プチホテルduduの日本人おかみ、Rocoの日記風エッセイ ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

写真*山下 晃(レ・タン・トン通り)



文/Roco

2003.04.30up
Vol.1 「アッカー」のお話

   
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私のいるホーチミン、レタントン通り、毎朝必ずといっていいほど、黄金色の太陽が 近くのサイゴン川の方角から昇ってきます。
乾季に入ってはや6カ月ちかく雨は降らない。
そして毎日とても暑く、平均35-6度ですが、それでも最近はそこここにちらりと 季節の移り変わる様子がみられます。
日本の桜がそろそろ終るこの頃、午後の空に入道雲らしきものが光っています。これまでにはなかった雲です。
そろそろ雨季がくるのかしら、、? と、 中空を切って一匹の生き物が飛んでいきます。
アレ? もしかしてあれは私の待っている「アッカー」じゃない?
でも、「アッカー」がたった一匹で来るはずはないのです。
ベトナムの赤とんぼを私は勝手に「アッカー」と名ずけています。
日本の赤とんぼよりも少し色がうすい。でもその群舞のすばらしさといったらないのです。
空がみえなくなるほどの「アッカー」の大群。
その空の色ときたら水浅黄。
「アッカー」の赤とほどよくマッチしたこれは一幅の絵でしょう。
日本では赤とんぼの群舞を広いゴルフ場などでは見る人がいるようですが、ここでは「アッカー」の乱れ飛ぶ空の下でバイクが洪水のように流れ、爆音がとどろく。
人が何かを叫び、道のはしにカフェがオープンし、お昼近いとそこはランチレストランに早変わりです。
「アッカー」は平気で空をおおって飛びつずけ、サイゴン川の川風が吹き抜けていく、という、これらすべてがここに同時にアリなのです。
そういえば、街を歩くとレストランではとんぼの絵柄のカップではす茶が出てきたり、お香を乗せるような小さなお皿にも「アッカー」が描かれていたり、髪どめ、ペンダントなど、いろいろなところにとんぼの姿を映した品が見つかって、ベトナムのひとたちの心根をみるような気がします。
雨はあたりを涼しくしてくれますが、時にはすごい突風が吹いたり、雷鳴とどろく荒っぽい降り方をします。
そんな時、「アッカー」は私の窓辺に咲くブーゲンビリアの枝につかまって、けんめいに
耐えて嵐の過ぎるのを待っています。
「さあ、今年ももうすぐネ、アッカー。」
と、私はせっせとブーゲンビリアに水をやるのです。


Vol.1おわり 

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