓子コーナーへ。
とにかく安くて量の多いやつ、と思っていたら、なんと500g入りのクッキーが7F(約110円)。安い!
それもいろいろな種類の入っているけっこう手の込んでいるもので、とても日本ではこれと同じ品を同じ値段で買うことはできないだろう。
というわけでこのクッキー、Get。
その他、全粒粉のクッキーとチョコレートの間にオレンジジャムがはさまっているという、どこか懐かしいクッキーもGet。こちらは5.1F(約80円)。
これで会社のお土産はおしまい。総額200円未満である。
これはわたしがケチなのではなく、フランスのコスト・パフォーマンスがよいからだ。
ありがとう、フランス! 外食は高いけどスーパーの食べ物は安い。
次にわたしが目をつけたのは缶詰。絶対フランスに来たら買っていこうと決めていたものがあるのだ。
それは何かというとクスクス。
クスクスといえばアフリカ料理で有名だが、フランスは地理的に地中海をはさんでアフリカと向き合っているせいなのか、アルジェリアなどのアフリカの国々を植民地にしていたせいなのかは知らんが、日常食にアフリカ料理が入り込んでいるそうなのだ。
その代表がクスクスというものらしい。
わたしはアフリカ料理の店に食いに行ったことがないので、クスクスの正しい姿というのも見たことはない。
しかし調べてみると、クスクス自体は小麦粉から作ったパスタを細かく砕いたようなものだそうだ。
そのクスクスを味付けして煮るだか、蒸してスープをかけるだかするとできあがりらしい。
まあ、よくはわかっていないが、とりあえずフランスに行ってクスクスを売っていたら買ってこようと思っていたのだ。
そうして棚に並ぶ缶詰を見ているうちにクスクスを発見。うむ、やはり売っていたか。
クスクスといっても完成品の缶詰ではなく、クスクス本体250gが入った箱と、それと一緒に煮込むスープか何かが入った大きな缶詰が一緒だ。
全部をあわせると1個で約1kg。お、重い。
値段はわたしの買ったものでは24.95F(約392円)。一缶で3人前となっている。
作り方も材料を入れて煮るだけ、みたいに書いてあるので簡単そう。
値段も手ごろだし、何種類か買っていこうと思っていたが、この重さではそれは無理だった。残念。
クスクスの周囲には、同じようなパッケージのパエリアの素も売っている。
そしてさすが主食は米でない国フランス、パエリアのソースとなる缶詰と一緒に半透明の容器に入った米がついている。
ふーん、そっか。この国の人にとって、米とはこのような扱いなのだな。
そういやアメリカ人にとっては米はサラダの具の一種だ、と言っていた人がいる。
半透明の容器に入れられた米を見て、なるほど、なるほど、とうなずく。
それよりもクスクス。
色々な種類があったが、結局マギー(Maggi。ネッスル系)から出ている「COUSCOUS ROYAL BOEUF ET MERGUEZ」なるものを買う。
(※Attention! 「BOEUF」の「O」と「E」は実際にはくっついてます)
帰国後、意味を調べたら、BOEUF=牛肉、MERGUEZ=メルゲス(香辛料のきいたソーセージ:語源アラビア)となっていた。
しかし、写真を見るとどー見ても鶏肉がクスクスの上にのっている。牛肉とは関係なさそうだが、あまり気にしてはいかんのだろうか?
その他、パッケージの写真を見ると、にんじんやズッキーニ、ジャガイモなどがのっている。実際に作るときには、これらの材料を使うとよいのだろう。
だが、すでに旅行から帰って1年近くが経過しているが、まだこの缶詰を実際に調理していない。
試しに銀にも訊いてみたが、ヤツもまだ開封していないとのことだった。
というのも、ふたりともまだクスクス料理の実物を見たことがないので、作る自信がないのだ。
うーむ。缶詰の賞味期限は2002年3月となっている。
まだ1年近くあるが、早いとこアフリカ料理店に一度食べに行ってみなくては(笑)。
その他、手軽に食べられそうなスープの素などを物色する。
まあ、メーカーはマギーだのクノールだのの日本でも見慣れたものになってしまうので、日本では売られていなさそうな種類のものを探す。
どんなものがあったか、細かくはおぼえていないが、エスニック風なものがけっこうあったような。
わたしは中華風とベトナム風を買った。それぞれ4人前で9.5F(約149円)と6.95F(約109円)。
どこがどう中華風でベトナム風だったんだろ? 食べたけど記憶にない。
味は、具体的には思い出せないが、こりゃあ日本では売ってないわ、みたいな感じだった。
その他、きのこのクリーム・スープ[Cre´me de Champignons]や、パスタなのか細長いクルトンなのかよくわらかないものが浮いているスープなども買う。どれも値段は4人前で7F(約110円)以下。
簡単に作れるし、値段も手ごろなせいか、わたしの後にフランスに行った友人も同じようなスープの素を買ってきてくれた。
銀はさらに酒のコーナーへ。
わたしも興味はあったが、これ以上荷物を重くしないために水物は控える。
家族へのお土産にチョコレートなども買う。専門店で売っていそうな立派なものでも40F(約628円)くらい(※大きさによる)。
あとはさらに別の種類のクッキーをいくつかとトワイニングから出ている中国風のパッケージがかわいらしい紅茶(THE de CEYLAN)を買ってみる。
これで、値段はしめて161.35F(約2,533円)。
1時間近く時間をかけて選んだ品物ではあるが、あいかわらず安い土産である。
さあ、これで終わりにして帰ろうか、両手いっぱいの荷物を抱えていたが、銀が夕飯のマッシュルームを買い忘れた、という。
仕方ないので、わたしが荷物の番人をし、銀に手ぶらで買いに行かせたら10分くらいたっても帰ってこない。
何やっとるんだ、あいつは?
そして、15分ほどしてようやく戻ってきた銀は、マッシュルーム(500gで16.9F:約265円)の他にバゲット(5.2F:約82円)、おまけにけっこう大きなステーキ用の肉(2枚で19.95F:約313円)やオリーヴオイル、フランス産で有名な塩などを買ってきた。
いわく、「フランスでフランスパンと肉を料理していなかったのが心残りだった」とのこと。
確かに、フランスパンはカフェなどで食べていたが、ふだんスーパーで買っていたのは小さな食パンみたいなのばっかりだったし、肉類はハムなどは買っていたが、生肉は一度も買ってなかった。
まあ、フランス最後の夕食だからよかろう、ということにする。
スーパーのビニール袋の数がかなり多かったので、デイバッグにつめたりなんだりしてからスーパーを出る。
外はまだ明るかったが、この時点ですでに夜の8時15分くらいだった。
■ 最後の晩餐
帰り道も人工台地の構造に苦労させられた。
どこかにホテルがある1区の人工台地に直接のぼれる階段があるだろう、と思って行きに通ったリュ・ルイ・ブランを歩いていたのだが、結局この通り沿いからは1区の人工台地にはのぼれなかった。
階段がないどころか、途中からは歩道さえもなくなってしまい、わたしたちは車道脇の草地の斜面をよろよろしながら、道なき道を歩んでどうにか自分たちが泊まっているホテルの隣にあるホテル・イビスの駐車場に出た。
な、なんでこんな苦労をしなくてはならんのだ?
どう考えてみても本来人が歩くべきところではないのだろうな、と思いつつイビスの駐車場を逆走し、ようやく自分たちが泊まっているシタディーヌの前に着く。
当然、ここにたどり着くまでに、銀とふたりでさんざんラ・デファンスの悪口を言った。
部屋に帰って夕食作り。
その前に洗濯物を確認。
今日は窓を開けて出かけたので、洗濯物は乾いていた。それも、まるで日本の真夏の炎天下に干されていたかのようにカラカラだ。
さすがフランス。乾燥している。
冷蔵庫の中をできる限り空っぽにするために、とにかく料理しまくる。
まず前菜は生マッシュルームをスライスしたサラダに胡椒とオリーヴオイルのドレッシング、それとオリーヴの瓶詰めにチーズ、パン。

本日の夕食・前菜編(一の膳) |
2皿目はパテとマッシュルームのソテーにオニオン・スープ、オレンジジュース、ヨーグルト。

本日の夕食・二の膳 |
この時食べたヨーグルトは日本でもよく見るヨープレイトから出ているやつで、パッケージに「OLIGO」と書かれているからオリゴ糖が入っている甘いヨーグルトかと思って食べたのだが違った。まったくプレーンなヨーグルトだった。しかもふつうのより酸味が強い。
うう、裏切られた。銀ですらこのヨーグルトを「素」のままでは食べなかった。
3皿目は冷凍の角切りフライド・ポテトをオーヴンで温めたものと、まだまだ残っているチーズにオリーヴ、そしてメインのステーキ。
飲み物はビールが「Loburg」と「“33”EXPORT」と書かれたもの2種類にわたしの好みで肉だけど白ワイン。

本日の夕食・三の膳 |
しかしこのステーキ、スジが多かった。
果たしてこれは、肉が安いせいなのか、ここがフランスだからなのか。
(※Attention! もっとも、肉が本当に安いのかどうかはわかりません)
初めてアメリカでステーキを食べたとき、肉に血管がついたままなのにびっくりした記憶があるけど、欧米と日本では肉の処理の仕方がそんなにも違うのかなあ。
作っては食べ、作っては食べを繰り返し、9時30分から夕食を開始して、食べ終わったのは11時近かったと思う。
長い長い夕食だった。
11時40分ごろ、風呂から出る。
明日は朝イチでオルセー美術館[Muse´e d'Orsay]に行く予定。早起きしなくちゃ。
12時過ぎ、就寝。
|